ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

プライム

ブリッジレポート:(2317)システナ vol.42

(2317:東証1部) システナ 企業HP
逸見 愛親 会長
逸見 愛親 会長
三浦 賢治 社長
三浦 賢治 社長
【ブリッジレポート vol.42】2019年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「上期は主要事業がそろって売上・利益を伸ばし、前期の大型案件の反動が懸念されたソリューション営業も、大型案件の受注に成功し増収・増益・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年11月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システナ
会長
逸見 愛親
社長
三浦 賢治
所在地
東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 54,320 5,170 5,147 3,542
2017年3月 46,255 3,693 3,407 2,197
2016年3月 42,695 3,172 3,208 2,249
2015年3月 36,951 2,226 2,322 940
2014年3月 33,969 1,656 1,746 1,797
2013年3月 31,662 2,244 2,292 1,203
2012年3月 30,630 1,822 1,918 904
2011年3月 39,176 2,579 2,661 2,957
2010年3月 3,636 490 536 340
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
株式情報(11/8現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,471円 97,541,840株 143,484百万円 22.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 0.9% 38.98円 37.7倍 694.14円 2.1倍
※株価は11/8終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
システナの2019年3月期上期決算との概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末の設計・開発・検証に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識及び基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。連結子会社9社及び持分法適用会社3社と共にグループを形成している。 ※連結子会社は、上記の他、東京都ビジネスサービス(株)の子会社(株)ティービーエスオペレーション。持分法適用会社StrongKey, Inc.及びONE Tech, Inc.はSystena America Inc.を通して出資。 【会社の経営の基本方針 -安定と成長のバランスを重視した経営-】 経営目標は、「日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える」。その実現のために、「破壊と創造」、「安定と成長」、「保守と革新」という相反する課題をバランス良くコントロールし、常に振り子の中心点に経営の軸足を置いた、バランス経営を基本方針としている。 【目標とする経営指標】
・安定した高配当
・高い株主資本利益率
・高い売上高営業利益率
目標とする経営指標として、安定した高配当、高い株主資本利益率、高い売上高営業利益率を掲げており、その実現に向け、経営の基本方針に則り、高収益体質を目指して行く考え。当面の目標(中期経営目標)は、19/3期に連結売上高560億円、営業利益55億円、ROE20%の達成と年間配当1株当たり52円(2018年6月の株式分割を反映せず)の実施(配当性向40%以上)。
【事業内容】 事業は、ソリューションデザイン事業(18/3期売上構成比34.7%)、フレームワークデザイン事業(同8.5%)、ITサービス事業(同12.9%)、ソリューション営業(同42.1%)、クラウド事業(同1.8%)、コンシューマサービス事業(同0.9%)、海外事業(同0.1%)及び投資育成事業(同0.0%)に分かれる(調整額△1.0%)。 ソリューションデザイン事業 (株)システナ、(株)ProVision、(株)IDY、HISホールディングス(株)、Systena Vietnam Co.,Ltd. モバイル端末開発で培ったノウハウを強みとする自動運転やテレマティクス等の「車載」、電力、交通、航空、宇宙、防衛等の「社会インフラ」、通信キャリア、Eコマース、教育、電子書籍等の「ネットビジネス」、スマートフォン、家電、ロボット等の「スマートデバイス/ロボット/AI」及びワークフローや受発注システム等の「業務システム」の5つのカテゴリーに経営資源を集中させている。いずれのカテゴリーも、IoT関連のシステムやサービスの開発及び検証の引き合いが活発である。また、ベトナムの現地法人Systena Vietnam Co.,Ltd.が、ソフトウェア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点としての機能を担っている。 フレームワークデザイン事業 (株)システナ、(株)ProVision、Systena Vietnam Co.,Ltd. 国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発実績を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システム及び対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。現状では、業務の大半を金融系システムの開発・運用が占めているが、ITサービス事業やソリューション営業との連携による両事業が有する顧客へのクロスセル、或いはスマホアプリやWebアプリ等のソリューションでのソリューションデザイン事業との連携により、金融系の深耕と他業種への横展開を進めている。また、ソリューションデザイン事業と同様にSystena Vietnam Co.,Ltd.がオフショア拠点としての機能を担っている。 ITサービス事業 (株)システナ、東京都ビジネスサービス(株) システムやネットワークの運用・保守、ヘルプデスク、ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等。 ソリューション営業事業 (株)システナ ITプロダクト(サーバー、PC、周辺機器、ソフトウェア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売型のビジネスからサービス提供型のビジネスへシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へと変化するニーズを取り込む事で事業拡大、高付加価値化を図っている。顧客は電機メーカー、外資系企業等。 クラウド事業 (株)システナ クラウド型サービスの導入支援からアプリケーションの提供までを手掛けており、「G Suite」と同社開発の「Cloudstep」を組み合わせたシステナ版グループウェアのクラウドサービスや本年5月にサービスを開始したクラウド・データベースサービス「Canbus.\キャンバスドット」、スマートフォン向けフィッシング対策ソリューション「Web Shelter」などを提供している。現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。尚、「Cloudstep」とは、「G Suite」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上させるための業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。 コンシューマサービス事業 (株)GaYa 連結子会社(株)GaYaを中心とする事業である。(株)GaYaは、スマートフォン向けゲームコンテンツを開発し、大手SNSサイトへ提供している他、他社が開発・リリースしたゲームの運営受託も手掛けている。 海外事業 Systena America Inc. Systena Vietnam Co.,Ltd. 米国の現地法人はモバイルや通信関連の開発・検証支援と米国の最新技術・サービスの動向調査・インキュベーションを二本柱とし、ベトナムの現地法人はソフトウェア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点との位置づけ。 投資育成事業 2016年4月1日に設立した戦略子会社(株)インターネットオブシングスが、Iot、ロボット、FinTech、ソーシャルメディア関連の企画・開発・販売・サービス提供を手掛けている。
 
 
2019年3月期上期決算
前年同期比8.2%の増収、同49.2%の営業増益 売上高は前年同期比8.2%増の272億10百万円。ネットビジネス、eコマース、車載、IoT、ロボット・AIを中心に主力のソリューションデザイン事業が同13.8%増と伸びる中、大型保険システム開発や基盤構築案件の拡大でフレームワークデザイン事業が同17.5%増と伸長。「ヘルプデスク」等の派遣型サービスから、「ITサポート」や「インフラ構築」といった請負型業務へのシフトを進めるITサービス事業も同8.9%増加し、自社開発商材をけん引役にクラウドサービスは同24.5%増と伸びた。 利益面では、ソリューションデザイン事業の利益率が6.4ポイント改善する等、高付加価値化の進展で主力サービスの利益率が改善。営業利益率が11.9%と3.3ポイント改善し、中期4ヵ年計画の目標である9.8%を超えた。営業外費用として新規事業育成に伴う持分法投資損失1億20百万円を計上した他、税負担率が上昇(29.2%→33.1%)したものの四半期純利益も同36.8%増加した。 (2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF) 上期末の総資産は前期末と比べて24百万円増の284億49百万円。借方では、回収が進み売上債権が減少する一方、現預金が増加。貸方では、仕入債務が減少する一方、純資産が増加した。自己資本比率64.8%(前期末59.5%)。 CFの面では、税金費用が増加したものの、税引前利益の増加と資金効率の改善で営業CFが36億02百万円と前年同期比52.2%増加した。投資CFは有形・無形固定資産や投資有価証券の取得等で5億27百万円のマイナス。配当金の支払いで財務CFもマイナスとなったが、現金及び現金同等物期末残高は118億38百万円と前年同期末比べて24億43百万円増加した。
 
 
セグメント別動向と見通し
ソリューションデザイン事業 売上高100億02百万円(前年同期比13.8%増)、営業利益17億09百万円(同82.3%増)。継続的に取り組んでいる選択と集中の成果で、ネットビジネス、eコマース、車載で収益性の高いシステム開発が増加。ベトナム子会社を活用したオフショア開発が軌道に乗りつつあり、ブリッジSEとして国内の地方開発拠点も活性化している。収益性の高いシステム開発の増加と開発面でのコスト低減及び率改善で営業利益率が17.1%と6.4ポイント改善した。 通期予想は売上高212億16百万円(前期比12.7%増)、営業利益32億75百万円(同23.2%増)。車載システム、インターネットサービス、ロボットの売上が増加する。車載システムでは、インフォテイメント(情報・娯楽システム)やエコカー(HV・EV)のエンジンECUといった成長分野で受注が増えており、インターネットサービスでは、大手通販企業のeコマース・ペイメント分野やスマートデバイスを活用したWebビジネス分野といった高収益分野で受注が増えている。ロボットでは、サービスロボットを活用したソリューションやコンサルティングが拡大する。自動運転、IoT・AIをキーワードとしたインターネットサービス、RPAやAIをキーワードとしたロボット活用関連での営業を強化する。 フレームワークデザイン事業 売上高25億46百万円(前年同期比17.5%増)、営業利益3億86百万円(同38.0%増)。メガバンクの決済システムの開発が保守フェーズに向け収束する中、大型保険システムと基盤構築の拡大等で既存金融顧客向けの売上が増加。新規サービス分野の育成に向け、業務自動化ソリューションのライセンス販売や導入支援を中心に展示会やセミナー等のプロモーションを積極化した。プロモーション展開に伴い先行投資的な費用が増加したが、これを吸収して利益率が改善した。 通期予想は売上高51億00百万円(前期比10.9%増)、営業利益7億円(同5.7%増)。収益性の高い案件ヘのシフ卜を進めると共に、品質と生産性の向上で競争力を強化している。下期は、損害保険会社のシステム再構築案件を中心に堅調な推移が見込める中、「保険システム」、「決済」、「社会インフラ」を軸とした開発プロジェクトへの参画に力を入れていく。また、本部間連携やメーカーとの連携(営業・マーケティングチャネルの活用)により、業務自動化(RPA)、クラウド、データ分析等の商材を拡充し、ライセンス販売や導入支援サービスの拡大にも取り組んでいく。利益面では、展示会出展や人員増強で営業利益率が13.7%と0.7ポイント低下する見込み。 ITサービス事業 売上高37億01百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益4億96百万円(同32.5%増)。人材動員力を強みとした「ヘルプデスク」、「システムオペレーター」等の従来の派遣型サービスから、「ITサポート」や「インフラ構築」といった付加価値の高い請負型業務へのシフトを進めている。この上期は提案営業の成果で顧客のプロフィット部門への「ITサポート」や「インフラ構築」、社内IT部門への「Windows10移行」とそれに伴う「スマートデバイスの導入」等、高付加価値なスポット案件の受注に成功。「AIチャットボット」、「セキュリティ商材」を営業フックに新規顧客の開拓も進んだ。 通期予想は売上高77億78百万円(前期比11.0%増)、営業利益10億01百万円(同22.0%増)。顧客のビジネス展開に直結したサービス提供による質的な変革(高付加価値化・高収益化)と新商材の展開・拡充による顧客数の増加と売上の拡大に取り組んでいく。高収益化に向けては、「へルプデスク」、「システムオペレー夕ー」等、従来からの人員動員力を強みとしたビジネスを脱し、プロジェクトで培ってきた丿ウハウ、英語対応力を活かせる「ITサポート」、「ITインフラ」、「PMO(Project Management Office:プロジェクトの統括的な管理やサポートを行うための機能)」、「LABO(研究開発)」といったサービス単位での請負型業務へのシフトを加速していく。 ソリューション営業 売上高102億99百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益5億71百万円(同4.6%増)。「働き方改革」をキーワードにした、モバイル・セキュリティ・クラウドでの需要喚起に取り組んだ結果、モバイルPCを中心としたWindows7から10への大型リプレース案件の受注に成功。懸念されていた前年同期のPC大型リプレース案件の反動減を回避できた。ロードマップ(中長期のIT投資計画)を把握し、タイムリーな提案でIT機器の導入案件を受注し、インフラ構築やシステム開発につなげ、更には保守運用を受注する、という高付加価値なワンストップサービス案件が拡大している。 通期予想は205億円(前期比10.4%減)、営業利益8億93百万円(同10.4%減)。大型PCリプレース案件が18/3期の収益押し上げ要因になった事や、ソリューション領域の拡大に向けたサービスメニューの拡充とリソース増強、オンプレミス(自社所有・運用)からハイブリッド環境への対応強化等の先行投資を計画しているため、保守的に減収・減益を予想している。ALL Systenaによる全てのサービスの提供やアプリを基軸とした新たなワンストップサービスの立ち上げにより収益力の強化を図る。また、(株)インターネットオブシングスとの連携強化によるセキュリティをキーワードとしたIoT関連商材(IDY、米国子会社等の商材)の販売・構築にも取り組んでいく。 クラウド事業 売上高5億45百万円(前年同期比24.5%増)、営業利益1億円(同108.1%増)。展示会やテレビCM等のプロモーションによる「データドリブン(データの分析・活用)」や「IT経営」をキーワードにした需要喚起が成果をあげ、ビジネスアプリケーションプラットフォーム「Canbus.(キャンバスドット)」の受注が伸びた。また、「働き方改革」の一環でグループウェアのクラウド化が進んでおり、「G Suite」や「Microsoft Office365」と連携する自社開発のグループウェア「Cloudstep」も堅調に推移した。 通期予想は売上高10億円(前期比2.8%増)、営業利益1億円(同35.5%減)。「Canbus.」の販売強化やブロックチェーン・AI・IoTといった新サービスの研究開発費負担を踏まえて減益予想としているが、「Canbus.」については、足元、Webプロモーションを中心とした販促活動の成果で引き合いが増加している。「Cloudstep」については、「G Suite」や「Microsoft Office365」との連携を深めたサービスを強化する。 海外事業(Systena America Inc.以下、米国子会社) 上期の米国子会社は、売上高46百万円(前年同期比9百万円増)、営業損失21百万円(同51百万円改善)。ソリューションデザイン事業とのシナジーによる日系企業からの開発・評価案件の受注で単月の損益が黒字化した。StrongKey社(セキュリティ)及びONE Tech社(IoT)とのビジネスを推進し、新規の顧客開拓に取り組んだ。 通期予想は売上高1億77百万円(前期比1億25百万円増)、営業利益5百万円(同1億51百万円増)。StrongKey社及びONE Tech社との新規事業を本格的に開始する他、全米屈指のIoTプラットフォーム提供企業であるPlasma社との協業によるEnd to End IoTソリューションをグローバルに展開していく。後者については米国のIoT ExpoにシステナのIoTソリューションを出展し、米国内外での販売を強化する。また、LPWA機器、センサー、IoT Gatewayといった機器販売にも力を入れる。従来からの現地の日系企業向けビジネスについては、既存顧客を維持しつつ、技術支援により日系製造企業の新規開拓・案件獲得に取り組んでいく。 コンシューマサービス事業 売上高2億05百万円(前年同期比22.5%減)、営業損失6百万円(前年同期は営業利益83百万円)。既存タイトルの売上が減少する中、新規タイトルの開発費が負担となり営業損失となった。 通期予想は売上高4億84百万円(前期比3.4%減)、営業利益31百万円(同52.3%減)。新規受注した受託タイトルの運営が第3四半期に始まる。また、第4四半期のリリースを予定していたソーシャルゲーム1タイトルのリリースを第3四半期に前倒しするべくリソースを集中して開発を進めている。
 
 
2019年3月期業績予想と中期4ヵ年計画(16/3期~19/3期)
通期予想に変更はなく、7期連続の増収、5期連続の営業増益。4期連続の営業最高益更新を見込む 大型案件の反動を織り込んだソリューション営業を除く全ての事業セグメントで前期比増収が見込まれ、売上高が560億45百万円と同3.2%増加。開発投資や人材投資を吸収して営業利益は60億12百万円と同16.3%増加する見込み。現在進行中の中期4ヵ年計画(16/3期~19/3期)において19/3期の目標としていた、売上高560億円、営業利益55億円を上回り、配当性向及びROEも目標達成が見込まれる。 配当は、1株当たり上期末6.5円、期末6.5円の年13円を予定している(予想配当性向33.4%)。2018年6月1日を効力発生日とする1:4の株式分割を考慮すると、実質年52円となり、6円の増配(4期連続の増配)。 (2)中期4ヵ年計画(16/3期~19/3期) 【ストラテジー - 自動運転、スマートシティ、ロボット、IoTソリューションの4分野に注力 -】 今後10年間で最も伸びる分野に経営資源を集中させていく。ターゲットとして、自動運転、スマートシティ、ロボット及びIoTソリューションの4分野を挙げている。4分野は、いずれも無線通信技術が不可欠な事から同社の強みを活かす事ができる。また、ロボットはAIの領域でもあり、今後、幅広い用途や需要が期待でき、この分野でいち早く技術とノウハウの蓄積を図る考え。 【主要セグメントの目標と取り組み】 ソリューションデザイン事業 車載・ロボット、Webシステム開発・検証の実績を活かした交通・電力といった社会インフラへの展開及びネットビジネスの支援(新たなサービスの創造を支援する)等で、19/3期に、売上高185億円、営業利益22億円の達成を目指していたが、18/3期に達成した(売上高188億33百万円、営業利益26億57百万円)。19/3期予想は、売上高212億16億円、営業利益32億75億円。 フレームワークデザイン事業 金融(保険・銀行)での開発実績やノウ八ウを活かして他業種の基幹システム関連等へ水平展開(ワークフロー開発や長期保守)を進めると共に、本部間協業の拡大によるストック型ビジネスへの転換を図り、19/3期に売上高65億円(15/3期比1.5倍)、営業利益8億円(同2.1倍)の達成を目指している。本部間協業・新規サービスについては売上20倍(0.4億円→8億円)、営業利益40倍(0.3億円→1.2億円)を目指している。19/3期予想は売上高51億円、営業利益7億円。収益性の高い案件ヘのシフ卜と品質・生産性の向上が進んでおり中期4ヵ年計画の利益目標の達成は手の届くところにあるが、展示会出展や人員増強による先行投資を優先する。 ITサービス事業 ヘルプデスクやシステム運用保守で培ったノウ八ウの活用と本部間協業により高付加価値サービス(グローバル競争力強化支援、ITサポート環境最適化、LABO運営、インフラ最適化、プロジェクト推進等)への転換を図る事で、19/3期に売上高70億円、営業利益7億円の達成を目指していたが、18/3期に達成した(売上高70億10百万円、営業利益8億20百万円)。19/3期予想は売上高77億78百万円、営業利益10億01百万円。技術者を15/3期末の870名から1,340名に増員する。人材育成のスピードアップも図り、リーダーの育成期間を15/3期の3年から1年に短縮する。 ソリューション営業 システナの全ての商材・サービスを販売する総合営業として、Systenaをリードしていく事業と位置付けている。事業戦略として、①オンプレミスのサーバーとクラウドサービスとの連携によるハイブリッド環境への対応強化、②ストックビジネスの拡大、及び③本部間連携によるシナジー拡大、を挙げている。19/3期に売上高200億円、営業利益8億円の達成を目指していたが、駆け込み需要の大型案件の寄与もあり、18/3期に達成した(売上高228億85百万円、営業利益9億97百万円)。19/3期予想は売上高205億円、営業利益8億93百万円。大型案件の反動を想定して保守的な予想となったが、中期4ヵ年計画の目標を上回る。 数値目標 既存ビジネス  売上133億円、営業利益3.3億円⇒売上高160億円、営業利益4.8億円(利益率3%) クラウドを利用したインフラサービス(ハイブリッド&ストック)  売上17億円、営業利益1.3億円⇒売上高28億円、営業利益2.4億円(利益率9%) クラウドを利用したSaaSビジネス(ハイブリッド&ストック)  売上0.5億円、営業利益0.0億円⇒売上高12億円、営業利益0.8億円(利益率7%) ※クラウドサービスは、フレームワークデザイン本部との連携により展開していく。 新企隊本部 新企隊本部を発足させた目的は二つあり、一つは、IoT、セキュリティ、FinTech、ロボティクス、コンテンツをキーワードとする高付加価値な事業創造を通じて、ストックビジネス(ロイヤリティ・ビジネス)の拡大を図る事。この一環として、関係事業を集約し投資効率の向上と営業連携の強化に取り組む。もう一つは、海外事業を早期に軌道に乗せる事。早期の黒字化に向け、海外子会社独自で事業活動を行うビジネスモデルから、システナ本体との連携強化によるALLシステナの経営資源を有効活用するビジネスモデルへの転換を図る。19/3期に売上高40億円、営業利益10億円の収益寄与を目指している(15/3期 売上高9億20億円、営業利益40百万円)。
 
 
今後の注目点
上期は主要事業がそろって売上・利益を伸ばし、前期の大型案件の反動が懸念されたソリューション営業も、大型案件の受注に成功し増収・増益となった。事業全般に取り組みの成果が現れているが、中でも目を引いたのが、ソリューションデザイン事業の利益率改善である。前年同期の利益率が悪かった訳ではなく、売上高と営業利益が過去最高を更新し続ける中で、6.4ポイント改善した。ソリューションデザイン事業は今後10年間で最も伸びると言われている自動運転、スマートシティ、ロボット及びIoTソリューションの4分野に経営資源を集中させており、しかも4分野全てで同社がモバイルで培ってきた技術を活かす事ができる。例えば、車載の場合、従来からある内燃エンジン系の開発ではなく、EV、コネクティッド、自動運転等、強みである通信技術が必要な新しい分野にフォーカスして受注を伸ばしている。言い換えると、従来からある開発分野がレッドオーシャンであるのに対して、同社がフォーカスしている分野は成長分野であり、かつブルーオーシャンである。また、SE派遣ではなく、収益性の高いプロジェクト単位の受託開発が増えている事も利益率改善の一因。受託開発とSE派遣では利益率が大きく異なる上、受託開発は自助努力で収益性を高める事ができる。同社はクライアントからの評価の高まりで受託開発が増えている事とベトナム子会社の品質の向上を踏まえ、ベトナム子会社によるオフショア開発を強化している(従来の3倍の委託工数を目標にオフショア開発を増やしている)。ベトナム子会社でのオフショア開発の拡大に伴い、本社や横浜の開発拠点とベトナム子会社をつなぐブリッジSEとして国内の地方開発拠点が活性化し、更に収益性が高まる、という相乗効果も現れているようだ。 加えて、成長分野に頼るだけでなく、ソリューション営業をシステナの全ての商材・サービスの総合営業として育成し、全ての事業の底上げと高付加価値化にも取り組んでいく考え。ソリューション営業が総合営業としてSystenaをリードしていく事ができれば、成長速度が加速しよう。今期で中期4ヵ年計画(16/3期~)が終了するが、来期以降も高い成長が期待できそうだ。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2018年06月26日 基本的な考え方 当社は、激しい経営環境の変化に対応し、経営の効率性を高めるために迅速な意思決定によるスピード経営を推し進め、永続的な事業発展と株主価値の増大および株主への継続的な利益還元を行っていくと同時に、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダー(利害関係者)との利害を調和させ、全体としての利益を最大化することを目指し、かつ、経営の健全性確保およびコンプライアンス(法令遵守)の徹底に努めるためにコーポレート・ガバナンスを強化させていきたいと考えております。 このため、外部専門家(監査法人、主幹事証券会社、弁護士、社会保険労務士、司法書士等)やステークホルダーからの指摘や提言を真摯に受け止め、経営の公平性、透明性に関して更なる充実を図る所存であり、持ち前の当社の機動性を活かし、会社規模に応じた体制を構築し、株主などのステークホルダーを絶えず意識した上場企業として一層の自己改革を図り、コーポレート・ガバナンスの強化と適時適切な情報開示に努める所存であります。 <開示している主な原則> 【原則3-1 情報開示の充実】 (1)経営理念、経営戦略、経営計画 当社は、経営理念や経営戦略、中期経営計画を策定し、開示しております。詳細は、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照ください。 「経営理念・行動基準」 https://www.systena.co.jp/about/idea.html 「経営目標と経営の基本方針」 https://www.systena.co.jp/ir/management/business_plan.html 「中期4ヵ年計画」 https://www.systena.co.jp/ir/management/business_plan.html 【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 当社は、株主との建設的な対話を促進するために、ディスクロージャーポリシーを定め、開示しております。詳細は、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照ください。 https://www.systena.co.jp/ir/management/disclosure.html また、そのための体制整備・取組については、本報告書「III 株主その他の利害関係者に関する施策の実施状況」の「2.IRに関する活動状況」をご参照ください。