ブリッジレポート
(6543) 株式会社日宣

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ブリッジレポート:(6543)日宣 vol.3

(6543:JASDAQ) 日宣 企業HP
大津 裕司 社長
大津 裕司 社長

【ブリッジレポート vol.3】2019年2月期第2四半期業績レポート
取材概要「前期は下方修正となってしまったが、今上期は新規顧客の開拓が進み、売上高に関しては第1四半期、第2四半期とも2桁増収と順調な推移である・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年11月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社日宣
社長
大津 裕司
所在地
東京都千代田区神田司町2-6-5 日宣神田第2ビル
決算期
2月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年2月 4,711 342 380 654
2017年2月 4,690 375 418 259
2016年2月 4,338 344 331 199
2015年2月 3,939 180 190 84
株式情報(10/25現在データ)
株価 発行済株式数(期末、自己株式除く) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,549円 1,949,900株 3,020百万円 28.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
42.00円 2.7% 131.98 11.7倍 1,324.33円 1.2倍
※株価は10/25終値。発行済株式数は18年2月末。ROE、BPSは前期実績。
 
株式会社日宣の2019年2月期第2四半期決算概要などをご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
放送・通信業界、住まい・暮らし業界、医療・健康業界を顧客とし、企業の課題解決のための戦略立案から、プロモーション設計、制作・開発、実行運用までをワンストップで提供。「総合力」、「小回り」、「きめの細かさ」を武器として競争優位性の高いポジショニングに成功している。 Web広告やVR(仮想現実)技術を用いた接客支援等のデジタル領域拡大に注力。「売上高100億円、経常利益10億円、デジタル領域構成比30%」の早期達成を目指している。 【1-1 沿革】 日本画家を志していた大津裕司社長の祖父大津健二郎氏は神戸の高級美術印刷会社でデザイナーとして活躍。その後、太平洋戦争に出征、復員した1947年4月、神戸市で前身となる広告会社 宣伝五洋社を創業した。 一般的な広告の取り扱いに加え、神戸という土地柄から造船会社が行う進水式のコーディネートや、百貨店の催事企画・ポスターの制作などを手掛ける中、戦後復興景気の中心産業であった繊維業界にも顧客層を広げていく。 昭和30年代に帝人株式会社の大ヒット商品となった「ホンコンシャツ(半袖のワイシャツ)」の発売にあたり、高級感ある包装パッケージを手掛けたのも同社であり、優れたデザイン・クリエイティブ力や商品プロモーション力、印刷までワンストップで手掛ける利便性が顧客に高く評価される。優良な業界・顧客へ直接取引により優れた企画やクリエイティブを提供するという同社の特徴は創業時から綿々と受け継がれている。 1955年、更なる事業拡大を志向し東京営業所を開設。 東京で顧客開拓を進める中、1972年には現在の主要顧客の1社である旭化成ホームズの取り扱いを開始した。その後、放送・通信業界、医療・健康業界にも顧客層を広げ売上、利益は着実に伸張。 2017年2月、東京証券取引所JASDAQ市場へ上場した。 【1-3 同社を取り巻く環境】 ◎広告市場の変化 従来の広告市場、特にテレビや新聞といったマスメディアを利用した広告ビジネスにおいては、サプライサイドであるメディアや広告代理店にとっては在庫の独占性や排他性が事業展開するうえで最も重要な要素であった。 大手広告代理店は限りのあるTVや新聞のスポット枠をほぼ完全に押さえることで広告主に対する価格リーダーシップを握り、大きな利益を生み出してきた。 ところがマス広告は、右肩上がりの経済成長の終焉と、従来のメディアと比較した際のコストの安さやその本質である双方向性を大きな特徴とするインターネット広告の登場により需要は縮小傾向にある。 株式会社電通による「2017年 日本の広告費」によれば、下のグラフが示す通り、日本の総広告費用が過去12年間でほぼ横ばいの中、新聞・雑誌・ラジオ・TVのいわゆるマスコミ四媒体はCAGR(年平均成長率)で2.4%の減少だったのに対し、2005年には3,777億円であったインターネット広告費はCAGR12%で拡大を続け、2014年には1兆円台に乗り、2017年には1.5兆円となった。 また、折込・フリーペーパー・DMなどプロモーションメディア広告も過去12年では2.0%のマイナスとなっている。 ただ、プロモーションメディア広告の2012年以降の推移をみると、折込やDMはマイナスとなっている一方で、展示・映像、屋外広告の広告費は堅調に増加、POP制作費も2012年比では約7%増加するなど、広告主の費用対効果意識が高まるに連れ、ターゲットを絞ったマーケティングを目的として各媒体の特性を活かしたプロモーションメディア広告の利用が進んでいることが見て取れる。 消費者の嗜好や行動の多様化が進む中、広告主の「売上増」に繋がるマーケティングやプロモーションに対するニーズは今後より一層強まることが予想される。 日宣は売上、時価総額規模は小さいながらもクリエイティブチームの内製化などにより高い営業利益率を実現している。 ただPER、PBRともに低水準にとどまっている。認知度の向上とともに、デジタル領域の拡大、売上高100億円への道筋をより具体的に投資家へ示す必要があるだろう。 【1-4 事業内容】 1.事業セグメント セグメントは「広告宣伝事業」と「その他」。(報告セグメントは広告宣伝事業の1セグメント) ① 広告宣伝事業 注力する業界を定め、顧客企業と直接取引をし、課題に対しての戦略立案・マーケティングから、プロモーション設計、制作・開発、実行運用までを自社サービス、自社メディア、自社コンテンツを用いながら広告ソリューションをワンストップで提供している。 現時点でのサービス提供先は主に下記の3業界。 ≪放送・通信≫ 全国CATV局・大手通信キャリア・番組供給会社に、新規加入者獲得・視聴促進等のセールスプロモーションを提供している。 中心は全国約100局のCATV各局に対する加入者向けテレビ番組情報誌「チャンネルガイド」(月刊誌)の企画・制作で、発行部数は約150万部/月。 CATV局はCS・BS・地上波・地上波BSまで約130チャンネルを取り扱っており、各番組の紹介記事等を作成するのはもちろん、毎月100局それぞれの番組表を作り分け、見易くかつ正確に編集しなければならない。 そのためにはシステム構築に一定の投資が必要であるとともに、運用についても十分なノウハウの蓄積が必要となるが、これらは高い参入障壁となっており、以前は5社程度あった競合も現在は1社のみとなっている。 日本全国にCATV局は約300局あるが、番組表を作成しているのはうち約240局で同社のシェアは4割。 CATV局にとっては必要不可欠な存在である。 また、大手通信キャリアが運営する動画配信サービスのレコメンドサイトの運営や、CATV局に対して実施する各種セールスプロモーションの提供も行っている。 ≪住まい・暮らし≫ (住宅) 40年以上にわたり大手住宅メーカー「旭化成ホームズ株式会社」のセールスプロモーションを行っている。 提供サービスは、全国キャンペーンの全体設計から個々の広告プロモーションの企画、カタログ、DM、チラシや住宅展示場の接客ツールの制作、イベントの企画運営、WEB・映像制作、空間デザイン等と幅広く、カタログや販促ツールについては在庫管理まで行っている。 近年では、位置情報を活用しターゲットにピンポイントで情報を届け集客する「ジオターゲティング」や、360°映像とVR(仮想現実)を使用した最新の体験型シアタールームなどデジタル関連の新規サービスを提供している。 旭化成ホームズの最新の体験型シアタールーム「HEBEL HAUS TOKYO PRIME SQUARE」 2017年1月、旭化成ホームズが東京営業本部(東京都新宿区西新宿2-4-1新宿NSビル)内に、インテリアや設備のショールーム「デザインスタジオ東京」と体験型シアタールーム「THE VISION HEBEL HAUS」を備えた打ち合わせスタジオ「HEBEL HAUS TOKYO PRIME SQUARE」をオープンした。 「THE VISION HEBEL HAUS」の概要 4方向(前・右・左・上)の壁・天井に配した連続型大画面スクリーンに映し出す臨場感あふれる360°映像により、ヘーベルハウスの新商品や最新展示場など約20事例の住空間をバーチャル見学でき、実際に足を運ばなくても何ヶ所もの展示場を気軽に楽しく体感することができる。 使い方は、ソファに座ったまま手のひらを画面に向けて動かすジェスチャーによるインタラクティブ操作となっている。また専用ゴーグル装着によるVR映像と違い見学者全員が同一体験を共有するため、家族全員で楽しさを共感しコミュニケーションを図ることができる点が特徴である。 (ホームセンター他) 全国のホームセンターで配布される来店客向け無料情報誌「Pacoma」(月刊誌)を企画・発行している。発行部数は約30万部。 メーカーからの広告集稿、ホームセンター企業への同誌の販売が主な売上。 ライフスタイル業界を中心とした顧客企業へ各種販促ツールを提供する他、培ったコンテンツ力を活かし、Webマガジン「Pacoma」を活用したWebプロモーション・PR施策の提供も行っている。 ≪医療・健康≫ (製薬企業) 製薬会社のMR(医療情報担当者)の活動支援を目的として、医師が出演する疾患予防啓発番組(全国のケーブルテレビやラジオで放映)を企画制作している。現在までの制作本数は約800本。 また、製薬企業が主催するセミナーや学会の企画や運営等も受託している、 (ドラッグストア) ドラッグストア来店客向け無料情報誌「KiiTa」(季刊誌)を企画・発行し全国約10,000店舗に配布。 また2016年12月からはドラッグストア企業売り場担当者向け無料情報誌「Re:KiiTa」(季刊誌)を発刊している。 両誌は日本チェーンドラッグストア協会の公認情報誌であり、製薬企業などからの広告集稿が売上高となる。 また、直近では大手ドラッグストアチェーンが発行するコミュニケーション冊子(月刊)を受託・制作することになった。 ≪その他≫ 上記以外の業界の顧客開拓も積極的に推進している。 特に、ホームセンター、ドラッグストアなど店舗展開を行っている企業を顧客としてきた同社の強みである店舗集客と店頭プロモーションの企画力を生かして店舗網を持つ企業へのアプローチを強化している。 直近では、大手サンドウィッチチェーン店の媒体の扱いから広告制作・店頭ツールまで全マーケティング施策を一貫して担当することとなった。キャンペーンのコンセプトの企画から、Web広告を活用した店舗集客、チラシ・ポスター・メニューなど店頭ツールの開発までプランニング・集客・購買促進をトータルに提供している。 その他にも、大手ピザチェーン店、自動車メーカー、大手飲料メーカー、決済サービス提供会社などへも顧客開拓が進展してきている。 ② その他 子会社・株式会社日宣印刷が各種商業印刷を受注しているほか、カタログ、パンフレット、チラシ、ダイレクトメール、ポスター等を受注・製造している。 またオリジナルのうちわの柄の貼り機を保有し、製法特許を取得した「エコ紙うちわ」をセールスプロモーションツールとして全国の多業種から受注・製造している。 【1-5 特徴と強み】 ◎ターゲットとする優良な業界を定めてユニークサービスモデルを構築し、規模を拡大 沿革で触れたように、同社は、昭和30年代は繊維業界、40年代は住宅、その後、放送・通信、医療・健康とその時代の成長業界・優良業界を主要顧客として成長してきたが、各業界ごとに広告やSPに対するニーズや課題は異なっている。 同社では、業界ごとの特有(ユニーク)な課題やニーズを把握したうえで、集客や売上拡大のための様々な手法を組み合わせた独自性(ユニーク)の高いソリューションをワンストップで提供することができ、これを「ユニークサービスモデル」と呼んでいる。 サービスを提供する中でノウハウを蓄積し、コア部分は内製化を進めて収益性を高めるとともにボリュームを拡大し利益を創出、新たにターゲットとする業界を定めてそこへ進出するというサイクルを繰り返すことで企業規模を拡大している。 ◎ユニークサービスモデルを支える社内体制 同社の大きな特徴である「ユニークサービスモデル」を支えている社内体制も大きな特徴である。 同社では顧客との間に代理店を介すことはなく、全て直接取引を行っているため、顧客の属する業界や企業の課題をダイレクトに吸い上げることができる。 吸い上げた課題に対してはクリエイティブディレクター、プランナー、コピーライター、Webデザイナー、映像ディレクターなどからなる社内の専門チームが最適なソリューションを創造する。 従来は外注が主であったが競争力の強化を目指す大津社長の方針により、10年ほど前からクリエイティブチームの内製化を進めてきた。現在では大手広告代理店などで豊富な経験を積んだスタッフ約30名を擁している。 最適なソリューションを創り上げるうえでのコア部分は内製化によってノウハウを蓄積しつつ、それ以外の部分は、優秀な外部協力会社(Web制作、SP制作、用紙、印刷、物流など)と緊密・強固なリレーションシップを構築して活用。顧客にとって最適なソリューションをワンストップで提供している。 ◎「総合力」をベースとした広告・SP業界における競争優位性の高いポジショニング 広告業界には規模、得意分野によって様々なプレーヤーが存在するが、同社はその独自性である「総合力」により競争優位性の高いポジショニングに成功している。 市場環境の項でも触れたように、TVや新聞などマスメディアのマイナス成長が続いている中、広告枠を寡占的に支配するビジネスモデルである大手広告代理店は、ネット広告にも注力を始めてはいるものの、その企業規模を維持するためにはマスメディアで効率的に収益を上げる必要があり、クライアントにPOP、SPのニーズがあったとしてもこれら小回りを利かせなければいけない分野に関しては外注を使う事となるため、十分な顧客満足度を提供することは難しい。 一方、ネット広告の拡大に伴い大きく成長し上場企業も多数存在するネット専業の広告代理店は、POP、SPなど「売りの現場」におけるアナログなソリューションを社内に有しておらず、今後もその企業文化や風土からそれらのソリューションを内製するという選択を行う可能性は低いと考えられる。 こうした中、広告・SPの企画から制作・実行までを、アナログ・デジタル含め幅広くワンストップでソリューションを提供できる同社の総合力はクライアントにとっては極めて魅力的なものである。 大手広告代理店とネット専業広告代理店のどちらも十分に対応することが難しいフィールドにおいて、「総合力」、「小回り」、「きめの細かさ」を武器としたソリューションを提供できるポジショニングこそが自社の強力な競争優位性であると同社では認識しており、今後もこの地位を更に強固なものとする考えだ。
 
 
2019年2月期第2四半期決算概要
増収増益 売上高は前年同期比12.7%増の25億54百万円。新規開拓した大手飲食チェーンや大手ドラッグストアが牽引した。 営業利益はほぼ前年同期水準の1億49百万円。新規顧客向け媒体仕入により原価が増加したほか、事業拡大に伴う人員増などで販管費も2桁の増加だった。 前年同期に固定資産売却益を計上していたため四半期純利益は同80.1%の減益となった。 ほぼ期初計画通りの決算となった。 四半期ごとの動向をみると、第1四半期、第2四半期の増収率はそれぞれ13.5%、11.9%とともに2桁の伸びとなっており、前下期からの回復基調を維持している。 *放送・通信業界 「チャンネルガイド」に加え、CATV局・番組供給会社・大手通信キャリアからプロモーション施策を受注した。 重点施策の一つとして「チャンネルガイド」のシェア拡大に取り組み、下期より複数局を獲得した。 *住まい・暮らし業界 主力顧客である旭化成ホームズグループについては営業と制作の一体化を進めることで、微増となった。 ホームセンター向け無料情報誌「Pacoma」の顧客企業からのセールスプロモーションが不調だった。 *医療・健康業界 主力顧客の製薬企業より各種疾患啓発キャンペーンを受注し、イベント運営からSNS施策まで幅広く提供した。 期初から開始した大手ドラッグストアチェーン向けコミュニケーション冊子等が、計画通り売上に寄与した。 *その他 計画通り、昨年開拓した大手飲食チェーンを大きく伸ばした他、中国案件など新規顧客も寄与した。 デジタル領域の取り組みに関しては、自社メディアを立ち上げたほか、展示会を開催した。 現預金減などで流動資産は前期末に比べ2億55百万円減少。固定資産は同63百万円増加し、資産合計は同1億91百万円減少の42億40百万円となった。 長短借入金の減少などで負債合計は同1億74百万円減少の16億75百万円。 自己株式の増加などで純資産は同17百万円減少の25億64百万円。 この結果、自己資本比率は前期末より2.2ポイント上昇し、60.5%となった。 税金等調整前四半期純利益の減少などで営業CFはマイナスに転じ、前年同期にあった有形固定資産(旧本社土地)の売却による収入が無くなり投資CFはマイナスに転じ、フリーCFもマイナスとなった。 長期借入金の返済額が縮小し財務CFのマイナス幅は縮小した。 キャッシュポジションは低下した。 (4)トピックス ◎デジタル領域の進捗 2018年5月に自社メディア「NISSENDIGITALHUB」を立ち上げ、AI領域のコンサルティングサービスの提供を開始したほか、2018年6月には新規および既存顧客に向けた、自社のデジタル領域の展示会「Nテク」を初めて開催し、数社からの受注が実現した。 2018年7月に事業開発を目的に、フィンテックファンドに出資した。 人員を増強し、自社のソリューションサービスの開発と営業を本格化させている。
 
 
2019年2月期業績見通し
業績予想に変更無し、増収増益を見込む。 業績予想に変更は無い。売上高は前期比13.3%増の53億40百万円、営業利益は同9.9%増の3億76百万円の予想。 上期の好調を医療・健康、その他業界が継続する他、放送・通信で業界イベントにより売上が伸長する。 上期は一時的に広告費の増加があったが、通期では抑制し、利益は回復する見込み。 ただ、デジタル領域の取り組み強化などで販管費が増加し、利益率は低下する。 配当は前期と同じく42.00円/株の予定。予想配当性向は31.8%。 (前期は固定資産譲渡に関するキャッシュを借入金の返済等を充てたため譲渡益を除いた利益で配当した。) *放送・通信業界 計画達成の見込み。 「チャンネルガイド」の新規局の開拓の他に、CATV局から4K放送についてのキャンペーンやデジタル施策を 受注することで成長を見込む。 大手通信キャリアから継続的に大型キャンペーン案件の獲得を図る。 *住まい・暮らし業界 計画未達へ。 旭化成ホームズグループについては前期同水準で着地する見通し。ホームセンター向け無料情報誌「Pacoma」の顧客企業からのセールスプロモーションが通期でも不調の見込み。 旭化成グループに関しては、集合住宅やリフォーム向けの成長が見込める他、接客ツール全般を制作しているノウハウを生かし、販売現場(展示場等)へのデジタル技術導入に注力する。 *医療・健康業界 大幅増収で計画上振れの見込み。 主力顧客の製薬企業や大手ドラッグストアチェーン向けが好調で、全体を牽引する。来期に向けての新規顧客の開拓や新規サービスの開発に取り組む。 *その他業界 戦略得意先に関してシェアアップ・クロスセルを進めるとともに、新規顧客を開拓する。コンサルテーション視点で、中長期的な関係の構築を図る。 日中ビジネスやデジタル領域のサービス拡充・積極的な投資を進め、サービス・コンテンツの強化を図る。 (3)各種取り組み (日中ビジネスの取り組み強化) 2018年1月、上海の有力広告会社「上海毅偉信息科技有限公司」と日中ビジネスにおいて日本企業の中国進出・中国企業の日本進出における支援ならびにインバウンド広告の強化を目的として業務提携を締結した。 上海毅偉信息科技有限公司は、中国の航空会社をはじめ、コンテンツホルダー(中国IP)やWEBプラットフォームとの連携に強みをもっている。 今回の包括的業務提携により、日宣は顧客企業に提案可能な中国インバウンドマーケティングのための取扱い媒体を増やすことができる。 また、日宣の主力サービスの一つであるケーブルテレビ加入者向けテレビ番組情報誌「チャンネルガイド」を通じた様々な日本のコンテンツホルダーとのネットワークの強みを活かし、両社で成長著しい中国企業の日本への進出をサポートするとともに、魅力ある日本商品の中国市場への発信も支援していく。 また、上海最大手メディアである「SMG(SHANGHAI MEDIA GROUP)」のパートナーとして、日本の舞台「ムサシ」の上海公演を支援するほか、テンセントの子会社「CHINA LITERATUR」や、中国の3Dアニメ制作会社「kaca」と組み、中国における日本アニメの展示会「AnimeJapan」の開催支援も手掛けるなど、日本コンテンツのアウトバウンド推進に取り組む。 また、中国コンテンツの日本での展開も支援する。 (デジタル領域の取り組み強化) ネット広告拡大、デジタルコンテンツ制作の増大、自社メディアの育成、VRやARなどデジタル関連の新技術の利活用などにより18年2月期 8.4%であったデジタル領域の売上構成比を売上高100億円の時点で30%まで引き上げる計画だ。 足元は以下のような取り組みを進めている。 自社メディアや展示会からの案件化が進展している。セミナー開催、メールマーケティング、SNS活用などによって見込み客開拓を強化する。 大手顧客へのデジタルマーケティングコンサル、施策提供が拡大中で、AIソリューションやハッカソンプログラムなどを武器に新規顧客開拓も推進中である。 ファンドへの投資やAIソリューションサービスの開始を通じ、スタートアップとの連携を強化中。自社サービス開発を進めるとともに、スタートアップからのプロモーション受託も推進する。 (人材採用・育成の取り組み強化) これまでは、即戦力・ミドル層を中心に採用を行ってきたが、今後はデジタル時代のマーケティング力・ソリューション力強化のためには若手中心に組織力を高めていくことが必要であると考え、新卒を含めた採用・育成を強化しており、コア人材である正社員採用は順調に進んでいる。 2018年2月期中に放送・通信事業の「チャンネルガイド」に携わるアルバイト社員を正社員に転換した。 2019年2月期は新卒採用を強化し、4月に9名が入社(2017年4月は3名が入社)した。中途採用により広告ビジネス経験者、デジタル系人材及びマネジメント層の採用を推進する。 (M&Aや提携の取り組み強化) 事業承継のM&Aは増加傾向にあり、長期の取引関係のある優良な顧客をもった中小規模の広告会社のM&Aを進めるほか、ベンチャーキャピタルを通じた投資等により、優良スタートアップとの関係強化や協力先を開拓する。 事業拡大と優秀な技術獲得を追求する。 (今後の成長見通し) 全ての業界においてデジタル領域を拡大させるとともに、新規顧客開拓やM&A・業務提携により、新しい業界へ進出し、規模を拡大する。 また、スタートアップとの業務提携や出資により、新サービスを立ち上げる。
 
 
今後の注目点
前期は下方修正となってしまったが、今上期は新規顧客の開拓が進み、売上高に関しては第1四半期、第2四半期とも2桁増収と順調な推移である。 ただ、新規顧客向けの媒体枠確保のため原価が上昇したこと、新卒含め採用も進み人件費も増加したことなどから利益の進捗は例年に比べスローのようである。 下期にどれだけ積み上げていくことができるかを注目したい。 また、注力中である「デジタル領域の拡大」がどれだけスピーディーに進むかも見守っていきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年5月31日 <基本的な考え方> 当社は、「ユニークなコミュニケーションサービスの提供によって、お客様の経営に貢献する」、「全社員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念のもと、株主をはじめとして、取引先、従業員を含む全てのステークホルダーにとって継続的に企業価値を高めることが重要な経営課題と位置づけております。このため、当社グループの持続的成長と企業価値の最大化を図るとともに、経営の透明性及び効率性を向上させるべく、取締役会及び監査役会の監督機能並びに内部統制システムを通じたコーポレートガバナンスの強化に取り組んでおります。 <実施しない主な原則とその理由> 「当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施しております。」と記載している。