18/3期からスタートした新中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」は初年度から好調に推移している。計画を大きく上回って進捗しているため、いくつかの軌道修正をしながら進展している。
(1)「Kyoritsu Jump Up Plan」骨子
名称「Kyoritsu Jump Up Plan」
基本方針
Ⅰ.顧客満足度の向上
顧客満足度向上に繋がる商品・サービスを創造し、 顧客からの当社への評価を高め、さらなる信頼を得る。
Ⅱ.開発の先行的実施
事業拠点を拡大し、盤石な基盤を構築する。
期間 2017年4月~2022年3月
定量目標 年平均10%以上の利益成長
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将来の環境変化に打ち勝つ強固な事業基盤を早期に構築するため「顧客第一」を再認識し、顧客からのさらなる信頼を得ながら、 「先行的開発」を実施する方針。
(2)顧客満足度向上のための重点施策
1.人材育成強化
事業の拡大スピードに応じた人材確保を図る。
積極的に新卒採用をするとともに、顧客の気持ちに応えることのできる、能力の高い人材の安定確保に取り組む。
*人材の安定的確保・・・採用力の更なる強化に加え、定着(離職防止)の促進
必要新卒社員採用数
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18/3期は留学生38名を採用。外国籍の採用人数に制限はなく、優秀な人材は積極的に採用する。
採用ルート・・・寮事業で培った学校との良好な関係を活用。学校からの紹介により、18/3期に採用した寮利用校出身者は全採用者の47%に相当する145名であった。
↓
*研修プログラムの充実・・・サービスレベルの維持・向上、階層別研修制度の充実
↓
*多様な人材の活用・・・グローバル化へ対応すべく、多様な人材の確保と活用
↓
*顧客満足度の向上
2.寮事業
商品ラインナップの拡充と付加価値の向上
3.ホテル事業
ドーミーインにおいて、RevPARが当初予定以上の伸びとなる見込み
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訪日外客数は16年2,404万人、17年2,869万人、18年には3,342万人が見込まれ、政府が目指す20年4,000万人も射程圏内に入ってきた。こうしたことを背景に稼働率、客室単価ともに好調に推移しており、RevPARは中期計画の想定を上回って推移している。
(注)RevPARは客室単価×稼働率を指す、ホテル事業のKPI(Key Performance Indicatorの略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標)として重視される
(3)開発計画
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開発予定室数は寮事業で7,000室、ドーミーインで9,000室、リゾートで1,400室を計画する。
しかし下表のように進捗率は寮事業で57.6%、ドーミーインで進捗率93.0%、リゾートでは96.6%に達している。
特に大阪地区南部では稼働率が100%近い上、顧客の多くがインバウンド顧客で国内の予約が取れない状態であり、同地区で3棟の開発を予定している。
(4)定量目標の見通し
飛躍のための「開発先行型」プラン
18/3期~19/3期を「開発先行期」と位置付け、20/3期~22/3期に加速した成長を目指す考え。
尚、下図予想は当初の見通しから開発先行期においても利益成長をするプランに軌道修正されている。
(5)財務方針
開発投資は5年間で総額1,400億円が見込まれる。
キャッシュ・フロー700億円、オフバランス(セール&リースバック)650億円(当初計画の300億円から増額)、外部資金調達400億円で賄う考え。
これまでと同様にネットD/Eレシオ1.0倍以下で財務健全性を維持させる。
尚、不動産の流動化で上記650億円のほかに、追加でオフバランス300億円(原価ベース)を計画する。
(6)目標配当性向
13/3期以降連続して増配しつつも10%台にとどまる配当性向は、22/3期までに20%超を目指す。
(7)追加施策昨年12月に中期計画に絡んだ新たな施策を打ち出した。
新たに社長直轄の組織として、顧客との関係構築を進める「総合顧客ネットワーク室」を設立した。同社の利点である、学生、社会人、中高年、シニア、そして次世代へ生涯を通じて各事業との接点を保ち、同社の全商品、サービスをタイムリーに届ける。具体的には、顧客の情報を統合、分析し、宿泊申し込みからチェックアウトまでより簡素に迅速化する。
自社サイトを活性化させ、チャネルコストの削減を目指す
同社への宿泊に際して、予約は楽天トラベルなどを通じたものが多い。
こうしたことを受けて、自社サイトからの予約の誘導を進め、チャネルコスト(支払手数料)の削減を目指す。
自社サイト比率を15.2%に高めることで、22/3期単年度約5億円のコスト削減を目指す。
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