【中長期成長に向けた戦略】
(1) |
半導体等装置関連事業への経営資源投入 |
マテリアル製品・ウェーハ製品・洗浄事業 |
(2) |
太陽電池関連事業の構造改革 |
半導体業界向けに転換した今後の方針 |
(3) |
自動車産業(EV車)へ応用製品投入 |
温調シート以外のアプリケーションへ注力 |
上記の方針に大きな変更はなく、旺盛な需要のある分野に対して設備投資を継続していく。
【進捗状況】
(1)半導体等装置関連事業への経営資源投入 マテリアル製品・ウェーハ製品・洗浄事業
SEMI(国際半導体製造装置材料協会)のデータを基にした同社資料によると、2019年の中国半導体製造装置市場は173億ドルと前年比47%の成長が見込まれ、世界最大規模となる見込み。同社では、米中貿易摩擦の懸念はあるも、国内生産の増加と自給率の上昇により、需要は堅調と見ており、半導体マテリアル製品の増産体制の整備、半導体ウェーハの増産及び大口径化の体制整備、更には洗浄ビジネスの拡大に取り組んでいる。
半導体マテリアルの増産体制の整備
中国において、下記8工場の新設による生産キャパ拡大に取り組んでいる。8工場は、2018年後半から2019年春にかけて竣工・稼働し、20/3期の業績にフルに寄与する予定。

マテリアル製品と企業の設備投資の関連性
半導体マテリアル製品は設備投資に比例する製品と消耗材に分かれるが、同社は設備投資に比例する製品と消耗材を共にカバーしており、消耗材の増産体制整備に力を入れている。このため、設備投資の減少期であっても消耗材の下支えにより一定の収益を確保できる。今後、消耗材の増産体制の整備が進めば、設備投資関連需要が落ち込んでも、事業を伸ばせる体制が整う。
半導体ウェーハ戦略:中国への大規模投資
中国半導体市場の拡大を見据え、ウェーハ工場の建設を進める。8インチ、12インチ合わせて約670億円の大規模設備投資を計画している。具体的には、8インチウェーハでは、約510億円(うち240億円は19/3期に実施)を投じ、銀川市工場でのインゴット製造ラインと杭州市工場でのウェーハ加工ラインを整備する。12インチウェーハについても、銀川市工場でのインゴット製造ラインと杭州市工場でのウェーハ加工ラインの整備を進める考えで、投資額は約160億円を計画している(資金調達については決まり次第、開示する予定)。杭州市工場は建屋が2019年1月に完成し、2~3月頃の竣工を予定しており、銀川市工場は2019年 3月頃の竣工を予定している。また、8インチウェーハの量産が再開した上海工場では、評価が完遂し10月に8万枚体制となった。早期に同10万枚体制を確立したい考え。
投資後の生産能力イメージ
小口径(5-6インチ) |
月産 40万枚(稼働中) |
中口径(8インチ) |
同 10万枚(稼働中) |
中口径(第2期) |
同 35万枚(工場建屋年明け、設備投入19年から) |
大口径(12インチ) |
パイロットライン 同3万枚(20年以降の予定) |
販売戦略
製造したウェーハは提携先であり、世界第三位の半導体ウェーハメーカーであるGlobal Wafers Corporation社より世界各国で販売していく。また、ウェーハ設備償却費の軽減も念頭に、同社の製品(真空シールや石英坩堝)を使い内製している単結晶シリコン引上装置の外販を開始する他、石英坩堝の販売等にも力を入れる。将来的にではあるが、12インチインゴット引上装置の販売も視野に入れている。
洗浄ビジネスの拡大
半導体やFPDメーカー顧客からの装置部品洗浄の能力増強要請を受けて工場建設を進めている。四川省内江第2工場が2018年末に稼働を開始する予定であり、2019年1月には安徽省に建設中の工場が竣工する予定。主要エリアに工場を展開しているものの、工場を分散し事業リスクの低減を図っている。
(2)太陽電池関連事業の構造改革 来期中に太陽電池事業から撤退し、半導体向けに注力
来期中に太陽電池事業から完全撤退する考え。当面は、自社販売から撤退するものの、OEM先との協議が必要なため、太陽電池用シリコン製品とセル製品のOEMは継続する。これに伴い、OEM用途以外の設備は、半導体Siパーツ構造材用に転用する。
(3)自動車産業(EV車)へ応用製品投入
同社のコア技術を使った製品は車載製品に幅広く対応できる。この強みを活かして、サーモモジュール、磁性流体、パワー半導体基板を中心に、車載部品メーカーへの提案営業を行っている。
温調シート以外のアプリケーション強化によるサーモモジュールの拡販
5G・通信機器分野の強化、バイオ・医療等への対応領域の拡大、及び半導体用クーリングプレートの開発等、温調シート以外のアプリケーションを強化し、サーモモジュールの拡販を図る。
パワー半導体基板によるEV車・産業用市場の取込み
同社資料によると、2016年に2兆4,239億円だったパワー半導体市場は、工作機械や自動車分野での需要も加わり、当面、30%超の成長が続く見込みで、2025年には3兆1,799億円に拡大するとみられている。同社はパワー半導体基板工場(江蘇省東台)を7月に竣工させ、生産能力を約3倍に引き上げた。パワー半導体基板でEV車市場や産業用市場を開拓していく考え。