ブリッジレポート:(9278)ブックオフグループホールディングス vol.7
(9278:東証1部) ブックオフグループホールディングス |
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企業名 |
ブックオフグループホールディングス株式会社 |
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社長 |
堀内 康隆 |
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所在地 |
相模原市南区古淵2-14-20 |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
株式情報(11/21現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
書籍、CD、DVD、ゲーム、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨など様々なジャンルでリユース(再使用)事業を展開する日本最大級のリユースチェーン。北海道から沖縄まで全国をカバーする店舗ネットワーク(直営+フランチャイズ)は800店を超え、「ネットリユース」とのシナジーを追及している。
【事業内容】
事業は、リユース店舗事業、ECサイト「BOOKOFF Online」及び大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行うハグオールの運営のブックオフオンライン事業(以上、報告セグメント)、及び新刊書店「青山ブックセンター」、「流水書房」、「yc-vox」の店舗運営や各事業の店舗の内外装工事の企画・設計施工等を行うその他に分かれる。
リユース店舗事業
書籍・ソフト等のリユースショップ「BOOKOFF」のチェーン本部としてフランチャイズ(FC)システムの運営及び直営店舗の運営を行っている。直営店舗は、本・CD・DVD・ゲームソフト・家電・携帯等を取り扱う「BOOKOFF」、「BOOKOFF」にアパレル・ブランド品等を加えた中型複合店舗「BOOKOFF PLUS」、及び書籍・ソフトの他、家電(オーディオ・ビジュアル、コンピュータ等)、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計、ブランドバッグ、貴金属、食器、雑貨など幅広いリユース品を取り扱う総合リユースの大型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の3つのタイプで展開している。
主な子会社は、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄、リユースコネクト(株)、(株)マナスが、国内で「BOOKOFF」店舗の運営を行なっている。(株)ブックオフウィズは、上記に加え、アパレル・ベビー用品等のリユース店舗の運営を行なっており、腕時計・ブランドバッグ・貴金属等のリユースショップ・チェーンである「キングラム」のFCでもある。また、(株)ブックレット、(株)ブックオフウィズ、(株)ブックオフ沖縄は、アパレル等のリユース店舗の運営も行なっている。
海外では、BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOKOFF」店舗の運営、BOK MARKETING SDN.BHDがマレーシアで「Jalan Jalan Japan」の運営をそれぞれ行なっており、SCI BOC FRANCEがフランス国内に所有する不動産の賃貸を行っている。
【CSR活動】
家庭で不要になった本・CD・DVD・ゲーム等をブックオフオンライン(株)が提供している宅配買取サービス「宅本便」で買い取りを依頼すると、その買取金額が被災地支援に役立てられる「売って支援プログラム」を実施している(買取金額の10%分をブックオフグループが上乗せし、日本赤十字社や赤い羽根共同募金等を通じて寄付している)。
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2019年3月期上期決算 |
5億49百万円の営業利益を確保
売上高は前年同期比0.7%減の389億53百万円。リユース店舗事業とブックオフオンライン事業の売上が増加し、前期のハグオール事業における催事販売撤退の影響をほぼ吸収した。
利益面では、ハグオール事業(ブックオフオンライン事業として縮小継続)から引き継いだ百貨店内買取窓口の運営コスト負担でブックオフオンライン事業が減益となったものの、収益性の改善によるリユース店舗事業の利益の増加と不採算チャネルからの撤退などコスト圧縮によるハグオール事業の損失の減少で営業損益が大幅に改善。特別損失(5億34百万円→1億15百万円。前年同期は減損損失5億09百万円を計上)の減少で4億41百万円の最終利益を確保した。
リユース店舗事業における不採算店舗の閉鎖及び固定費の見直し、ハグオール事業の不採算チャネルの撤退により、地代家賃、減価償却費が減少した。
リユース店舗事業
売上高348億41百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益16億71百万円(同12.3%増)。既存店売上高が前年同期を上回って推移した事に加え、前期に出店した大型複合店舗や連結子会社化した(株)マナスとBOK MARKETING SDN.BHD.(マレーシア)の寄与もあり売上が増加。収益性の高い書籍等を中心にした既存店の好調や不採算店舗の閉鎖を含めた固定費の大幅な圧縮に加え、システム化等による業務効率化で最低賃金上昇の影響も吸収し、収益性が改善した。
既存店売上高は前年同期比101.9%(前年同期97.0%)。中期経営方針の下での個店の磨き込みの成果で、既存売上高は 2018 年3月から継続して前年同月を上回っている。仕入れも同104.1%と順調だった。
ソフトメディア、トレカ・ホビー、貴金属・時計・ブランドバッグが前年同期を上回って推移した。主力商材である書籍は前年同期比99.2%と前年同期を若干下回ったものの、第 2四半期(7-9月)の3ヶ月間では前年同期比100.7%となり底打ち感が出てきた。
上期の出店は、グループ直営店5店舗(うち総合買取窓口3店舗)、FC加盟店1店舗。この他、直営店23店舗でリニューアルを実施し、FC加盟店4店舗をリパッケージした。一方、閉店はグループ直営店6店舗、FC加盟店14店舗。上期末の店舗数は、BOOKOFF約700店舗、BOOKOFF PLUS59店舗、BOOKOFF BAZAAR42店舗。
ブックオフオンライン事業
売上高36億15百万円(前年同期比19.3%増)、営業利益13百万円(同88.8%減)。ブックオフオンライン事業では、ECサイト「BOOKOFF Online」における販売が好調に推移した事や前期に実施したヤフーショッピングやアマゾン等の販売チャネル拡大効果に加え、ハグオール事業で実施していた百貨店内買取窓口の運営を引き継いだ事もあり、売上高が増加した。
一方、利益面では、ECにおける配送業者の値上げの影響は EC 販売の好調で吸収できたものの、百貨店内買取窓口の運営コストが負担になった。百貨店内買取窓口で営業損失1億12百万円を計上したため(管理会計ベース)、「BOOKOFF Online」単独では、ほぼ前年同期並みの営業利益を確保した事になる。前期のハグオール事業で実施していた不採算チャネルの閉鎖、運営機能の集約、物流拠点の集約、及び業務改善によるコスト圧縮が進んでおり、来春には単月ベースでの損益が黒字転換する見込み。
上期末の総資産は前期末と比べて68億12百万円減の410億69百万円。新株予約権付社債の繰上償還に伴い現預金と短期有利子負債が減少。2018年9月28日付で自己株式2,025,785株の消却を行った。自己資本比率32.6%(前期末27.5%)。
ヤフー(株)との資本提携を解消(業務提携は継続)
資本提携が一定の成果をあげた事に加え、経営環境の変化等に応じた独自の成長戦略を、それぞれが柔軟に推進できる体制を整備する必要がある事等から、ヤフー(株)との資本提携を解消した(業務提携は継続する)。資本提携の解消に伴い、ヤフー(株)が保有する同社の普通株式3,100,000株(自己株式を除く発行済株式総数の15.08%)を自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により2,343,600,000円で取得した。
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2019年3月期予想 |
【上期の評価と下期の重点施策】
上期の評価
リユース店舗事業において、書籍・ソフト以外の売上構成比が15/3期第2四半期の26%から36%へ上昇しており、取扱商材が順調に広がっている。また、EC売上高(直営店ヤフオク売上高+ブックオフオンラインEC 売上高)のグループ売上高(直営店総売上高+ブックオフオンラインEC 売上高)に占める比率(グループ売上高EC化率)も、7%から14%に上昇しており、商圏もネットに広がりつつある。
加えて、リユース店舗事業の収益力の強化も進んでいる。商材構成比の変化で低下傾向が続いていた売上総利益率に底打ち感が出てくる中、固定費の圧縮やシステム化等による業務の効率化が進み、上昇傾向にあった販管費率が過去水準以下に抑制された。
下期の重点施策
一方、課題は「集客」。既存店の客数が前年同月の水準を下回って推移している。このため下期は、定期的な販促CMの実施に加え、追加広告予算を設定し、家電・携帯電話やアパレル等、幅広い商材の取り扱いについての PRを強化する。また、既存店への投資も上乗せする。安心して店舗を利用してもらうための災害対策を含めて、内外装のリニューアルを加速する他、顧客満足度向上のためのシステム投資として、受付・精算システム(電子買取システム)の導入店舗を拡大する。
前期比0.6%の増収、同79.4%の営業増益
「期首時点で想定していなかった大型店舗の閉鎖や新規出店時期の遅れ等が発生した一方、既存店売上高が想定を上回って推移している」として売上予想を据え置いたものの、リユース店舗事業において、粗利率の高い書籍売上高が想定を上回って推移している事やローコストによるオペレーションが徹底されている事等を踏まえ、営業・経常利益予想を上方修正した。
また、フランチャイズ本部を運営するブックオフコーポレーション(株)によるグループのEC事業の中核を担うブックオフオンライン(株)の吸収合併(2019年1月予定)に伴い、期初予想には織り込んでいなかった税効果が発生し最終利益を押し上げる。この合併は子会社による孫会社の吸収合併。これを機に、リアル店舗とネットの会員基盤を一つに統合する事で商品を手ごろな価格で手軽に手にする事ができる体制の整備を進める考え。
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中期経営方針と進捗状況 |
事業方針として、「個店を磨く」(店舗運営と商材)と「総力戦で取り組む」(集客とシステム)の2つを掲げている。このうち「個店を磨く」については、店舗型とネット型それぞれのリユースサービスを磨き上げる事がリユースのリーディングカンパニーとなるための出発点と考え、(1)店舗リニューアル、(2)総合買取窓口の展開、及び(3)ECサイトリニューアルを進めている。
一方、「総力戦で取り組む」については、「ひとつの BOOKOFF」構想を推進している。店舗と店舗以外の事業の連携を強化して、これまで希薄だったシナジーを追求していく考えで、会員制度や販売・買取のプラットフォーム、それらを支えるシステム等を統合・共通化して、各サービスで蓄積された会員・商品情報や運営ノウハウ等の資産を全てのサービスで活用していく。
【個店を磨く】
この上期は直営店23店舗でリニューアルを実施した。画一的なリニューアルではなく、立地特性等を考慮した店舗毎のリニューアルが特徴だ。例えば、BOOKOFF茅ヶ崎北口店(神奈川県茅ヶ崎市)では、アパレルの他、湘南の立地特性に応じたマリン関連の商材を追加し、子供を連れた来店者が多いBOOKOFF甲府平和通り店(山梨県甲府市)では、従来通り、書籍を中心としつつも、ホビーを追加した。この他、ニトリ豊田店に隣接するBOOKOFF豊田下林店(愛知県豊田市)では家電・楽器を強化した他、子育て世代が多い都内の人気住宅地に立地するBOOKOFF武蔵小山パルム店(東京都品川区)では外装をリペイントすると共に児童書を強化した。
また、リユース事業の生命線である仕入れの強化に向け、都心部を中心に総合買取窓口の拡充を進め、この上期は買取窓口を併設する大型店舗の空白地を埋めるべく、代々木上原店(東京都渋谷区)、恵比寿南店(同)、元住吉ブレ-メン店(神奈川県川崎市)の小型店舗3店舗を出店した。空白地での幅広い買取りを念頭に、下期も2~3店舗の出店を予定している。
実店舗だけでなく、ECサイトの磨き込みも行った。具体的には、文言整理・表現の統一、目的導線の見える化、及びトンマナ(トーン&マナー)統一といった主導線UI/UXの改修に加え、Web接客(追従カートポタン、宅配自動買取りセルトップの追従メニュー)や新分析ツール(ヒートマップツール)を導入した他、「マイブックオフ」ページの実装により会員メニューの充実を図った。
会員施策については、6月にブックオフ公式アプリをリリースした。主な機能は、ポイント管理、クーポン取得、店舗検索、プッシュ通知等。既にダウンロード数が20万に達しており、今後、新しい機能を順次追加していく事で来期中の120万ダウンロードを目指している。公式アプリの利用を通して、購買状況、位置情報、会員属性、店舗情報等のデータを収集して、来店や利用促進等、マーケティングに活かしていく考え。
電子買取システムについては、利用者の記入負担の軽減と業務の効率化を目的に導入した電子買取システム(タブレット端末)で店舗業務の効率化が進んでいる。2018年10月現在、367店舗で導入が完了しており、導入店では、買取顧客リピーター率(2回目以降会員取引件数÷全体買取件数)が導入後1年で63%に達し、店舗業務も、店舗スタッフによる古物台帳の管理工数が84%、買取時の受付・精算時間が18%、それぞれ減少した。今期末には導入店舗数が500店舗に達する予定で、会員サービスとの連携を強化して販促効果を最大化していく考え。
EC活用では、ECサイト「BOOKOFF Online」の販売プラットフォーム化を進めている。この販売プラットフォームの下では、店舗で買い取った商品が自動でEC出品されるため、店舗商品が店舗・ECを問わず購入できる。また、「BOOKOFF Online」上で店頭在庫の確認もできるようにした。19/3期にソフトメディアから出品を開始し、書籍やその他の商品に広げていく。
上記の他、マレーシア事業の拡大にも取り組む。国内の買取りを最大化させるための出口戦略として「Jalan Jalan Japan」の店舗ブランドでマレーシアへ進出しており、現地での販売も順調。6月2日にはマレーシア3号店となる「Jalan Jalan Japan Center Point店」をオープンした。今後も店舗ネットワークを広げていく考えで、来春に4号店のオープンを予定している。
【業績目標】
節目となる30期(21/3期)までの目標として、「経常利益20億円、ROA(総資産経常利益率)5.0%以上、有利子負債営業CF倍率5.0以内」を掲げおり、足元、順調に進捗している。
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
<開示している主な原則>
【原則1-4】
当社は、「出資及び有価証券運用に関する規程」により、原則として政策保有目的の株式の取得を行わない方針を定めております。ただし、例外として、当社フランチャイズ・チェーン加盟企業の株式を保有することがあります。政策保有の株式の議決権行使については、議案の内容を精査し、必要に応じて企業との対話を行い、株主価値向上に資するものか否かを判断した上で、適切に行使いたします。
【原則1-7】
当社は、関連当事者間の取引については、社内規程により、あらかじめ取締役会での決議を必要としており、その決議には、該当する役員を特別利害関係者として、当該決議の定足数から除外した上で行っております。また、当社及び子会社の役員も含め、関連当事者間の取引の有無を確認するアンケートを毎期実施しております。
【原則3-1】
(i)経営理念や経営戦略等を当社ホームページにて開示しております。
■経営理念
https://www.bookoffgroup.co.jp/corporate/philosophy.html
(ii)コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方と基本方針を当社ホームページ、コーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。
■コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/corporate.html
(iii)取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続を報酬検討委員会規程にて整備し、コーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。当社では株主総会で決定した限度額の範囲内で、社長及び独立社外取締役で構成する報酬検討委員会において、会社の業績及び各取締役の会社への貢献度等を勘案し決定することとしております。
(iv)取締役候補については、当社の持続可能な成長と企業価値向上に資する候補者であるかを基準に選定し、候補者との対話の機会を持った上で、社内規程に基づき指名諮問委員会で検討の上、取締役会にて決定します。また、監査役候補については、当社の健全な経営と社会的信用の維持向上に資する人物で、中立的・客観的に監査を行うことができる候補者であるかを基準に選定し、監査役会で検討・同意をした上で、最終的に取締役会にて決定しております。なお、社外取締役及び社外監査役の独立性判断基準を、コーポレート・ガバナンスに関する報告書にて開示しております。
(v)取締役候補者及び監査役候補者の選任理由を招集通知にて開示します。また候補者全員の経歴及び自らのコメントを招集通知の参考資料として付します。
【原則5-1】
当社は、IR担当役員を選任し、経営企画部をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に一回開催するとともに、逐次スモールミーティングや個別取材等を実施しております。また、IRポリシーを制定し、当社ホームページにて開示しております。
■IRポリシー<株主との建設的な対話を促進するための方針>
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/policy.html
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