総合保証サービス会社として、賃貸住宅における家賃債務保証を中心に、病院における医療費用保証、介護施設における介護費用保証等、連帯保証人の代替商品として各種保証商品を幅広く展開。保証から派生したサービス商品の提供(ソリューション事業)にも力を入れており、保証を通じた社会への貢献を目指している。本社を東京に置き、秋田市、富山市、名古屋市、大阪市、岡山市、福岡市および横浜市に拠点を有する。社名のイントラストは、「責任・任務を信頼して任せる、金銭を預ける、仕事等を人に委ねる」という意味を持つ英語の“Entrust”に基づくもの。「総合保証サービス会社として、あらゆる分野においてお客様から全面的な信頼を得て業務をお預かりすることで、ご満足いただけるサービスを提供できる企業を目指す」と言う思いが込められている。
尚、2018年3月末現在、東証1部に上場する(株)プレステージ・インターナショナル(4290)のグループ会社であるPrestige International(S) Pte Ltd.(シンガポール)が発行済株式数の57.38%を保有している。
【経営理念】
クライアント企業に三つの価値(喜び、安心、信頼)を提供する事を経営姿勢として掲げ、五原則(感動、挑戦、自覚、品格、活躍)に従って会社運営を行っている。また、会社の成長と社員の幸せがリンクしている会社を目指しており、「社員全員がそれを実感できるのであれば、会社は必ず成長する」との考えの下、日々の仕事において、三つのモットー(明るく、楽しく、真剣に)を尊重している。
【沿革】
2006年3月、賃貸不動産の連帯保証人代行システムの構築を目的に(株)イントラストとして事業をスタート。2007年10月には、大和ハウスグループの賃貸住宅管理会社である大和リビング(株)と業務提携し、同社専用の連帯保証人代行システム「D-Support」の販売を開始した。
2010年2月にプレステージ・インターショナルグループ入りし、同年10月に大手信販会社との業務提携の下、連帯保証人代行システムに家賃決済クレジットサービスを組み込んだ保証商品「Ce-Trust」の販売を開始(2012年3月に後継商品「Ce-TrustⅡ」を投入)。同年12月には(株)三菱総合研究所の協力を得て審査システムを開発し内製化。2011年6月から2014年5月にかけて、秋田、名古屋、大阪、福岡、富山、岡山へと拠点展開を進め、2017年11月に横浜ソリューションセンターを開設した。
2014年6月には新たな保証商品の開発を目的に三井住友海上火災保険(株)と業務提携。同年8月に介護費用保証商品「太陽」の販売を、2015年5月に医療費用保証商品「虹」の販売を、それぞれ開始。この間の2014年10月には、ソリューション事業において、SMS(ショートメッセージサービス)を活用したDoc-onサービスを開始した。2016年8月に保険デスクサービスを開始した。2016年12月に東証マザーズに株式を上場し、2017年12月に東京証券取引所市場第一部に市場変更した。
【事業概要】
総合保証サービスの単一セグメントの下、保証事業とソリューション事業を手掛けている。保証事業は、同社が連帯保証人(保証委託契約)として契約に係る各種費用の滞納リスクをカバーすると共に、不動産管理会社等に対して、申込審査、督促回収、法対応ネットワークの整備、債権管理等、関連するサービスを提供する。一方、ソリューション事業は、連帯保証はせず、関連サービスのみを提供する。このため、保証事業は賃借人からの保証料と不動産管理会社等からの手数料が主な収入となり、ソリューション事業は手数料が主な収入となる。
18/3期の売上構成比は、保証事業49.6%、ソリューション事業50.4%。
保証事業
保証事業は、主力の家賃債務保証と、育成中の医療費用保証及び介護費用保証に分かれる。賃貸住宅の家賃債務保証の付帯率は未だ60%程度に過ぎず、大きな市場が残っている。家賃債務保証では、賃貸不動産の賃貸借契約において、同社が賃借人の連帯保証人となり、賃料等の滞納リスクを引き受ける。一方、医療費用保証では、医療費用保証商品「虹」を提供しており、医療機関の入院手続きにおいて、同社が連帯保証人となり、入院費用自己負担分等の支払いに係る滞納リスクを引き受ける。また、介護費用保証では介護費用保証商品「太陽」を提供しており、介護施設の入居契約において同社が連帯保証人となり、介護施設の利用料等の滞納リスクを引き受ける。
家賃債務保証及び介護費用保証では保証委託契約時及び保証委託契約更新時に対価を受け取り、対価は保証期間内の月数に応じて按分され売上計上される。医療費用保証では保証委託契約時に対価を受け取り一括して売上計上される。また、家賃債務保証では、引き受け前の審査と滞納発生時の回収(コンプライアンス重視)によりリスクを最小限に抑え、収益の安定化を実現している。一方、介護費用保証及び医療費用保証においては、損害保険会社と保険契約を締結し、滞納リスクをヘッジしている。
イントラストの強み
同社の事業の特徴は、カスタマイズ、新商品開発、コンプライアンスの徹底、の3点。家賃債務保証では、審査業務、滞納管理、未入金案内等のサービスをワンパッケージ化して提供しているが、画一的な商品パッケージは存在せず、クライアント(通常は不動産管理会社)毎に保証商品をカスタマイズして提供している(業務負担の軽減を念頭に、業務フローについてもカスタマイズされている)。新商品開発では、「家賃決済クレジットサービス付商品」、医療費用保証商品「虹」、介護費用保証商品「太陽」、或いはDoc-onサービス(後述)等、家賃債務保証で培ったノウハウを他の保証分野やソリューション事業に活かし、継続的に新商品を投入している。一方、督促・回収においては、弁護士の指導のもと不動産管理会社と業務フローを共有し、コールセンターによる督促から現地対応に至るまでコンプライアンスを徹底している。長期滞納では、パートナーシップを提携した専門の弁護士が全国をカバーし、適法な手続きに則り対応している。
ソリューション事業
ソリューション事業は、C&O(コンサル&オペレーション)サービスとDoc-onサービスと保険デスクサービスに分かれる。C&Oサービスは、家賃債務保証で培ったノウハウを受託サービスとして提供するもので、審査業務、滞納管理、未入金案内など賃貸不動産の入居者等を対象としたサービスをフルラインもしくは個別に不動産管理会社等に提供。スコアリングモデルに基づく独自の審査システムや自社コールセンター等、各種関連業務を柔軟に提供できる体制が整備されている。また、問題が発生した際の迅速な解決に必要な弁護士法対応ネットワークも確立している。
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一方、Doc-onサービスは、SMS(ショートメッセージサービス)、クレジットカード決済サービス、コールセンターサービス(SMSリスト管理、メッセージ作成、配信量管理、受電対応、入金確認、レポート管理等のコールセンターサポートといった各種のサービスをトータルで提供)をパッケージにしたサービス。
強みとして、①国内大手SMS通信事業者の通信網を利用した「高い安全性」、②紙媒体の郵送案内と比較した場合のコンタクトに要するコスト削減、及び③葉書及びインターネットメールのコンタクト手法と比較した場合の高い開封率、の3点を挙げる事ができる。
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保険デスクサービスは、賃貸住宅の入居者向けに火災保険の募集、付保管理に係る業務を総合的に支援するサービス。火災保険の案内、コールセンターによる問合せ対応、火災保険の締結、契約後の異動等に係る事務、不動産管理会社への報告までトータルで提供する。専門的な知識・ノウハウに、専用システム、オペレーション体制も万全に整備されている。
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18/3期末の保有契約件数は、保証事業102,429件(17/3期末117,759件)、ソリューション事業195,683件(同148,374件)、計298,112件(同266,133件)。前期末との比較で12.0%増、14/3期末から18/3期末にかけての4年間で20.2%増と順調に伸びている。契約の大半は売上が契約期間に応じて按分計上されるため、契約の都度、将来に計上される売上が積み上がっていく(売上がストックされていく)。18/3期は売上高の56%がストックからの売上だった。