国内航空券取扱高でOTA(※)業界最大手。国内全航空会社グループと契約を有するOTA(※)唯一の企業。国内線航空券を中心にWEB販売を行うオンライン旅行事業、急増するインバウンドに対応する訪日旅行事業、東南アジアで日系最大の陣容を誇るITオフショア開発事業が主力事業。各事業の同社ならではの強みや特長を活かして、「取扱高2,000億円、各事業No.1確立」を目指している。
※OTA(Online Travel Agent):インターネットを通じた旅行商材の販売を専業とする旅行会社
【沿革】
2007年5月、吉村社長は、大石会長と共同でオンライン旅行事業を行うために株式会社キャピタルを設立。
その後、M&Aや事業譲受により取扱商材を拡大していった。
2012年3月にベトナムにおいてITオフショア開発事業を開始したのを契機に、総合IT事業を手掛ける会社の方向性を明確にするため、2013年10月、現社名に商号を変更。
2016年3月、東証マザーズに上場。1年後の2017年3月には東証1部に市場変更した。
【企業理念など】
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企業名の「エボラブルアジア(Evolable Asia)」は、進化を表す「Evolve」と、可能であるの「Able」に、アジア「Asia」をかけたもので、進化するアジアを意味している。
【市場環境】
◎成長が続くオンラインによる旅行商材販売
LCC(格安航空会社)の参入に伴う航空券比較横断検索需要の高まり等を受け、2015年度におけるOTAによる旅行商材取り扱い規模は2.5兆円と、2011年度からは年率26%というスピードで急成長している。
この急成長を支えたのは主として国内宿泊市場であるが、航空券の取扱高も2,300億円とこちらも年率14%で2桁成長となっている。
今後は国内宿泊市場に次いで、国内航空券市場も大きな成長が期待できる。
◎訪日旅行客数も急拡大
2017年の訪日旅行客数は前年比約2割増の2,869万人であった。
政府は2020年の訪日旅行客数目標を4,000万人と設定している。
◎拡大余地大きいITオフショア開発
日本国内の受託ソフトウェア開発市場は約10兆円で年率3%程度の伸びとなっているが、そのうちオフショアを利用した開発の割合はわずかに1%程度(約1,000億円)にとどまっている。
米国ではこの比率は10%以上であることから、日本においても現在の10倍である1兆円規模まで拡大する余地はある。
実際に、日本からベトナムへの発注額は年率17.8%で増加している。
【事業内容】
中心事業はオンライン旅行事業、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の4事業。(報告セグメントは、オンライン旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の3つ。訪日旅行事業はオンライン旅行事業セグメントに含まれる。)
それぞれ同社ならではの強みや特長を活かして成長を続けている。
◎オンライン旅行事業
国内航空券、国内宿泊施設、海外航空券・宿泊施設等の旅行商品を、インターネットを通じて販売している。
※IATA(International Air Transport Association):世界の航空会社で構成される業界団体
以下のようの、多様な販路を有している。
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(直販サイト)
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(同社HPより)
(事業の強み)
同社はOTA業界における国内航空券取扱高No.1である。
同業界で唯一国内全航空会社グループと契約を有していることから、自社での発券が可能となっている。優位な仕入れ価格と合わせ、発券を委託する必要が無いためコスト競争力は圧倒的に高い。
これに加え、各航空会社との長期の取引関係による強固な信頼に基づく「競争力のある仕入れルート」、「多様な販路」、「自社オフショアIT開発力を用いた低コストでのシステム構築」といった要因により、高い参入障壁を構築している。
◎訪日旅行事業
今後も増大が期待される訪日旅行客需要に対応し、旅行商材の直販サイトの多言語展開(現在7か国語)のほか、アジア地域を中心とした現地旅行代理店や媒体運営者に対して国内航空券を中心に日本国内旅行コンテンツの検索・予約エンジンをOEMで提供している。
中国最大の旅行会社である「Ctrip.com」と国内航空券領域において日本初のシステム連携を開始したほか、中華系旅行社との提携を進めている。
(事業の強み)
OEM提供のノウハウが豊富であることに加え、自社オフショア開発により顧客ニーズに合致した開発を安価かつスピーディーに行うことができる。
◎ITオフショア開発事業
ベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナンの3拠点で、2017年3月時点で熟練エンジニア約600名を雇用している。
Webサービスやアプリケーションなどシステム開発のほか、BPO(Business Process Outsourcing)を手掛けている。
顧客は(株)ディー・エヌ・エートラベル、グリー(株)といったWebサービス企業が中心。
(事業の強み)
ベトナムにおける人材採用力と開発チームの立上げノウハウに強みを持っている。
日本国内のITエンジニア不足とエンジニアの賃金高騰を背景に、2012年の事業開始後、東南アジアにおける日系オフショア開発会社としては最大規模の陣容となっている。
また、受託開発は行わずラボ型開発と呼ぶ開発スタイルに特化している。
これは、原則的に1年以上の長期契約を前提に顧客の要望を反映した専属チームを組成し、クライアントの計算の下で稼働するため、稼働率がほぼ100%となっている。
また、エンジニアのコストは雇用した時点から全てクライアントチャージなので、納期遅延リスク、遊休人員発生リスクはゼロとなる。
ストックビジネスであるため規模拡大と共に収益の大幅な向上が期待できる。
◎投資事業
17年9月期より報告セグメントとして新設。CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の性格を持つ第4の事業として位置付け、シナジー効果とともにキャピタルゲインの機会も追求していく。