同社は、グループの新しい中期ビジョンとして、企業経営そのものを支援し、中小・中堅企業の利益に貢献する『次世代経営コンサルティング』の確立を掲げた。既存の事業領域である情報通信の知識・技術を駆使した経営コンサルと強みである独自の海外進出ノウハウを活用した経営コンサルに加え、2013年にM&Aを行った株式会社アップルツリーの活用により、重要度が高まっている環境問題にいかに配慮し、事業を展開、環境に貢献していくかの経営コンサルが可能となる。加えて、情報通信分野、海外分野、環境分野において顧客企業の社員教育がワンストップで実施できる体制が整備された。また、同様に2013年にM&Aを行った株式会社アイテックがグループに加わったことで、顧客企業の人材・教育分野でのサービスのラインナップも強化された。同社は、これら4分野において、売上拡大と業務効率改善とリスク回避のためのコンサルティングを実施し、中小・中堅企業の利益に貢献する。
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次世代経営コンサルティングサービスの中核をなすのが、情報通信分野(国内)と海外分野におけるアイコンサービスの提供である。アイコンの基本サービスは、経営のよろず相談サービス、定期訪問&通信技術を使った遠隔サポート、パソコン・ネットワーク状態監視サービス、各種アプリケーションの問合せサービス、お客様専用サイトの運営などがある。
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よろず経営相談は、定期的に顧客のもとへ訪問するコンサルタントが、企業経営にまつわる「困った」を解消するサポートを行う。
売上拡大や販路拡大、新規開拓、ビジネスマッチング、人材募集、資金繰り、事業承継など、幅広い分野を支援。同社だけではなくグループ全体やパートナー企業の協力も活用しながら解決方法のアドバイスを行う事業。
18/3期のよろず経営相談件数は15,219件(前期は16,595件)となり、前期比8.3%減少した。同社は17/3期より相談件数の増加から、相談の質の追求へ戦略を変更したことが影響している。電話によるよろず相談は着実に増加しており、今後はより利益に直結する相談が増加するものと期待される。
OEMによるアイコンサービス導入件数の推移
また、同社では、アイコン事業の更なる拡大・強化のためアイコンのOEMによるネットワーク作りに注力している。同社の差別化された新しいビジネスモデルのノウハウの提供を通じて、パートナー数とアイコンユーザー数の拡大を目指す。18/3期のアイコンサービス導入件数は、28,765件と前期比13.9%増加した。中でも、18/3期のOEMによるアイコン導入件数は、10,320件となり同46.3%の大幅な増加とアイコンサービス導入件数全体の伸びの原動力となっている。
アイコンサービスの売上高推移
「アイコンサービス」開始以降、利用する顧客数やアイコン関連の売上高は順調に拡大しているものの、今後も新サービスのリリースやOEMの積極的な展開などにより高収益事業であるアイコンサービスの売上拡大を目指す方針。18/3期のアイコンサービスの売上高は、前期比6.2%の増加と堅調に推移した。
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アイコン売上高と営業利益は相関性が高い。アイコンサービス開始からの10年間で見ると、アイコン売上高が1増えるとそれ以外のビジネスにも相乗効果が生じ営業利益は約1.5増える傾向がある。今後もアイコン売上高の拡大を通じた、営業利益の拡大が期待される。
(2)海外分野の拡大-海外進出支援事業の拡大
同社の大久保会長は、十分な教育の機会が無いカンボジアにおいて、自らが設立し理事長を務める公益財団法人CIESF(シーセフ)を通して、教育インフラの構築から人材教育に至る広範な支援活動に取り組んできた。
ASEAN進出支援事業は、このCIESFの活動を通じて培った経験や人脈が活きている。「同社グループ及び顧客である中堅・中小企業の事業の成長を考える上で、アジア地域の成長を取り込む事が重要」という考えの下、既に、カンボジア(10年5月)、インドネシア(11年7月)、及びベトナム(11年8月)に現地法人を設立しており、12年3月にはミャンマーに駐在員事務所を開設した。
更に、現地での支援体制の更なる充実・強化を図るために13年2月に現地法人の認可を取得し準備を進めてきたミャンマーでは、14年4月より事業活動が本格化した。18年3月末現在で、海外8拠点(現地法人及び海外関連会社)の現地従業員数は256名となっている。
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同社のASEAN進出支援事業である「グローバルアイコンサービス」は、海外進出前と進出後の様々な問題や障害を、ワンストップでサポートするビジネスモデルである。現在はカンボジアとベトナム、インドネシア、ミャンマーの4ヶ国で展開。情報提供から始まり、FS支援、現地法人の設立代行、人材採用・人材教育支援、バックオフィス整備支援、ネットワーク環境支援、現地パートナー開拓支援等をトータルサポートすることで、同社が最も得意とする情報通信技術を活用した日本と変わらない快適なオフィス空間を提供するビジネスヘつなげていく。日本と現地の両国で、トータルサポートを実施。
また、同社は、国内の行政機関、地域金融機関や海外の中央政府・行政機関、各国工業団地などとのアライアンスを積極的に拡大することで、「グローバルアイコンサービス」の潜在顧客を発掘・育成している。
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グローバルアイコンは、進出前の総合準備支援、事業計画の策定とカウンターパートとの交渉、総合調査支援や、生産委託先開拓、販売パートナー開拓、JICA等公的機関による海外展開支援の公募参加を目的とした事業可能性調査など6つのメニューでサポートが可能。
特徴的な海外進出支援事業の例 - ベトナムのレンタル工場
同社は現在、従来の海外進出支援コンサルから一歩踏み込んだ支援事業の一環としてベトナムのレンタル工場の運営に携わっている。これは、ベトナム南部のニョンチャックⅢ工業団地内に日系中小企業専用のレンタル工場を建設するものである。18haの敷地内に100社程度が入居できるスペースが作られ、日系中小企業の一大集積地となることが期待されている。また、開発にあたっては多額の資金を必要とすることから独立行政法人国際協力機構(JICA)の海外投融資制度を活用し、今後日系進出企業にとっていかなる支援とサービスが必要であるかの継続的なモニタリング調査が実施されることとなる。将来的に他の国や地域に進出する際の強力なノウハウを手に入れることができると期待が膨らむ。
また、埼玉県では同社と現地国営企業が共同で設立した本運営会社へ出資。今後埼玉県の中小企業の積極的なベトナムへの進出が見込まれる他、アライアンス先である国内39金融機関と4大手税理士法人等より紹介された顧客の進出も増加する予定。ベトナムレンタル工場への関心は高く、アライアンス先だけで既に100区画の予約枠が設けられている模様。
更に、現時点で建設済みの5棟に加え5棟を増設する計画を持っている。
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近年、地元企業の海外進出支援に積極的な自治体・官公庁との提携が拡大している。
海外事業の売上高推移
持分法対象として連結売上高に含まれないベースの数値ではあるが、積極的な海外拠点の拡充により、海外事業の売上高は拡大傾向にある。18/3期の海外事業の売上高は、6億91百万円(17/3期は6億32百万円)と前期比9.4%の増加となった。
先行投資負担が重く、海外主要子会社4社の利益寄与は当面小さいものの、今後は徐々に投資の回収が始まる見込み。
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※海外関連の売上で連結売上高には取り込んでいない数値も含む
(3)新規分野の拡大
人材・教育分野では、通信教育事業をクラウドサービスを使ったE-learningモデルへ再構築するなどE-learningによるコンテンツの拡販を行う他、ベトナムで人材紹介事業やカンボジア、ベトナム、インドネシア、ミャンマーで日系企業の社員研修の受託事業を行っている。