ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.62

 

舩越 真樹 社長

株式会社 インフォメーション・ディベロプメント(4709)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

舩越 真樹

所在地

東京都千代田区 五番町 12-1 番町会館

決算月

3月

HP

https://www.idnet.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,548円

11,002,594株

17,032百万円

8.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

40.00円

2.6%

70.91円

21.8倍

689.74円

2.2倍

*株価は8/1終値。発行済株式数は前期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2015年3月(実)

18,868

966

998

508

47.37

20.00

2016年3月(実)

20,082

970

964

548

50.73

23.33

2017年3月(実)

21,554

1,105

1,133

654

60.13

37.00

2018年3月(実)

23,207

1,254

1,274

622

56.84

40.00

2019年3月(予)

26,300

1,480

1,500

780

70.91

40.00

(単位:百万円、円)
*予想は会社予想。
*当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益
*2017年1月1日付で1:1.5の株式分割を実施。DPSとEPSは2015年3月期まで遡及して再計算。

 

インフォメーション・ディベロプメントの2019年3月期第1四半期決算概要等についてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期第1四半期決算概要
3.2019年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19/3期第1四半期の売上高は前年同期比23.9%増の66億34百万年円。システム運営管理事業において前期買収した子会社の寄与があったことやソフトウエア開発事業において公共系の大型プロジェクトを受注したことなどが寄与した。営業利益は同240.7%増の3億96百万円。子会社買収の寄与に加え、プロジェクト管理の強化による生産性向上や不採算案件の発生防止の取り組みが収益性向上に貢献した。

     

  • 第1四半期を終え、19/3期の会社計画は期初予想から修正なし。売上高は前期比13.3%増の263億円、営業利益は同17.9%増の14億80百万円の見込み。引き続き顧客のIT投資が拡大する見込みであることに加え、買収した子会社の寄与によりシステム運営管理中心に売上高が増加する見込み。利益については、増収にともなう増加にくわえ、営業努力や、生産性向上に向けた施策により、営業増益を見込んでいる。1株当たりの配当も、前期と同額の期末40円の予想を据え置き。

     

  • 同社の19/3期第1四半期決算は、前期に買収した株式会社フェスの連結化によるプラス寄与があったものの、それに加え、プロジェクト管理の強化による生産性向上や不採算案件の発生防止の取り組みが収益性向上に結び付き、過去の第1四半期の中でも高水準の売上高と営業利益となった。前上期の不採算プロジェクトを受けて強化された対応策が着実に成果に結びついている。続く第2四半期も不採算案件の発生を防止し、収益性を高めていけるのか再発予防策の効果が注目される。

     

     

1.会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社。システム運営管理とソフトウエア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場した。

 

【事業セグメント】

事業は、システム運営管理、ソフトウェア開発・保守、及びその他に分かれ、各事業の概要と売上構成比は次の通り。

 

システム運営管理  (18/3期売上構成比58.6%)
1,600名規模の技術者を擁する専門部隊が、ミドルウェアのカスタマイズからハードウェアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。金融機関をはじめ、情報、通信、製造など、さまざまな業種に対応し、長年にわたる顧客からの高い信頼を獲得している。

 

ソフトウェア開発・保守  (18/3期売上構成比36.6%)
500名を超える技術者が、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。グループ内にオフショア(海外子会社に委託開発)、ニアショア(地方事業所での開発)体制を構築しており、多数の高度な専門技術者が高品質なサービスを実現し、金融機関、エネルギー、運輸をはじめとする幅広い分野の顧客へ、多くの開発実績を築いている。

 

その他  (18/3期売上構成比4.8%)
BPO、セキュリティ、コンサルティングなどを展開している。海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。

 

 

また、顧客別の18/3期売上構成比は、メガバンク、有力地銀、生損保、農林系等の金融機関が48.9%、SIer、情報通信機器ベンダー、或いは通信キャリア系情報サービス大手等の情報・通信・サービスが31.8%、製造、輸送、公共団体、エネルギー等のその他が19.3%。

 

 

その他、契約形態別の18/3期売上構成比は、金融機関、エネルギー、運輸、製造等の直接契約が75.7%、大手ベンダーの戦略パートナーが24.3%と直接契約の比率が高い。

 

【IDグループ】

現在の国内外の連結子会社は7社。このうち国内(3社)は、情報システム・コンサルティング等の(株)プライド(出資比率92.7%)、システムマネジメントサービスやITSMコンサルを手掛ける(株)フェス、障がい者雇用を促進するための特定子会社愛ファクトリー(株)(同100%)。一方、海外(4社)は、中国でソフトウエア開発、システム運営管理等を手掛ける艾迪系統開発(武漢)有限公司(同100%、ID武漢)、シンガポールでシステム運用コンサルティングやセキュリティサービス等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT SINGAPORE PTE. LTD.(同100%、IDシンガポール)、及びアメリカで人財採用・育成、現地市場調査・情報収集、ソフトウェア開発等を手掛けるINFORMATION DEVELOPMENT AMERICA INC. (同100%、IDアメリカ)。
このほか、2016年5月には、ミャンマーでITトレーニングアカデミーの運営等を行うIDM INFORMATION DEVELOPMENT MYANMAR CO., LTD. (ID83.9%、IDシンガポール出資比率16.1%)を子会社化。同月、欧州におけるパートナー候補(資本提携、業務提携先)の調査や、金融機関の運用管理ビジネスに関わる情報収集、有望なコンテンツの発掘を目的として、アムステルダムに駐在員事務所を設立した。

(同社説明会資料より)

 

【IDグループのサービスの特徴  - i-Bos24®(ID’s Business Operations-Outsourcing Service 24) -】
同社は、コンサルティングからソフトウエア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ、BPOまで、トータルなITアウトソーシングサービス「i-Bos24®」を提供している。

(同社HPより)

 

【情報サービス業の動向】

(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」を基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

内閣府が6月8日に発表した18年1-3月の国内総生産(GDP、季節調整済み)2次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減(年率換算で0.6%減)と、5月16日公表の1次速報値から修正はなかった。9四半期ぶりにマイナス成長となったものの個人消費が生鮮食品の値上がりや寒波の影響により弱含んだ一時的な要因とみられており、4-6月は回復傾向に転じるとの予想が多い。また、情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)は前期比+0.3%と、1次速報値の前期比-0.1%から上方修正され、6四半期連続のプラスと回復基調が継続している。
更に、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(18年7月18日発表。5月分確報値)によると、5月の受注ソフトウエア売上高は前年同月比での減少が縮小となった他、情報サービス産業売上高がプラスに転じ、システム等管理運営受託売上高は増加基調を継続している。

 

【中期経営計画「I-vision50」】

1.概要
同社グループでは、2016年4月に策定した中期経営計画「I-vision 50」(2017年3月期~2019年3月期)のもと、「より高い品質のサービスをより早くお客さまに」を経営ビジョンに掲げ、各種施策に取り組んでいる。
「I-vision 50」は、3つの基本方針(「徹底した業務プロセスの改革(BPR)」「新たな成長分野の構築」「グループのガバナンス強化」)と、7つの重点施策(①構造改革、②働き方改革、③新技術の利活用推進、④ダイバーシティの推進、⑤グローバルの推進、⑥連結経営のガバナンス強化、⑦BOO戦略の推進) から成り、向上した収益を社員の賃金増に繋げることで、より高い業績目標へチャレンジする好循環を生み出し、社員以外のステークホルダーに対しても、公正な還元を可能とする環境を整えることを目指している。
最終年度である2019年3月期の数値目標は、売上高240億円、営業利益16.8億円であったが、4月27日に、売上高263億円、営業利益14.8億円に修正された。売上高目標の増額は買収した子会社の寄与が大きく、営業利益目標の減額は外注単価や人件費の上昇などが影響している。

 

 

17/3期 実績

18/3期 実績

19/3期 目標(修正後)

19/3期 目標(修正前)

売上高

21,554

23,207

26,300

24,000

営業利益

1,105

1,254

1,480

1,680

売上高営業利益率

5.1%

5.4%

5.6%

7.0%

(単位:百万円)

 

2.重点施策と今期における取組状況  ※下記の〔〕内は、該当の重点施策の番号と対応
①働き方改革
生産性向上、および優秀な人財確保のため、ワークライフバランスを重視し、魅力ある職場づくりを通じた「働き方改革」に全社をあげて取り組んでいる。(同社は、社員が会社の重要な財産の1つであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記している。)
・鳥取県男女共同参画推進企業に認定(山陰支店)〔①,④〕
・「輝く女性活躍パワーアップ企業」に登録認定(山陰支店)〔①,④〕

 

②構造改革
過去の慣習にとらわれず仕事のやり方を抜本的に変革し、新たな業務プロセスの創造を進める。また権限委譲、ITシステム化を進めることで、組織全体の生産性向上を図る。
・全社公募での業務改革・改善活動の実施〔①,②〕
・「人財の見える化委員会」を設置し、社員の能力やスキル、経験やキャリアパスを可視化〔②,④〕

 

③新技術の利活用推進
既存サービスの競争力強化、生産性および品質向上のため、新技術の取り込みを積極的に進めている。これらの取り組みにより社員のパワーアップ、およびグループの総合力の結集を実現する。
・RPAやAI、IoTなどの新技術の利活用を推進する「先端技術室」を新設〔③〕

 

④ダイバーシティの推進
グローバル戦略を確実に推進していくための人財育成、および人財の多様化を通じて、変化し続けるビジネス環境への対応力強化や組織の活性化を図っている。
・女性管理職比率 12.3%〔④〕
・社員に占める外国籍社員の割合 9.1%〔④,⑤〕

 

⑤グローバルの推進
日本企業の海外展開への対応、およびグローバル競争力強化のため、積極的に海外展開を進めている。より高い品質の商品やサービスを海外に向けて打ち出し、8つの海外拠点を通じて24時間365日体制でのサポートを提供する。
・艾迪系統開発(武漢)有限公司:2017-2018年度中国ソフトウエア業界と情報サービス業界における「最も影響力 ある企業賞」を受賞〔⑤〕

 

⑥連結経営のガバナンス強化
国内外あわせて12拠点間との密なコミュニケーションにより、それぞれのソリューションを結集し、企業価値最大化を図っている。各拠点が持つ人財やノウハウ、営業状況などを含めた、経営情報をスピーディに把握し、グループ全体で顧客の課題解決に努める。
・株式会社フェス:事業シナジーの追求と管理機能集約による業務効率化のため親会社の本社に移転〔⑥〕

 

⑦BOO戦略の推進
同社のサービス内容は、システム運営管理、ソフトウエア開発、クラウド・セキュリティ、BPO、コンサルティングと多岐にわたる。BOO戦略とは、一つの顧客に対して幅広いサービスを提供することであり、同社の様々なサービスを日本国内のみならず、海外でも提供する。

 

【これまでの業績推移と今後のイメージ】

 

 

2.2019年3月第1四半期決算概要

(1)連結業績

 

18/3期 第1四半期

構成比

19/3期 第1四半期

構成比

前年同期比

売上高

5,353

100.0%

6,634

100.0%

+23.9%

売上総利益

920

17.2%

1,376

20.7%

+49.5%

販管費

804

15.0%

979

14.8%

+21.8%

営業利益

116

2.2%

396

6.0%

+240.7%

経常利益

120

2.3%

424

6.4%

+251.3%

当期純利益

35

0.7%

210

3.2%

+495.3%

(単位:百万円)
※当期純利益は、親会社株主に帰属する四半期期純利益

 

前期比7.7%の増収、同13.5%の営業増益。
売上高は前年同期比23.9%増の66億34百万円。システム運営管理事業において前期に買収した子会社が寄与したことに加え、ソフトウエア開発事業においても公共系の大型プロジェクトを受注するなど受注環境が好調に推移したこと買収したことにより売上高が大幅に増加した。
営業利益は前年同期比240.7%増3億円96百万円。株式会社フェスの本社移転(2018年7月23日移転完了)にともなう費用計上や前期のソフトウエア開発にかかる製品保証引当金の計上があったものの、子会社買収の寄与に加え、プロジェクト管理の強化による生産性向上や不採算案件の発生防止の取り組みが収益性向上に貢献した。売上高総利益率は、前年同期比3.5ポイント上昇の20.7%、売上高販管費比率は、0.2ポイント低下の14.8%となった。また、経常利益は同251.3%増の4億24百万円。親会社株主に帰属する四半期純利益は同495.3%増の2億10万円。投資有価証券売却益が発生したことに加え、前期に計上した減損損失がなくなったことなどが寄与した。

 

事業別売上高

 

18/3期

第1四半期

構成比

19/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

システム運営管理

3,158

59.0%

4,073

61.4%

29.0%

ソフトウエア開発

1,995

37.3%

2,302

34.7%

15.4%

その他

199

3.7%

259

3.9%

30.2%

連結売上高

5,353

100.00%

6,634

100.00%

23.9%

(単位:百万円)

 

システム運営管理事業の売上高は前年同期比29.0%増の40億73百万円。プラットフォーム開発業務は、公共系の売上は増加したものの、金融系の売上が減少した。その一方で、買収した子会社の寄与や、運営管理業務における金融系の既存顧客との取引深耕が売上の増加に貢献した。

 

ソフトウエア開発事業の売上高は前年同期比15.4%増の23億2百万円。金融系ならびに運輸系の大型プロジェクトの収束があったものの、公共系における大型プロジェクトの受注により売上が増加した。

 

その他事業の売上高は前年同期比30.2%増の2億59百万円。セキュリティ製品販売に加え、コンサルティングや海外現地法人の売上が増加した。

 

第1四半期(4-6月)の業績推移.

 

運営管理事業において前期に買収した子会社が寄与したことに加え、ソフトウエア開発事業においても公共系の大型プロジェクトの受注が獲得できたことから、19/3期第1四半期(4-6月)は、過去の第1四半期と比較し高水準の売上高、営業利益となった。

 

(2)財政状態

財政状態

 

18年3月

18年6月

 

18年3月

18年6月

現預金

3,145

3,485

短期有利子負債

2,280

2,360

売上債権

4,911

4,070

賞与・役員賞与引当金

950

478

たな卸資産

51

64

長期有利子負債

-

-

流動資産

8,344

7,873

退職給付に係る負債

46

41

有形固定資産

1,791

1,767

負債

6,131

5,688

無形固定資産

1,764

1,696

純資産

7,617

7,476

投資その他

1,848

1,827

負債・純資産合計

13,748

13,165

固定資産

5,404

5,291

有利子負債合計

2,280

2,360

(単位:百万円)

 

18/6末の総資産は前期末比5億83百万円減少の131億65百万円。資産面では売上債権や繰延税金資産の減少などが、負債・純資産面では未払法人税等や利益剰余金の減少などが主な減少要因。自己資本比率は56.6%と前期末比1.4ポイントした上昇した。

 

(3)最近の主なトピックス

◎株式会社フェスの全株式取得による子会社化
同社は、2018年1月4日付で株式会社フェスの全株式を取得し、子会社化した。
株式会社フェスは1999年に、システムオペレーションを代行するサービスを主たる事業目的に、株式会社セゾン情報システムズの子会社として設立。その後医療系運用業務、また近年では「ITSMコンサル業務」への参入等により業容を拡大し、「従来型運用」を「次世代ITサービスマネジメント」に変えるべく新しい取り組みを行っている。今回の株式取得により、両社の中核事業であるシステム運営管理事業の規模拡大、および効率的な運営体制の構築などに大きく寄与することが期待される。その他、両社の長年にわたり蓄積された技術やノウハウの共有化を進めることで、それぞれの得意とする顧客領域に対してこれまで以上に幅広いサービス展開が可能となる見込みである。なお、買収金額は20億円で、全額借入金で対応した。

 

(同社決算説明会資料より)

 

(同社個人投資家向け説明会資料より)

 

◎米国CyberX社の国内第一号販売パートナーに
同社は、 米国CyberX Inc. (本社:米国フレイミングハム、開発:イスラエル、Founder & CEO:Omer Schneider )と日本における第一号販売パートナー契約を締結、産業用制御システム(ICS)向けセキュリティプラットフォーム「CyberX」の国内販売を開始した。
CyberXは、ICS環境における機器同士の行動分析とそれらの異常検出、さらに、独自の対ICS脅威インテリジェンスとを組み合わせた最先端の産業用制御システム向けサイバーセキュリティソリューション。 また、CyberXは、ICS環境のプロセス制御とシステム監視に対する脅威、マルウェア、不正なリモートアクセスなどの脆弱性検出や、ICS環境下にあるIT資産の把握が可能。エネルギー、製造、公益事業など多様な分野にまたがるIndustrial Internet of Things(IIoT)及び、産業ネットワークのサイバーセキュリティの確保において定評があるプラットフォームで、既に北米トップ電力会社5社に採用され、全世界350社での稼働実績を持っている。

 

◎オランダ Indica Holding B.V.との協業契約締結
同社は、Indica Holding B.V. (本社:オランダ ヒルバーサム、CEO:Pieter Klinkert 以下、Indica 社)と協業契約を締結した。2018年5月25日からEU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation)の適用が開始された。EU域内の個人データを扱う日本企業も適用対象となり、個人データの処理と移転に関して組織的な対応が必要となる。GDPR対応のプロセスは非常に複雑で特殊な専門知識を求められるものの、Indica社のソリューションはGDPR用最先端データマッピングにより、GDPRを順守したうえで、そのプロセスを単純化することができる。また、Indica社が特許を有する構造化データと非構造化データとを関連付けるアルゴリズムにより、企業の全データの管理および監視が可能となる。企業の保有データを、①どのような個人データが保管されているのか、②どこに保管されているのか、③誰がアクセス権を持っているのか、といった観点で分析し可視化することができるため、個人情報ポリシーとの整合性を担保しつつ、管理工数の大幅な削減が実現できる。同社は、今後日系企業の欧州拠点に向けて、Indica社のソリューションの販売機会を創出していく予定である。

 

3.2019年3月期業績予想

(1)連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

売上高

23,207

100.0%

26,300

100.0%

+13.3%

営業利益

1,254

5.4%

1,480

5.6%

+17.9%

経常利益

1,274

5.5%

1,500

5.7%

+17.7%

当期純利益

622

2.7%

780

3.0%

+25.3%

(単位:百万円)
*当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益

 

前期比13.3%の増収、同17.7%の経常増益の計画

第1四半期を終え、19/3期の会社計画は期初予想から修正なし。売上高は前期比13.3%増の263億円の計画。引き続き金融機関を中心に顧客のIT投資の拡大が期待される。また、今後セキュリティ対策への投資の加速も予想される。こうした中、BOO(既存顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理、クラウド・セキュリティ まで、複数のサービスを提供すること)の推進により、既存顧客の推進を図るとともに、新規顧客の獲得を目指す。また、買収した子会社も売上高の増加に寄与する見込み。

営業利益は同17.9%増の14億80百万円。不採算案件を防ぐ取り組みなどにより、収益性の改善を図る計画。売上高営業利益率は、同0.2ポイント上昇の5.6%の計画。
1株当たりの配当も、前々期より3円増額となった前期と同額の期末40円の予定を据え置き。予想の配当性向は56.4%。

 

(2)営業利益計画達成へ向けた取組策

リスク回避の施策
同社が属する情報サービスセクターは、①不採算案件の発生、②外注費の増加、③時間外労働の増加などのリスクに直面している。同社では、こうしたリスクの回避に向け、今後の下記の施策を徹底する。
・社員とパートナーのパワーアップによる生産性向上
・働き方改革
・徹底したプロジェクトの管理

 

不採算プロジェクト防止へ向けた対応策
18/3期上期に発生した不採算プロジェクトの反省をもとに、同社では現在不採算プロジェクト防止のための対応策を実施している。
19/3期においても以下の課題への対応を強力に推し進める。

 

課題1-大規模化と短納期化への対応
[対応策]
・プロジェクト状況の収集から分析、課題対応をスピードアップする手法の標準化とサポートツールの導入を更に進める。
・既に導入している開発フレームワークの一層の強化。

 

課題2-プロジェクト規模拡大による要員調達
ノウハウ及びマネジメント人財の不足
[対応策]
・新規パートナー会社の開拓推進と既存パートナー会社との情報交換の活発化。
・多数のパートナーをマネジメントする人材の育成・強化。

 

4.今後の注目点

同社の19/3期第1四半期決算は、前期に買収した株式会社フェスの連結化によるプラス寄与があったものの、それに加え、プロジェクト管理の強化による生産性向上や不採算案件の発生防止の取り組みが収益性向上に結び付き、過去の第1四半期の中でも高水準の売上高と営業利益となった。前上期の不採算プロジェクトを受けて強化された対応策が着実に成果に結びついている。現在同社は、①プロジェクト状況の収集から分析、課題対応をスピードアップする手法の標準化とサポートツールの導入を更に進める、②既に導入している開発フレームワークの一層の強化、③新規パートナー会社の開拓推進と既存パートナー会社との情報交換の活発化、④多数のパートナーをマネジメントする人財の育成・強化、を掲げ、今まで以上に不採算プロジェクトの防止を強力に推進している。続く第2四半期以降も不採算案件の発生を防止し、収益性を高めていけるのか再発予防策の効果が注目される。

また、同社は、「Seceon OTM」や「CyberX」の販売開始、Indica社との協業開始などセキュリティ製品販売分野においてソリューションのラインナップを急速に拡充している。19/3期第1四半期においてセキュリティ製品販売が属するその他事業セグメントの売上高は、前年同期比約6000万円増加した。同社は現在、セキュリティ製品販売の拡大に向け、積極的にマーケティング費用を投入している。その他事業セグメントには、セキュリティ製品販売以外にもコンサルティングや海外現地法人の売上が計上されているが、コンサルティングや海外現地法人の売上高も当第1四半期に増加したことを考えると、その他事業セグメントの売上の増加ペースに若干物足りなさを感じる。今後いかにセキュリティ製品販売の成長を加速させるのか今後の取組策が注目される。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日: 2018年6月25日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

補充原則1-2-4「議決権行使のための環境整備、および招集通知の英訳」

補充原則3-1-2「英語での情報の開示・提供」

議決権の電子行使、および招集通知の英訳については、現時点で、海外投資家の比率が低いため、業務効率面から未実施であるが、持株数が20%を超えた段階で実施を検討する。

なお、ガイドライン第2章第10条もあわせてご参照ください。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

(1)事業上の関係を維持・強化し、当社の中長期的な企業価値の向上を目的として当社の取引先等である会社等の株式を保有することがある。こうした保有に関して、当社は毎年、取締役会で主要な政策保有株式について、①株価下落リスクをはじめとする当該株式を保有することにともなうリスクと、②事業上の関係の維持・強化をはじめとする保有の中長期的な経済合理性を検証する。当該検証の結果、中長期的な経済合理性が認められない政策保有株式については、当該株式売却その他の方法による当該政策保有の解消を検討する。

(2)当社が保有する政策保有株式に係る議決権の行使については、当社の株主の皆様に対する責任を全うする観点から、当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値向上に適うか否かを基準に、議決権を行使することを基本方針とする。基準判断においては必要に応じ、投資先企業から提出された議案について当該投資先企業に対して説明を求め、協議を行うこととする。また、投資先企業から提出された議案に関して、当社と投資企業(ひいてはその株主の皆様)の利益が相反するおそれがあると認められる場合には、当社の独立社外取締役その他の第三者から意見を聴取するなどの方法により、当該利益相反のおそれを解消するための措置を講じるように努める。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

(1)当社は、経営理念に掲げる精神のもと、株主との実りある対話を実現するため、双方向のコミュニケーションの充実に努める。

(2)当社は、株主との対話に資するため、以下の情報を開示する。

・中長期の戦略シナリオ、ビジネスモデル、企業価値向上の方策

・経営上重視している財務経営指標

・リスク情報

・環境、社会、ガバナンス情報

(3)当社は、株主とのコミュニケーションの充実を図るため、問い合わせ窓口を社長室内に設置し、株主との信頼関係を醸成する。

(4)当社は、次の通り「株主との建設的な対話を促進するための方針」を定め、実践する。

 

【株主との建設的な対話を促進するための方針】

当社は、株主との建設的な対話が、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう

株主からの対話(面談)の申し込みに対しては、株主の希望と面談の主な関心事を踏まえたうえで、合理的な範囲で社外取締役を含む取締役または経営幹部が臨むことを基本とする。

IR担当役員は、社内部門と協力し、建設的な対話の実現に努力する。

IR担当役員は、個別面談のほか、経営説明会等を開催し、IR活動の充実を図る。

IR担当役員は、自社の考えを対話により株主に伝え、株主からの意見・要望について取締役または経営幹部へフィードバックするとともに、社外役員にもフィードバックを適時適切に行い、独立・客観的視点からの課題認識を共有する。

IR担当役員は、未公表の重要な内部情報(インサイダー情報)が外部に漏洩することを防止するため、当社セキュリティーポリシーに基づき、情報管理責任者と連携を図り、情報管理を徹底する。

IR担当役員は、総務所管部門、株式管理会社、IR支援会社と積極的に連携し、当社の株主構造の把握に努める。

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

Copyright(C) 2018 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 

ブリッジレポート(インフォメーション・ディベロプメント:4709)のバックナンバー及びブリッジサロン(IRセミナー)の内容は、www.bridge-salon.jp/ でご覧になれます。

 

 

同社の適時開示情報の他、レポート発行時にメールでお知らせいたします。

>> ご登録はこちらから

 

ブリッジレポートが掲載されているブリッジサロンに会員登録頂くと、株式投資に役立つ様々な便利機能をご利用いただけます。

>> 詳細はこちらから

 

投資家向けIRセミナー「ブリッジサロン」にお越しいただくと、様々な企業トップに出逢うことができます。

>> 開催一覧はこちらから