ブリッジレポート
(4205) 日本ゼオン株式会社

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ブリッジレポート:(4205)日本ゼオン vol.21

(4205:東証1部) 日本ゼオン 企業HP
田中 公章 社長
田中 公章 社長

【ブリッジレポート vol.21】2018年3月期業績レポート
取材概要「前回のレポートでは、「2度目の上方修正後、外部環境からは大きな下振れリスクは考えにくい中、残り3か月でどれだけ上積みができるのかに注目・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年7月18日掲載
企業基本情報
企業名
日本ゼオン株式会社
社長
田中 公章
所在地
東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービル
決算期
3月 末日
業種
化学(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 332,682 38,881 40,893 13,056
2017年3月 287,624 30,767 31,805 23,152
2016年3月 295,647 29,856 32,153 18,079
2015年3月 307,524 28,245 31,098 19,080
2014年3月 296,427 29,901 32,561 19,650
2013年3月 250,763 23,696 25,212 14,750
2012年3月 262,842 32,123 31,487 19,127
2011年3月 270,383 35,295 33,623 18,303
2010年3月 225,878 9,319 9,448 5,020
株式情報(7/11現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,384円 222,020,987株 307,277百万円 5.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
19.00円 1.4% 108.10円 12.8倍 1,158.30円 1.2倍
※株価は7/11終値。発行済株式数は前期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
日本ゼオンの2018年3月期決算概要、新中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢの進捗、田中社長へのインタビューなどについてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
自動車部品やタイヤに使用される合成ゴムや、医療用手袋等に使用される合成ラテックスを始めとして、世界的な高シェア製品を多数保有する石油化学メーカー。独創的な技術開発力とそれを生み出す研究開発体制、高い収益性などが強み。 自動車部品、タイヤ、ゴム手袋、紙おむつ、携帯電話、液晶テレビ、香水など身の回りにある多種多様な製品に同社が製造する製品(素材)が使用されている。 グループは、同社および子会社58社、関連会社9社で構成されており、世界16か国に生産、販売拠点を有している。 【社名と経営ビジョン】 「ゼオ」(Geo)はギリシャ語で大地、「エオン」(Eon)は永遠を意味し、その合成語「ゼオン」には「大地から原料を得て永遠に栄える」という意味が込められており、世界に誇り得る独創的技術によって、地球環境と人類の繁栄に貢献することを経営理念として掲げている。 (設立時は資本及び技術提携先であった米国B.F.グッドリッチ社の塩化ビニル樹脂製品の商標「Geon」を取って社名としていたが、1970年の資本関係解消を機に表記を「Zeon」と改めた。) 【沿革】 同社は、古河電工、横浜ゴム、日本軽金属の古河系3社の共同出資により、米国B.F.グッドリッチ・ケミカル社との提携による塩化ビニル樹脂製造技術の導入を前提として、1950年4月に設立された。 1951年にB.F.グッドリッチ・ケミカル社が35%の株式を取得し、技術及び資本の全面提携が成立し、翌1952年に日本で初めて塩化ビニル樹脂の量産を開始した。 1959年にはB.F.グッドリッチ・ケミカル社から合成ゴム製造技術を導入し、日本で初めて量産を開始。タイヤを中心とした自動車向け需要の増大に対応し、生産設備を拡大していく。 1965年にはC4留分からブタジエン(合成ゴムの主原料)を効率よく製造する同社の独自技術であるGPB(ゼオンプロセスオブブタジエン)法による生産を開始した。 B.F.グッドリッチ・ケミカル社が事業の中核を塩化ビニル樹脂事業にシフトするのに伴い、特殊合成ゴム事業を譲り受け、1970年資本提携も解消へ。これに伴い1971年に英文社名をGeonからZeonに変更した。 同じく1971年にはC5留分から高純度のイソプレンや石油樹脂、合成香料の原料などを抽出する独自技術GPI(ゼオンプロセスオブイソプレン)法を開発し生産を開始。 1980年代に入り、合成ゴムに加えて、フォトレジストなどの情報材料、合成香料、メディカル分野など新規事業への展開を積極化させていく。 1984年、現在では世界シェアトップとなった水素化ニトリルゴムZetpol®を高岡工場で生産開始。 1990年、GPI法によって抽出、合成された高機能材料事業の主要製品であるシクロオレフィンポリマーZEONEX® を水島工場で生産開始。 1993年、電子材料事業で中国に進出した。 1999年にはゼオン・ケミカルズ(米国、現 連結子会社)が、グッドイヤーから特殊ゴム事業を買収し、特殊ゴム分野で世界トップメーカーとなる布石を打つ。 2000年、水島工場での塩化ビニル樹脂生産を打ち切り、創業事業の塩化ビニル樹脂事業から撤退した。 21世紀に入り、LCD用光学フィルムゼオノアフィルム®の上市、グローバル生産・販売体制の強化、シンガポールにおけるスチレンブタジエンゴム(S-SBR)の商業運転開始、富山県氷見市のLCD用光学フィルム設備を増強、世界初 スーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場稼働、シンガポールにおいて住友化学とS-SBR生産販売のための合弁会社設立など、積極的な事業展開を進めている。 【事業内容】 同社の主要製品は、原油を蒸留分離して得られるナフサを熱して抽出される炭素数の異なる様々な抽出物を原材料としている。 ナフサを熱すると、順次、一酸化炭素ガス(C1)、エチレン(C2)、プロピレン(C3)が抽出される。 同社は、プロピレン(C3)を抽出した後のC4留分から独自開発のGPB法によって抽出したブタジエンや、その後のC5留分からGPI法によって抽出したイソプレン・モノマー(IPM)、ハイボイル・モノマー(HB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ブチン-2等を原材料に加工を行い、合成ゴム、合成ラテックスを始めとした各種素材を生産している。 生産した素材そのものを顧客に販売する素材型ビジネスが中心の「エラストマー素材事業」、素材を同社において一次加工し顧客に販売する部材型ビジネスが中心の「高機能材料事業」、「その他の事業」がある。 <エラストマー素材事業> 「エラストマー」とは、「ゴムのように弾性に富む高分子化合物の総称」(三省堂 大辞林より)で、合成ゴムがその代表例である。 沿革にあるように同社は1959年に日本で初めて合成ゴムの量産を開始しており、同事業は会社の基盤を支える事業である。 内訳としては大きく、合成ゴム事業、合成ラテックス事業、化成品事業(石油樹脂、熱可朔性樹脂)に分類される。 ① 合成ゴム事業 <製品例:タイヤ> 世界トップクラスの品質を誇るタイヤ用合成ゴムを、世界の主要タイヤメーカーに納入している。製造している合成ゴムの種類には、耐摩耗性・耐老化性・機械的強度特性に優れるスチレンブタジエンゴム(SBR)、弾性・摩耗性・低温特性のバランスに優れるブタジエンゴム(BR)、天然ゴムとほぼ同様の特性をもち品質安定性に優れるイソプレンゴム(IR)等がある。 今後はSBRの特性を更に改良した低燃費タイヤ用のS-SBRの需要が急速に拡大すると見込んでおり、これに対応した供給能力増のため、シンガポール工場の第1系列が2013年9月、第2系列も2016年4月に稼働を開始した。シンガポール工場の供給能力は7万トンとなっている。 自動車エンジンにおいては、ラジエーターホース、フューエルホース、タイミングベルト、オイルシールなどの各部品において耐油性、耐熱老化性に優れた特殊合成ゴムが用いられている。 世界No.1の特殊合成ゴムメーカーである同社はその品質の高さを評価されており、自動車用特殊合成ゴムの中で高いシェアを有している。中でも、タイミングベルト用の水素化ニトリルゴムZetpol®は耐熱性、耐油性、機械的強度特性に優れており、世界シェア約70%を占めている。 また従来品の性能を大きく向上させたZetpol®の新製品を開発した。 これは従来製品比で+15℃も耐熱性を改善させたもので、従来のシール・ガスケット部品の長寿命化に対応できるだけでなく、次世代バイオ燃料を用いたエンジン向けにも需要が拡大すると見込んでいる。さらに、押出加工性が良好であることからホース用途にも展開が広がってきた。顧客の評価も上々で、高価なゴムの代替材を中心として、国内、アジア、欧米で採用が進んでいる。 このZetpol®の新製品は、2012年11月に川崎工場で商業運転が始まり、2013年度より本格稼働を開始した。 ② 合成ラテックス事業 合成ラテックスとは、合成ゴムを水中に分散させた液状ゴムのことで、ゴム手袋をはじめ、紙加工、繊維処理、接着剤、塗料、化粧パフ等に使用される。 化粧用パフ用アクリロニトリルブタジエン(NBR)ラテックスは90%近いシェアとなっている。 ③ 化成品事業 C5留分から製品化を行う同社独自のGPI法により粘着テープ・ホットメルト接着剤用素材、トラフィックペイント用バインダー等、幅広い製品化を行っている。 <高機能材料事業> 独創的技術である高分子設計や加工技術によって、高付加価値を有した材料・部材を扱っている。 ① 情報用部材 GPI法によってC5留分から抽出、合成されたシクロオレフィンポリマーは、独自技術で開発した熱可塑性プラスチックで、製品としてZEONEX® とZEONOR®がある。 ZEONEX®は高透明性、低吸水性、低吸着性、耐薬品性を活かして、カメラレンズやプロジェクターレンズなどの光学部品、シリンジやバイアルなどの医療用容器に使用されている。 ZEONOR®は高透明性や転写性、耐熱性等を活かし、透明汎用エンプラとして、導光板や自動車部品、容器、ディスクなどの幅広い分野で使用されている。 シクロオレフィンポリマーから、世界初の溶融押出法で開発された光学フィルムがゼオノアフィルム®で、光学特性、低吸水・低透湿、高耐熱性、低アウトガス、寸法安定性に優れ、液晶テレビやスマートフォン、タブレット端末のディスプレイに使用されているほか、今後はデジタルサイネージなど幅広い用途での利用が期待されている。 また、同社では世界で初めて「斜め延伸位相差フィルム」を開発し、生産している。 有機ELの光反射防止フィルムとしての採用も進んでおり、今後も中小型用フラットパネルディスプレイ向けの需要拡大が見込まれることから、高岡および氷見の2工場(合計 年間生産 1,500万㎡)に加えて、福井県敦賀市に新工場が2013年10月に完成した。 他にも、携帯電話、スマートフォン、液晶テレビ用途に代表される、電子デバイス向け塗布型有機絶縁材料ZEOCOAT®がある。 ZEOCOAT®は、透明性が高く、吸水性が非常に低いほか、膜からガス成分を発生しにくいためディスプレイの画質と信頼性の向上を同時に達成することができる。 今後、液晶に比べ薄く成型できる有機ELディスプレイ向けに拡販を積極的に進めるとともに、新しい半導体を用いた薄膜トランジスタやフレキシブルディスプレイ用の絶縁材料での採用を目指している。 ② エナジー用部材 リチウムイオン電池用材料として負極及び正極、機能層(耐熱セパレータ―)用バインダー、シール剤を供給している。 現在、リチウムイオン電池は携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源として広く使用されている。 また、スマートフォンの急速な普及により、その高容量化は強く求められている。 さらに、軽量・小型でありながら、大きなエネルギーを蓄えられることから、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、電気自動車向け、スマートグリッドなどの産業電源向けの採用も始まっているが、一方で、高温下で使用した場合、寿命が低下しやすいといった課題があった。 同社は、リチウムイオン電池バインダーの高機能化を進め、正極用バインダーとして寿命の低下抑制に大きく貢献する水系機能性バインダーの開発に成功し、また、リチウムイオン電池の蓄電容量を従来比5~15%上げられる負極用バインダーの製品化にも成功した。 正極・負極・機能層(耐熱セパレータ―)用バインダー及びシール剤はリチウムイオン電池の「安全性」、「寿命」、「電池容量アップ」に寄与し、ハイブリッドカーの普及に貢献するものと考えている。 リチウムイオン電池の将来性に注目し、早くから取り組んできた同社では、エナジー用部材事業の2020年のありたい姿として、「リチウムイオン電池バインダー市場でのトップシェアを維持」するとともに、急速充電など自動車用途でのニーズに応えた新しい材料機能の普及拡大や次世代の新しい電池の実現に向けた機能性材料の提案ができることを目指している。 ③ メディカルデバイス メディカルデバイス市場は、景気の影響が少なく、また日本における高齢化の進行と新興国の市場拡大で成長が見込まれる一方、医療機器の製造・販売会社に対する法的要件が厳格であるほか、薬事承認申請作業が必要で、医療従事者との関係作りが不可欠であること等から参入障壁が高く、魅力的な市場であると同社では考えている。 同社は、1974年に人工腎臓の開発を開始したのを皮切りにメディカルデバイス事業を積極的に推進し、1989年に子会社ゼオンメディカル株式会社を設立し、同社グループ内で開発・製造・販売・薬事のすべての分野における対応が可能な体制を構築している。 消化器系製品では、胆道結石除去用の差別化製品である「オフセットバルーンカテーテル」、国産初の胆管カバードステント「ゼオステントカバード」、また循環器系製品では、急性心筋梗塞時等に心臓の拍動を補助するデバイスとして、世界最細径の「ゼメックス IABPバルーンプラス」など、豊富な開発実績を有している。 現在注力しているのが、胆道結石による痛みからの解放につなげる結石除去デバイスである。 同社の開発製品であるゼメックスクラッシャーカテーテル、ゼメックスバスケットカテーテルNT、エクストラクションバルーンカテーテルなど、巨大結石から胆泥・胆砂まであらゆる胆道結石を除去できるデバイスをラインアップしており、結石除去デバイス全体で50%のシェア獲得を目指す。 また、2016年3月には、ガイドワイヤータイプとしては世界初の光センサー型FFRデバイスを上市した。光ファイバー型センサーであることから血圧測定のズレが起こりにくい。ガイドワイヤーとしての操作性も高い評価を得ており、2020年には日本国内シェア30%を目指すとしている。 ④ 化学品事業 C5留分より得られる原料を活用して食品・香粧品用の合成香料や、特徴ある溶剤及び植物調整剤などの特殊化学品を扱っている。 グリーン系の合成香料では世界一のシェアを有している他、医農薬中間体の原料やフロン代替用途などの溶剤・洗浄剤・ウレタン発泡剤及び機能性エーテル溶剤など、幅広い産業分野に特徴ある製品を供給している。 【高機能新規素材開発例 ~カーボンナノチューブ(CNT)~】 積極的な研究開発によって様々な新素材を世の中に送り出してきた同社だが、今後大きな成長が期待されるのが「単層CNT」だ。 ①単層CNTとは? 1993年、独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研) ナノチューブ応用研究センター長の飯島 澄夫博士によって世界で初めて蜂の巣上の炭素原子が網目のように結び付いた、筒状分子構造の物質が発見され、「カーボンナノチューブ(CNT)」と命名された。 その構造により、単層CNTと多層CNTに大きく分類できる。多層CNTは比較的生産が容易であることから国内外において実用化への応用開発が推進されている。 一方、単層CNTは、 「鋼の20倍の強度」、「銅の10倍の熱伝導性」、「アルミの半分の密度」、「シリコンの10倍の電子移動度」など、「軽量かつ高強度でありながら高い柔軟性を持つ」、「電気や熱伝導性が極めて高い」といった、多層CNTを上回る優れた特性を持つ。 例えば、リチウムイオン電池の導電助剤への展開、高い伸縮性や強度を持つことから、電子ペーパーや超薄型タッチパネル用の透明導電膜のほか、放熱材料への利用なども考えられている。また、広帯域の光を吸収できる特性があるため、電磁波吸収材としての実用化研究も進んでおり、エネルギー分野、エレクトロニクス分野、構造材料分野、高機能材料分野等、幅広い場面での応用が見込まれている。 しかし、従来の単層CNTは、不純物が多く、且つ生産性が低いために、製造コストが高く1g当たり数万~数十万円もしているのが大きな課題であった。 ②同社の取組み&位置づけ このような背景の中、低炭素社会の実現というグローバルな社会的要請に応え、日本で発見された数多くの優れた特性を持つ単層CNTを応用した新製品を世界に先駆けて事業化、工業化するための技術の確立に取り組む事を目的として、2010年5月、産総研と同社、日本電気(株)、東レ(株)、帝人(株)、住友精密工業(株)、の5社1法人によって「技術組合 単層カーボンナノチューブ融合新材料開発機構」が設立された。 同社と産総研が、「スーパーグロース法」という2004年に産総研 畠賢治博士らによって開発された合成技術をベースにして、産総研のつくばセンター敷地内に2010年12月に開設した実証プラントで量産化に向けた研究開発および供給(2011年4月から、産総研より量産品のサンプル供給を開始)を担当し、複合材料の用途開発を上記の研究組合が進めている。 産総研 ナノチューブ応用研究センターが量産化のためのパートナーに同社を選定したのは、同社の荒川公平氏(前取締役常務執行役員)がCNT研究開発者として豊富な実績と成果を有していた事が大きな理由だということだ。 また、同組合の理事長が同社会長の古河 直純氏であることからもわかるように、単層CNT実用化プロジェクトにおける同社の重要性は大変大きなものである。 ③今後の展開 スーパーグロース法を基にした量産化技術を確立した同社は、2015年11月、山口県周南市の徳山工場内に量産プラントを竣工させ、世界初の量産を開始した。 単層CNTの量産化技術を確立しているのは世界でも同社のみであり、上記の研究組合に限らず、国内外約100社から問い合わせが来ており、順次サンプル出荷を行っており、同社自らも他社に対し用途提案も行っている。 一方、単層CNTは、ナノ材の一種でありそのサイズが極めて小さい事、形状が繊維状であることから化学的な特性以外に、サイズや形状によって生体への侵入などによる影響があるのではないかという懸念も指摘されている。 現在、産総研を中心に評価手法の標準化、OECDのエンドポイント測定等の取組みが進められており、国際標準化、法規制化が順次行われると考えられている。 <その他の事業> ジシクロペンタジエンを原料とした反応射出成形法(RIM成形法)による大型成形品やRIM配合液を取り扱っている。 【特長・強み】 1.世界トップクラスの独創的な技術開発力 C4留分からブタジエンを製造するGPB法は戦後の日本化学史上トップクラスの技術開発であり、アメリカ、韓国を始め世界19か国49プラントに技術供与している。 また、C5留分から高純度のイソプレンや石油樹脂、合成香料の原料などを製造するGPI法も同社オリジナルで、水島工場が世界で唯一の抽出プラントであり、他社には技術供与していないオンリーワンの技術である。 この2つの技術に代表される独創的な技術開発力が同社の大きな強みであり、世界的に高く評価されており、国内外で数々の賞を受賞している。技術関係では、GPB法、GPI法はもちろんのこと、1960年から現在までに48の賞を、環境・安全関係では1982年から現在までに26の賞を受賞している。 2.世界的な高シェア Zetpol®、ZEONEX®、ZEONOR®に代表される同社の独創的技術から生み出された様々な製品は、世界的に高いシェアを獲得している。これ以外にも、化粧品や食品フレーバーに使用されるリーフアルコール、化粧用パフ用NBRラテックスなども「世界No.1」製品となっている。 3.独創的な技術を生み出し続ける研究開発体制 「特定の得意分野で独創的技術を開発し、世界一事業を創出して社会に貢献する。」との基本理念に基づき、研究開発に取り組んでいる。 主要研究拠点は神奈川県川崎市にある「総合開発センター」だが、製造現場に近いところで研究開発を行うことが効率的であるとの考えから、高岡工場に精密光学研究所およびメディカル研究所を、米沢工場に化学品研究拠点を、徳山工場にトナー研究所を、水島工場に化成品研究室を設立した。また海外では、米・欧・星・中に技術サポート拠点を有している。 研究員は現状に満足することなく、適度な危機感を保ちつつ、研究にあたっているということだ。また会社も加点主義に基づく評価を行い、スピードと独創性を重視している。R&D費について従来は対売上高比を基準としていたが、安定的な研究開発を継続していくため、今後は年間120~130億円程度を目途にしていく考えだ。
 
 
2018年3月期決算概要
数量増効果、価格効果で2桁の増収増益 売上高は前期比451億円増収の3,327億円。数量増効果が+372億円、価格効果が+46億円。エラストマー素材では輸出向け汎用および特殊ゴムなどが、高機能材料では中小型向け斜め延伸フィルム、電池材料が好調だった。 営業利益は同81億円増益の389億円。数量効果+102億円、価格効果が+46億円あったが、国産ナフサの値上がりで原価は38億円の減益要因であった。 経常利益は同91億円増の409億円。為替差損が6億円縮小した。 売上高、営業利益、経常利益は過去最高を更新したが、シンガポールの連結子会社Zeon Chemicals Singapore Pte. Ltd.において、事業環境の変化に伴い長期事業計画の見直しを行った結果、同社が保有する固定資産(生産設備等)について減損の兆候が認められたことから帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失147億円を特別損失に計上したため、当期純利益は減益となった。期初予想を上回り、ほぼ2回目の修正予想通りの着地となった。 増収・増益。営業利益率は前期の12.4%から11.4%へ1ポイント低下した。 ゴムの販売数量は17%の増加。汎用、特殊共に海外での需要が旺盛で価格効果も大きかった。汎用ゴムの販売数量は同20%の増加。国内は微増だったが、海外は、SSBRが堅調だったことに加え市況も好調で、同33%増加した。 特殊ゴムは同5%の増加。国内は横這い。海外は8%の増加。 特殊ゴムの構成比は数量ベースで3%低下の27%、金額ベースは3%低下の51%だった。 ラテックスは輸出向け手袋材料が好調だった。 増収・増益となった。営業利益率は前期の13.1%から6.3ポイント上昇し19.4%となった。 高機能ケミカル部門の売上高増加の内訳は、エッチングガスなどが伸長した電子材料が前期比15%の増加、電池材料は車載向けが好調で同34%増と大幅に伸長した。上期減収だった化学品も同12%の増加。合成香料の輸出が好調だった。トナーは同2%増。 高機能樹脂部門の増収の内訳は、第3四半期まで減収だったCOP樹脂は同7%増。光学フィルムは中小型向けが好調で18%の増加。販売数量は同8%の増加だった。 中小型向け光学フィルムの売上構成比は前期の18%から28%へと大きく上昇した。 増収・増益だった。営業利益率は前期の5.8%から5.9%へ0.1ポイント上昇した。 累計では増収・増益だが、直前期比では減収・減益となった。エラストマー素材は堅調だが、高機能材料がややブレーキがかかった形だ。売上高は、数量要因が20億円のマイナス、価格要因が3億円のマイナス、為替要因が4億円のマイナスだった。営業利益は数量要因が5億円のマイナス、価格要因が3億円のマイナス。原価要因が10億円のマイナス、為替要因が4億円のマイナス。 資本的支出は第3四半期に修正した160億円の予想には未達となった。今期の積み増しを図る。 売上増による現預金や売上債権増で流動資産は前期末に比べ461億円増加。株価上昇による投資有価証券評価額の増加で投資その他の資産が同93億円増加したが減損損失計上で有形固定資産が減少したため固定資産合計は同136億円の減少。資産合計は同325億円増加した。 有利子負債が46億円減少した一方、買入債務が173億円増加するなどして、負債合計は同171億円増加した。 利益剰余金およびその他有価証券評価差額金の増加により、純資産は同153億円の増加。この結果自己資本比率は57.9%と前期末より0.5ポイント低下した。 税金等調整前当期純利益は減少したが減損損失を計上していたため営業CFのプラス幅は拡大し、有形固定資産の取得により支出の減少で投資CFのマイナス幅は縮小、フリーCFのプラス幅は拡大した。 長期借入金の返済による支出が減少し財務CFのマイナス幅は縮小した。キャッシュポジションは上昇した。
 
 
2019年3月期業績予想
円高により減収減益を予想 売上高は前期比3.8%減の3,200億円、営業利益は同17.7%減の320億円の予想。営業利益率は同1.7ポイント低下の10.0%の予想。円・ドルで10%の円高を見込んでいる。両事業とも減収減益の予想。 前期減損損失を計上したため、当期純利益は大幅な増益となる見込み。 配当は前期比2円増配の19.00円/株の予想。予想配当性向は17.6%。
 
 
新中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢの進捗
2018年3月期を初年度とする4年間の「新中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢ」の進捗状況は以下の通り。 ①エラストマー素材事業 ◎SSBR:探索 住友化学と同社のポリマー変性技術及び生産技術を組み合わせ、自動車軽量化とともにニーズの高いタイヤの「ウェットグリップ性」、「低燃費性」、「耐摩耗性」の向上を実現させ、世界のリーディングポジションを目指していく。 横浜ゴム株式会社の最新スタッドレスタイヤに、同社の溶液重合ゴムが採用された。 SSBR販売数量は2020年には2017年の約1.5倍まで拡大する見込み。 ◎特殊ゴム:深化 従来品以上にガスケット耐熱性が高まった特殊架橋タイプZetpol®の評価が高く、四輪車の燃料系ホース用途にも新たに採用されるほか、オイルシール用途などで採用が拡大している。 2019年9月完工予定で川崎工場の生産能力を増強し、2019年度は2016年度実績の約2.5倍まで販売数量を拡大させる。 ◎ラテックス:新事業創出・新製品開発を加速 年率5-7%で堅調に拡大している世界の作業用手袋市場において新製品による販売の拡大を目指す。 作業用手袋用ラテックスは海外向けを中心に、年率約3割の大幅な拡大を目指している。 ◎SIS:深化 高強度・高伸縮性といった特徴を持つ非対称SISの更なる市場展開によって、エラスティックフィルム、粘着ラベルなどに加え、フレキソ、保護フィルム、粘着テープ、ホットメルト粘着剤など、製品の差別化を進めながらSISの活躍出来るフィールドを更に拡大させる。 非対称SISの販売量は2020年度までに2017年度比約6倍まで拡大させる。 ◎PSC(パウダースラッシュコンパウンド):ソリューション 日本、中国、メキシコの3拠点体制によって市場の拡大に対応する。 年間生産量1,200トンのメキシコ工場第1期工事が完工し、18年1月より本格稼働を開始した。 同じく生産量1,200トンの第2期工事は2020年の稼働を予定しており、その時点でのグローバル生産体制は6,800トン。2020年には2017年比約2倍の販売をグローバルベースで計画している。 ②高機能材料事業 ◎COP:深化 中国市場では、スマーフォンや車載機器の高度化・大容量化に伴いデバイスプロセスの線幅微細化や3D化が進行し、投資が非常に旺盛となっている。 同社は、「不純物が少ない」、「水分透過性が低い」といったZEONEX®、ZEONOR®の特徴を活かし、半導体容器用途への展開を進めていく。 また、ZEONEX®の低吸湿性、高透明性、精密な光学特性、精密成型性という特長は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)の普及・浸透に伴い生産台数が拡大しているHMD(※)端末向けレンズ材料に好適である。 HMD端末生産台数が飛躍的に増大するに伴い、同社のHMD端末向けレンズ材料販売数量は2016年度比2018年度までに倍増となる見込み。 ※HMD端末 Head Mount Displayの略。ゴーグルやヘルメット、メガネのように、頭部に装着して使うディスプレイのことで、VRやAR動画の再生に適している。 ◎ゼオノアフィルム®:深化 中小型市場で、LCD(液晶ディスプレイ)、OLED(Organic Light Emitting Diode:有機発光ダイオード)ともに同社製品の採用が進んでいるが、今後もOLEDの位相差フィルムへの新規採用に向けた取り組みを継続する。 フォルダブル対応としては、屈曲性に優れたフィルム「ZC-Film」を開発中である。 ◎エナジー用部材:ソリューション 製品群を更に充実させ、事業を拡大する。 同社の電池材料売上高は、リチウムイオン電池の容量増加に伴い、自動車向け製品を増やしてきたことで前中計期間中において計画を大きく上回る実績を残してきた。 市場別では、2010年比中国向け、韓国向けがそれぞれ18.5倍(市場は9.3倍)、7.2倍(市場は4.5倍)と急成長している。 世界の主要自動車メーカーは今後EV(電気自動車)の販売拡大に注力する計画であり、シール材料からスタートした同社は、安全性、長寿命、高出力を実現する部材(バインダー)の採用を積極的に提案し更なる拡大を図る。 ◎メディカルデバイス:新事業創出、新製品開発を加速 17年3月期より販売を開始した光センサー型FFRは、高信頼性を背景に採用が拡大している。市場シェアは2017年の14%から2020年には30%まで上昇する計画だ。 (FFR とは冠血流予備量比のことで、冠動脈内に狭窄病変があるとき、狭窄病変によって どのくらい血流が阻害されているかを推測する指標) また、患者の身体に優しい低侵襲治療の拡大に合わせ、17年度に大口径胆石除去バルーンを上市したのに続き、18年度には新型の胆石除去バルーンおよび胆管ステントの上市を予定している。 ◎カーボンナノチューブ:新事業創出、新製品開発を加速 17年2月に同社、国立研究開発法人 産業技術総合研究所、サンアロー株式会社と共同で、「日本ゼオン・サンアロー・産総研CNT複合材料研究拠点」を設立して、CNT複合材料に関する研究を進めてきたが、その成果として直近では以下のリリースを行った。 *隙間充填(じゅうてん)性・金属接着性に優れた割れない電磁波遮蔽コーキング材(18年2月リリース) スーパーグロース法で作製した単層カーボンナノチューブを添加材として、常温大気硬化型液状ゴム中に分散させた電磁波遮蔽コーキング材を開発した。 (概要) このコーキング材は、金属などの遮蔽材間の隙間や溝に高い密着性で塗布・充填でき、常温大気下で硬化する。硬化後は金属との接着性も高く、電磁波の侵入を防ぎ、また、遮蔽材の振動や微小変形により生じる遮蔽材間の隙間や溝の振動やひずみを吸収できる。 (社会的背景) 近年、無線通信の発達に伴い、電磁波を通信に利用する電子機器が増加している。それに伴い、これらの電子機器が周囲からの電磁波に干渉を受けて誤動作する危険性や、自ら発する電磁波により情報漏えいしてしまう危険性が生じている。これらの危険性を低減させるためには、電子機器自体から発せられる不要な電磁波を遮蔽することはもちろんであるが、電子機器を設置する空間における電磁波隔離・遮蔽技術も求められている。 例えば部屋の電磁波を隔離・遮蔽するために、部屋の床、壁、天井、窓、扉などに電磁波遮蔽材が用いられているが、それらのつなぎ目に隙間ができると、その隙間から電磁波が漏れて遮蔽が不十分になる。そのため、隙間充填性や金属接着性に優れ、割れにくい電磁波遮蔽コーキング材の開発が求められていた。 18年2月に開催された「第17回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、評価用のサンプルを提供した。
 
 
田中社長に聞く
田中 公章社長に、日本ゼオンの強み・特長、中期経営計画のポイント、投資家へのメッセージを伺った。 Q:「社長は日本ゼオンの強みや特徴はどこにあると思われますか?」 A:「当社でしか創り出せない独創性あふれる製品を常に生み出すことが出来る技術基盤、これこそが当社の競争優位性だ。独創的な製品の供給により社会への貢献を果たしており、それが当社の社会的存在意義でもある。」 当社でしか創り出せない独創性あふれる製品を常に生み出すことが出来る技術基盤、これこそが当社の競争優位性だ。 ナフサから抽出されるC4留分から合成ゴムの主原料であるブタジエンを効率よく製造するGPB(ゼオンプロセスオブブタジエン)法、C5留分から高純度のイソプレンや石油樹脂、合成香料の原料などを抽出するGPI(ゼオンプロセスオブイソプレン)法は当社の独自技術であり、世界的に高いシェアを持つ特殊合成ゴムや、他には類を見ない高機能樹脂などを生み出している。 また、液晶ディスプレイを構成する重要素材である光学用フィルムを優れた生産性と高品質を両立させて製造する「溶融押出法」も、外部からは困難と指摘されながらも実現させ、光学用フィルムにおける高シェアに繋がっている。 当社では、「他人(ひと)の真似をしない、他人(ひと)が真似できない」ことを研究開発を始めとした全ての企業活動の根底に据えている。当社ならではの技術をベースとした独創的な製品を世の中に供給することで社会への貢献を果たしており、それが当社の社会的存在意義でもある。 Q:「その強みを磨き上げるためにどんなことを行っていらっしゃいますか?また、課題とその対応についてもお話しください。」 A:「独創性レベルの判断軸である有効性を高めるために研究ヒアリング、個別面談、大学研究室との関係強化などの取り組みを仕組み化している。」 「他人(ひと)の真似をしない、他人(ひと)が真似できない」レベルを当社では「有効性」という軸で判断している。 研究開発に取り組んでいるテーマの有効性を常に評価し、有効性が高ければ開発にヒトやカネを集中させる。 一方で有効性が低ければ当社が手掛ける意義は小さいので手を引くこともある。 この有効性を高めるための取り組みを仕組み化しており、その一つが毎月行っている「研究ヒアリング」だ。 「研究ヒアリング」には経営トップと事業部長が参加し、研究開発スタッフから各研究テーマの進捗報告を受け、事業化を見据えて議論する。経営トップが参加しているので迅速な修正や判断を下して、開発スピードを加速させることも可能だ。 また研究開発のリーダーとの個別面談を年間2回行っている。研究開発のみでなく事業においても、私は様々な判断を下す上で「担当者の顔が見える」ことが極めて大事と考えており、この面談に関しては今後もより充実したものとしていきたい。 他にも、オープンイノベーションの観点から大学の研究室との関係を強化し、優秀な人材の確保も進めて行く。 これからも全社挙げて有効性についての意識をより強め、対売上高で4~5%のR&D投資を継続して独創的製品の創出に努めていく。 課題としては、マーケティング的な発想を更に広げる必要があると考えている。 当社の代表的な製品である合成ゴムは当時製造している会社が当社を含め少数であったため、特段大きな努力や工夫がなくても購入していただける状況だったこともあり、お客様が望むものをご提供することは得意だが、自ら用途や市場を切り開くというマーケティング活動がそれほど重要ではなかった。しかし、現在はそういう訳にはいかない。 メディカルデバイスやカーボンナノチューブを始めとした新製品や、COPの本来の機能を活かした製品開発など新たな用途や市場の開拓も進めていくが、今後は真のマーケティング活動にも注力していきたいと考えている。 Q:「新中期経営計画 SZ-20 PhaseⅢに込めた想いや、取り組みについてお聞かせください。」 A:「不連続な成長の実現を目標として掲げ2020年度の目標連結売上高5,000億円以上としているが、それは単なる目安に過ぎず、我々が真に目指すべきは「会社を変える」ということ。社員一人一人が成長してこそ会社も成長するという想いから、たいまつ活動を継続的に実施している。」 当社では2011年に2020年のありたい姿を「化学の力で未来を今日にするZEON」と定め中期経営計画をスタートさせ、2011年度から13年度の「SZ-20(PhaseⅠ)」、14年度から16年度の「PhaseⅡ」に次いで、最終4か年の「PhaseⅢ」(17年度から20年度)が進行中だ。 2011年に計画をスタートさせるにあたって議論を重ねる中で大きな命題として掲げたのが「不連続な成長の実現」だ。 当時の売上高が約2,500億円であった当社にとって「不連続な成長」とはどの程度かと考えた時、やはり最低でも「倍増」は必要であり、定量的な目標として「2020年度 連結売上高5,000億円以上」を掲げた。 ただ、単に数字を掲げてもそれは単なる目安に過ぎず、我々が真に目指すべきは「会社を変える」ということだ。 つまり、仕事の捉え方、物事に対する感じ方に加え、社員それぞれの人生に対する考え方も含めた「会社の風土」を、今までの延長線上ではないものとしなければ、不連続な成長の実現は成し得ない。 具体的には、「一つの考え方に固執することなく、まずやってみよう」、「躊躇することなく前向きに踏み出そう」といった発想で物事に取り組んでいくこととした。 それを受け、経営トップ、管理職、社員の各レイヤーで常時議論や話し合い、対話を行っているが、草の根からの企業風土の変革にとって最も重要なのが「たいまつ活動」の推進だ。 「たいまつ」とは、将来の目標を示す灯り、見えにくい足元を照らす灯り、温かさ、熱、エネルギー、明るさ(=楽しさ)、推進力の炎を指しており、たいまつ活動は、社員各自に、仕事に対し主体的に自分自身がどう向き合うか?を考え、行動、実現するもので、社員一人一人が成長してこそ会社も成長するという想いから、根本的に「会社を変える」ために極めて重要な活動であると位置付けている。 社員数名でグループを形成し、「気づき、考え、行動する」というキーワードをベースに、自らの2020年のありたい姿を想定し、そのために何をしたいかなどを対話する。 2012年の第1期から回を重ねて現在は第6期まで実施し、参加者は累計で当初目標としていた500名にほぼ近づいた。 まだ十分とは言えないが、PhaseⅢから具体的な成果も見え始めており、これからも継続的に実施していく。 Q:「それでは、投資家や株主の皆様にメッセージをお願いいたします。」 A:「当社でなければ産み出せない製品を数多く開発・供給することを通じてより便利で快適な世の中づくりに貢献していきたいと考えているので、中長期の視点でぜひ応援していただきたい。」 先ほども申し上げたように、「他人(ひと)の真似をしない、他人(ひと)が真似できない」こと、つまり技術に裏打ちされた独創性こそが日本ゼオンの重要な価値、社会的な存在意義である。 当社は最終製品を製造しているわけではないので個人投資家の皆さんにはなかなか馴染みを持っていただきにくいが、これからも研究開発投資を積極的に展開して、有効性を追求し、当社でなければ産み出せない製品を数多く開発・供給することでより便利で快適な世の中づくりに貢献していきたいと考えているので、中長期の視点でぜひ応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
前回のレポートでは、「2度目の上方修正後、外部環境からは大きな下振れリスクは考えにくい中、残り3か月でどれだけ上積みができるのかに注目したい。」と書いたが、第4四半期(1-3月)は第3四半期(10-12月)比減収減益でほぼ修正予想近辺での着地となった。 今期は減収減益予想ではあるが、為替の前提1ドル=100円ドルに対し、足元で110円近辺で推移する為替の影響がどのように反映されるかを注目したい。 また中長期的には、田中社長のインタビューにあるように、有効性の高い製品創出の進捗をウォッチしていきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年6月4日 <基本的な考え方> 当社は、株主をはじめとする多様なステークホルダーの利益を尊重し、利害関係を調整しつつ収益を上げ、企業価値を継続的に高めることを目指します。その実現のために、コーポレートガバナンスを通じて効率的かつ健全な企業経営を可能にするシステムを構築する努力を継続します。 また、内部統制システムを整備することにより、各機関・社内組織の機能と役割分担を明確にして迅速な意思決定と執行を行います。その経過および結果については適切な監視と情報公開を行い、経営の透明性の向上に努めます。 <実施しない主な原則とその理由> 第93回定時株主総会より、株主総会招集通知の発送前WEB開示(補充原則1-2-2)を開始いたしました。したがって、当社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。
 
 
 
<付属:Fact Sheet>