ブリッジレポート
(6573) アジャイルメディア・ネットワーク株式会社

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ブリッジレポート:(6573)アジャイルメディア・ネットワーク vol.2

(6573:東証マザーズ) アジャイルメディア・ネットワーク 企業HP
上田 怜史 社長
上田 怜史 社長

【ブリッジレポート vol.2】2018年12月期業績レポート
取材概要「18年12月期は増収増益で、今期も各種投資を行いながらも2桁の増収増益予想であるが、残念ながら株価は上場来安値近辺での推移となっている・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年3月6日掲載
企業基本情報
企業名
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
社長
上田 怜史
所在地
東京都港区虎ノ門3-8-21 虎ノ門33森ビル
決算期
12月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年12月 734 66 67 63
2016年12月 554 21 20 11
2015年12月 498 32 32 45
株式情報(2/28現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,009円 2,059,680株 2,078百万円 15.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00 - 32.30 31.2倍 340.12円 3.0倍
※株価は2/28終値。ROE、BPSは前期実績。
 
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の2018年12月期決算概要などをご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
「ファンの“好き”を加速する」をテーマに、クライアント企業の商品や製品・サービスのファンである「アンバサダー」を対象にクチコミ(利用体験の発信・購入の推奨)の活性化や購買促進、商品開発を支援する様々なサービスを提供。 得意とする分析テクノロジーと運営ノウハウを核に外部パートナーとのアライアンスも進め、アンバサダー事業の拡大と並行し、カタパルト事業、海外事業への投資により成長のスピートアップと規模拡大を追求する。 【1-1 沿革】 2007年2月設立。インターネットの発達に伴う新しいコミュニケーションの在り方を追求する中で、ブロガーをネットワークした広告配信を開始する。2008年6月にはブログの特長や影響力を分析する分析ツール「ブログチャート」の提供を開始。Twitter、FaceBookなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及・浸透に合わせ2010年6月、SNSを活用したキャンペーン構築システム「ソーシャルタイアップ」を、2012年4月にはソーシャルメディアを横断して影響力を測定する「ユーザーチャート」を相次いでリリースする。 2013年7月に、現在の中心事業である「アンバサダープログラム」をリリース。2016年1月にはアンバサダーの統合管理・分析ツールである基幹システム「アンバサダープラットフォーム」の提供を開始した。 SNSでの活動を実際の売上に結び付けたい企業のニーズを取り込み採用実績および収益はともに拡大。 2018年3月、東証マザーズに上場した。 【1-2 企業理念】 ひとりの気持ち、ひとの気持ちを大切にしたマーケティングを考えます。 沿革にあるように、同社は設立以来、インターネットの発達に伴うマーケティングにおける新しいコミュニケーションの在り方を追求してきた。 20世紀的なコミュニケーションがマスを対象に「伝達する」ことを重視していたのに対し、現在のソーシャルメディア時代のコミュニケーションは、人と人とのつながりによって情報が共有されたり、共感の輪が広がったりする、いわば「会話」が重要な意味を持つと考えた同社は、ひとりひとりのユーザーのリアルな声を、新しいマーケティングの中心に位置づけ、企業と生活者と社会の間に立ち、時代に即した人間中心の新しいコミュニケーションと、新しいマーケティングを考えていくことを目指している。 【1-3 同社を取り巻く環境】 ◎広告市場の変化 株式会社電通による「2017年 日本の広告費」によれば、下のグラフが示す通り、過去12年間で新聞・雑誌・ラジオ・TVのいわゆるマスコミ四媒体はCAGR(年平均成長率)で2.4%の減少だったのに対し、2005年には3,777億円であったインターネット広告費はCAGR12%で拡大を続け、2017年には1.5兆円へと急成長している。 商品・サービス内容が成熟し機能的な差別化が難しくなるのに加え、消費者やユーザーの嗜好が多様化する中で、マスを対象に企業が情報を一方的に伝達しても消費者の購買・利用意欲を喚起することは難しい一方、様々なテクノロジーをベースに、双方向性に優れ、絞り込んだ消費者・ユーザーにリーチできるインターネット広告が費用対効果の面からも企業のニーズを取り込んでいることが見て取れる。 また、詳細な金額は明らかではないが、プロモーション(販促)ページ制作費やソーシャルメディアのための広告制作費・制作関連(システム運用)費の増加も同調査においては指摘されている。広告主の「売上増」に繋がるマーケティングやプロモーションに対するニーズは今後もより一層強まることが予想される。 ◎SNS普及に伴う「クチコミ」の影響力増大 同社資料によれば、「信頼されている情報元は何か?」との質問に対し、第1位は「知人のおススメ(クチコミ)」で92%、第2位が「消費者のオンラインレビュー」70%となっており、新聞記事などの編集コンテンツ(58%)、ブランドWebサイト(58%)、許可したEmail(50%)を上回っている。 インターネットを用いた広告やマーケティングが伸長する中で、信頼性という観点からスマートフォンやSNSの普及による「クチコミ」の影響力は増大しており、クチコミ発信に対する企業の関心は日に日に高まっている。 【1-4 事業内容】 同社は、クライアント企業やその製品・ブランドのファンであるアンバサダーのクチコミ(利用体験の発信・購入の推奨)による情報発信力や運営ノウハウを活用して、分析、プロモーション、販売促進活動、商品開発を支援する「アンバサダー事業」を展開している。 また、更に顧客層を拡大させるために前期より新規事業としてテスト販売プラットフォーム「カタパルト」を立ち上げた。 セグメントはアンバサダー事業の単一セグメント。 (1)アンバサダー事業 プロモーション、販売促進活動、商品開発等を支援する「アンバサダープログラム」は、クライアント企業の取り組みや製品・サービスの価値を正しく伝えることが難しい時代において、「アンバサダー」を通じて周囲の友人や知人に魅力を伝えることで、クライアント企業のより効果的なマーケティング活動推進に貢献するもの。 (アンバサダーとは?) 「アンバサダー」とは英語で「大使」のこと。 そこから転じて、特定の製品やサービス等の魅力を伝える役割を果たす人のことを指し、有名芸能人やスポーツ選手が著名ブランドのアンバサダーとして活動する事例などを見受けるが、同社では好きな企業、製品やサービスについて自発的にクチコミや推奨するファンを「アンバサダー」と定義した。 同社の「アンバサダー」は、一般の消費者・ユーザーの中から選ばれ、特定のブランドや商品・製品について、自発的に満足を伝えたり推奨を行ったりする(金銭報酬は発生しない)。アンバサダーのクチコミが届く対象はアンバサダーの身近な友人や知人である。 (なぜアンバサダーが重要なのか?) 【1-3 同社を取り巻く環境】で触れたように、製品やサービスが高機能化・成熟化する一方、消費者の嗜好も多様化する中で、これまでのTVCM・新聞・雑誌などいわゆる「マス広告」だけでは、自社の製品やサービスの価値を十分に伝えることは困難となっている。 一方、インターネット普及以前から製品やサービスの評判を伝える「クチコミ」は存在し、友人や知人から伝えられる商品に関する満足や推奨は購買選択に影響を与える重要な情報であったが、個人が情報を発信するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及により、個人が「クチコミ」を発信する機会とともにその影響力が増大している。 成熟した市場におけるプロモーションや商品・サービス開発にはファンの存在が不可欠で、価値伝達における身近なアンバサダーによる「クチコミ」の重要性は益々高まっている。 ①アンバサダープログラム® アンバサダーの発見・登録・分析・連絡に使用する基幹システム「アンバサダープラットフォーム」を基盤に、プログラム運用支援やクチコミを促進するための施策の企画・運営支援など、様々なサービスを提供している。 企業が保有する会員をベースにアンバサダーを募集するため会員数の多寡により1プログラム当たりのアンバサダー数は1,000人から十数万人と幅はあるが平均は約2,000人。 後述するように、協業先の企業が保有する会員資産やデータを使用して、趣味やテーマのアンバサダー組織を運営しており、会員組織が小さい企業でもアンバサダープログラムを利用できるような体制を整えている。 また、TwitterやFacebookからファンを見つけてアンバサダープログラムの存在を知ってもらうための告知も行っている。 アンバサダーの貢献度は、いわゆるインフルエンサーとは異なり、広く広める影響力だけではない。範囲は決して広くなくても定期的に知人・友人に発信してもらうことも重要であり、同社ではそうしたデータも緻密に収集・分析している。 <アンバサダープログラム事例:第2回、第3回「カロリーメイトアンバサダーオフ会」> 2018年8月29日に第2回、9月5日に第3回のカロリーメイトアンバサダーオフ会を開催し、合計で11名のアンバサダーにご参加いただきました! 参加された人の中には、大阪からのお仕事終わりにオフ会に参加いただいた方もいらっしゃいました。 まずは自己紹介を兼ねて、アンバサダーのみなさんがお好きなカロリーメイトの味や、どのようなシーンで活用されているかを教えていただきました。 お仕事の合間や、残業中に食べるという方や、海外旅行や出張の際にバックに入れて持ち歩くという方、中にはスキー場でリフトの移動中に食べるという方も! 自己紹介タイムのあとは、簡単に大塚製薬の取り組みや、カロリーメイトの開発背景などをご紹介。 みなさん、とても熱心にメモやスライドの写真を撮っているのが印象的でした。 その後、アンバサダープログラムの活動についての感想や今後のご要望等を聞かせていただきました。 SNSの活用方法や、フォトコンテストについてのご要望等とても参考になりました。 さらに、みなさんが考える「カロリーメイトゼリーのおすすめポイント」を、発表してもらいました。 すっきりと飲めて、バランスよく栄養補給ができるのがポイントという点が多くあげられました。 最後にオフ会に参加いただいたみなさんと記念撮影を行いました!! (同社WEBSITEより抜粋)(基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」とは?) アンバサダープログラムを効率的、効果的に運営するためのシステムが、同社が自社開発した基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」である。 ASPサービスである「アンバサダープラットフォーム」は、アンバサダーの発見・告知・登録・管理・抽出(条件の抽出やグループ化)、クチコミの分析(登録者一人ひとりのクチコミを断続的に収集)、アンバサダーの分析(一人ひとりの影響力をレベルで判定するほか、クチコミの広がりや友人の反応を把握)、貢献評価(アンバサダー全体の貢献を判定)を行い、このサイクルを回すことで、費用対効果の高いプロモーション活動を可能にしている。 企業が自社でTwitterやFaceBookを運営している場合、公開アカウントにおけるフォロワーや「いいね!」といっている友達が何名いて、そのフォロワーや友達には何名のフォロワー・友達がいるかは把握できるが、フォロワーが自身の様々なSNSアカウントで普段どんな発信をしているかは判明できない。 これに対し同社ではTwitter、FaceBook、ブログにおいて、そのフォロワーが「特定のキーワードについてどんな発言をしたか?」、「その発言に対しどのような反応があったか?」までをデータとして収集することができる。 つまり、企業自身では行うことのできない「ひとを軸とした複合的、多面的な情報収集・分析作業」ができるのが基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」の最大の特徴であり、情報収集・分析・検証を通じて企業にとってより適切なファン活性化のプログラムを提供できる点が、クライアント企業に評価されている最大のポイントである。 (クライアント企業におけるメリット) *ファン・満足・需要・効果の可視化 「アンバサダープログラム」を通じてファンによる商品やサービスのクチコミを活性化することで、4つの可視化を行っている。 例えば、商品サンプリングを行う場合、通常のサンプリングは応募者に対して無作為に当選者を選出し、商品体験をしてもらうが効果測定を行うことはできず、どのような成果が見込めるか、事後どの程度成果があったかは不明である。これに対しアンバサダープログラムにおいては、クチコミや影響力を指標に候補者を選出することができるほか、商品体験後は貢献度の高いアンバサダーによるクチコミの発信・拡散が期待でき、クチコミ・波及の有無や友人・知人の反応を把握することで効果測定も可能であり、成果の見込みと検証が可能な費用対効果の高い施策となる。 *顧客生涯価値(LTV:ライフ・タイム・バリュー※)の向上 「アンバサダープログラム」への参加を通じて、商品選択への信頼・納得や企業への親近感を向上させることで、顧客(アンバサダーやファン)が他の競合商品へ流出するのを軽減することができる。 また、継続した購買により、顧客生涯価値を高めることも可能である。 ※顧客生涯価値 顧客が特定の企業やブランドと取引を開始してから終了するまでの期間内にどれだけの利益をもたらすのかを算出したもの。既存顧客重視の観点から注目されており、一般的に熱心な顧客ほど企業にもたらす利益が大きいとされる。 *キャンペーンや商品開発におけるアイデアや改善点の抽出 従来企業単独で実施していた「商品開発」や「改善」への取り組みをアンバサダーと共に推進することで、より利用者視点での商品・サービス開発に繋げることができる。 アンバサダーには金銭報酬は支払われないが、アンバサダーは金銭的な見返りよりも、特別な機会を体験できる点に充足感を得ており、それゆえ情報の信頼性が高い点もアンバサダープログラムの特徴である。 (収益モデル) 同社は、クライアント企業のアンバサダープログラムの企画・導入・運営サービスを提供し、対価を受領している。 提供するサービスは毎月定額で発生する「ベース費用」と、プログラムごとで適切な時期に実施するイベントやキャンペーンなどの「施策費用」に分かれており、半年~1年単位での契約となっている。 「ベース費用」はアンバサダー管理や分析を行うシステムである「アンバサダープラットフォーム利用料」と、問合せ対応窓口などを運営する「プログラム事務局運営費用」で構成される。 (その他のサービス) アンバサダープログラムをより効果的なモノとするために以下2つのサービスを提供している。 *レビューズ 同社が提供する情報発信者と、商品の魅力を伝えたい企業をマッチングするサービス。 商品訴求やイベントへの参加、コンテンツ制作といった企業の要望に対して、情報発信者それぞれの得意分野から適切な発信者を選定し、企業と情報発信者のやり取りを代行する。ブログ記事やSNS投稿の生成から効果測定を支援している。 *アライアンスサービス クチコミ分析機能とファン活性化のノウハウを活用し、協業先の企業が保有する会員資産やデータと組み合わせることで付加価値の高いサービスを提供する。 (協業例) *メディア企業との取り組み 例えばアウトドアやゴルフなど、趣味や属性に特化したファン組織を立ち上げ、企業のプロモーション活動とクチコミの効果測定サービスを提供する。 *マーケティング企業との取り組み 顧客管理システムやデータ分析ツールを提供する企業と協業し、システムやツール利用企業がツール内に保有するデータと同社の分析データを組み合わせることで他にはない付加価値を提供する。 (2)カタパルト事業 ◎テスト販売プラットフォーム「CATAPULT(カタパルト)」概要 ①背景・課題 昨今の製品開発環境を概観すると、製造コスト低減やモノとインターネットが繋がるIoT家電の登場など、ユニークな製品が生まれやすい土壌がある一方、新製品発売におけるプロモーション投資の最適化は大きな課題となっている。特に中小規模の企業においては新製品の認知拡大や理解促進、初期のファン獲得において、十分な投資が難しいのが現状である。 ②「カタパルト」とは? カタパルトは、「買ってつながる、語ってひろがる」をテーマに、様々な企業が製品や体験サービスを販売し、ファンは購入や SNS によるクチコミ発信で応援することができるサービス。 上記のような環境下、これから世に出そうと考えている新製品や、まだ価値や魅力が伝わっていない製品を対象に、市場投入への発射台として「先行予約販売」と共にクチコミによる「プロモーション」、「ファン獲得」が可能なサービスを、初期費用不要・成果報酬型で提供する。 クライアント企業は少ない費用負担で「商品・サービスの販売」と「ファンの獲得」が可能である。 カタパルトとは空母の飛行機射出機や投石機を指す。まだ世に出ていない、価値が伝わっていない製品やサービスの「発射台」 として、企業とファンが共に盛り上げる場を提供したいと考えて命名した。 *サービス構成・特長
クライアント企業は「カタパルト」サイト上において個別プロジェクトの形で新商品やサービスを期間限定・先行予約の形で販売する。
サイトには体験記事を執筆する得意領域で活躍するブロガーやライターが「カタパルト 公認ガイド」として商品体験記事を寄稿し、利用者視点で製品の魅力や特徴を伝える。記事制作費は同社が負担する。
購入者・利用者は、製品の購入やサービスの利用のほか、クチコミ応援を行う。
初期費用不要、販売金額に対する一定の手数料を支払う成果報酬型なので、中小規模の企業も安心して利用できる。
クラウドファンディング「ENjiNE(エンジン)」を運営する Relic社と連携し、数十の国内クラウドファンディングサービスへのプロジェクト相互露出を行い、新製品やサービスを様々な媒体の優良な読者へ向けてアプローチする仕組みも備えている。 (ただし、カタパルトの対象製品は一定額が集まった場合に製品化を進めるクラウドファンディングではない。)
*アンバサダープログラムとの相違 新たなサービス領域の拡大を図るカタパルトとアンバサダープログラムとの主な相違は以下の通り。 カタパルトの運営に関しては、同社がこれまでに培ったクチコミ分析テクノロジーやファンクラブ運営ノウハウを活かし、カタパルトの購入者やその友人が参加できるファンクラブ機能を今後リリース予定である。 【1-5 特長と強み】 1人ひとりの情報発信力や企業や製品に対しての興味度合いを分析する「テクノロジー」と、「アンバサダーを活性化するためのノウハウ」が同社最大の差別化要因であり、テクノロジーとノウハウを活かした効果測定により、クライアント企業に今後のマーケティング活動に有用な情報を提供できる点が同社の強みである。 (テクノロジー) 熱量や貢献度の高いアンバサダーの「発見」、アンバサダーによるクチコミの「活性化」、クチコミの成果を把握する「効果測定」において、独自の企画・運営ノウハウと登録・管理・分析が可能な基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」により、クライアント企業に今後のマーケティング活動に有用な情報を提供することができる。 (アンバサダー活性化のノウハウ) 一連のサービスをネット上の参加企画である「オンライン施策(ネット)」だけでなく、イベントや商品開発プロジェクトなど「オフライン施策(リアル)」までワンストップで提供することができる点も他社にはない同社の大きな特長である。 例えば、ファンを招待する「イベント」や商品を試用してもらう「サンプリング」を実施する際に、応募者の中からクチコミの期待値が高いアンバサダーを分析したデータを元に選出することでプロモーションの「成果の見込み」をたてることが可能である。また、実施後には参加者によるSNSやブログによるクチコミの有無、クチコミの拡がりや友人の反応を把握することが可能なため、施策の成果を検証することができる。
 
 
2018年12月期決算概要
プログラム導入件数増で大幅増収増益。売上高、利益は過去最高を記録。 売上高は前期比23.9%増の9億10百万円。アンバサダープログラムは新規顧客を獲得し単価も上昇した。 アンバサダープログラム運営の生産性が向上し粗利増で粗利率も上昇。販管費増、株式上場関連費用を吸収し、営業利益、経常利益、当期純利益は2桁の増益。売上高、利益ともに過去最高を記録した。 ただ期初予想に対して未達であった。 (2)事業動向 アンバサダープログラム導入件数は17年12月末68件に対し、18年12月末73件と順調に推移した。 案件の選別、大型化を推進した結果売上単価は前期の772.5万円から10.3%上昇し、851.9万円となった。 上場に伴う新株式発行で現預金が、ソフトウェアの自社開発で無形固定資産がそれぞれ増加し、資産合計は前期末比3億51百万円増加の7億68百万円。 公募増資による資本金および資本剰余金の増加、利益剰余金のマイナス縮小で純資産は3億55百万円増加の7億2百万円。自己資本比率は前期末から8.0%上昇し91.2%となった。 無形固定資産の取得(ソフトウェアに開発)による支出などでフリーCFは出超に転じた。株式の発行による収入で財務CFは入超。キャッシュポジションは上昇した。
 
 
2019年12月期業績予想
連続増収増益 売上高は前期比27.3%増の11億58百万円の予想。今期もアンバサダープログラム案件数は堅調に増加する見込み。カタパルトは数千万円の寄与。事業展開を開始した台湾関連の売上は織り込んでいない。 営業利益は同15.8%増の1億4百万円の予想。カタパルト、アンバサダープラットフォーム、台湾向け等のシステム開発増を見込んでいる。
 
 
今後の展開
同社の得意とする分析テクノロジーと運営ノウハウを核に外部パートナーとのアライアンスも進め、アンバサダープログラム、カタパルトに加え、海外プロモーション・市場進出支援を開始した。 成長のスピートアップと規模拡大を追求する。 (1)主な事業展開 ①アンバサダープログラム 豊富な実績を有するアンバサダープログラムにおける優れたテクノロジーとアンバサダー活性化のノウハウを活かし、独自性の高いプログラムを提供。顧客層を拡大する。 *ソーシャルゲームに特化したアンバサダープログラム 熱量の高いゲームファンによる貢献をポイントシステム化しSNS上で新たなファンを呼び込む仕組みを提供している。 (開発の背景) 同社ではこれまでもソーシャルゲームを提供する企業のアンバサダープログラムをサポートしてきたが、「熱心なゲームファンのクチコミを活用したい」、「短期的にではなく中・長期的にゲームファンと繋がりたい」、「ゲームファンの、ゲーム外でのクチコミ発信を活発にし、より多くの方にゲームの魅力を知ってもらいたい」との相談が多く、このニーズに対応するため今回のソリューションをリリースした。 (概要) 各ゲームのアンバサダーを募集し、登録したアンバサダーには独自のアンバサダーカードが発行される。クチコミ貢献、クチコミ経由でのアンバサダー獲得貢献によりポイントが貯まり、発行されたアンバサダーカードがランクアップしていく。 ゲーム正式リリース前に積極的に SNS 上にクチコミをするアンバサダーを事前に集めておくことで、ゲームリリースタイミングでのブースト効果が期待できるほか、リリース後もアンバサダーのクチコミにより、継続的に話題を作ることが可能。ゲーム内のイベントの盛り上げにアンバサダーを効果的に活用することができる。 (特徴) アンバサダーカードには、アンバサダー登録時に記載したニックネームや、選択したゲームキャラクターの画像が反映される。また、登録した順番に従ってシリアルナンバーも発行される。同時に SNS へのシェアも可能なので、シェアされたカードを見た SNS 上の友人にクチコミが伝播して、ゲームの認知拡大、アンバサダー登録の促進が期待できる。 料金は初期150万円、月額80万円でいずれも税別。最低契約期間は6カ月。 *自治体に特化したアンバサダープログラム 地域のファンと共にPR活動やビジネス機会を創出することで地方創生を実現する。 (開発の背景) 地方圏は人口減少や高齢化を背景に、多くの自治体は成長を促進する地方創生に取り組んでいる。そうした状況下、地域づくりの担い手が不足する中でも、若者を中心に、変化を生み出す人材が入り始めている地域もあり、今後は「関係人口(※)」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されている。 ※関係人口:移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと。 同社は、この「関係人口」を「地域のアンバサダー」と定義し、出身地域に縛られることなく新しい故郷との関わりを推進するファンクラブ運営サービス「ふるさとアンバサダープログラム」の提供を開始した。 (概要) 地域に興味がある、または様々な接点で繋がりがある在住者・出身者・観光者といった「交流人口」に対して、より積極的に関与する会員組織として「アンバサダー」の登録を促し、継続的に活動の機会を提供することで「関係人口」を増やしていく。 同社では、ふるさとを愛するアンバサダーの活動イメージを、「情報発信:関わる地域の魅力を発信する」、「経済活性:地域産業に主体的に関わる」、「観光誘致:周りの人を地域に連れてくる」と定義。 「ふるさとアンバサダー」登録者には限定情報や、イベントや商品体験等の参加機会を提供することで、地域の魅力を伝えるクチコミの拡散を促す。 (事例:名古屋市) 名古屋市では「名古屋魅力向上・発信戦略」に沿って、名古屋のアンバサダー(=関係人口)によるクチコミ活性化の基盤となる「名古屋なんて、だいすきモニター」を組織化し、継続的な交流と情報発信を促す取り組みを推進している。 名古屋市の担当者は、「参加者の名古屋に対する熱量は非常に高く、アンバサダー登録前後で大幅なクチコミの増加などの成果があがっています。アジャイルメディア・ネットワークが提供する分析テクノロジーや運営ノウハウに引き続き期待しています。」とアンバサダープログラムを高く評価している。 料金は初期50万円、月額70万円でいずれも税別。最低契約期間は6カ月。 ②カタパルト カタパルトは現状「テスト販売」のためのプラットフォームであるが、今後は魅力や特徴を伝える「コンテンツ支援」機能や「販売チャネル支援」機能を強化しプラットフォーム化を目指す。 ③海外事業をスタート 2018年10月、台湾最大級のガールズメディアを運営するNiusnews Co., Ltd.と業務提携を締結したほか、100%子会社Agile Media Network Taiwan Incを設立。19年2月には台湾最大級のクラウドファンディング「flyingV」を運営するOntoo Inc.と業務提携を行うなど、同社初となる海外事業を台湾でスタートさせた。 (台湾進出の背景) 日本企業であるアジャイルメディア・ネットワークがアドバンテージを握ることができるかという視点から様々な市場を検討した結果、 日本および台湾企業双方がそれぞれの相手国市場に進出する意欲が高いこと SNS普及率が高いこと 取り組みのインパクトが出しやすいこと などから進出先として台湾を選択した。 (台湾で取り組む事業) *Niusnews社との提携 Niusnews社が運営する「niusnews(ニュースニュース)」は、月間5,000万PV、500万ユーザーを有する台湾最大級の女性媒体。Facebookファンは110万人にのぼり、フリーペーパーの発行部数は2万部で、台湾ベスト100ウェブメディアにも選出されている。 アジャイルメディア・ネットワークはNiusnews社と共同でniusnews読者を対象にした独自の女性プレミアムファン組織「NIUS Ambassador」を設立し、クチコミ発信が可能な体制を構築する。 アンバサダープログラムの独自広告メニューを開発するほか、限定感のある商品の共同開発やカタパルト掲載商品の記事紹介を行う。 また、インバウンドプロモーションの共同開拓により官公庁や民間企業の需要を発掘する。 *Ontoo社との連携 Ontoo社は台湾で初のクラウドファンディングを立ちあげたパイオニアで、台湾最大級のクラウドファンディング「flyingV」を運営。これまでに累計2,600プロジェクトを実施し、7億台湾元(約25億円)を集めた実績を持つ。 登録会員数は40万人、Facebookの「いいね!」は12万人。 アジャイルメディア・ネットワークが日本と台湾で展開するテストマーケティングプラットフォーム「カタパルト」と連携して、Ontoo社が運営する「flyingV」の利用企業及び、利用ユーザー基盤、情報発信力を活用。日本及び台湾企業のそれぞれの相手国市場への進出や、海外テストマーケティングの支援を行う。 台湾で開催した今回の提携発表会にはメディアおよび出品企業100名以上が来場。関心の高さをうかがわせた。 (2)成長イメージ アンバサダー事業の発展を基盤にカタパルト事業、海外事業へ積極的に投資し収益拡大を加速させていく。
 
 
今後の注目点
18年12月期は増収増益で、今期も各種投資を行いながらも2桁の増収増益予想であるが、残念ながら株価は上場来安値近辺での推移となっている。 業績は良好だが上田社長も説明会で述べていたように、売上高、利益ともに計画未達だった点も株価低迷の要因の一つであろう。 まず短期的には今期の計画をしっかりと超過することができるのかを四半期ごとの進捗と共に見守りたい。また中期的にはカタパルトの本格的な離陸がいつごろなのか、台湾事業の具体的な成果とともに注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年8月21日 <実施しない主な原則とその理由> 「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。