ブリッジレポート:(8061)西華産業 vol.1
(8061:東証1部) 西華産業 |
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企業名 |
西華産業株式会社 |
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社長 |
櫻井 昭彦 |
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所在地 |
東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
卸売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2018年3月 | 165,585 | 2,598 | 2,877 | 1,655 |
2017年3月 | 150,742 | 3,046 | 3,390 | 2,140 |
2016年3月 | 127,101 | 2,174 | 2,426 | 1,750 |
株式情報(7/10現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
「社業の発展を通じ社会に貢献する。これを我社の信条とする。」を企業理念に、機械総合商社として、電力、化学・エネルギー、産業機械、素材・計測分野の機械設備や機器等の販売およびサービスの提供を行っている。
現場密着の営業力、各事業における専門性の高さ、国内外70拠点に上る広範なネットワークの3つが特長及び強み。
設立70周年にあたる2017年、2027年に向けた長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」および2017年4月開始の新たな3カ年計画「中期経営計画CS2020」を策定、推進中である。
【1-1 沿革】
太平洋戦争終戦後の1947年7月、連合国最高司令官ダグラス・マッカーサーの覚書により旧三菱商事株式会社が解体を命ぜられると同時に、同年10月、初代社長中林恒治氏ら同社門司支店機械部門関係者が中核となり北九州市門司区に西華産業株式会社を設立。
「商道の精華:商いの本質を極める。自分も儲けるが、相手にも便宜を与える。」、「西の花形:西日本の花形企業を目指す。」、「華:将来、対中国貿易が盛んになるときに役立つかもしれない。」の3つが社名の由来である。
東京、大阪を含む国内各地に支店を開設した後、1954年11月には当時日本人が数名しか在住していなかったドイツ(旧西ドイツ)・デュッセルドルフに海外事務所を開設するなど、積極的な事業展開を行い、1961年10月には東証1部に上場した。
その後も、西日本を中心とした営業基盤の強化と、米国、欧州、アジア各地への拠点展開により機械総合商社として発展してきた。
設立70周年にあたる2017年、2027年に向けた長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」および2017年4月開始の新たな3カ年計画「中期経営計画CS2020」を策定、推進中である。
【1-2 企業理念】
以下のような企業理念及び行動規範を掲げている。
【1-3 事業内容】
(1)事業セグメント
機械総合商社として、電力、化学・エネルギー、産業機械、素材・計測分野の機械設備や機器、附帯製品の販売およびサービスの提供を行っている。
報告セグメントは、「電力事業」、「化学・エネルギー事業」、「産業機械事業」、「素材・計測事業」、「グローバル事業」の5セグメント。
① 電力事業
関西電力、九州電力、中国電力、四国電力、電源開発の電力会社および、和歌山共同火力を含めた共同電力会社など、西日本以西の電力会社を顧客とし、ボイラー、ガスタービンなどの事業用発電設備、排水や排ガスを処理する環境保全設備、セキュリティ設備や消火設備などの防犯・防災設備などを販売している。
仕入先は、三菱重工(株)と(株)日立製作所の合弁会社である三菱日立パワーシステムズ株式会社(MHPS)などであり、西華産業は、MHPSの火力発電設備の販売代理権を有している。
② 化学・エネルギー事業
化学会社、石油会社、製紙会社、鉄鋼会社、鉄道会社向けにボイラー、タービンなどの自家用発電設備、排水や排ガスを処理する環境保全設備などを電力事業と同じくMHPSなどから仕入れて販売している。
また、化学製品等のプロセス用製造設備を国内メーカーから仕入れて販売している。
③ 産業機械事業
幅広い産業分野の顧客に対して、国内メーカー製の繊維設備、食品加工設備、醸造設備、各種プラント設備、液晶関連設備、環境関連設備、無停電電源装置(UPS)などを販売するほか、メンテナンスも提供している。
また、直近では中国におけるEV(電気自動車)向けリチウムイオン電池用関連設備の販売が大きく増加している。
④ 素材・計測事業
国内電機メーカーを主要顧客として、電子機器用プリント基板製造関連装置などを販売しているほか、官公庁や研究機関向けに、レーザー計測機器や細孔径測定装置など先端技術を駆使した計測機器を納入している。また、産業機械向けの環境保全用計測装置や、水処理関係装置など幅広く扱っている。
海外メーカーからの仕入れが中心。
⑤ グローバル事業
(欧州)
車載関係の顧客に産業用ロボットを販売しているほか、工事などで使用される水中ポンプの販売及び、レンタルも行っている。
いずれも仕入先は日本メーカーが中心。
(北米)
日系自動車関係の顧客に日本メーカー製のエレクトロニクス基板実装関連機器を販売している。
(アジア)
繊維、化学、その他一般産業向けに日本メーカー製の機械設備を販売しているほか、繊維メーカーに対し繊維原材料を海外で調達し販売している。
(2)地域別売上高
国内売上が8割以上を占めるが、中期経営計画CS2020において全体戦略の一つとして、グローバル展開の加速を掲げており、海外売上高比率の拡大を目指している。
2018年3月期地域別売上構成
【1-4 特長と強み】
現場に近い営業力、各事業における専門性の高さ、国内外70拠点に上る広範なネットワークの3つが特長及び強み。
詳細は「3.櫻井社長に聞く」の項を参照。
【1-5 ROE分析】
伊藤レポート等で一般的に日本企業に要求される8%水準を安定的に維持するには至っていない。
レバレッジは比較的高水準であるため、利益率の向上を期待したい。
【1-6 ESGへの取り組み】
<E:環境>
環境方針として「地球環境の保全と向上に努め、持続可能な社会の実現に貢献する」という基本理念を掲げている。その一環として、2005年にISO14001を取得しており、環境配慮型商品の拡販に努めている。
同社が取り扱う環境配慮型商品は、ボイラーおよび焼却炉用排ガス処理設備や、化学・半導体工場向け有機溶剤回収装置など多岐に亘り、下記のように2018年3月期の受注実績は約760億円。
引き続き、単なる社会貢献という観点のみでなく事業活動を通じて地球環境の保全に寄与する考えだ。
<S:社会責任>
「社会責任」として、以下のような働き方改革に取り組んでいる。
「女性の活躍推進」
● 女性総合職採用の強化
● 女性社員のキャリア形成支援
● 女性管理職の登用
「従業員の健康促進」
● プレミアムフライデー制度の導入(取得率21%)
● 有給休暇の取得推進
● 健康診断におけるがん検診(腫瘍マーカーオプション)費用の会社負担
「人材育成」
● 各種階層別研修
● 海外研修派遣制度
<G:ガバナンス>
コーポレートガバナンス・コード全項目に対する取り組みをホームページで開示している。
18年3月期は、「取締役会の実効性評価」を行うと共に、任意の仕組みとして社外取締役および社外監査役で構成される「社長等選任審査委員会」を取締役会のもとに設置した。
また、招集通知の一部英訳や、ファクトブック作成による英語での情報提供にも取り組んだ。
持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために引き続きコーポレート・ガバナンスの充実を図ると共に、健全で透明性の高い経営体制を追求する。
【1-7 株主還元】
株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとしており、安定的な配当を基本方針としている。
営業・財務両面の効率的な業務運営により、経営基盤の強化を図るとともに、新しい事業の開発等の資金需要に対応しながら、連結配当性向35%を目途としている。
19年3月期は、中間25円、期末30円の合計55円/株を予定しており、予想配当性向は31.6%。
配当方針および通期の業績等を総合的に勘案して積極的に株主還元に取り組む。
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業績動向 |
増収減益
売上高は前期比9.8%増の1,655億円。産業機械事業、グローバル事業が好調だった。
営業利益は同14.7%減の25億円。産業機械事業のみ増益。粗利益が減少した一方で海外子会社の貸倒引当金の影響があり、販管費が増加し吸収できなかった。
当期純利益は同22.7%減の16億円。政策保有株式の一部売却を進め投資有価証券売却益を特別利益に計上したが、一部の国内子会社において減損損失を特別損失に計上した。
期初予想に対しては未達だったが、修正予想は売上、利益ともに上回った。
①電力事業
減収、減益。
電力会社向け発電設備用大型補修部品や定期検査工事の受渡が減少した。
②化学・エネルギー事業
減収、減益。
子会社の敷島機株式会社の業績は順調に推移したものの、一般産業向け新設発電設備や発電事業会社向け定期検査工事の受渡が減少した。
③産業機械事業
増収、増益。
新電力会社向け発電設備約260億円の大口受渡があったほか、リチウムイオン電池用関連設備受渡も順調に推移した。子会社の日本ダイヤバルブの業績も寄与した。
④素材・計測事業
減収、損失拡大。
プリント基板素材や子会社の映像および計測機器の受渡が減少した。ディスプレイ用強化ガラスの受託加工並びに同加工設備を販売する子会社の業績が低迷した。
⑤グローバル事業
増収、損失。
欧州子会社の水中ポンプ事業や米国子会社の基板実装関連事業が順調に推移し増収となったが、中国子会社の繊維原材料取引による貸倒引当金繰入の影響や、タイのプリント基板製造・販売子会社の量産開始の遅れにより損失に転じた。
増収増益を予想
売上高は前期比5.7%増の1,750億円の予想。化学・エネルギー事業が大きく回復。素材・計測事業も増収へ。
営業利益は同19.3%増の31億円を計画。下期からの回復を見込む。
配当は前期と同じく55円/株の予定。予想配当性向は31.6%。
①電力事業
減収予想。
得意とする石炭火力発電が逆風の環境下にあるが、原子力発電の再稼働やテロ対策工事などに引き続き注力する。今まで手薄だった北海道地区にも、人材を投入する。減収ながらも安定的な推移を見込む。
②化学・エネルギー事業
増収予想。
石油会社向けコークス発電設備約260億円の大口受渡を見込んでいる。
また、バイオマス発電等再生可能エネルギー関連商談や海外向け化学プラント商談に取り組んでおり、今後に期待。
③産業機械事業
減収予想。
前期のような発電設備の大口受渡はないが、リチウムイオン電池用関連設備の売上が100億円強増加し、約200億円を見込んでいる。また、その他の産業機械設備も前期並み。
前期売上高に近づけるべく、リチウムイオン電池用関連設備や自動化設備商談等に積極的に取り組んでいく。
④素材・計測事業
増収予想。
プリント基板および各種計測機器の受渡や、子会社の業績回復を見込んでいる。
⑤グローバル事業
増収予想。
欧州、米国、タイの設備機器販売の子会社は、前期と同様に、業績は順調に推移する見込み。
前期の中国子会社における業績不振や取引先の倒産による貸倒引当金の計上、タイのプリント基板製造・販売会社の量産開始遅れなどによる影響は収束しつつあり、来期以降に期待している。
(3)トピックス:リチウムイオン電池関連設備について
2015年の取り組み開始から、主にリチウムイオン電池の構成部品であるセパレーター、および正・負極材等の
製造装置を中心に営業を展開してきた。
売上高は順調に拡大し、今期は200億円を見込んでいる。
加えて、取扱アイテムは、従来のセパレーター、正・負極材等の製造装置に加え、電池パック製造装置、EV組み立て装置、各種原材料等に拡大している。
中国のEV業界は、既に過剰な生産設備になっているとの報告もあるが、同社への商談数は減少することなく、また、顧客も北京、上海、蘇州、深セン地区に加え、合肥、重慶、成都など地方都市にも拡大している。
更に人材投入を進め、引き続き積極的に中国EV業界への深耕を進め、収益拡大を図る。
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中期経営ビジョン及び中期経営計画 |
(1)中期経営ビジョン及び中期経営計画の概要
同社は、2027年に向けた長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」および2017年4月開始の新たな3カ年計画で「中期経営計画CS2020」を策定した。
①長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」
*策定の目的
2017年は設立70周年を迎える節目の年であり、長期的な視点に立ってグループの進むべき方向性を明確にし、グループ社員一丸となり大きな変革を目指していく為に、それまでは3年おきに策定していた中期経営計画に加えて、長期経営ビジョンとして「10年後の西華産業グループ像」を策定した。
*概要
グループ像及びそれを実現するための長期方針を以下のように設定した。
②中期経営計画CS2020
*概要
「10年後の西華産業グループ像」を見据え、2017年4月から2020年3月までを第1ステップと位置付けて、「中期経営営計画CS2020」を実行する。
*基本方針「変革と進化」
前中期経営計画CS2017の基本方針「事業領域の多様化」は同社グループにとって重要な経営課題だが、これを進めていくためにはビジネスモデルの変革と従来ビジネスの進化が必要不可欠であるため、「中期経営計画CS2020」の基本方針を「変革と進化」とした。
策定時の経営数値目標は以上のように設定していたが、18年3月期の実績は16.5億円となった。ただ、目標未達の主な要因は、子会社の特損など一過性のものと考えている。
中計2年目の19年3月期は目標24億円に対し22億円の予想。
各セグメントとも、目標達成のために、スピード感を以って、施策を確実に実行していく考えだ。
(2)「中期経営計画CS2020」 2年目の取り組み
2年目の全体戦略への取り組みとして、「新たなビジネスモデルの構築」、「従来ビジネスの進化」、「グループ経営・グローバル戦略の加速」、「人材育成および職場環境の充実」を掲げている。
①「新たなビジネスモデルの構築」
新規事業の1つとして、蒸気・電気の供給事業を目的に愛知県知多市に設立した名南共同エネルギーは計画通り2018年2月から営業を開始した。
また、IoT関連やバイオマス燃料ビジネスのプロジェクトを立ち上げた。
引き続き「事業領域の多様化」を推進していくため経営資源を積極的に成長分野に投入する。
②「従来ビジネスの進化」
電力事業では、従来の発電分野に加え、送電分野、海外市場への展開を開始した。また、産業機械事業では、これまでも販売してきた無停電電源装置(UPS)はデータセンター等に大きな需要が見込まれるため、販売体制強化のため、2018年6月、東広島にサービス拠点を設立した。
引続き事業環境に柔軟に対応し収益の拡大に繋げていく。
③「グループ経営・グローバル戦略の加速」
2017年4月、関係会社戦略本部を設置し、国内外の関係会社の統括および支援体制を強化した。
今期は欧州およびアジア地区における新たな拠点の設立等、収益拡大に向けて検討を進めている。
引続きグループ各社の特色、強みを最大限に活かすと共に、シナジー効果を発揮し、グループ収益力の向上を目指す。
④「人材育成および職場環境の充実」
変革と進化に対応し、国内外で活躍できる人材を育成するために、階層別研修制度および海外研修制度に注力する。
また、社員が生き生きと働くことができる魅力溢れる職場環境の充実を図る。
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櫻井社長に聞く |
2018年4月に同社第11代目の社長に就任した櫻井 昭彦社長に、自身のミッション、同社の強みや特徴、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。
Q:「新社長としてご自身のミッションは何だと考えていらっしゃいますか?」
A:「株主を含めた全てのステークホルダーとの信頼関係を深める中での企業価値向上、そして社員の夢を実現させるための環境作り、これに加え、当社のビジネスのあり方そのものを見直すことも社長としての私の重要な役割であると認識している。」
昨年2017年に設立70周年を迎えた当社は、これからも東証1部上場企業として持続的に収益を上げることはもちろんのこと、株主を含めた全てのステークホルダーとの信頼関係を深め、企業価値を向上させなければならない。
これがまず第一に私が果たすべきミッションと認識している。
二つ目が社員のための環境作りである。
当社では、「社員の夢を会社を通じて実現する。それが会社自体の成長につながる。」と考えている。
そのため社員とのコミュニケーションを通じて社員の夢は何かを常に確認している。
社員の夢を実現させるために必要なのが、「健全経営」、「風通しのいい土壌」、「安心して働けることつまり安定した収益」の3つであり、これらをしっかりと整備することも私の重要な役割であると考えている。
さらには、持続的な成長を果たすために当社のビジネスのあり方そのものを見直すことにも取り組まなければならない。
当社は機械の専門商社として70年に亘り、様々な業界の多くのお客様に支えられて来た。商売もこれまでの様に製品を仕入れて販売する手数料ビジネスでさらに20年、30年とやっていくことはできるのかを自問しなければならない。
目先の収益は、各事業とも個々の戦略で対応可能だが、創業100年を見据え、現在とは違ったもっと高い次元で発想、行動する必要がある。
それを念頭に置き、常に意識、準備するよう社内にメッセージを発信している。
Q:「社長が考える自社の強みや特長を教えてください。また、それを更にブラッシュアップするための取り組みをお聞かせください。」
A:「現場に近い営業力、各事業における専門性の高さ、国内外70拠点に上る広範なネットワークの3つだ。」
まず第一に、70年の歴史の中で培われてきた現場に近い営業力だ。
きめ細かい対応で、人脈を形成し、信頼関係を構築することが安定的な受注獲得に繋がっている。
次いで各事業における専門性の高さ。
商社中抜き論なども言われるが、当社は豊富な情報収集力と、お客様の先を行く提案力など、高度な専門性を有する必要不可欠なビジネスパートナーとご評価いただいている。
三つめは国内外70拠点に上る広範なネットワークだ。
実は10年前にはまだ30拠点程度であったのだが、グローバル化を見据え、ヨーロッパおよび東南アジアを中心に急速に拠点を拡大させてきた。
情報のスピード、網羅性はさらに高まっており、有効に活用することで当社の存在価値を更に高めていきたい。
社員の育成・強化はOJTが中心で、先輩社員や上司が必要な基本動作を重点的に教育しており、また、各種階層別研修や海外研修制度にも力を入れている。
加えて、最近はメーカーや顧客のOBの方々にコンサルティングを依頼し、営業現場の支援を行っていただいている。
こうした方々のアドバイスは当社の専門性を更に高めることに繋がり、貴重な戦力となっている。
Q:「次に、長期経営ビジョン「10年後の西華産業グループ像」および「中期経営計画CS2020」についての重要ポイントをお話しください。」
A:「事業環境の変化に適応し、ビジネスモデルの変革と進化を進め、グローバルな企業グループとなるための土壌づくりの第1ステップとなるのが、「中期経営営計画CS2020」だ。第2ステップ、第3ステップへと進む中で、大胆な発想やより踏み込んだ取り組みによって理想の企業像へ近づけていく。」
これまで当社では3年の中計が中心で、具体的な長期プランは策定してこなかったが、70年を振り返り、次の100年に向かうためには3年ごとの積み重ねではなく、10年の計が必要と考えた。
「10年後の西華産業グループ像」および「長期経営方針」にあるように、事業環境の変化に適応し、ビジネスモデルの変革と進化を進め、グローバルな企業グループとならなければならない。
その「10年後」を見据えて、土壌づくりの第1ステップとなるのが、全体戦略において新たなビジネスモデルの構築と、従来ビジネスの進化を掲げた「中期経営計画CS2020」だ。
ただ、中期経営計画CS2020は基本的に前中計の継承がメインテーマであり、真の変革には大胆な発想や、より踏み込んだ取り組みが必要となるので、第2ステップ、第3ステップへと進む中で理想の企業像へ近づけていくことになるが、「中期経営営計画CS2020」においてはまずしっかりと足固めを行う。
Q:「足元のビジネスの中で期待したいもの、新たな取り組みなどはいかがですか?」
A:「EV向けリチウムイオン電池用部品製造装置は、大きなビジネスチャンスにつながると期待している。またIoTに関しても積極的な取り組みを始めている。」
2015年から開始した、主にEV向けリチウムイオン電池の構成部品であるセパレーターおよび正・負極材等の製造装置ビジネスは順調に育っている。また、収益だけでなく取扱アイテムと顧客の拡大にもつながっているEVには電気の最適配置の「Smart Grid」など、当社の経験が生かせる分野は、数多く存在しており今後のビジネスチャンスは極めて大きいと期待している。
また、IoTの導入に関しても積極的な取り組みを進めている。
当社では「プロジェクト助成」という社内制度がある。
これは、年2回、各部単位で新たなプロジェクトの立上げを申請し、有望なプロジェクトであれば当初予算とは別に期中でも予算を付けて取り組ませるというもので、「変革と進化」を促すために5年前に立ち上げた制度なのだが、IoTを用いて機械の故障診断を行うというプロジェクトをこの制度をきっかけに立ち上げた。
メーカーと共同でのソフトウェア開発、機器への搭載、検証を経て、デモ機が完成し、近々展示会にも出展してユーザーの反応を探る段階まで来ており、順調にいけば秋口から本格的な販売を開始する。
技術者不足、働き方改革などを追い風に、IoTの活用はメーカー、顧客ともにニーズは大きく、スピード感を持って取り組んでいく考えだ。
Q:「では最後に株主や投資家へのメッセージをお願いいたします。」
A:「10年後の当社のあるべき姿を目指して全社一丸となって邁進していくので、中長期の視点で当社を応援していただきたい。」
1961年の東証1部上場から60年近く経つが、上場企業として当社の考え方やビジョンを株主や投資家を始めとしたステークホルダーの方々に上手にお伝えすることが残念ながらできていなかった。
これからは、今まで以上に当社の想いやメッセージを皆様にお伝えし、当社へのご理解を深めていただけるように取り組んでいく。
事業環境の変化は目まぐるしく、グローバルな競争環境も激しいが、10年後の当社のあるべき姿「事業環境の変化に適応し、強固な経営基盤を有したグローバルな企業グループとなっている。また、グループ社員は開拓精神に燃え、各々の会社で働き甲斐を感じ、活力に溢れて一人一人が成長を実感している。」を目指して全社一丸となって邁進していくので、中長期の視点で当社を応援するファンになっていただきたい。
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<参考:コーポレート・ガバナンスについて> |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2018年6月27日
<基本的な考え方>
長期にわたって、当社の企業価値を守りかつ着実に増大させていくためには、事業発展のみならず、経営の健全性と透明性、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる経営体制の維持向上並びに明確なガバナンスが確立されていることが必要であります。すなわち、経営に対する株主の監督機能が適切に発揮され、また、執行者による業務執行の過程が透明で合理的・効率的でかつ遵法であることが必要不可欠であり、そのためのコーポレート・ガバナンスの強化は当社にとって、経営の最重要課題のひとつであると認識しております。
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