ブリッジレポート:(6498)キッツ vol.35
(6498:東証1部) キッツ |
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企業名 |
株式会社キッツ |
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社長 |
堀田 康之 |
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所在地 |
千葉市美浜区中瀬1-10-1 |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
機械(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2018年3月 | 124,566 | 10,117 | 9,733 | 6,518 |
2017年3月 | 114,101 | 8,929 | 8,799 | 5,400 |
2016年3月 | 117,278 | 7,245 | 7,300 | 4,915 |
2015年3月 | 117,036 | 6,886 | 7,581 | 6,881 |
2014年3月 | 117,355 | 6,470 | 6,501 | 3,564 |
2013年3月 | 111,275 | 6,558 | 6,521 | 4,039 |
2012年3月 | 108,446 | 4,638 | 4,388 | 2,480 |
2011年3月 | 106,059 | 6,341 | 5,929 | 3,063 |
2010年3月 | 96,592 | 6,976 | 6,248 | 3,079 |
2009年3月 | 127,095 | 7,188 | 6,475 | 3,396 |
2008年3月 | 149,274 | 11,615 | 10,525 | 6,290 |
2007年3月 | 149,512 | 11,342 | 10,652 | 9,973 |
2006年3月 | 107,631 | 9,673 | 9,132 | 8,070 |
2005年3月 | 95,705 | 9,627 | 8,513 | 5,804 |
2004年3月 | 73,802 | 4,181 | 2,962 | 1,598 |
株式情報(11/7現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
バルブを中心とした流体制御機器の総合メーカー。バルブ事業では、国内トップ、世界でもトップ10に入る。バルブは、青銅、黄銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等、用途に応じて様々な素材が使われ、同社は素材からの一貫生産(鋳造から加工、組立、検査、梱包、出荷)を基本とする。国内外の子会社36社とグループを形成し、子会社を通して、バルブや水栓金具、ガス機器などの材料となる伸銅品の生産・販売(伸銅品でも国内上位のポジションにある)の他、ホテル事業等も手掛けている。
【企業理念 -キッツは、創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指します-】
「企業価値」とは「中長期的な株主価値」であり、「中長期的な株主価値」の向上には、顧客の信頼を得る事によって利益ある成長を持続していく必要がある、と言うのが同社の考え。そして、企業価値を向上させる事により、株主をはじめとして、顧客、社員、ビジネスパートナー、社会に対して様々な形で寄与し、豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えている。
同社は、これらの思いを「キッツ宣言」に込め、更なる飛躍を目指している。
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2019年3月期上期決算 |
前年同期比13.7%の増収、同34.7%の営業増益
売上高は前年同期比13.7%増の677億81百万円。バルブ事業が同14.7%増の538億44百万円、伸銅品事業が同10.8%増の122億37百万円、その他が同6.5%増の16億98百万円。国内向け海外向けともに好調に推移したことによりバルブ事業が、銅価上昇による販売価格の上昇で伸銅品事業が、それぞれ期初予想を上回った。海外売上高比率29.4%(前年同期28.0%)。
営業利益は同34.7%増の58億13百万円。銅市況変動の影響で伸銅品事業の利益が同44.1%減少したものの、売上の増加と収益性の改善でバルブ事業の営業利益が同30.3%増と伸びた。為替差益41百万円の計上(前年同期は1億34百万円の為替差損)や税負担率の低下(37.0%→30.6%)で四半期純利益は39億26百万円と同48.6%増加した。
バルブ事業
国内売上高は前年同期比11.6%増の342億59百万円。主力の建築設備向けが首都圏再開発案件をけん引役に同9%増加する中、半導体製造装置向けが同25%増と伸長。工業用バルブも、保守・更新需要に加え、化学メーカー等の能力増強投資もあり、同16%増加した。一方、自治体向けの低迷で水市場向けが同5%減少。半導体製造装置向けも第2四半期までは高水準を維持したが、足元の受注は減速している。
海外売上高は同20.5%増の195億84百万円。中東を含むアジアが同20%増。韓国や中国を中心にした半導体製造装置向けの好調(足元、国内と同様に受注が減速)やイランの大型プロジェクトBid Bolandへの納入(総額約19億円)が寄与した。中国では、半導体製造装置向け以外でも、データセンター向けを中心に汎用バルブが堅調に推移した他、苦戦が続いた工業用バルブも大型案件の受注に成功する等、回復傾向。前年同期と同水準だったアセアンでは拠点の開設や代理店の開拓に取り組んだ。米州は同17%増。原油価格の上昇に伴い回復傾向にあり、パイプライン会社向けも増加した。欧州も最悪期を脱し、代理店からの在庫発注が再開されている。
営業利益は前年同期と比べて17億円(30.3%)増加した。内訳は、売上増(24億円)、原価低減(5.5億円)、為替(2.0億円)が増益要因となる一方、銅をはじめとする原材料市況(△3.5億円)や韓国のバタフライバルブメーカーである韓国Cephas Pipelines Corp.(以下、Cephas社)の子会社に伴う費用増(人件費増、のれん償却費、M&A関連費等)や研究開発費等による費用増(△11億円)が減益要因となった。
伸銅品事業
売価に影響を与える原材料相場が、期初に下落したものの、その後6月にかけて上昇し、7月以降、再び下落に転じた。売上面では相場の変動が総じてプラスに働き、売上高は122億37百万円と前年同期比10.8%増加したが、利益面では、期初及び7月以降の下落の影響を強く受け、営業利益は1億91百万円と同44.1%減少した。
その他
ホテル事業において、繁忙期である第2四半期に国内の団体宿泊客の取込みが進み売上高が16億98百万円と前年同期比6.6%増加し、増収効果とコスト削減で営業利益が1億20百万円と同114.5%増加した。
上期末の総資産は前期末と比べて7億88百万円減の1,327億56百万円。借方では、Cephas社買収により、たな卸資産、有形固定資産、及びのれんが増加した他、基幹システム投資により無形固定資産が増加。一方、M&A、設備投資、自己株式の取得、法人税等納付で現預金が減少した。貸方では、未払法人税・未払消費税や純資産が減少した。自己資本比率57.0%(前期末57.1%)。
自己株式の取得
2018年7月30日開催の取締役会において、資本効率の向上及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の実施並びに株主への一層の利益還元を目的として自己株式取得を決議した。これに基づき、8月6日から9月12日にかけて、約19億49百万円で2,000,000株を取得し、自己株式取得を完了した。
決議内容
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2019年3月期業績予想 |
業績予想に変更はなく、前期比6.0%の増収、同10.7%の営業増益予想
バルブ事業、伸銅品事業共に売上の増加を見込んでいる。バルブ事業は、半導体製造装置向けが減速するものの、国内での建築設備向けや工業用バルブの好調に加え、海外での米州の回復や中国の好調で売上高が過去最高を更新する見込み。利益面では、バルブ事業の収益性改善が進む見込みだが、銅市況の影響を受ける伸銅品事業は慎重に見ている。
設備投資は105億円を計画しており、減価償却費は50億円を織り込んだ。
バルブ事業
主力の建築設備向けは価格改定(5月1日より実施)後の仮需及び納期不安による先行発注の反動で若干の減速が予想されるものの、首都圏再開発案件の納入が続き、総じて堅調な推移が見込まれる。工業用バルブも、化学業界等での能力増強投資を背景に好調を持続する見込み。重点弁種であるバタフライバルブについて、伊那工場の生産能力を増強し、一層の拡販を図る。一方、半導体製造装置向けは装置メーカーの先行発注がなくなり、足元、受注が減速している。水市場向けは公共工事の低迷が続くが、季節要因で上期比増加する。水処理装置は好調が続いている。
海外は、半導体製造装置向けが国内同様に減速している。地域別では、北米市場が力強さは欠けるものの、原油価格の上昇で需要が増加し、代理店からの受注が回復している。受注が増えているパイプライン会社への拡販にも努める。南米市場(ブラジル)も最悪期を脱し回復傾向にある。欧州は苦戦が続くものの、最悪期を脱した感がある。欧州で生産したイランBid Boland向けは出荷・入金共に完了した。アセアンは汎用バルブの一部製品で値上げ効果が期待できる。引き続き各国の拠点整備・新規代理店開拓に注力すると共に、現地仕様の汎用バルブの開発を進める。中国はデータセンター等、建築設備向け汎用バルブが引き続き好調な事に加え、工業用バルブも回復傾向にある。
利益面では、上期の上振れを踏まえて通期予想を上方修正した。
伸銅品事業
上期決算を踏まえ、利益予想を引き下げた。下期は減価償却費の増加や労務費の増加等で減益が見込まれる。設備投資に伴う生産性向上によるコストダウン効果が出てくるのは、来期以降となる。
その他
ホテル事業は、季節要因で上期比減収・減益となる。
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トピックス |
(1)バイオマス発電所へ、東亜バルブエンジニアリング株式会社(以下、TVE)の高圧バルブを納入
2016年にTVEと資本提携しており、その成果としてキッツ(株)が受注した案件にTVEが得意とする高圧バルブを納入した。納入先のバイオマス発電所はヤシ殻を燃料としており、キッツ(株)の鋳鋼製バルブ、ダクタイル鋳鋼製バルブ、ステンレス鋼製バルブと共に、TVE製のゲートバルブ及びグローブバルブをグループ会社のワイケイブイ(株)のシリンダーを搭載して納入した。今後も両社の連携を強化し、高温・高圧バルブの受注増を図る考え。
(2)伊那工場のバタフライバルブの生産能力を向上
2018年の国内営業本部方針として、「総合バルブメーカーの強みを拡大し、真のNo.1バルブメーカーを目指す」を掲げている。この方針の下、伊那工場では、今後の市場拡大が見込まれるバタフライバルブの競争力強化を目的に設備投資を実施した。生産能力増強によるリードタイム短縮はもちろん、コストダウンや品質向上に向けた取り組みも進めていく。
(3)KITZ Corporation of Asia Pacific Pte. Ltd.(以下、KAP)によるインドネシア駐在員事務所の開設
重要地域の一つであるアセアンにおいて、順次拠点を拡充しており、2018年6月には7つ目(販売会社4社、駐在員事務所3拠点)の拠点となるKAPのインドネシア駐在員事務所を首都ジャカルタ市に開設した。
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
基本的な考え方
当社は、創造的かつ質の高い商品・サービスの提供により持続的に企業価値の向上を図ることを企業理念に掲げ、社会的に責任ある企業として、株主の皆様を始め、全てのステークホルダーに配慮した経営の実現に努めることとしています。また、コーポレート・ガバナンスの基軸は、「コンプライアンス」と「企業統治」であることを認識し、様々な施策を講じて、「コンプライアンスの強化による経営の健全化」と「企業競争力強化促進による経営の効率化」を図ることとしています。
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則をすべて実施しています。
<開示している主な原則>
8.株主との建設的な対話に関する方針(原則5-1)
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには、経営の受託者としての説明責任を自覚し、株主・投資家等のステークホルダーに対し、適時・適切な情報開示を行い、経営の公正と透明性を維持することが重要であると認識しています。 また、必要とされる情報を継続的に提供するとともに、外部者の視点による意見や要望を経営改善に活用するためのIR活動が重要であると考えています。そのため、当社は、経営戦略や経営計画に対する株主の理解を得られるよう、株主との建設的な対話を推進するため、代表取締役やIR担当執行役員を中心とするIR体制を整備し、以下の施策を実施しています。
1)当社は、IR担当執行役員を選任しています。
株主からの面談申し込みがあった場合は、原則としてIR部門長が対応していますが、面談の趣旨及び所有株式数などに応じて、代表取締役またはIR担当執行役員が対応することとしています。
2)当社は、IR担当執行役員を中心に、必要に応じて、IR部門、経営企画部門、経理部門、総務人事部門及び法務部門等による会議を開催するなど、有機的な連携を図っています。
3)当社は、機関投資家及びアナリストを対象とし、四半期毎に決算説明会を実施しています。また、毎年計画的に個人投資家への会社説明会を開催しています。なお、これらの会社説明会においては、代表取締役またはIR担当執行役員が説明を行っています。さらに、決算短信及び有価証券報告書等の決算情報のほか、経営情報、株式・株主総会の情報及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書等のIR情報を当社ホームページに掲載し、情報開示を行っています。
4)当社は、機関投資家・アナリストとの対話において把握された意見をIR部門から代表取締役及びIR担当執行役員に定期的に報告し、必要に応じて、代表取締役がその内容を取締役会及び経営会議に報告することとしています。
5)当社は、経理担当執行役員を情報取扱責任者としており、機関投資家・アナリストとの対話に際して開示する情報の内容について、事前に経理担当執行役員、IR部門及び経営企画部門が協議するなど、インサイダー情報の管理に留意しています。
6)当社は、毎年3月末及び9月末時点における株主名簿から、実質株主の状況調査を実施し、IR活動に活用しています。
7)当社は、長期経営計画及び中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、経常利益、海外売上高比率、有利子負債残高、自己資本比率及び自己資本当期純利益率(ROE)等の目標値を当社ホームページ等で開示するとともに、決算説明会等を通じ、目標達成に向けた具体的な施策を説明しています。
また、中期経営計画は、業績、社会情勢及び経済情勢等を踏まえ、適宜見直しを行っており、変更が生じた際は、変更の背景や内容について、株主総会や決算説明会等で説明を行っています。
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本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |