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細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び軟骨再生シートの開発に注力していく。食道再生上皮シートは、国内で19/12期中の販売承認取得と販売開始を予定しており、20/12期には販売を本格化させたい考え。また、台湾事業において、細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シート・軟骨再生シート)の台湾での独占的な開発・製造・販売権を付与したMetaTech社への開発・製造関連データの提供に伴い、18/12期は10億円程度の対価を受領できる見込み。台湾事業の実績を踏まえ、細胞シート再生医療事業の普及を目指して、アジア諸国・欧米への更なる提携・ライセンシング等を推進していく。これらの取り組みにより、18/12期はセグメント売上高11億円が見込まれる。
再生医療支援事業では、器材製品の海外市場販売戦略の見直しを行い、改めて販売を強化する。また、一部サービスを拡張し、再生医療に関わる総合的なサポートを通じて、再生医療の研究開発・事業化を支援する再生医療受託サービスを開始する。18/12期は器材製品の販売でセグメント売上高70百万円を見込んでおり、19/12期以降、再生医療受託サービスが寄与してくる見込み。
食道再生上皮シートの進捗状況
18/12期第2四半期(2018年4月)に治験の症例登録が完了し、19/12期上期に販売承認申請を行う予定。2017年2月に先駆け審査指定を受けているため販売承認申請から6カ月程度で承認が下りる見込み。このため、19/12期中の販売承認取得と販売開始を予定しており(販売は薬価収載後になる)、20/12期には販売を本格化させたい考え。病院(口腔粘膜採取)→培養施設(細胞をシート状に培養)→病院(細胞シート移植)というサプライチェーンの構築を並行して進めている。
欧州では、スウェーデンでの企業治験を検討しており、その推進役となる子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)を2015年5月に設立し、2016年には、欧州全体での承認を目指して、欧州医薬品庁(EMA)との相談を開始した。ただ、国内での細胞シート再生医療の事業化を最優先課題とし、欧州での食道再生上皮シート開発については「次期開発品目」の候補品目の一つとして開発優先順位を検討していく方針。
台湾事業は台湾MetaTech社との事業提携の下で進めており、MetaTech社は18/12期中の食道再生上皮シートの治験届提出に向け準備を進めている。18/12期上期に一部開発データの提供が完了し3億25百万円の売上を計上し、第3四半期には1億75百万円を計上した。第4四半期には、更に5億円程度の売上計上が見込まれている。台湾では、台湾版先進医療とも言える細胞治療関連の法改正が進められており(2018年9月施行予定)、対象に同社の軟骨再生シートが含まれる可能性がある。
軟骨再生シートの開発加速
自己細胞(本人の細胞)と同種細胞(他人の細胞)で研究開発を進めており、自己細胞による軟骨再生シートについては、東海大学で8症例の臨床研究の実績があり、先進医療の承認取得に向けた作業が進められている。10月に厚生労働省「第76回先進医療技術審査部会」の審議を通過しており、厚生労働省先進医療会議での審議を経て正式な承認手続きに進む。先進医療申請の結果を踏まえて企業治験が実施される。先進医療として承認されると、公的医療保険の対象外ではあるが、保険診療との併用が認められる。先進医療で使用される細胞シートの受託加工は同社が有償で実施する事が決まっている。
同種細胞による軟骨再生シートについては、2017年2月に東海大学で1症例目の移植手術が実施され、経過は良好。臨床研究として3年間で10名の患者への移植を予定しており、19/12期にかけて続く見込み(2018年上期までに3症例の実績)。この間に、同社は20/12期中の企業治験開始に向け、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談及び治験準備を進める。
世界展開に向けた事業提携推進
既契約先であるMetaTech社への支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外の事業提携先を探索していく。
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