独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」。雑貨類・食品類・化粧品といった商品を生協、通販会社、店舗、TVショッピングなど多様な販売先を通じて販売するメーカーベンダー事業、化粧品を販売するSKINFOOD事業、コンタクトセンターの構築等を提供するITソリューション事業の3事業を展開。
経営理念に「ファンつくり」を掲げ、全てのステークホルダーにファンになってもらえるグループ経営を目指している。
【1-1 沿革】
高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。
最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。
上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。
しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「B to B to C」に加え直接消費者に商品を提供する「B to C」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。
2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。
【1-2 経営理念】
【1-3 事業内容】
事業セグメントは、雑貨類・食品類・化粧品などを販売するメーカーベンダー事業、化粧品を販売するSKINFOOD事業、コンタクトセンターの構築等を提供するITソリューション事業の3つ。
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(1)メーカーベンダー事業
メーカーとして企画・開発した化粧品、アパレル、靴・バッグ、美容・健康関連商品等を、生協、通販会社、店舗など多様な販売先に提供する「メーカーベンダー業態」と、自社WEBSITEや子会社のTVショッピング枠を通じて直接消費者に提供する「メーカー小売業態」の2業態を展開している。
アジアを中心とした海外のバラエティショップ、ドラッグストア、TVショッピング、WEBサイトにも商品を提供している。
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(主な取扱製品)
≪バタフライアブス≫
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2018年5月期No.1ヒット商品。
1分間に最大4,200回の電気振動を発生させるEMS商品。軽量、コンパクトでありながら、6種類のプログラムと10段階の強度設定が選べる等、使用者に合ったトレーニングが可能と好評。
このバタフライアブスのヒットにより、自社グループの保有する販売チャネルを活用したビジネスモデル「マルチチャネル販売」が完成。
≪化粧品LB≫
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「MAKE UP YOUR STYLE」をコンセプトに、メイクによって個性、美しさ、輝きを最大限に引き出すアイテムを提案している。
「LB」はLady Bird(テントウ虫)の略で、ヨーロッパでは古くから「テントウ虫が身体にとまると幸せがやってくる」という言い伝えがあり、LBのメイクアップを纏う全ての女性に沢山の幸せが届くようにとの思いが込められている。
数少ない100% made in Japan製品で、国内での拡販に加え、中国市場の本格的な開拓に乗り出している。
≪ローカロ生活≫
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「ローカロ麺」、「ローカロ雑炊」をはじめ、美味しく楽しくダイエットができるローカロリー食品シリーズ。
≪インティマ≫
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ヨーロッパで年間300万本以上売れている、ポーランド生まれのデリケートゾーン専用ジェルシリーズ。
≪ロコックス≫
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「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」を予防し、健康寿命をのばすことを目的としたフィットネスブランド。
≪マザーズマーケット≫
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「あった、わたしの欲しいもの」をコンセプトに、手軽に美味しく、からだに優しいものにこだわったブランド。
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(2)SKINFOOD事業
100%連結子会社株式会社フードコスメが、韓国化粧品ブランドのフードコスメティック「SKINFOOD」の店舗展開を国内主要都市の駅ビルを中心に行っている。
店舗数は、2018年5月末現在、直営店20店舗、FC店2店舗の合計22店舗。
(3)ITソリューション事業
100%連結子会社アルファコム株式会社が、音声通話録音システム「Voistore」などコンタクトセンター構築に関わるシステムや、ビジネス版LINE「LINE WORKS」、チャットシステム「M-Talk」などを販売している。
【1-4 特長と強み:マーケティングメーカーとしてのビジネスモデル】
同社を特徴づけている最大のポイントは、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」としてのビジネスモデルであろう。
同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。
(1)強力な商品開発・発掘・調達力
幅広い販路から得た情報や30年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。
月に1回「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の3チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。
チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。
同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。
(2)高いマーケティング力
ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。
候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。
(3)多彩な販売チャネル
上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。
販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。
商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。
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多くの同業他社が商品の企画・マーケティングのみに特化していたり、販売チャネルが店舗に限られていたり、商品の製造や物流を他社に一任していたりするのに対し、同社は柔軟に対応できるシステムとノウハウを持つことで、他社には真似のできない独自のプロモーション戦略を実行することが可能である。
【1-5 ROE分析】
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レバレッジは低下したが、18年5月期も大幅増益により売上高当期純利益率が大きく改善し、ROEも上昇した。今期の売上高当期純利益率は前期同水準の3.52%の予想であり、引き続き高水準のROEを実現する見込みである。