前期比11.7%の増収、同10.0%の経常減益予想
通期予想に修正はなく売上高は前期比11.7%増の510億円、経常利益は同10.0%減の35億円を見込む。主要3セグメントで売上の増加を見込んでいるものの、総合人材サービスでは、オペレーション力の向上による収益力の改善を優先するため受注を抑制する。一方、20/5期に始まる新中期経営計画で飛躍的な成長を遂げるべく、グループの根幹を担う人材の採用・育成、保育・介護施設の開設に注力するため、営業利益が小幅な伸びにとどまる。
配当は、年24円を予定(上期末12円、期末12円、予想配当性向32.3%)。
(2)事業別戦略
総合人材サービス事業
全ての業界で人材確保が経営の課題になっている。こうした中、同社は、求職者の経験・スキルを問わず戦力化するグループ独自のノウハウにより就業人口を増加させることに注力する。
マッチングにおいては週3日や時短等の求職者が希望する就業条件・環境が多様化、同社ではクライアントへの多様な提案による実現に注力する。また、求職者に対する細やかなヒアリングにより、適性が高く、かつ、希望に敵う仕事を提案する。
研修では、現場経験豊富な研修担当者が座学での研修だけではなく、一緒に就業することで戦力化を図り、就業後においても、現場視点でのフォローにより、定着率の向上を図る。今後、増加が期待される海外人材の受入れにおいても、スキルチェックや研修による戦力化が可能だ。研修は、受講者が自分のペースで受講することができる。職種毎に現場に精通した講師が「週2・3日」や「時短」等の働き方でも顧客企業が必要とするスキル等を伝授している。また、業界・職務内容の説明だけでなく、実際に求職者に現場を見学させ、魅力ややりがいを伝える事で、就業人口の増加と定着率の向上につなげている。
取り組み
日本人の総人口が9年連続で減少し、15~64歳の生産年齢人口も全体の6割を切る中(2018年1月1日人口動態調査)、学歴、業務経験や社会経験、就業形態、勤務時間、国籍等に捉われず、多様な働き方を推進することが必要となっている。また、求職者と顧客企業の双方に対し、多様化するニーズのマッチング、きめ細かなアフターフォロー等のオペレーションも不可欠である。どんな求職者にも活躍できるよう注力した結果、多様な働き方を実現し顧客満足度が向上している。2019年オリコン顧客満足度調査では「人材派遣会社」部門の販売・営業系でライクスタッフィングが第5位を獲得した。
同社は、20/5期以降の中期経営計画での飛躍的な成長を見据え、オペレーション力の向上による収益力の改善を優先するべく、19/5期の売上成長率を当初計画より抑制した。
物流・製造業界向けサービスの強化
2018年6月に物流・製造業界向けサービスの拡大に向け、同業界向けのサービスをライクスタッフィングから分社し、ライクワークスを設立した。急成長する物流業界や顧客企業の物流・製造部門において、梱包やピッキング等の軽作業を中心とした人材の派遣や業務受託に注力する。大手ECサイト運営企業における長年の倉庫業務受託実績で蓄積したコールセンター、店頭販売までの一連の業務に対する知見を活かし、顧客企業のニーズにより幅広く対応すべくサービスの拡大を図る。また、ライクキッズネクストとの連携により、人材の提供だけでなく、保育施設の設置等働きやすい環境づくりにも注力する。
子育て支援サービス事業
受託保育事業では、企業・病院・大学等が設置する企業主導型保育をはじめとする事業所内保育を全国で153ヶ所受託運営している。今期はぶらんでぃあ保育所等を開園した。公的保育事業では認可保育園・学童クラブ・児童館等の公的保育施設を180ヶ所運営している(18/10月末)。19/4期上期の新規開設実績は3ヶ所(受託保育施設2ヶ所、公的保育施設(認可保育園)1ヶ所)。
保育施設の不足と保育人材の不足に伴い、待機児童問題が深刻化、子育て支援サービス事業の担う役割は拡大している。こうした中、同社では質の高い保育サービスを提供し、売上・利益共に成長し続ける日本一の保育事業者を目指している。
保育施設の増加
受託保育事業においては、グループの豊富な取引先を活かし、企業主導型施設の適正利益での受託数の増加に注力する。一方、公的保育事業においては、待機児童問題解消後も利用者に選ばれ続けるハード面でも好条件の施設数の増加に注力する。また、保育サービスのコンテンツの拡充にも力を入れていく。
保育人材の確保
ライクスタッフィング(株)の採用・就業後フォローのノウハウを活かし、採用力の強化と定着率の向上を図る。グループ内での積極的な人事交流によりノウハウを共有、マッチング力を強化する。更には、研修コンテンツのグループ共有による人材の創出にも注力する。
保育士が働きやすい環境の整備
保育士が働きやすい環境整備の一環として、2016年2月に保育業界初「イクボス企業同盟」に加盟した。「イクボス」とは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)の事(NPO法人ファザーリング・ジャパン)。「保育士が、働き続けたい魅力的な職場作り」を加速させ、日本全体の保育・幼児教育の向上・発展への貢献を目指す。
総合職保育士『ミライクル保育士』の導入
管理職志望の保育士向けの職種を新設する。一般保育士より給与や研修を手厚くしてキャリア形成を後押しする。保育士は一般職や非正規雇用としての採用が一般的で独自に総合職を設けるのは業界でも珍しい。新たな給与体系や研修制度を設け、キャリア形成の支援を行う。多彩な経験を積みながら早い段階で役職に就くことが可能となる。
介護関連サービス事業(デイサービス施設3施設を含む24施設・定員1,443名:18/10/末現在)
看取り介護を含め医療連携の強い有料老人ホームを神奈川・東京・埼玉で展開している。特徴・強みは、介護・看護スタッフによる24時間365日サポート、質の高いスタッフの確保と介護業界での安心の実績、及び元気の源となる毎日のこだわりの食事に特色。
18年10月1日にはサンライズ・ヴィラ藤沢六会を新規開設した。

高品質の介護サービスを追求し、サービスの差別化と介護人材の確保に取り組んでいく。サービスの差別化では、24時間看護師が常駐し、医療機関と連携した看取り介護の他、他社との差別化を明確にした高品質の介護サービスを提供する事で、選ばれ続ける介護施設を実現する。介護人材の確保では、未経験者を戦力化するライクスタッフィングとの連携により介護人材を創出し、定着率を向上させる事で業界での就業人口の増加を図る。2018年に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」、「改正入国管理法」を鑑み、海外人材の受入れに備え、研修コンテンツの拡充にも注力する。