「社業の発展を通じ社会に貢献する。これを我社の信条とする。」を企業理念に、機械総合商社として、電力、化学・エネルギー、産業機械、素材・計測分野の機械設備や機器等の販売およびサービスの提供を行っている。
現場密着の営業力、各事業における専門性の高さ、国内外70拠点に上る広範なネットワークの3つが特長及び強み。
【1-1 沿革】
太平洋戦争終戦後の1947年7月、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサーの覚書により旧三菱商事株式会社が解体を命ぜられると同時に、同年10月、初代社長中林恒治氏ら同社門司支店機械部門関係者が中核となり福岡県門司市(現・福岡県北九州市門司区)に西華産業株式会社を設立。
「商道の精華:商いの本質を極める。自分も儲けるが、相手にも便宜を与える。」、「西の花形:西日本の花形企業を目指す。」、「華:将来、対中国貿易が盛んになるときに役立つかもしれない。」の3つが社名の由来である。
東京、大阪を含む国内各地に支店を開設した後、1954年10月には当時日本人が数名しか在住していなかったドイツ(旧西ドイツ)・デュッセルドルフに海外事務所を開設するなど、積極的な事業展開を行い、1961年10月には東証1部に上場した。
その後も、西日本を中心とした営業基盤の強化と、米国、欧州、アジア各地への拠点展開により機械総合商社として発展してきた。
設立70周年にあたる2017年、2027年に向けた長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」および2017年4月開始の3カ年計画「中期経営計画CS2020」を策定、推進中である。
【1-2 企業理念】
以下のような企業理念及び行動規範を掲げている。
【1-3 事業内容】
(1)事業セグメント
機械総合商社として、電力、化学・エネルギー、産業機械、素材・計測分野の機械設備や機器、附帯製品の販売およびサービスの提供を行っている。
報告セグメントは、「電力事業」、「化学・エネルギー事業」、「産業機械事業」、「素材・計測事業」、「グローバル事業」の5セグメント。
① 電力事業
関西電力、九州電力、中国電力、四国電力、電源開発の電力会社および、和歌山共同火力を含めた共同電力会社など、西日本以西の電力会社を顧客とし、ボイラー、ガスタービンなどの事業用発電設備、排水や排ガスを処理する環境保全設備、原子力発電所向けにセキュリティ設備や消火設備などの防犯・防災設備などを販売している。
仕入先は、三菱重工業と日立製作所の合弁会社である三菱日立パワーシステムズ(MHPS)などであり、西華産業は、MHPSの火力発電設備の販売代理権を有している。
② 化学・エネルギー事業
化学会社、石油会社、製紙会社、鉄鋼会社、鉄道会社向けにボイラー、タービンなどの自家用発電設備、排水や排ガスを処理する環境保全設備などを電力事業と同じくMHPSなどから仕入れて販売している。
また、化学製品等のプロセス用製造設備を国内メーカーから仕入れて販売している。
③ 産業機械事業
幅広い産業分野の顧客に対して、国内メーカー製の繊維設備、食品加工設備、醸造設備、各種プラント設備、液晶関連設備、環境関連設備、無停電電源装置(UPS)などを販売するほか、メンテナンスも提供している。
また、直近では中国におけるEV(電気自動車)向けリチウムイオン電池用関連設備の販売が大きく増加している。
④ 素材・計測事業
国内電機メーカーを主要顧客として、電子機器用プリント基板製造関連装置などを販売しているほか、官公庁や研究機関向けに、レーザー計測機器や細孔径測定装置など先端技術を駆使した計測機器を納入している。また、産業機械向けの環境保全用計測装置や、水処理関係装置など幅広く扱っている。
海外メーカーからの仕入れが中心。
⑤ グローバル事業
(欧州)
車載関係の顧客に産業用ロボットを販売しているほか、工事などで使用される水中ポンプの販売及び、レンタルも行っている。
いずれも仕入先は日本メーカーが中心。
(北米)
日系自動車関係の顧客に日本メーカー製のエレクトロニクス基板実装関連機器を販売している。
(アジア)
繊維、化学、その他一般産業向けに日本メーカー製の機械設備を販売しているほか、繊維メーカーに対し繊維原材料を海外で調達し販売している。
(2)地域別売上高
国内売上が8割以上を占めるが、中期経営計画CS2020において全体戦略の一つとして、グローバル戦略の加速を掲げており、海外売上高比率の拡大を目指している。
2018年3月期地域別売上構成
【1-4 特長と強み】
(1)現場に近い営業力、
70年の歴史の中で培われてきた現場に近い営業力が同社最大の強み。
きめ細かい対応で、人脈を形成し、信頼関係を構築することが安定的な受注獲得に繋がっている。
(2)各事業における専門性の高さ
商社中抜き論なども言われるが、同社は豊富な情報収集力と、顧客の先を行く提案力など、高度な専門性を有する必要不可欠なビジネスパートナーと評価されている。
(3)国内外70拠点に上る広範なネットワーク
10年前には30拠点程度であったが、グローバル化を見据え、ヨーロッパおよび東南アジアを中心に急速に拠点を拡大させてきた。
情報のスピード、網羅性はさらに高まっており、有効に活用することで存在価値を更に高めていきたいと考えている。
(4)社員教育・営業力強化施策
社員の育成・強化はOJTが中心で、先輩社員や上司が必要な基本動作を重点的に教育しており、また、各種階層別研修や海外研修制度にも力を入れている。
加えて、最近はメーカーや顧客のOBにコンサルティングおよび営業現場の支援を依頼している。
各種アドバイスは同社の専門性を更に高め、更なる営業力強化に繋がっている。
【1-5 ROE分析】

伊藤レポート等で一般的に日本企業に要求される8%水準を安定的に維持するには至っていない。
レバレッジは比較的高水準であるため、利益率の向上を期待したい。
【1-6 ESGへの取り組み】
<E:環境>
環境方針として「地球環境の保全と向上に努め、持続可能な社会の実現に貢献する」という基本理念を掲げている。その一環として、2005年にISO14001を取得しており、環境配慮型商品の拡販に努めている。
同社が取り扱う環境配慮型商品は、ボイラーおよび焼却炉用排ガス処理設備や、化学・半導体工場向け有機溶剤回収装置など多岐に亘り、下記のように2018年3月期の受注実績は約760億円。
引き続き、単なる社会貢献という観点のみでなく事業活動を通じて地球環境の保全に寄与する考えだ。
<S:社会責任>
「社会責任」として、以下のような働き方改革に取り組んでいる。
「女性の活躍推進」
● 女性総合職採用の強化
● 女性社員のキャリア形成支援
● 女性管理職の登用
「従業員の健康促進」
● プレミアムフライデー制度の導入(取得率21%)
● 有給休暇の取得推進
● 健康診断におけるがん検診(腫瘍マーカーオプション)費用の会社負担
● インフルエンザ予防接種費用の会社負担
「人材育成」
● 各種階層別研修
● 海外研修派遣制度
<G:ガバナンス>
コーポレートガバナンス・コード全項目に対する取り組みをホームページで開示している。
「取締役会の実効性評価」を行うと共に、任意の仕組みとして社外取締役および社外監査役で構成される「指名審査委員会」を取締役会のもとに設置した。
また、招集通知の一部英訳や、ファクトブック作成による英語での情報提供にも取り組んだ。
持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために引き続きコーポレート・ガバナンスの充実を図ると共に、健全で透明性の高い経営体制を追求する。
【1-7 株主還元】
株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとしており、安定的な配当を基本方針としている。
営業・財務両面の効率的な業務運営により、経営基盤の強化を図るとともに、新しい事業の開発等の資金需要に対応しながら、連結配当性向35%を目途としている。
2019年3月期は、中間25円、期末30円の合計55円/株を予定しており、予想配当性向は31.6%。
配当方針および通期の業績等を総合的に勘案して積極的に株主還元に取り組む。
