避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、音響機器、映像機器の製造販売を行う専門メーカー。非常用放送設備でトップシェア。豊富な採用実績、「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ、ラインアップの幅広さと地域密着型の営業体制も強み。アジア・パシフィック、欧州などを中心に世界120か国以上で営業を展開。
【1-1 沿革】
1934年、マイクロホン作りに強い関心を抱いた中谷常太郎氏が東亞特殊電機製作所を創業し、トランペットスピーカーやマイクロホン等の製造販売を開始。マイクロホン、アンプ、スピーカーなどを一貫して自家生産し民需、軍需を取り込み成長する。
第2次世界大戦終戦後の1947年には日本で初めて軽量・小型・取り付けが容易かつ性能に優れたレフレックス型トランペットスピーカーを開発し、「トランペットのトーア」とのブランドが定着していった。
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1949年、法人組織に改組し、東亞特殊電機株式会社を設立。
その後も、音響の専業メーカーとして技術開発・製品開発を進め、世界初の電気メガホンEM-202(1954年)、日本初のトランジスターメガホン ER-57(1957年)等、新製品を相次いで投入。1962年には音をより遠くまで届けるために超巨大PA(※)実験を実施。最長到達距離は12kmを記録した。
1964年の東京オリンピックでは放送設備が31ヵ所の競技場で公式採用されたほか、1971年に京成電鉄成田駅で採用された「自動案内放送システム」はその後、駅・空港などへの導入が拡大。音響機器・システム分野における同社の存在価値はますます高まっていった。
※PA=Public Addressの略。拡声放送、構内放送の意
そうした中1968年に兵庫県・有馬温泉の旅館で30名が死亡する火災事故が発生。
同社は音響を中心とした固有技術を生かして1969年に日本で初めて非常用放送設備を開発し、生産・販売を開始した。その後、消防法改正によりホテルや大規模施設での非常用放送設備の設置が義務化され、折からの高度成長の波にも乗り、同社の中心的な事業に成長していった。
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一方、1973年に西ドイツ(現・ドイツ)に初の海外法人を設立したのを始め、アメリカ子会社設立(1974年)、1973年に駐在所を開設し「ホーンスピーカー」において90%以上のシェアを獲得していたインドネシアに現地生産合弁会社(現・連結子会社)を設立(1975年)して海外生産を開始するなど、積極的に海外事業を展開。その後もヨーロッパ、アジア、アフリカでも販売子会社や生産拠点を構築し、グローバルネットワークを構築していく。
業容の拡大に伴い、更なる事業基盤の強化を図るため1977年に大証2部に上場したのを皮切りに、1997年には東証・大証1部指定、2013年、東証・大証の市場統合に伴い東証1部に上場した。
【1-2 企業理念】
企業価値を「Smiles for the Public -人々が笑顔になれる社会をつくる-」と定めた。人々の集まりである「Public(社会)」に対し、「音の報せる力」を通じて「安心・信頼・感動」という価値を提供することで、人々の「Smiles(笑顔)」を実現することを目指している。
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同社では「機器ではなく、音を買っていただく」という考え方が浸透しており、いかにいい音を届けるかに軸足を置いて企業活動を展開している。
【1-3 市場環境と競合状況】
◎市場環境
建設経済研究所の調査によれば、民間非住宅分野の建築着工床面積はリーマンショックによる落ち込みからは回復してきたものの、ショック以前の水準まで回復することは望みにくい。
一方、国土交通省の調べによると、非住宅を対象としたリニューアル市場の2017年度の市場規模は約8.7兆円。傾向的には増加基調にあり、建設バブル期の新築施設に納入した機器やシステムのリニューアル需要は今後も着実に発生するものと思われる。
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こうしたいわば「飽和」状態にある市場環境の下、同社では機器の販売にとどまらず、ユーザーの満足度をより高いレベルで実現させるための「システム」や「ソリューション」を提供し、より収益性の高いビジネスを展開していく考えである。
◎競合状況
同社の主力製品である非常用放送設備を手がけているのは同社の他、国内ではPanasonic、JVCケンウッド、海外ではBOSCH(ボッシュ)があるが、業務用音響・映像メーカーとして専門性を追求している同社は国内では約5割のシェアを握っている。海外全体のシェアはまだ低いものの、いち早く進出したインドネシアなどでは高いシェアを有している。
【1-4 事業内容】
避難誘導や案内放送を行う非常用業務用放送設備、快適な空間を創造する音響システム、監視カメラを含めた防犯システムなど、主として多くの人々が集まる公共空間において使用される音響機器、映像機器の製造販売を行っている。
納入先は、地方自治体、官公庁舎施設、商業施設、複合施設、スポーツ施設、交通施設、教育施設、宗教施設など多岐にわたり、以下のような有名施設にも多数納入されている。
(1)商品分野
同社では取扱商品を、「音響」、「映像」、「鉄道」の3分野に分類し売上高を開示している。
この中では「音響」が約8割を占めている。
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(2)事業領域
「安心・信頼・感動」の3つの価値を軸とした事業領域において独自性の高い製品・システム・ソリューションを開発・販売している。
領域① 『安心:Public Safety』
人々が日常を安心して過ごすことができるように、自然災害や犯罪・事故等の危険から少しでも多くの人々を守り、社会の安全・安心を実現するソリューションを提供している。
(具体的なソリューション)
◎屋外防災放送ソリューション
安心領域における中心的なソリューションが防災関連の各種機器やシステムである。
特に、同社のコアコンピタンスである「音の報せる力」の面から、従来の課題を克服して、災害発生時に住民のより安全・安心な環境を創り出すスピーカーを中心とした屋外防災放送ソリューションは、高く評価されている。
<日本を取り巻く状況と防災行政無線の課題>
日本は狭い国土に世界第4位(2017年現在)の110に及ぶ活火山を有し、世界の活火山の7%を占める火山大国であり、加えて、日本列島周辺では4枚のプレート(地殻)が分かれ、プレート同士がぶつかり合っている「日本海溝」、「南海トラフ」はプレートが下に沈み込んでいるため古来より多くの地震被害を受けてきた。
さらに、日本は中山間地の中小河川の奥地にも集落があり、古くから崩壊・地すべり・土石流の被害を受けてきた。さらに近年、集中豪雨や台風などによる洪水、土砂災害はその頻度及び規模が大きくなっている点も大変気がかりであり、「防災・減災」への取り組みは国民が強く望むものとなっている。
災害発生時には、自治体が運営する防災行政無線が、住民への情報提供・避難誘導において重要な役割を担っており、政府が最重要施策の一つと掲げている「国土強靭化基本計画」においても、2018年12月に閣議決定された「国土強靭化基本計画の変更」、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」では、防災行政無線のデジタル化の推進や災害時における多言語音声翻訳システムの高度化のための緊急対策などが重要な取り組みの一つとして挙げられている。
ただ、2011年3月11日に発生した東日本大震災後の調査「東日本大震災時の津波・避難情報の入手に関する調査(内閣府)」によると、震災時に津波警報や避難の呼びかけを入手した先は、テレビ・ラジオを上回り、「防災行政無線」が約5割でトップであったにもかかわらず、防災行政無線を聞いた人の中でも「はっきりと聞き取ることができた。」のは約56%にとどまっており、防災行政無線の有効性という観点からは、改善・対策は喫緊の課題となっている。
屋外での放送が聞き取りにくい主な原因として以下のような点が挙げられる。
① 屋外スピーカーの音の届く距離が足りない
② 周囲の騒音が大きく、放送の音がかき消される
③ 近接した屋外スピーカーからの音が重なり合う
④ 周囲の地形や建物により音の通りが遮られる
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加えて、津波や浸水による屋外スピーカーの倒壊や機器の故障、大雨における騒音の増加による聞き取りの阻害といった点も、防災行政無線を有効に機能させるために克服すべき重要なポイントである。
<TOAが行う明瞭な屋外防災放送のための総合提案>
上記のような課題に対し、同社では明瞭に聞き取ることのできる屋外防災放送実現のための総合提案を行っている。
「明瞭な音」を実現するためには、音の入り口である音源から、出口であるスピーカーまで、システム全体を考慮したエンジニアリング力が必要であり、単にスピーカーを設置するだけではスピーカー本来の性能が発揮することは困難である。
そこで音のプロフェッショナルである同社は自治体担当者からのヒアリングを元に、豊富なラインアップの中からその地域に最適な次世代型防災用スピーカーの配置選定を行い、コンピュータ・ソフトによるシミュレーション、実際に音を発生させる屋外鳴動試験などを行った上で再配置設計を実施し、最終的に住民が明瞭に放送を聴取できるように調整を行う。
このように、同社は創業以来培ってきた「商品力」と「エンジニアリング力」により、次世代型防災用スピーカーによる明瞭な聴取を可能とする防災行政無線システムの構築が可能である。
*次世代型防災用スピーカー
従来型スピーカーの音の到達距離はおおむね約200~400m程度で、価格は次世代型防災用スピーカーよりも安価だが、スピーカーの増設や放送音量を上げることで音達エリアを拡げる際は設置場所付近の住民への配慮が必要である。
これに対し同社の次世代型防災用スピーカーは、以下のような特長を有している。
1995年1月17日に発生した兵庫南部地震(阪神・淡路大震災)で多くの従業員が被災し、テレビやラジオ、電話もつながらない状況で「もっと広範囲に防災放送が届けば役に立った」との思いから研究が始まり、開発された。
均一で明瞭な音を伝えることに優れたラインアレイ技術(複数のスピーカーユニットを垂直方向に連結し、線状の音源を構成する技術)を採用。
従来型スピーカーと比べて、距離による音の減衰が少なく、 従来型の2~3倍の距離まで均一で明瞭な音声を伝えることができる。
また、垂直方向への音の拡がりが小さく、スピーカー直下でも音量が抑えられるため 、近くで「やさしく」、遠くで「はっきり」と聞こえる。
同社独自の音の空気減衰量を考慮した補正機能を搭載しており、遠くの距離でもより明瞭に音声が聞こえるように音質調整している。
同社では次世代型防災スピーカーとしてそれぞれ特長のある3タイプを揃えており、案件ごとこれらを組み合わせ、最適な防災行政無線システムを提案する。
近年の自治体側の防災・減災意識の向上もあり、18年3月末時点で全国累計220以上の自治体で採用されている。
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また、次世代型防災スピーカーに適した信号処理機能(レベル調整、イコライザー)を標準搭載した次世代型防災スピーカー用アンプ
「防災用DSPアンプ」は、明瞭性の高い防災放送の実現に重要な役割を果たすとともに、IP告知ユニットを使い、防災行政無線放送とIP告知放送を併用することで、緊急時にどちらか一方の放送手段が途切れても、もう一方の放送手段が使えるように放送伝送路の冗長化が可能である。
このほか、独自のネットワーク音声伝送技術「パケットオーディオ」を搭載した市庁舎などの拠点から各施設へと一斉に放送を届ける
「IP告知放送システム」、緊急地震速報受信端末に連動した緊急地震放送が可能で、設定により四ヶ国語(日本語、英語、中国語、韓国語)の音声警報を流すこともできる
「ラック型非常用放送設備」など、災害時、緊急時に安全・安心を提供する幅広い製品ラインアップを有している。
領域② 『信頼:Public Communication』
日々の暮らしの中で人と人との信頼を築くために、時間や空間の隔たり、言語や年齢など多様性を乗り越え、便利で快適な社会のコミュニケーションを実現するソリューションを提供している。
(具体的なソリューション)
◎空港内旅客案内放送システム
大規模な空港ターミナルにおいて緊急情報やフライト情報などのアナウンスを多様な言語で伝え、安心して利用できる空港運営に貢献している。日本の空港市場における同社シェアは約90%と圧倒的である。
*羽田空港国際線旅客ターミナル
4ヶ国語による放送や直感的に操作できる操作卓など、ユニバーサルデザインを追求した非常用放送設備と旅客案内放送設備が導入されている。
*成田国際空港・第1旅客ターミナル
空港内のインフォメーションシステムを全面的にサポートし、建築美を損なうことなく配置された約5,000個のスピーカーが、多彩な情報を自動制御によって確実かつスピーディーに伝えている。
◎車両内放送設備
ディスプレイや車内外の行先案内など電光表示器の他、運転席からのアナウンスを各車両へと届ける車両内放送設備、車両内の安全確保のための防犯カメラシステム等、乗客により安全で快適なサービスを提供している。
領域③ 『感動:Public Space Design』
人々の心を揺さぶる感動のために、日常のささやかな楽しみから、非日常の特別な体験まで、人々の心をより豊かにする空間演出を実現するソリューションを提供している。
(具体的なソリューション)
◎スポーツ施設音響システム
来場者がスポーツを快適に観戦したり、コンサートなどのイベントを楽しんだりできるような音響空間を創造している。
精緻な音場シミュレーションやデジタル計測テクノロジーなど、蓄積されたデータとノウハウを駆使して最適な音を届けることで、国際的な大型スポーツイベントの誘致や開催をバックアップしている。
*ゲロラ・ブン・カルノ・スタジアム(インドネシア)
2018年に開催されたアジア大会の主要会場となった最大約9万人を収容する同スタジアムにおいて、新型ドライバーを搭載したホーンアレイスピーカーをはじめとする音響システムを納入した。
熱狂する大観衆の歓声にかき消されない明瞭で迫力のある音響システムを構築。その高品位な音質により今後開催される音楽イベントなどのライブパフォーマンスでの活用も期待されている。
インドネシアで長年活動を続け、当地での評価も高い同社ならではの案件である。
*京セラドーム大阪
綿密な音響シミュレーションの結果、同社が提案したセンタークラスターラインアレイスピーカーを核とした音響システムが採用された。合計76台のスピーカーユニットは、残響音の多い条件下でも音声が聞き取りやすく、カバーエリアの全ての客席へもクリアで迫力のある音を届けることができ、「大歓声の中でも音声がダイレクトに聞こえて心地よい」と評価されている。
またグラウンド上においても、キャッチャー方向からセンター方向にかけ、180度途切れなく連なるスピーカーユニットによって、均質な音空間を構築している。
操作面においては、野球運営用など、あらかじめプリセットした音響設定を呼び出すだけで、すぐに使用できるほか、スピーカー駆動用のアンプには高出力、高音質のデジタルアンプを採用して消費電力を大幅に抑えるなど、環境面での配慮も採用のポイントとなった。その他、イベント時での放送においても使いやすく、十分な音量でアナウンスできる点も好評である。
(3)セグメント
報告セグメントは地域別に、「日本」、「アジア・パシフィック」、「欧州・中東・アフリカ」、「アメリカ」、「中国・東アジア」の5つ。
グローバルブランドの確立を目指して、積極的な海外販売戦略を推進。現在、世界120ヶ国以上で販売活動を行っている。
各エリアで最適な生産体制と販売体制を実現し、求められる世界品質を、求める市場にスムーズに提供している。
現地法人である海外販社とTOA本体の海外営業部門によって、全ての情報を統括し、市場の変化に対し素早く対応している。
(4)研究開発体制
グループの開発拠点である宝塚事業場に、基礎技術の研究開発部門に加え、商品開発、品質保証、デザイン等、開発に関する部門を集約している。
同事業場敷地内には2020年12月完成予定の「ナレッジスクエア」を建設中で、研究開発機能をより強化するとともに、すべてのステークホルダーとの「つながりの場」を創出することで、共に新しい価値を創りだすことを目指している。
海外ではインドネシアに「アジア・パシフィック・R&Dセンター」を、台湾に「得洋電子工業股份有限公司 R&D事務所」を有し、世界各地の生産拠点と連携しその地域のニーズを具現化した商品を創出している。
拠点ごとの独立運営を確保しつつ、情報はITネットワークでリンクしているため技術共有や部品の集中調達も可能であり、自由な発想による地域商品の開発体制を維持すると同時に、グループ全体の効率性向上も実現している。
(5)グループ・ネットワーク
◎国内
同社ほか、グループ会社5社がエンジニアリングサポート、ソフト企画、ホール管理・運営、生産を手がけている。
全国約30の営業所により地域密着のきめ細かいサービスを提供している。
◎海外
生産拠点はインドネシア、ベトナム、台湾、中国の4カ所。アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアに約40か所の営業拠点を展開している。
【1-5 特長と強み】
(1)「豊富な採用実績と高いシェア」とその源泉である「音」のプロフェッショナルとしての知見・ノウハウ
同社製品及びシステムは国内外の様々な施設に多数採用されており、非常用放送設備の国内シェアは約50%でトップ、空港内旅客案内放送システムの国内空港市場におけるシェアは約90%、防災行政無線における次世代型防災スピーカーの採用実績240件以上など、圧倒的な存在感を示している。
こうした実績の源泉が、「音」のプロフェッショナルとして、「機器ではなく、音を買っていただく」という考え方の下、いかにいい音を届けるかを追求した結果1934年の創業以来、蓄積してきた経験、知見、ノウハウである。
防災行政無線システムを例にとれば、同社のような音の遠達性を実現できるスピーカーを製造できる企業は同社以外にはほとんどない。
また、単に機器を提案・納入するのではなく、パソコンによるシミュレーションや屋外鳴動試験などを行った上で配置設計を実施し、最終的に住民が明瞭に放送を聴取できるように調整を行うといった「前工程」を重視した総合提案を可能としているのも、同社の優れた商品力とエンジニアリング力、そして「届けるのは機器ではなく、音」という理念であり、これがユーザーからの信頼感や満足度の向上に繋がっている。
(2)専業メーカーとしてのラインアップの幅広さと地域密着型営業体制
同社の取扱製品ラインアップは、単品のマイク、スピーカー、メガホンから、会議システム、非常用放送設備、防災行政無線システムなど、「音」に関する機材・システムを幅広くカバーしている。
専業メーカーとしてのラインアップの広さは顧客のあらゆるニーズに対応し、課題解決のソリューションを提供できるという点で同社の強力な競争優位性となっている。
また、全国に広がる営業拠点をベースに、地域密着で機動的な営業活動を展開していることから、顧客との結びつきも強く、安定的な高シェア維持に繋がっている。
【1-6 ROE分析・配当政策など】
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数期前8%近辺にあったROEは足元低下しているが、これは今後の成長に向けた研究開発や人材の獲得など積極的な投資を行っていることが要因。会社側は資本効率の重要性を認識しつつも、現在は売上および利益の絶対額を増大させることが企業価値向上に繋がると考えている。
配当については、持続的な成長を可能とする内部留保とのバランスを勘案しながら、最低額を20円/株とした安定配当をベースに連結配当性向35%を目安とした業績連動配当を実施することを基本方針としている。
内部留保資金の使途については、長期的に安定した経営基盤の確保と積極的な研究開発投資のバランスを考慮して決定する。競争力向上と財務体質強化を通じて企業価値向上に努める方針だ。
【1-7 ESGへの取り組み】
<E:環境>
「TOAの環境理念」を元に、全社をあげ環境保全へ取り組んでいる。
後述するビジネス創造の新たな拠点「ナレッジスクエア」においても、自然光を活用した照明設備や断熱対策による冷暖房の効率化、ソーラーパネルの活用や雨水の再利用等、地球環境保全に配慮した設備を導入する予定である。
<S:社会>
事業活動において社会の安全・安心に貢献し、社会貢献活動で、防災士養成の支援や、子ども達の減災・防災意識の向上に寄与する。
2018年3月期より労使協調による働き方改革プロジェクトを発足させ活動をスタートさせた。今期からスタートした中期経営基本計画においても、引き続き「多様性を力に変えるチームプレイ」や「無駄の徹底的な削減」などをテーマに、より働きやすい、働きがいのある職場環境づくりを推進する。
<G:ガバナンス>
2015年6月に独立社外取締役を選任。18年6月には社外取締役をさらに1名招聘し、複数体制とした。
機関投資家、個人投資家、証券アナリストとの対話を充実させる。
自己株式の取得・消却や株式報酬制度など自己株式の活用を検討している。