ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ vol.65

(6914:東証1部) オプテックスグループ 企業HP
代表取締役会長兼CEO 小林 徹
代表取締役会長兼CEO 小林 徹
代表取締役社長兼COO 小國 勇
代表取締役社長兼COO 小國 勇
【ブリッジレポート vol.65】2018年12月期第2四半期業績レポート
取材概要「ほぼ計画通りの上期決算であったが、株価は大幅な下落に転じ年初来安値を記録した。設備投資関連の市場環境はAI、自動化・省人化などを・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年8月22日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックスグループ株式会社
代表取締役会長兼CEO
小林 徹
代表取締役社長兼COO
小國 勇
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年12月 37,504 4,885 5,036 3,386
2016年12月 31,027 3,015 3,086 1,809
2015年12月 27,793 3,161 3,222 2,051
2014年12月 25,678 2,558 3,043 1,897
2013年12月 23,582 2,108 2,628 1,620
2012年12月 20,699 1,398 1,680 825
2011年12月 18,502 1,677 1,830 1,033
2010年12月 17,395 1,705 1,761 981
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
株式情報(8/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,371円 34,700,907株 82,275百万円 12.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.3% 99.78円 23.8倍 1,680.79円 2.8倍
※株価は8/10終値。発行済株式数は18年6月末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。PBRは当該株式分割を考慮。18年7月1日付で株式交換を実施。EPSは当該株式分割および株式交換に伴う新株発行を考慮。
 
オプテックスグループの2018年12月期第2四半期決算概要などについてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサや世界シェア30%・国内シェア60%の自動ドアセンサを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサ事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とする(株)スリーエース、グループ製品の製造を担うオプテックス・エムエフジー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。 【1-1. 事業内容】 事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連などからなる「SS(センシングソリューション)事業」、産業機器用センサを手掛ける「FA(ファクトリーオートメーション)事業」、画像処理用LED照明装置及びシステムを提供する「MVL(マシンビジョンライティング)事業」、前期まではSS事業に含まれていた中国で電子機器受託生産サービスを提供する「EMS事業」、スポーツクラブ運営を手掛ける「その他事業」に分かれる。 【1-2. 強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】 確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。 【1-3. 沿革】 1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約60%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。 近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNO.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化(18年7月に完全子会社化)した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行した。 【1-4. ROE分析】 17/12期のROEは好調な業績を受けて売上高当期純利益率が大きく改善したため、目標としている「10%以上」を達成した。
 
 
2018年12月期第2四半期決算概要
増収もMVL事業における投資等で営業減益 売上高は前年同期比6.3%増の196億74百万円。主要事業すべて順調に推移し、FA事業、MVL事業が牽引した。国内売上は同4.4%増の81億90百万円、海外売上は同7.6%増の114億84百万円だった。 営業利益は同4.2%減の26億9百万円。製品構成変化による粗利率の低下や、MVL事業におけるテスティングルームの増設、新商品開発投資、製造面での人員増など投資関連の販管費が増加した。 四半期純利益は同5.2%増の19億50百万円。投資有価証券の一部売却による特別利益3億86百万円を計上した。 売上、利益ともにほぼ期初計画通りとなった。 ◎SS事業 (防犯関連) 日本:警備会社向けおよびメガソーラーなど大型重要施設向け屋外警戒用センサ販売が伸び悩み、減収。 AMERICAs:南米地域の重要施設向け屋外警戒用センサの大型案件などで増収。 EMEA:英国のメーカー系子会社の業績が順調に推移し、増収。 アジア:豪州及び東南アジア向け警戒用センサの販売が伸び悩み、減収。 (自動ドア関連) 日本:国内大手顧客向け自動ドア用センサ販売が堅調に推移し増収。 AMERICAs :北米大手顧客向け自動ドア用センサ販売が順調に推移し、増収。 EMEA:欧州大手顧客向け自動ドア用センサ販売が伸び悩んだものの、為替影響により増収。 ◎FA事業 日本:半導体、二次電池、フラットパネルディスプレイ向けに加え、電子部品業界向けに変位センサの販売が順調で、増収。 EMEA:OEM先であるSICK社への販促推進活動の効果により変位センサの販売が順調に推移し、増収。 アジア:中国での省人化設備投資活況に伴い、変位センサの販売が順調に推移し、大幅な増収。 ◎MVL照明事業 日本:ソリューションの拡充やテスティングルーム開設による営業エリアの拡大が功を奏し、増収。 AMERICAs:北米地域でのスマホ向け大型受注や継続案件により増収。 EMEA :欧州地域の半導体市場が堅調で、大手顧客向けの売上が堅調に推移し増収。 アジア:東南アジア地域での販売は順調に推移したものの、中国での合弁解消により減収。 売上債権、たな卸資産の増加で資産合計は同9億3百万円増加の424億72百万円となった。 長期借入金の増加等で負債合計は同1億66百万円増加の97億28百万円。 利益剰余金の増加等で純資産は同7億38百万円増加の327億44百万円。 この結果、自己資本比率は前期末とほぼ変わらず70.4%となった。 たな卸資産の増加、有形固定資産の取得増などでフリーCFはマイナスに転じた。 長期借入による収入増で財務CFはプラスに転じ、キャッシュ・ポジションも上昇した。 (4)トピックス ◎ソフトウェア開発会社を子会社化 18年6月、主に各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とするソフトウェア開発企業である株式会社スリーエース(京都市)の全株式を取得し子会社化した。 (子会社化の背景・目的) オプテックスグループでは、主力事業会社であるオプテックス株式会社、オプテックス・エフエー株式会社及びシーシーエス株式会社において今後、通信システムやエンドユーザーまでを意識したトータルソリューション展開など、「IoT戦略」を推進するに当たりIT 技術の確保は重要な課題となっていた。 スリーエース社は約40年に亘り業務システム開発を手掛け、課題解決提案・システム設計及び導入・保守までをワンストップで提供することができるノウハウを有している。 同社子会社化により、IT技術及び開発を内製化しノウハウを蓄積することでトータルソリューションを充実させ、「IoT戦略」をより力強く推進することができると考えている。 ◎生産統括会社が営業開始 オプテックス株式会社及びオプテックス・エフエー株式会社の生産部門を分割統合し、両社の生産関連機能を統括する新会社として18年4月に設立したオプテックス・エムエフジー株式会社が、18年7月に営業を開始した。 今後は両社間で重複する生産管理・技術・購買などを新会社に集約するほか、生産技術開発の主導や、中国の自社工場で培った生産革新活動を国内協力工場にも横展開する等、グループ内生産機能の全体最適化を図ることで、生産性向上を目指す。
 
 
2018年12月期通期業績予想
業績予想に変更無し。増収増益を計画。 業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.0%増加の405億円を予想。全セグメント増収。営業利益は同8.5%増の53億円の予想。 一部の部品調達が下期にずれ込んだため上期の売上の伸びはややスローだったが、下期から回復すると見ている。経費についても前倒しで投資したものもあるため、営業利益、経常利益は前年同期比25%増益となる見込み。 配当は30円/株を予定。予想配当性向は30.1%。 FA事業、MVL事の進捗率は高く、通期でも牽引。 SS事業(防犯関連)は国内がややスローだが、下期は上期よりも上向くと見ている。 オプテックス・エフエーの米国子会社の立ち上がりがやや遅れたが、下期からスピードアップを図る。
 
 
今後の成長戦略
(1)FA関連事業の拡大 自動車(電気自動車、先進運転支援システム)、IoT(データセンター需要の拡大)、AI(省人化、働き方改革)、ロボティクス(省人化、生産年齢人口の減少)といった分野の成長が見込まれる中、半導体や電子部品の設備投資は今後も着実な拡大が見込まれており、FA用センサ、画像検査用LED照明、カメラなどの需要も増大すると見ている。 こうした環境を背景に同社では北米地域におけるファクトリーオートメーション関連の販売子会社であるオプテックス・エフエー初の現地法人OPTEX FA INC.を設立(持分比率100%)し、2018年4月2日より営業を開始した。 更なる成長が見込める米国ファクトリーオートメーション市場に本格的に参入し、これまでの専売代理店方式から直接コンサルティング方式に切り替え現場提案型営業を展開。競争力の高い「変位センサ」を戦略商品として自動車産業やIT産業(データセンターなど)をはじめとする新市場の開拓・新規顧客の獲得を進める。 3年後、4億円程度の売上高を目指している。 このほか、画像検査用LED照明において18年7月に完全子会社としたシーシーエス(株)とのシナジー効果追求による更なる事業拡大を目指していく。 カスタム照明に強みを持つシーシーエスと汎用照明に強いオプテックス・エフエーの相互の強みを掛け合わせ、これまで海外での実績がほとんどないオプテックス・エフエーが海外でも十分な実績を持つシーシーエスの販路などを使って売上を拡大させていく。 両社合わせた国内外のシェア(現在 国内50%、海外20%)を5年後には国内70%、海外50%まで引き上げる考えだ。 (2)IoT戦略の推進 前述したスリーエース社の子会社を契機とし、「IoT戦略」を大きく推進させる。 SS事業においてはカメラ付きセンサによる遠隔監視サービス、FA事業においてはIoT対応変位センサによる稼働状況監視サービスのための通信ソフトウェアの開発等が可能となる。 (3)製造力の強化 18年7月に営業を開始したオプテックス・エムエフジー株式会社は、各事業会社の生産機能連携により競争力の高い生産体制を構築するとともに、製造技術を磨き上げ、マザー工場として新製品の開発にも取り組む。 (4)業績目標 2019年の業績目標として、売上高500億円、営業利益75億円を掲げている。売上高に関しては、オーガニックでの450億円に加え、4~5社、計50~60億円程度のM&Aを実施する計画だが、数字ありきではなく、シナジー追求を第一義にして、案件を選定していく。 売上高営業利益率を今期予想の13.1%から15%へ引き上げる計画だが、コスト削減ではなくあくまでも事業進捗によって実現する考えで、セキュリティ分野におけるVisual Verification(画像確認)ニーズの拡大に対応した新製品の立ち上がりがカギを握る。
 
 
今後の注目点
ほぼ計画通りの上期決算であったが、株価は大幅な下落に転じ年初来安値を記録した。 設備投資関連の市場環境はAI、自動化・省人化などを背景に中長期的には需要は堅調と見られるが、同社に限らず昨年来の株価上昇もあり、部品不足によるボトルネック懸念など、短期的な要因から一旦売却という投資行動に繋がっているケースが多いようだ。 米中の貿易摩擦問題も気がかりではあるが、短期的には下期の業績進捗を、中期的には引続き、「2019年売上高500億円、営業利益75億円」を目指す上で欠かせないM&Aの進展に注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 更新日:2018年3月26日 <実施しない主な原則とその理由> 「当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。」と記載している。 <コーポレートガバナン・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>