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(3223) 株式会社エスエルディー

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ブリッジレポート:(3223)エスエルディー vol.5

(3223:JASDAQ) エスエルディー 企業HP
伴 直樹 社長CEO
伴 直樹 社長CEO

【ブリッジレポート vol.5】2019年2月期第2四半期業績レポート
取材概要「BPRの成果でコスト削減が進んでいる事とコンテンツ企画サービス事業の好調で、3期ぶりの営業黒字が見えてきた。コンテンツ企画サービス事業は・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年12月19日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社エスエルディー
社長CEO
伴 直樹
所在地
東京都渋谷区神南1-20-2 第一清水ビル
決算期
2月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 5,076 -114 -118 -531
2017年3月 5,505 -58 -41 -171
2016年3月 5,272 105 130 12
2015年3月 4,527 203 204 116
2014年3月 3,895 131 148 94
株式情報(12/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,103円 1,389,735株 1,533百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% 0.35円 3,151.4倍 135.24円 8.2倍
※株価は12/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
エスエルディーの2019年2月期上期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
主に飲食店舗の運営等を通したカルチャーコンテンツ提供事業を手掛けている。企業理念は、“To Entertainment People~より多くの人々を楽しませるために~“。「音楽」、「アート」、「食」等、様々なカルチャーコンテンツを企画・融合させ、 「楽しみに溢れた豊かなライフスタイルをより多くの人々に提案する」というミッションの下、事業を展開している。
 
【事業内容】
事業セグメントは、飲食サービスとコンテンツ企画サービスに分かれ、売上高の90%以上を占める飲食サービス事業を安定収益源、コンテンツ企画サービスを成長ドライバーと位置付けている。
 
飲食サービス事業
物件の立地及び空間特性に合わせた様々なブランド(業態)を開発し、直営店舗を展開している。場所を活かすべく立地特性に応じた店舗開発を進めているため多様なブランドを有するが、特に喫茶や食事に加え、夜は飲酒も楽しむ事ができるカフェ&ダイニング業態を得意とし、首都圏を始めとする全国の主要都市に集中出店。ドミナント戦略による経営資源の集中投下で店舗管理コストを削減する一方、立地特性に応じた和風、イタリアンテイスト、ニューヨークスタイル等、多様なブランドを展開する事でカニバリゼーションを回避している。
 
コンテンツ企画サービス事業
同社直営店と有力IPとの連携によるコラボカフェ、店舗の企画から運営までを手掛け有力IP所有者の店舗展開を支援するプロデュース、イベントでの飲食ブース出店等を手掛けている。同社独自の企画力や店舗運営力が評価され、ポケモン等、強力なIP(知的財産)コンテンツを使った案件の持ち込みが増加している。

プロデュースでは、(株)カプコンの直営キャラクターカフェ「カプコンカフェ」、(株)ユーグレナ直営の「euglena GARDEN」、JA全農福岡の直営店「みのりカフェ」、(株)ポケモンのオフィシャルショップ「ポケモンセンタートウキョーDX(ディーエックス)&ポケモンカフェ」に常設するポケモンカフェ等で実績を有する(現在も運営中)。また、イベントでは、横浜赤レンガ倉庫におけるイベントでの飲食ブース出店が2012年から続いている。
 
 
2019年2月期上期決算
 
【会計方針の変更】
・協賛金収入の計上区分の変更
18/3期までは営業外収益として計上していた協賛金収入を、19/2期以降、仕入控除項目として売上原価に計上する。
・労務費及び経費の計上区分の変更
18/3期までは売上原価に計上していた労務費及び経費を、19/2期以降、販売費及び一般管理費(販管費)に計上する。
 
 
前年同期比6.1%の減収ながら、営業損失が縮小
売上高は前年同期比6.1%減の24億62百万円。同社がプロデュースしたポケモンカフェの好調(来店者数が10万人を突破)やプロデュースに伴う食材等の卸販売の増加でコンテンツ企画サービス事業の売上が3億23百万円と同2.2倍に拡大したものの、戦略的退店等で収益力強化に取り組んだ飲食サービス事業の売上が21億39百万円と同13.5%減少した。

利益面では、卸販売の増加による原価率の上昇(24.0%→26.8%)もあり、売上総利益が18億03百万円と同9.5%減少したものの、主に店舗の戦略的撤退による人件費、経費等の減少、BPR効果による本部人件費、本社関連費用等の減少で販管費が18億64百万円と同10.2%減少し、営業損益が改善。固定資産除却損15百万円を特別損失に計上したものの、特別利益に商業施設側都合による退店に伴う受取補償金等64百万円を計上したため、最終損失は14百万円にとどまった。特別損失は、本社ビルの一部フロアを、全国でシェアオフィス事業を手掛ける(株)ツクルバが運営する会員制シェアードワークプレイスとして活用した事に伴うもので、この施策が販管費の削減に寄与した。
 
 
 
 
飲食サービス事業
上期末の店舗数は前年同期末との比較で12店舗減の53店舗。上期は業績不振店舗9店舗と入居施設がリニューアルされる2店舗の計11店舗で退店を行った。既存店売上高は前年同期比94.0%(客数同94.5%、客単価同99.4%)だが、人材リソース等を鑑みて営業時間を制限した店舗(5店舗)の影響を除くと同95.9%(同96.3%、同99.6%)。天候要因で7月に大きく落ち込んだが、店舗集客力の強化と再来店の促進、及びDDホールディングスとのシナジー追求といった取り組みの成果が顕在化しつつあり、足元では回復傾向。また、営業制限店舗5店舗も既に営業制限が解除されている。

上記の結果、売上高は21億39百万円と前年同期との比較で3億34百万円減少した。内訳は、既存店舗(48店舗)の売上の減少72百万円、退店の影響(12店舗)1億91百万円、営業制限(5店舗)の影響70百万円。本社費(※)配賦前営業利益は1億81百万円と同35百万円減少した。退店が32百万円の損益改善要因となったものの、既存店減収の影響51百万円や営業制限の影響16百万円を吸収できなかった。
(※)本社費とは、販売費及び一般管理費から店舗(運営受託店舗を含む)労務費及び経費を除いた金額
 
 
上期の主な営業施策
店舗集客力の強化と再来店の促進に取り組むと共に、DDホールディングスとのシナジーを追求した。店舗集客力の強化では、予約客とウォークイン客の両面から施策を実施した。予約客向けでは、マーケットに応じた価格の設定や飲み放題時間の変更等で訴求力を強化した。施策を実施した店舗ではディナー帯の予約客数が顕著に増加し(次項グラフ参照)、10月以降も好調が続いている。また、ウォークイン客向けでは、エントランスデザインを改装した。これまでは、黒板を使っていた店頭のメインメニュー表示をLED化する等、立地特性も考慮して、明るく入りやすい店づくりを念頭に工夫を凝らした。
再来店の促進では、顧客満足度の向上につなげるべく、店舗QSCA(Quality、Service、Cleanliness、Atmosphere)の強化に取り組んでおり、覆面調査も取り入れて徹底している。
DDホールディングスとのシナジーの追求では、9月20日にDDホールディングスが提供する「DD POINT」会員サービスの適用を直営50店舗で開始した他、店舗スタッフの採用にDDホールディングスのノウハウを活かしている。2019年11月より、直営店舗53店舗及び運営受託4店舗(2018年10月末現在)の購買物流システムを、DDホールディングスの同システムに統合する他、新卒のグループ採用も進めていく考え。システムの統合では、直営425店舗(同)を展開するDDホールディングスのスケールメリットを活かす事で購買物流の効率化とコスト削減につなげる考え。
 
 
コンテンツ企画サービス事業
毎夏恒例の自社主催野外音楽イベントや赤レンガイベントへの出店が悪天候の影響を受けたものの、2018年3月に開業した(株)ポケモンのオフィシャルショップ「ポケモンセンタートウキョーDX&ポケモンカフェ」に係るカフェ店舗運営の好調等で売上高が3億23百万円と前年同期との比較で1億74百万円増加した。具体的には、食材の卸販売を含むカフェ店舗運営でプロデュースの売上が1億87百万円増加し、イベント売上の減少4百万円及び前年同期のスポットの大型案件の反動減8百万円を吸収した。
営業利益は36百万円と同21百万円の増加。イベントの利益が6百万円減少したものの、プロデュースの利益が16百万円増加した他、料理動画配信サービスの停止に伴う運用費の減少でその他の損益が10百万円改善した。
 
 
プロデュース
ポケモンの世界観を体験できるポケモンカフェは、オープン6カ月で来店者数が10万人を突破し、足元の平均予約率も約95%を維持している。目的来店のため、食事だけでなく、物販を組み合わせた対応が可能なため収益性が高い。上期のコンテンツ企画サービス事業の営業利益率は11.3%だが、食材の卸販売物販の影響(売上高・売上原価共に1億円)を除くと営業利益率は16%程度になる。既存案件も同様に高い収益性を維持している。
期間限定のコラボカフェ案件では、「名探偵コナンカフェ2018」と「OUR BOOK CAFE」を手掛けた。「名探偵コナンカフェ2018」は劇場版名探偵コナンシリーズ第22作目の「名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)」の公開に合わせたコラボカフェ案件。4月から5月にかけて、kawara CAFE&KITCHEN 名古屋PARCO店、Cafe&Dining ballo ballo 横浜店、atari CAFE&DINING 新静岡セノバ店、CAFE&KITCHEN ROCOCO 博多大丸福岡天神店の4店舗で運営した。一方、「OUR BOOK CAFE」は日本メジャーデビューをした韓国出身のロックバンド「CNBLUE」の初のジャパン・ベストアルバム「Best of CNBLUE/OUR BOOK[2011-2018]」の発売を記念したコラボカフェ案件。8月から9月にかけて、kawara CAFE&DINING 新宿靖国通り店、kawara CAFE&KITCHEN 名古屋PARCO店、#702 CAFE&DINER なんばパークス店、FOOD COURT +plus 天神コアの4店舗で運営した。
上記と並行して、新規コンテンツとのコラボレーションの取り組みも進めた。

イベント
自社主催野外音楽イベント「夏びらき」は、2018年7月豪雨の影響で売上高は前期比5百万円減少したものの、営業利益は前期比1百万円増加した。一方、横浜赤レンガ倉庫夏期イベントへの出店では、記録的猛暑の影響で売上高・営業利益共に前期比4百万円減少した。
 
 
上期末の総資産は前期末と同水準(17百万円増)の15億65百万円。長期借入金(1億08百万円)を返済する一方、DDホールディングスからの資金調達(2億円)で短期借入金が増加した。自己資本比率12.0%(前期末12.9%)。
 
 
新規出店を抑制する中、敷金・保証金の回収が進み投資CFが黒字となり、営業CFによる資金減少をカバーした。
 
 
2019年2月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、売上高43億02百万円、営業利益17百万円
会社側では取り組みの成果に手応えを感じているものの、最繁忙期である年末・年始を控えている事もあり、通期の業績予想を据え置いた。BPR効果に加え、11ヶ月決算という事もあり、人件費や本社関連費用を中心に販管費が減少し17百万円の営業利益を確保できる見込み。

下期も、引き続き飲食サービス事業の立て直し、コンテンツ企画サービス事業の拡大、及びBPRによる本社機能及び営業管理機能の改善・強化に取り組んでいく。飲食サービス事業の立て直しでは、業態の集約やリブランディングで店舗集客力を強化すると共に、再来店につなげるべくCSの向上に取り組む。また、ESの向上にも取り組み、離職率の低減を図る。一方、コンテンツ企画サービス事業の拡大では、ポケモンカフェの継続運営に加え、優良なコラボカフェの獲得に注力する。また、イベントの受注拡大と収益性改善に取り組む。
 
 
今後の注目点
BPRの成果でコスト削減が進んでいる事とコンテンツ企画サービス事業の好調で、3期ぶりの営業黒字が見えてきた。コンテンツ企画サービス事業は、美味しさに加え、ライセンサーのキャラクターを正確に再現できるメニュー開発力と全国における複数の店舗で同時運営が可能なオペレーション力を強みに、プロデュースの依頼が増えているようだ。優良なコラボカフェの獲得やイベントの受注拡大等で来期以降の事業拡大に向けた布石を打てるかどうか、が下期の注目点。飲食サービス事業は、コスト削減で成果があがっているため徐々に売上の拡大に軸足を移していく事になるが、先ずは既存店売上高を安定させる必要がある。9月には前年同月並みの水準に回復しており、下期の推移が注目される。下期も両事業で成果をあげる事ができれば、成長軌道への回帰に向け明るさが増してくる。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2018年10月10日
基本的な考え方
当社は、継続的な企業価値の向上にはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると考え、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に努めております。株主やその他ステークホルダーと良好な関係を築き、社会のニーズに合った事業活動を行うことで長期的な成長を遂げていくことが出来ると考えております。そのために、当社では、企業活動の健全性、透明性及び客観性を確保するために適時適切な情報開示を実施し、また、経営監督機能を強化する体制作りに積極的に取り組んでおります。
コーポレート・ガバナンスについての重点課題と致しましては、

1.株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行い、株主がその権利を適切に行使することができる環境を整備すること
2.会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出の為、様々なステークホルダーとの適切な協働に努めること
3.財務情報、経営戦略・経営課題、その他非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行い、かつ法令に基づく開示以外の情報提供にも取り組むこと
4.取締役会は、1)企業戦略等の大きな方向性を示し、2)経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行い、3) 独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行い、その責務・役割を適切に果たすこと
5.持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うことを第一義と捉え、常にこれら重点課題を念頭においた体制の整備を行っております。

なお、当社では、今後の事業拡大に伴って組織規模拡充が想定されるため、コーポレート・ガバナンス体制については随時見直しを実施し、また、積極的に取り組んでまいります。
 
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を実施しております。