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(4597) ソレイジア・ファーマ株式会社

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ブリッジレポート:(4597)ソレイジア・ファーマ vol.8

(4597:東証マザーズ) ソレイジア・ファーマ 企業HP
荒井 好裕 社長
荒井 好裕 社長

【ブリッジレポート vol.8】2018年12月期業績レポート
取材概要「2019年は研究開発投資に加え、自社販売体制構築投資のため単年度損益においては過去最高の損失となる可能性が高いが、事業化という面では・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年3月27日掲載
企業基本情報
企業名
ソレイジア・ファーマ株式会社
社長
荒井 好裕
所在地
東京都港区芝公園2-11-1 住友不動産芝公園タワー4F
決算期
12月末日
業種
医薬品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年12月 318 -2,420 -2,445 -2,422
2017年12月 410 -1,009 -1,016 -1,007
2016年12月 501 -462 -494 -474
2015年12月 229 -702 -710 -643
2014年12月 11 -702 -701 -677
株式情報(3/22現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
201円 105,022,169株 21,109百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 - -29.65円 - 67.69円 3.0倍
※株価は3/22終値。発行済株式数、ROE、BPSは前期実績。EPSは予想レンジの下限。
 
ソレイジア・ファーマの2018年12月期決算概要、中国における自社マーケティング体制概要などをご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
がん領域に特化したスペシャリティ・ファーマ(※)として、有望市場である日本、中国を中心としたアジア地域においてがん治療薬、がんサポーティブケア(がん支持療法医薬品等)などの開発及び販売を行う。 荒井社長率いる実務経験豊富な開発スタッフ、開発成功確率の高さ、安定した事業基盤、事業の早期実現可能性などが大きな強み・特長。 (※)スペシャリティ・ファーマ:得意分野において国際的にも一定の評価を得る研究開発力を有する新薬開発企業のこと。 【1-2 企業理念・経営理念】 社名のソレイジア(SOLASIA)は、Sol(ラテン語で太陽)+Asia(アジア地域)からなるもので、「日本・アジアにおいて、 がんと向き合うさまざまな人たちの未来を照らす希望の太陽でありたい。」という想いを表している。 以下のような、『経営理念:ミッション、ビジョン、バリュー』を掲げている。 また、経営方針として以下の2点を示している。 ニッチではあるが困っている患者が多数いるアンメット・メディカル・ニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズ)解決のための新薬開発に注力していく。 また、現在は研究開発が先行しているため財務CFに頼らざるを得ない現状であるが、早期に営業CF黒字化を実現し、持続的成長が可能な基盤を構築する。 【1-3 同社を取り巻く環境】 厚生労働省「平成30年(2018)我が国の人口動態統計」によれば、2016年の主な死因別死亡率(人口10万人に対し何人が死亡したか)は悪性新生物(がん)が、298.3人で第1位であった。1981年に死亡率142.0人で、同134.3人の脳血管疾患に代わり第1位となって以来30年以上にわたり連続して第1位であり、その数値も年を追って上昇している。 日本では高齢化、また食生活を含めたライフスタイルの変化等によりがん発症率は上昇していると言われているが、中国においてもがんの発症者数及び死亡者数は増加傾向にある。 こうした中、国別医薬品市場規模は第1位が米国で、中国は日本を抜き第2位となった。世界の医薬品市場は、過去6年間(2010-2016)で約24%増加してきたが、中国市場は、市場全体を大きく上回り約113%増加した。 今後、中国市場は米国市場と1位を分け合う規模まで拡大するとも言われている。 こうしたがんによる死亡率の上昇に伴い、「新規抗がん剤」および「がんサポーティブケア」への期待が高まっている。 (新規抗がん剤) 抗がん剤を用いたがん治療においては、一つの抗がん剤のみを用いる単剤治療よりも、複数の抗がん剤を用いる併用療法のほうが主流である。 加えて、がんは種類によって異なるが、再発の可能性が高く、加えて難治の場合は、一種類の治療での治癒は困難であるため、一つの治療薬が絶対的な存在とはならず、他の治療薬が直接的な「競合」とはなり難いという特性がある。 また、近年では、分子標的薬や免疫療法が注目されてはいるが、まだ多くのがん種に対する治療において化学療法剤が重用されている。殺細胞性抗がん剤を含むレジメンは標準治療として位置づけられ、今後も高い医療ニーズが期待される。 (がんサポーティブケア) 抗がん剤はがん細胞を攻撃するなどの強力な医薬品であり副作用が避けられない。 患者に負担がかかる副作用をコントロールできなければ、抗がん剤の減量やがん治療そのものを中止せざるを得ず、結果的には病状が進行してしまうリスクがある。 こうした事態を避け、がん治療を完遂するためには、副作用のコントロールを行うための医薬品や医療機器への期待が高まっている。 また、がんの治療薬はがんの種類ごとに承認を得なければならないが、サポーティブケアはがんの種類を問わず、幅広いがん患者への処方が可能であり、大きなニーズ、市場が見込まれる。 以上のように、日本・中国におけるがん治療ニーズの増大とそれに対応した新規抗がん剤およびがんサポーティブケアへの期待は大きく、同社はこうしたニーズを取り込み、収益を拡大させるためのビジネスモデル、事業戦略を構築している。 【1-4 事業内容】 (1)ビジネスモデル 新しい医薬品が上市されるまでには、「基礎研究」から始まり、「製剤研究」、「非臨床開発(動物を用いて薬効薬理作用、生体内での動態、有害な作用などを調べる試験)」、「臨床開発(医薬品や治療技術などの人間への影響を調べる科学的試験)」を経て、当局の承認を得たのち、「製造」、「販売・マーケティング・製造販売後調査」といったプロセスを経るのが一般的である。 大手製薬会社は、巨額な研究開発費を変動費化することなどを目的にCROを利用した臨床開発段階のアウトソーシングを進めてはいるが、基本的には上記の工程全てを自社内に保有している。 これまではこうした体制が製薬会社の高収益体制を支えてきたが、近年の生命科学分野の急速な進歩や複雑化、多様化により、自社固有の創薬技術が陳腐化してしまう可能性が高まっている。 また、多額の費用と時間をかけて基礎研究から進めても臨床開発に入るまでに実用化を断念し、創薬技術を確立できないケースも多く、医薬品開発には常に高いリスクがついてまわる。 そこで同社では、失敗の確率の高い基礎研究から非臨床開発の工程を自社では行わず、まだ開発段階にある将来有望な医薬品を外部から導入して臨床開発から開発に着手。それ以降の事業活動に経営資源を集約することで自社の強みを発揮するとともにリスクの低減を図っている。 現時点ではコスト負担の大きい製造工程も保有しない計画である。 販売工程については、高収益確保とリスクコントロールのバランスを考慮した仕組みを構築している。 一般的に製薬企業の売上高総利益率は高水準であるが、これは、製造および販売活動を内製化することによって実現できると考えられる。 一方医薬品は販売地域の網羅性(例:日本全国をカバー)が要求され、自社販売網を構築しようとすれば、固定費が増大する。 そこで同社では、臨床開発を終えた医薬品について、「自販モデル」と、販売権を他社に導出する「導出モデル」を併用している。 (自販モデル) 中国の3大都市「北京・上海・広州」においては製品販売利益の最大化と固定費管理を念頭に、自社販売体制を構築し自販モデルを展開する。 この3都市の人口合計は中国全人口の約5%に過ぎないが、抗がん剤を取り扱うのは最先端かつ大病院であるため、大病院が集中するこの3都市は中国の抗がん剤市場の3割を占める巨大マーケットである。 また、新しい医薬品の使用・普及にあたっては影響力のある医師の判断や決定がその結果を大きく左右する。こうした影響力のある医師の在籍する大病院への営業活動は極めて重要なポイントとなる。 加えて、中国全土ではなくあくまでもそれぞれの都市における営業であり、少人数の販売組織でも十分に活動は可能である。 中国での自販活動は、100%子会社であるSolasia Medical Information Consulting (Shanghai) Co. Ltd.が担当。 3名の事業責任者を始めとした自社セールス・マーケティングのマネジメントチームを組成し、3都市での拠点設置も完了している。 2019年第1四半期に予定しているSP-01の販売開始に際し(3月18日販売開始済)、3都市合計30名程度のMR(医薬情報担当者)を中心とする営業体制を整備している。 (導出モデル) 現在の主な導出先パートナーは以下の2社である。 今後も共同歩調が取りやすくWIN-WINの関係を構築できる中堅製薬メーカーを中心に導出先パートナーとして確保していく考えだ。 (2)製品・開発パイプライン 現在、前述の経営方針に沿って以下4つの製品・開発パイプラインを有している。 パイプラインの開発・事業化の経緯、現状、今後の計画は以下のとおりである。(2019年3月18日現在) (対象疾病の概要) 抗がん剤の代表的な副作用として悪心や嘔吐はよく知られている。 抗がん剤を投与すると、小腸にあるクロム親和性細胞と呼ばれる細胞がダメージを受ける。 ダメージを受けたクロム親和性細胞はセロトニンという神経伝達物質を放出。これが末梢の迷走神経上にある5-HT3受容体に取りこまれ、その刺激が末梢の迷走神経に沿って、脳の第4脳室最後野にある化学受容器引金帯(CTZ)を介して延髄に入り、悪心・嘔吐の命令を生体に出す嘔吐中枢を刺激し、悪心や嘔吐が発現する。 悪心・嘔吐を抑制するためにはセロトニンによる5-HT3受容体への刺激を遮断することが必要であり、そのために用いられる薬剤「5-HT3受容体拮抗薬」としては様々なものがあるが、代表的な薬剤がグラニセトロンである。 (「SP-01」概要) 「SP-01」は、このグラニセトロンを含んだ5-HT3受容体拮抗薬の経皮吸収型製剤(貼付剤)で、貼り薬としては世界唯一。 抗がん剤は5日間にわたり投与するケースが多いが、注射や経口による制吐剤は概ね1~2日間しか効果がなく、抗がん剤投与期間内に複数回注射しなければならない。これに対し「SP-01」は5日間にわたって安定的に血中のグラニセトロン濃度を維持することができるため、1回貼り付ければ制吐剤を追加する必要がなく、入院ではなく外来によるがん治療を可能とするため、患者のQOL向上にも大きく貢献する。 悪心・嘔吐、口内炎などが原因で、薬剤の服用が困難な状態にある場合でも、経皮吸収型製剤は使用可能である点も大きなメリットであり、以上のような点を評価され、米国NCCN診療ガイドライン、中国治療ガイドラインで処方推奨を得ている。 (開発および販売状況) 現在上市済の地域は、米国、英国、ドイツ、イタリア、オランダ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、クウェート、レバノン、カタール、バーレーン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、韓国、フィリピン、(以上、導入元等が販売)、台湾、香港、シンガポール、マカオ(以上、同社サブライセンス先の協和発酵キリンが販売)など多数にわたっている。今後は、がん化学療法だけでなく放射線療法による悪心・嘔吐抑制への適応拡大を見込んでいる。 中国では2014年6月の承認申請完了を経て、18年7月に承認および市販用製剤の輸入許可を取得。これを契機に18年12月期第3四半期にはマイルストンを受領し売上収益を計上した。 その後、市販用製品の製造工程が確立し、初回出荷の対象となる製品製造が完了したことを受け、18年11月、中国販売代理店契約を締結している直接的な販売先である伊藤忠商事向けに出荷を開始した。 その後、中国通関の諸手続も完了し、予定通り2019年3月、販売を開始した。 北京市・上海市・広州市においては自販組織により、他の中国諸地域においては販売権導出先であるLee’s Pharma社を通じて販売活動を行う。 販売開始にあたり、2019年3月16日、同社は「Sancuso上市セミナー」を上海で開催(共催)した。 CSCO(Chinese Society of Clinical Oncology:中国臨床腫瘍学会)の理事長であるLi Jin教授、副理事長であるQin Shukui教授及びMa Jun教授を議長とし、中国全土から総勢約200名のがん専門医が一同に会した同セミナーにおいて、中国主要臨床医は以下のようなコメントを述べ、「SP-01: Sancuso®(サンキューソ)」を評価している。 Qin Shukui教授(CSCO副理事長) 「制吐剤を処方しなければ、がん化学療法の患者の70-80%において、CINV(がん化学療法による悪心・嘔吐)が生じることとなる。悪心・嘔吐が重症な場合は、化学療法の薬剤投与を減量するか中止しなければならず、治療結果に対して悪影響を招く。従来、中国では、CINV予防として主に効果発現時間の短い注射剤が使用されてきた。注射剤は血中濃度が大きく変動するため、繰り返し投与する必要があり、患者にとって利便性が低い。Sancusoはグラニセトロンを最長7日間、毎日持続的に放出するよう設計された独自の経皮吸収型製剤であり、化学療法1サイクルに対し1枚の使用で効果が期待できるため、化学療法を受ける患者にとって新しい非侵襲性の選択肢となるだろう。」 Ma Jun教授(CSCO副理事長) 「高度および中等度催吐性の化学療法を受けている患者における悪心・嘔吐リスクは、化学療法を受けた後2~3日間続くことになる。数日間にわたる化学療法では、急性悪心・嘔吐と遅発性悪心・嘔吐が重複することとなり、それに対してより安定した長期持続性のCINV治療薬が必要となる。 Sancusoは想定される急性および遅発性の悪心・嘔吐を含む様々な段階をカバーすることが可能であり、7日間の安定した有効性は、化学療法全プロセスでのCINV管理を可能にし、患者は安心して化学療法を受けることができるようになるだろう。 Li Jin教授(CSCO理事長) 「Sancusoは、中国において化学療法を受ける患者の悪心・嘔吐予防の新しい非侵襲性の選択肢となるだろう。投与は貼付剤ゆえに簡単で、且つ長時間効果が持続するため、化学療法全プロセスでのCINV管理が容易となり、CINVの治療効果を向上させるだろう。」 同社では「SP-01」の特徴や競合薬に対する優位性にかかるKey Opinion Leaderと呼ばれる臨床医の評価の獲得、医療現場の臨床医への知見提供という上流・下流2方向の営業活動により800億円以上といわれる中国5HT3制吐剤市場でのシェア獲得を目指している。 (対象疾病の概要) 悪性リンパ腫は、血液がんの1つで、白血球の中のリンパ球ががん化したもの。 リンパ球には、B細胞、T細胞、NK細胞等の種類があり、これらががん化して無制限に増殖することで発症する。 末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-cell lymphoma)とは、悪性リンパ腫の種類の1つ。リンパ球の中のT細胞から発生するもので、月単位で病気が進行する「中悪性度」に分類され、中悪性度リンパ腫の10~15%を占めるといわれている。 B細胞リンパ腫などに比べ、5年生存率は低く、25%前後である。 (開発および販売状況) 「SP-02」は、この再発・難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)への適応で開発をスタートさせた。 2015年10月までに米国や日本、韓国等で187名の被験者に投与される実績を有する。 米国における前期第II相臨床試験は2012年4月に完了し、白人種における一定の有効性を確認した。 2015年4月に完了した日本および韓国における第Ⅰ相臨床試験では、PTCL患者において安全性及び忍容性が確認され、アジア人種における一定の有効性が示唆された。 日本、韓国、台湾、香港で2016年にスタートした最終試験として位置づけられるアジア国際共同第II相臨床試験は再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者65名(計画ベース)を対象に進行中で、現在患者登録は目標症例数の約90%に到達している。2019年中の臨床試験終了を予定しており、試験成績が良好な場合には、2020年に当局への承認申請を行う計画である。 中国においては最終試験である第II相臨床試験の準備中である。 悪性リンパ腫はしばしば再発することが知られており、作用機序の異なる複数の治療薬が必要でマーケットは大きいと同社は考えている。 末梢性T細胞リンパ腫のみでなく、その他血液がん(リンパ腫、白血病)や固形がんへの適応拡大を目指しており、現在、非臨床試験も並行して実施している。 日本での開発販売権はMeiji Seika ファルマ株式会社に導出済で、2018年8月には、コロンビア共和国のHB Human BioScience SAS社と、コロンビア、ペルー、エクアドル、ベネズエラ、チリ、パナマ、コスタリカ及びグアテマラでの販売等の独占的権利を導出した。 欧米、中国の権利に対しても、アジア第II相臨床試験結果の公表前、公表後双方のタイミングを前提に導出を検討している。 (対象疾病の概要) 抗がん剤による悪心・嘔吐と並んで、がん化学療法又は放射線療法による口腔粘膜障害の副作用も患者にとっては大きな困難である。 口内炎は、「化学療法が口腔粘膜へ直接作用して障害が生じるもの」や「放射線照射により唾液腺組織に障害が生じ、唾液の分泌低下により口腔内の自浄作用が低下し局所感染が起こることで発生するもの」である一次口内炎と、「白血球減少などに伴う骨髄抑制により起こる口腔内感染が原因となるもの」である二次口内炎がある。 抗がん剤治療に伴う口内炎の発生頻度は30~40%、抗がん剤と頭頸部への放射線治療併用時の口内炎発生頻度は約100%となっている。 がん化学療法又は放射線療法による口内炎は、300~500もの多数の炎症が発生するものもある。その疼痛により患者は食事や水分の経口摂取が困難になり体力低下を招き、重症化すると本来のがん治療の継続にも悪影響を及ぼしてしまう。これまでは確立した標準治療はなく、病院ごとでの対症療法が主流であったため。 (「SP-03」概要) 「SP-03」は、脂質ベースの液体を口腔粘膜に滴下塗布するものであり、同社ではカテゴリーとしては医療機器として開発を進めてきた。 口腔粘膜に適量を適用すると、数分以内に液体が口腔内の水分を吸収し生体接着ゲル化し、物理的なバリヤーを形成するもので、8時間程度の口内炎の疼痛緩和効果が臨床的に示されている。 (開発および販売状況) 2016年に日本における承認申請を完了していたが、2017年7月6日付けで、厚生労働省より、日本国内における医療機器製造販売承認を取得した。2018年1月には第388回中央社会保険医療協議会総会において18年4月からの保険適用が承認され、保険収載(7,520円/本、10ml.入)を経て、18年5月、日本における独占販売権の導出先であるMeiji Seika ファルマ株式会社による販売が開始された。 中国においても2016年5月の承認申請後、2019年2月、医療機器輸入販売承認を取得した。 今後、北京、上海、広州では自社が、その他の中国地域については販売権導出先のLee’s Pharma社が販売活動を行う。 韓国においては2018年8月、導入元であるCamurus AB社と韓国での独占開発販売権利を導入する契約を締結し、2019年3月、当局へ承認申請を行った。 日本・中国・韓国以外では、米国、英国、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランスなどで他社及び導入元等により販売されている。 先行する3つの開発がおおむね順調に進む中、4つ目のパイプライン導入を上場時から検討していた同社は、「がん領域である。」、「臨床試験が一定程度進んでいる。」、「日本及び中国での開発権利を獲得できる。」という3つの条件を満たす新薬を探していた。そして、2017年11月にスウェーデンのPledPharma AB(以下、「Pled 社」)から、がん化学療法に伴う末梢神経障害薬「PledOx®」の日本、中国、韓国、台湾、香港及びマカオでの開発事業化の独占的権利を獲得した。早期の承認取得を実現するため、まず大腸がん治療における代表的な抗がん剤「オキサリプラチン」投与による末梢神経障害に適応を絞り、日本や中国など東アジア地域での臨床開発を進めていく。 (対象疾病の概要) がん化学療法は、悪心・嘔吐や口内炎発症等の副作用が生じるが、末梢神経障害も重篤な副作用の一つ。 末梢神経障害は、プラチナ製剤やタキサン製剤等のがん化学療法の主要薬剤において、顕著に発現することが知られている。 大腸がんのうち手術による治癒が難しい進行・再発がん(ステージIII、IV)に対する化学療法及び術後補助化学療法における代表的な治療法であるFOLFOX療法は、フルオロウラシル・フォリン酸・オキサリプラチンの 3 剤を併用するものだが、このうちオキサリプラチンの処方は、患者の約9割で「手、足や口唇周囲部等の異常感覚」、「呼吸困難や嚥下障害を伴う咽頭喉頭の絞扼感(しめつけ)」、「手足先のしびれ」、「感覚低下」、「感覚性運動失調」などの症状を伴う末梢神経障害を生じさせる。 このような副作用が発現した場合には、薬剤中止により、80%の症例では一部症状の改善がみられ、40%の症例では 6~8 ヵ月後には完全に回復するが、薬剤中止はがん化学療法の中止や方針変更となる可能性があり、末梢神経障害の治療は医療上の重要な課題である。ただ、がん化学療法の副作用としての末梢神経障害を適応として当局に承認された医薬品は現時点では存在していない。 (「SP-04」概要) 「SP-04:PledOx®」の導入元Pled社はストックホルム証券取引所に上場しており、酸化ストレス関連の疾患に対する医薬品開発に強みを持つ。「PledOx®」(一般名:Calmangafodipir)は欧米で販売実績を有するMRI造影剤「Mangafodipir」を基に創生された新有効成分である。 後述のように「SP-04:PledOx®」は後期第II相臨床試験を終了し、今後、第III相国際共同臨床試験が開始される予定(2018年12月開始済)で、末梢神経障害薬の開発トップランナー。開発成功は大きな先行者利益獲得につながるだけでなく、がん患者のQOL向上など社会的貢献度も高い。 *市場性 ソレイジア・ファーマによれば、FOLFOX療法の対象となる大腸がん患者数は年間で日本6~10万人、中国20万人程度と推定している。 FOLFOX療法は、「3日間の治療、11日間の休薬期間」の計14日間が1サイクルであり、それを12サイクル行う治療法である。対象疾患はオキサリプラチン投与を含むがん化学療法の対象となる大腸がんであるが、オキサリプラチン以外のプラチナ製剤やタキサン製剤等のがん化学療法の主要薬剤においても末梢神経障害が顕著に発現することがしられており、乳がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がんなど大腸がん以外の固形がんも追加対象疾患となれば、市場性は更に広がると同社は想定している。 (開発および販売状況) Pled社は、これまで末梢神経障害を適応として PledOx®の研究開発を欧米で行ってきており、後期第II相臨床試験までの結果、FOLFOX療法を受けている進行性大腸がん患者において、有効性と安全性、つまり末梢神経障害を改善する効果およびFOLFOX 療法によるがん治療そのものへの影響を生じさせないこと等についての効果が示唆されている。Pled 社は、日本への導出を検討した際、日本人を対象とした臨床試験が必要と判断したため米国で日本人を被験者とするPledOx®の第Ⅰ相臨床試験を実施してきたが、18年2月、この第Ⅰ相臨床試験は終了し、SP-04の日本人における良好な安全性及び忍容性が確認された。 一方、Pled 社は、18年11月に、FDA(米国食品医薬品局)及び EMA(欧州医薬品庁)との協議を経た第III相国際共同臨床試験を開始した。 日本人を被験者とする第Ⅰ相臨床試験が終了したソレイジア・ファーマは、第II相臨床試験実施を回避して第III相国際共同臨床試験への参画を検討していた。 2018年6月、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との協議を経て、ソレイジア・ファーマの権利地域である日本、韓国、台湾、香港での当該第III相国際共同臨床試験への参画を決定し、同年12月に最終試験となる同臨床試験を開始した。 ※プラセボ対照試験 薬の臨床試験において、被験者を対照群と治療群とに分け、対照群にはプラセボを割り付ける試験。 プラセボとは色、重さ、味及び匂いなどを可能な限り被験薬に似せ、かつ薬効成分を含まない「偽薬」。 最終試験である第III相国際共同臨床試験が開始されたことで、「SP-04」の事業化はさらに前進した。 ソレイジア・ファーマでは、今後中国における臨床試験を予定しているほか、日本、アジアでの権利導出を目指していく。 【1-5 バイオベンチャーとしての6つの特徴】 バイオベンチャーとしての同社を特徴づけるのは主に以下の6点である。 ①創業の経緯 同社のスタートは、伊藤忠商事と米国のバイオに特化したVCであるMPMキャピタルによって設立された「JapanBridge (Ireland) Limited」。数社のバイオベンチャーから新薬の権利を導入し、開発を進めた。 当初はExitとして製薬会社への売却を中心に考えていたが、事業の将来性、有望性から企業として永続的に事業を展開する方向にシフトし、研究開発に向けた資金調達も必要なため株式公開の道を選択。その後、2017年3月に株式公開を果たした。 もともと他社への売却を念頭に置いていたことから、保有する開発品は開発段階ではあっても他社に売却して現金化可能な優良な資産で構成されており、創業時より既に強固な事業基盤を構築している。 ②実務経験豊富な臨床開発陣 研究部門や前臨床部門を持たず、新薬開発の権利導入を活用し、臨床開発以降の医薬品創造プロセスに特化している。医薬品事業化への研究開発過程において最も大切なのは最終的に当局の承認を取得することであるが、そのためには臨床開発、特に第II相以降の後期臨床段階におけるスキルやノウハウが最も重要である。 数多い日本のバイオベンチャーの中でも、社長が臨床開発をコアスキルとして身に付け、強力な武器としているのは同社荒井社長以外には見当たらない。 荒井社長率いる実務経験豊富な臨床開発スタッフは同社の強力な差別化要因、競争優位性である。 ③開発成功確率の高さ 昨年導入した「SP-04」に先立ち、「SP-01」、「SP-02」、「SP-03」という3つの開発品を導入しているが、開発中止や失敗実績はなく、3つの開発品全てが事業化に至る最終段階(SP-01は中国で販売開始、SP-02は最終臨床試験実施中、SP-03は日本で販売開始、中国で販売承認取得)にある。 この高い開発成功確率を可能にしているのは2つの要因である。 1つ目は、失敗のリスクの低いものを選定し導入するビジネスモデル。 2つ目は、臨床開発のすべてを担うことのできるチームが社内にあること。前述のように、承認を取るためには何が必要かを熟知した開発陣は、導入品が承認をとれるか否かについてのスクリーニングをかけることができる。 1つ目、2つ目を合わせた、いわば「目利き力」が、開発断念に至るリスクを引き下げ、3打数3安打という高打率の源泉となっている。 新薬のキャッシュインフローをDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)モデルから分析してみると、将来にわたるトータルのキャッシュインフローの大部分を構成するのは契約金やマイルストンではなくロイヤルティであるが、言うまでもなくロイヤリティは最終的に開発が成功し、販売が拡大しないと獲得することはできない。 Pled社への提案に際し、多くの競合に比べ、契約金を始めとした金額面では決して有利ではなかったにもかかわらず「SP-04」を導入できたのも、明確な臨床開発設計を構築できるチーム力、先行3製品の開発実績、日本・中国を含めたアジアでの実績などをPled社が評価し、ソレイジア・ファーマがアジアにおける「PledOx®」成功のためのベストパートナーと判断したものであろう。 ④安定した事業基盤 前述のように開発品3つ全てにおいて、製薬企業への販売権導出を達成しており、自社販売と組み合わせたリスクヘッジのためのポートフォリオを構築済である。 ⑤高利益確保のための自販体制 製薬会社が高い収益性を実現できているのは、自社で製造・販売双方を手掛けているためだ。 同社は現在のところ製造設備は保有していないが、収益性を高めるためにマーケットが大きくかつ効率的に営業活動が展開できる中国の三大都市(北京、上海、広州)に自社販売体制を整備している。 ⑥事業の早期実現 バイオベンチャーの場合、新薬開発段階では損失を計上しているのが一般的であるため、株価や事業価値の算定において損益計算書を使用することは合理的ではなく、DCFモデルを使用することとなるが、バイオベンチャーを対象とする場合、通常のDCFで使用される「時間」を基にした割引率以外に、新薬の臨床段階ごとの成功確率が割引率として考慮される。この場合、承認をいつ得ることができるかが最大のポイントとなるが、4つの開発品のうち、「SP-03」は国内販売が開始され、次いで「SP-01」も中国で販売が開始となり、同社の新薬開発に関する割引率は、他のバイオベンチャーよりも低く想定されてしかるべきであろう。 以上6点以外に中国市場での成長ポテンシャルの高さを挙げることができる。 世界のメガファーマも当然中国をはじめとしたアジア各国に拠点を設けているが、同社が開発の対象とするのは経営方針にあるように、大手製薬企業が業績重視の観点から着手しないがん領域や希少疾病領域での新規製品である。近年医薬品市場で注目を浴びるこうした製品はバイオベンチャー発のものであるが、大手は取り扱わないため、同社は、北京・上海・広州の自社販売網を含め、世界中のバイオベンチャーにとって急成長するアジア市場へのアクセスを提供できる貴重な存在となろう。加えて、中国ビジネスに強みを持ち筆頭株主でもある伊藤忠商事と中国全土(香港、マカオを除く)における販売代理店契約を締結し、そのネットワークを活用できる点も同社の大きなアドバンテージである。
 
 
2018年12月期決算概要
売上収益は前期比92百万円減の3億18百万円。SP-03の日本での製品販売及びSP-01の承認を契機とするLee’s Pharma社からのマイルストン収入及び中国向け製品販売等。 研究開発費は、主にSP-02の国際共同第II相臨床試験(最終試験)等やSP-04の国際共同第III相臨床試験(最終試験)等の費用発生によるもの。販管費は、SP-01、SP-03の販売開始準備にかかる中国マーケティング活動費、中国セールス体制構築費、社内体制整備及びSP-03およびSP-01の事業進捗により開始された無形資産償却費発生など。 (資産性費用の無形資産計上と償却) パイプラインへの投資のうち資産性を有すると認識される開発費用等につき、1億85百万円を無形資産の増加として計上。前期のパイプラインへの投資は無形資産計上額1億85百万円と研究開発費14億63百万円の合計額16億49百万円。 また、開発品SP-03の日本事業無形資産は製品販売を契機として償却を開始し、開発品SP-01の無形資産は当局 承認を経ての受注開始を契機として償却を開始しており、前期1億48百万円の償却費が発生した。 (予想との差異) 売上収益はSP-01の製品販売開始等により、業績予想の下限(100百万円)を上回ったものの、SP-01及びSP-03 の中国での承認時期の遅れにより、業績予想の上限(6億円)を下回った。なおSP-01は2018年7月に既に承認に至っている。またSP-03は日本において2018年5月に販売が開始されており、一方中国では当局下部組織での審査が完了し承認上程がなされている(2019年2月承認取得)。 研究開発費、販管費は、SP-02の国際共同第II臨床試験(最終試験)の終了が当初想定より遅れ2019年に見込まれることとなったこと、SP-01の中国承認を契機とした中国自社販売体制構築完了が当初想定より遅れ2019年第1四半期に見込まれることとなったこと等を主因として、当初想定を下回った。このため、各段階の損失額は業績予想の上限に比べ少なくなった。 公募増資により現金、資本が増加。棚卸資産の増加はSP-01の上市に備えた中国向け製品。資産合計は前期末に比べ10億73百万円増加し、77億28百万円となった。自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は91.7%。 キャッシュポジションは前年同期に比べ6億76百万円上昇した。
 
 
2019年12月期業績予想
SP-01、SP-03販売で売上収益拡大。先行投資を拡大させるため損失は拡大傾向。 売上においては各製品が販売開始間もないことから市場浸透速度には不確実性があり、コストにおいては臨床試験などの開始及び終了時期には不確実性があることから、現時点で特定することは困難であるため業績予想はレンジ形式によって発表している。 (売上収益) 製品販売による収益は、2018年12月期に販売開始となったSP-03(日本)の収益、今期販売が始まったSP-01(中国)及び販売開始予定であるSP-03(中国)の収益を見込む。但し、販売初期段階での市場浸透度は想定事業規模に対して限定的なものになると想定している。 また開発品権利導出による収益として、SP-02あるいはSP-04等の導出収益を一部、一定程度見込んでいる. *下限予想5億円のケース SP-01、SP-03でそれぞれ半々の販売を想定している。 *上限17億円のケース SP-02もしくはSP-04等の導出収益の一部、5億円程度想定している。 SP-01、SP-03でそれぞれ6億円の販売を想定。 国内販売の伸長は、医科歯科連携の進捗、同製品の認知度向上などがカギとなる。 (営業費用) 主として以下の項目を計上する。 SP-01及びSP-03の製品販売による売上原価。 SP-01及びSP-03に関する中国自販体制の運営、市販後調査を含めたマーケティング活動への投資。 SP-02の最終試験となる第II相臨床試験への投資および、SP-04の最終試験となる第III相臨床試験への投資。 SP-01及びSP-03の販売開始を受け、通期において無形資産の償却費が発生する。但し、償却費は過年度の支出に対応するものであり、2019年12月期において支出は生じない。 (営業損益等) 先行投資を継続するため、各段階で20億円~30億円の損失が生じる見通し。 研究開発費を除いた営業損失は5億円から15億円の予想。 (企業としての目標) 各パイプラインの目標実現のほか、パイプライン増強のため新規開発品の導入を進めている。 また数値目標としては2020年以降早期での研究開発費を除く営業利益の黒字化達成を目標としているが、ここから償却費を除いた損益の黒字化タイミングも重視している。
 
中国における自社マーケティング体制
同社の特長の一つが、中国3大都市「北京・上海・広州」で自社販売を展開するという点だ。バイオベンチャーにおいて自社販売体制を保有するという経営戦略は極めて特異であるが、製品販売利益の最大化と固定費管理を通じた収益拡大の可能性を判断するためには、自社マーケティング体制の概要や進捗を知ることは重要なポイントであろう。 ポイント①:経験豊富なマネジメントチーム 2014年に設立された中国における自社マーケティングを担当する100%子会社Solasia Medical Information Consulting (Shanghai) Co. Ltd.のマーケティング、販売部門は以下3名の責任者がリードしている。 子会社の社長にあたるVivian Zhang氏は臨床医として4年間大学病院に勤めた後、26年間製薬会社に勤務し、主にがん分野で豊富な経験を積んできた。中でも、世界的製薬企業ロシュ社においてはハーセプチン(抗悪性腫瘍剤)、タルセバ(抗悪性腫瘍薬)、アバスチン(抗悪性腫瘍剤)といった抗がん剤史上に名を残す有力抗がん剤の他、抗がん剤治療における副作用を抑制する制吐剤カイトリル(グラニセトロン塩酸塩)などで優れた販売実績を上げ、抗がん剤事業の責任者を務めた。 また、Aili Xu氏、Jimmy Guo氏の両名も元臨床医、Roche出身で、マーケティングおよびセールスにおいて豊富な経験を有している。 この3名のエキスパートの下、SP-01販売のため、現時点(2月13日)では上海9名、北京8名、広州7名の合計24名のMRを採用しているが、その7割が大手外資系製薬会社の出身でかつ、平均2年以上のがん分野でのセールス経験者である。 Roche 出身者で構成された経験豊富なマネジメントチームの下、強力なマーケティング・販売部隊を運営している。 ポイント②中国医学界から高評価 新しい医薬品の使用・普及にあたっては影響力のある医師の判断や決定がその結果を大きく左右するが、中国もその例外ではない。 そうした状況の中、SP-01は臨床現場で参照されるがん治療に対する中国版NCCNガイドラインにおいて、既に悪心嘔吐の標準治療の一つとして推奨されている。 また、前述のように、CSCO(中国臨床腫瘍学会)において中国のがん治療分野をリードする著名な臨床医が、SP-01について簡便にかつ化学療法全プロセスにおいて悪心・嘔吐を抑制する点を高く評価している。 こうした高評価を受けることができているのはSP-01自体の優れた効能はもちろんであるが、マネジメントチームがRoche時代から構築してきた中国臨床ネットワークとの強固なリレーションシップが大きな役割を果たしていることは明らかであり、他のバイオベンチャーにはない同社の大きなアドバンテージである。 ポイント③マーケティング活動の現在と今後 上記のように、SP-01販売のため3都市で合計30名程度のMRを中心とする営業体制を整備している。 3都市において影響力の大きい医師が在籍する69の大病院を中心にカバーし、ここを起点とした情報伝播による販売拡大を推進していく。 また、2019年中と見込まれているSP-03の販売開始に際し、MRをさらに増強する計画である。
 
 
今後の注目点
2019年は研究開発投資に加え、自社販売体制構築投資のため単年度損益においては過去最高の損失となる可能性が高いが、事業化という面では、期初の予定通りSP-01の中国販売開始、SP-03の中国における承認取得および韓国での承認申請が発表され、SP-03については中国での販売もこの半年以内には開始されるだろう。同社が「開発」のみのステージから巨大市場・中国での「販売」も手掛ける真の製薬企業へと進化する大きな転換の年となる。 加えて今後さらに注目すべきは、「SP-02の日本・韓国・台湾・香港における最終試験である第II相臨床試験結果」である。 試験結果が良好であれば、同社にとっては初めてとなる抗がん剤本体製品化の道が開けることとなり、がんサポーティブケア製品であるSP-01やSP-03とは比べ物にならない大きなインパクトを生むこととなるだろう。 もちろんその場合でも収益最大化までには最短でも5年程度かかることとはなるが、数多い日本のバイオベンチャーの中でも同社はトップクラスの評価を得ることとなろう。 同社のリリースから目が離せない2019年である。
 
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年4月2日 <基本的な考え方> 当社は、医薬品開発企業としての事業活動を通じ、患者をはじめとする医療現場に貢献することが当社の使命と考えています。また、これらの事業活動を通じて、企業価値の向上と株主への利益還元を図り、ステークホルダーに対して説明責任を果たすことは、当社の使命を達成するための重要な事象であると認識しています。このため、当社は、経営の「遵法性」「透明性」を確保しつつ、社外取締役の監視・監督と監査役の監査体制を充実させることにより、コーポレートガバナンス(企業統治)を有効に機能させることを基本方針としています。 <実施しない主な原則とその理由> 「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しています。」と記載している。