ブリッジレポート
(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.51

(8860:東証1部) フジ住宅 企業HP
宮脇 宣綱 社長
宮脇 宣綱 社長

【ブリッジレポート vol.51】2018年3月期業績レポート
取材概要「同社の18/3期決算を振り返ると引き続き旺盛な個人投資家向け一棟売賃貸アパートの需要を反映して土地有効活用事業が好調であることに加え・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年7月4日掲載
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
宮脇 宣綱
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 103,880 6,438 6,139 4,168
2017年3月 99,359 5,969 5,721 3,945
2016年3月 90,726 5,441 5,298 3,430
2015年3月 79,594 4,361 4,322 2,756
2014年3月 86,363 5,806 5,660 3,261
2013年3月 66,047 3,809 3,761 2,268
2012年3月 71,594 4,928 4,903 2,767
2011年3月 59,796 3,648 3,680 2,027
2010年3月 48,614 2,137 2,118 1,237
2009年3月 45,300 2,584 2,388 1,361
2008年3月 48,793 2,723 2,413 2,097
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
株式情報(6/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
959円 35,786,654株 34,319百万円 12.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
27.00円 2.82% 121.55円 7.89倍 972.56円 0.99倍
※株価は6/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
※ROE、BPSは29年3月期実績、EPSは30年3月期予想
 
フジ住宅の2018年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
地盤である大阪府を中心に、阪神間と和歌山市内で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。 販売代理や戸建住宅から派生した各事業が独自のノウハウを持ち、他の事業部門を相互に補完する(相乗効果)、単なる住宅の分譲会社ではなく地域や時代の住宅に関するあらゆるニーズに対応できる機能を備えていることが「住まいのトータルクリエイター」である同社の特長だ。地域密着型経営の特長を活かし、顧客に顔を向けた「売りっ放し」、「建てっ放し」のない顧客満足度の高い住宅づくりを目指している。 (1)事業内容 分譲住宅事業(18/3期 売上構成比36.7%) 戸建とマンションの分譲を展開。特徴は50~200戸規模の新築戸建住宅の「街づくり」と、顧客自身が住まいづくりに参加する 「自由設計」。自由設計住宅では間取りや設備仕様に対する様々なニーズに対応。また、新築分譲マンション販売事業も分譲住宅セグメントに含まれている。マンション分譲は地価上昇とその後の供給過剰・需要低下に伴う事業リスクの高まりを予見し05年春に事業を停止したが、リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえて12年2月に再開。駅近の利便性の高い立地等、物件を厳選した1次取得者向けの価格訴求力のある分譲マンション販売を特徴とする。 住宅流通事業(同 28.3%) 中古住宅再生事業『快造くん』と新築戸建住宅(建売住宅)の販売を展開。中古住宅再生事業『快造くん』は、中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業。地域密着型経営やリフォームのマニュアル化による独自のノウハウに強みを持つ。一方、小規模の新築戸建住宅(建売住宅)の販売は、自由設計住宅や大規模プロジェクトではカバーできない顧客ニーズに対応してきたが、今後供給を終了し、自由設計住宅へ切り替える予定。 土地有効活用事業(同 19.7%) 賃貸住宅等の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸アパートを展開。建築請負では、賃貸管理のノウハウを生かした提案型の賃貸住宅の建築請負を実施。また、個人投資家向け一棟売賃貸アパートは、同社で土地を仕入れ、 賃貸アパート等を建築し販売する。コスト競争力のある木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。個人投資家向け一棟売賃貸アパートでは、1棟当たり1億円前後の賃貸アパートが中心。資金運用手段として根強い需要がある。 賃貸及び管理事業(同 15.1%) 100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が、賃貸アパートの建物管理や入居者募集、賃料回収等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託を展開。安定収益源となるばかりでなく、良質の賃貸・管理サービスは、賃貸住宅の建築請負や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの他、分譲マンションの販売等との相乗効果も高い事業。 注文住宅事業(同 0.3%) 戸建住宅の実績で培ったノウハウを生かし、土地を保有する顧客に対して戸建住宅の新築や、建替えを請負うといった事業を展開。会社の第5の柱として展開中。 (2)同社の強み 住まいのトータルクリエイターとして幅広い事業に強みを有していること 土地の仕入れ・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体勢を備えた戸建住宅事業で築き上げたノウハウを基盤に、中古住宅販売、土地有効活用、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、賃貸及び管理の幅広い事業を、相乗効果を図りながら展開。地域密着型経営の特長を活かしながら住まいに関する幅広い事業の相乗効果を発揮し、より高い顧客満足を実現する不動産・サービスの提供を実施。 ノウハウを活かした中古住宅再生事業が展開できること 創業当初の住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウの融合から生まれたのが、中古住宅再生事業『快造くん』。中古住宅の「仕入」から、「リフォーム」、「販売」に至る住宅販売の3つの要素を全て揃えた同社ならではの事業となっている。 地域密着型経営による情報収集はもちろん、リフォームのマニュアル化による“売れる中古住宅づくり”が強み。また、中古住宅の仕入にあたっては、相続登記が未了の場合でも、司法書士と連携して買取りを行う『フジホームバンク』を開設。相続登記にかかる費用も、売却代金から支払いできるなど顧客の利便性も高い。 収益力を高める土地活用の提案力を有すること 同社は、単なる土地活用の事業提案だけではなく、市場調査・企画・設計・建築・賃貸管理はもちろんのこと、総合不動産業(ディベロッパー)として、その力を最大限に発揮している。土地の購入や売却、アパート・マンションの建替え、法務・税務に関することなど、顧客からの様々な相談に専門的な見地から的確に対応している。賃貸住宅経営については、多くの土地情報の中から適した土地を厳選し、専任のマーケティングスタッフによる綿密な市場調査をもとに、長期安定経営が可能なプランニングを実施。また、中古収益物件についても、好立地で優良な物件のみを仕入れて商品化。更に、オーナーの「安心・安全・安定」した賃貸経営を万全にサポートする一括借上システムも提案している。 ポートフォリオ効果 不動産業界は景気や金利の変動といった外部要因に大きな影響を受ける。そこで、フジ住宅では多様な商品・サービスを提供することにより、収益の安定化を図れる事業ポートフォリオを目指してきた。 過去5年の売上構成比を比較してみると、以前は分譲住宅が4割超を占めていたが、現在では分譲住宅、住宅流通、土地有効活用及び賃貸管理と3つの事業がほぼ3割超となり、バランスのとれた事業ポートフォリオを実現している。
 
 
中期利益計画(16/3期~19/3期)
同社は、現在進行中の中期利益計画において、最終年度である19/3期に売上高1,020億円、経常利益60億円の業績目標を掲げている。分譲住宅セグメントでは、戸建住宅の大型プロジェクトの収益化に加え、現在供給を抑制している分譲マンションの販売再開を予定している。また、住宅流通セグメントでは、販売エリアの拡大による中古住宅販売の拡大を、土地有効活用事業セグメントでは、仕入強化による安定的な利益の確保を計画。その他、賃貸及び管理事業セグメントでは、管理物件の継続的な増加による確実な業績の拡大を見込んでいる。 中期利益計画の前提 16/3期の進捗 16/3期の実績は、売上、利益ともに中期業績目標を大幅に上回る好調なスタートを切った。当初、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの好調な受注により土地有効活用事業の売上高が大幅に増加することに加え、自由設計住宅や賃貸及び管理事業の売上が拡大することを計画していた。これらの事業が会社計画以上の成果をあげることができたことに加え、中古住宅の販売も会社計画を大幅に上回った。 17/3期の進捗 17/3期の実績は、売上、利益ともに中期業績目標を大幅に上回った。当初、16/3期に販売及び引渡しが本格化した良質でかつ大型の分譲住宅用地の増加や、エリア拡大による中古住宅の販売戸数の増加や、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによるサブリースの戸数の増加による賃貸及び管理事業の増加を計画していた。これらの事業が会社計画以上の成果をあげることができたことに加え、中古住宅の販売価格上昇も寄与した。 18/3期の進捗 18/3期の実績は、売上、利益ともに中期業績目標を大幅に上回った。当初、分譲住宅は、分譲戸建住宅において大阪府下、阪神間の大型プロジェクトが引渡し時期を迎えるほか、供給を抑制していた分譲マンションもJR和歌山駅前の一等地での再開を、また、賃貸及び管理事業も、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しを反映して、着実に売上・利益が増加すると計画していた。JR和歌山駅前の分譲マンションは、1年前倒しで16年7月より販売開始となった。これらの事業が会社計画以上の成果をあげることができ、売上、各段階利益とも1年前倒しで中期業績目標を達成した。 19/3期計画 当初、分譲住宅は、18/3期に再開した一等地の分譲マンションの引渡しが開始され、売上高に計上。中古住宅も兵庫県及び奈良県など営業エリアの広域化が定着し、売上高が増加する計画としていた。また、賃貸及び管理事業も、中古住宅アセット事業の収益物件の拡大や個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しによる管理物件・サブリース物件の取扱増加を想定していた。18/3期に売上、各段階利益とも1年前倒しで中期業績目標を達成し、19/3期の会社計画も中期業績目標を上回る数字となった。
 
 
2018年3月期決算
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。 前期比4.5%の増収、同7.3%の経常増益 18/3期の売上高は、前期比4.5%増の1,038億80百万円と過去最高額となり、初めて1,000億円を超えた。売上面では、JR和歌山駅前の大型分譲マンションが寄与した分譲住宅セグメントや前期受注済みの個人投資家向け一棟売り賃貸アパートの引渡しが寄与した土地有効活用事業に加え、賃貸及び管理セグメントでも増加したものの、中古住宅の販売戸数の減少などにより住宅流通セグメントなどで減少した。会社計画との比較では、中古住宅再販事業への新規参入が増え、中古住宅仕入が予定より遅れたことが影響し、計画を僅かに下回った。また、販売状況を示す受注契約高は、分譲マンションや土地販売などの受注減少が影響し同2.9%の減少となった。 経常利益は、前期比7.3%増の61億39百万円。セグメント利益は、売上が増加した分譲住宅セグメントや土地有効活用セグメントや賃貸及び管理セグメントなどで増加したものの、売上が減少した住宅流通セグメントで減少した。会社計画との比較においても、中古住宅再販事業の買取仕入が苦戦した影響で、各段階利益とも若干会社計画を下回った。大型分譲マンションの引渡しの寄与などにより、売上総利益率は前期比0.4ポイント上昇。先行投資による広告宣伝費の増加などにより売上高対販管費比率が0.2ポイント上昇したものの売上高対営業利益率は0.2ポイント上昇し6.2%となった。これにより、営業利益は64億38百万円と同7.9%増加した。その他、営業外収益で支払利息が前期比で増加したことなどにより経常利益の増益率は営業利益の増益率を若干下回った。また、特別損失は、固定資産売却損9百万円(前年同期は1百万円)が大きなもの。 分譲住宅セグメントの売上高は前期比14.8%増の381億2百万円、セグメント利益は同43.5%増の34億67百万円。主として大型分譲マンションの引渡しが増収増益に寄与した。受注契約高は、自由設計住宅が825戸(前期は733戸)、分譲マンションが132戸(前期は272戸)となり、365億28百万円と前期比7.5%減少した。分譲マンションの受注契約高は、17/3期にJR和歌山駅前の分譲マンション(2017年7月販売開始全256戸)が好調であった反動により18/3期は減少しているものの、2017年12月よりJR堺市駅前の分譲マンション(全91戸)が販売開始となり、順調に推移している模様。また、土地販売の受注契約高は、17/3期に大規模分譲用地を2件素地販売した反動により18/3期は大幅に減少した。 住宅流通セグメントの売上高は前期比10.6%減の293億52百万円、セグメント利益は同68.0%減の4億39百万円。中古住宅再販事業への新規参入が増えたことから、買取仕入が苦戦し、販売戸数及び戸当たり粗利益ともに減少した。中古住宅の受注契約戸数は1,322戸(前期は1,526戸)と減少、住宅流通セグメントの受注契約高は、292億87百万円と同8.9%減少した。 土地有効活用セグメントの売上高は前期比7.6%増の204億16百万円、セグメント利益は同13.6%増の25億83百万円。主として前期受注済みの個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡しが増収増益に寄与した。受注契約高は224億49百万円と同15.9%増加した。賃貸住宅等建築請負の受注契約高は同56.3%増加、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの受注契約高は同4.4%増加した。 上記の他、賃貸及び管理事業セグメントの売上高は前期比12.9%増の156億60百万円、セグメント利益は同28.1%増の15億12百万円。土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したことや中古住宅アセット事業による中古賃貸物件の増加が寄与した。また、注文住宅セグメントの売上高は前期比31.0%減の3億47百万円、セグメント利益は同66.0%減の12百万円となった。 18/3期第4四半期(1-3月)は、和歌山市内の大型分譲マンション(総戸数256戸)を含む分譲住宅の引渡しが当期第4四半期に集中したことから、過去と比較し第4四半期の売上高と経常利益は高水準となった。自由設計住宅や個人投資家向け一棟売り賃貸アパートや賃貸及び管理セグメントの拡大などにより、第4四半期(1-3月)の売上高と経常利益は概ね増加傾向となっている。 2018年3月末の総資産は1,355億63百万円と前期末206億91百万円増加した。資産サイドは、たな卸資産と有形固定資産などが、負債・純資産サイドは短期借入金と長期借入金が主な増加要因。たな卸資産の主な内訳と金額は、販売用不動産239.9億円(前期末232.8億円)、仕掛販売用不動産188.6億円(同210.2億円)、開発用不動産552.8億円(同384.7億円)。有利子負債は178億円54百万円の増加。自己資本比率は25.7%と前期末から1.9ポイントの低下。 CFの面では、たな卸資産の増加幅が拡大したことなどにより営業CFのマイナス幅が拡大。有形固定資産の取得などの増加で投資CFのマイナス幅も拡大したことからフリーCFのマイナス幅も拡大。一方、短期借入金と長期借入金の増加幅が拡大したことなどから財務CFのプラス幅は拡大した。また、現金及び現金同等物期末残高は前期比14.5%減少した。
 
 
2019年3月期業績予想
前期比4.0%の増収、同5.9%の経常増益予想 19/3期の会社計画は、売上高が前期比4.0%増の1,080億円、経常利益が同5.9%の65億円と売上高、利益とも過去最高益を更新する計画。 売上面では、建売住宅の供給を終了する影響により住宅流通セグメントで若干減少するものの、自由設計住宅が増加する分譲住宅セグメントと個人投資家向け一棟売賃貸アパートが増加する土地有効活用セグメントで増加する他、ストックビジネスの積み上がりにより賃貸及び管理セグメントも安定的に拡大する見込み。また、中古住宅は、仕入価格の上昇により買取りの苦戦を想定し微増の計画となっている。 利益面では、前期増加した大型分譲マンションの販売減少の影響があるものの、売上増加を反映して各段階利益も増加する見込み。売上高営業利益率は、6.2%と前期比横ばいの前提。また、前下期に大型分譲マンション等の引渡しが集中した影響の反動により、下期の連結業績見通しは、上期に比べ成長率が鈍化する計画となっている。 配当は前期と同額の1株当たり年27円の予想(上期末14円、期末13円)。 分譲住宅セグメントは、自由設計住宅911戸(前期は728戸)、分譲マンション102戸(前期は255戸)の販売を予定。 住宅流通セグメントは、中古住宅の販売戸数1,394戸(前期は1,330戸)を予定。 土地有効活用セグメントは、一棟売り144棟(前期は116棟)、建築請負42棟(前期は44棟)を予定。 ※建売住宅は、今後供給を終了し、自由設計に切り替えていく方針。 (2)主なトピックス サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」という)の今後の業容拡大 同社グループでは、「サ高住」について、平成20年の土地活用方式による物件の供給開始以来、実績として100棟を超える棟数が稼働し、「サ高住」の全国供給棟数ランキングにおいて第2位となった。また平成27年9月8日付で同社グループとして、3年間で15棟の「サ高住」を展開することを公表し、自社所有形態で大阪市内から南大阪地域を中心に現在、13棟の物件用地取得が完了し、ほぼ計画の目処も立った模様。今後は、大阪府下北摂方面及び阪神間を中心として、今後5年間で、土地活用請負形態で50棟、自社所有形態で50棟、合計100棟のサ高住事業を拡大展開する計画。5年後「サ高住」事業の売上高は55億円、営業利益は20億円を目標に、より一層のストック型ビジネスによる収益基盤の強化及び長期的安定経営を目指す方針。 自社所有形態の場合は、同社の100%出資の連結子会社であるフジ・アメニティサービス株式会社が、当該事業用地を新規に取得した上で、サービス付き高齢者向け住宅を建築し賃貸事業を行う。一棟当りの事業規模は、土地が200坪~400坪、建物が木造二階建・三階建(30室~50室)。 加古川市内の大規模戸建分譲用地取得及び神戸市西部~明石市・加古川市方面への事業エリア拡大 平成30年3月に、同社はJR東加古川駅より徒歩12分の利便性の高い立地に、分譲一戸建用地(63,802㎡ 349戸分)を取得した。加古川市内で初めての住宅事業用地の取得となり、販売規模としても同社過去最大級の開発団地となる。加古川市内の戸建分譲用地取得を契機に、神戸市西部~明石市・加古川市方面を新たな事業エリアとして同社の認知度・信頼度を高めながら、事業展開していく方針。分譲事業で培ってきた街並み開発のノウハウを活かし、神戸市西部~明石市・加古川市方面においても魅力的な分譲一戸建住宅(自由設計)年間150~200戸の供給を目標として同地域で事業を展開する予定。 経済産業省・東京証券取引所による「健康経営銘柄2018」に選定 同社は、平成30年2月20日付で経済産業省が東京証券取引所と共同で選定を行う「健康経営銘柄2018」に選定された。「健康経営銘柄2016」に続く2度目の選定。「健康経営銘柄」とは、東京証券取引所の上場企業の中から、従業員等の健康管理を経営的な視点で 考え、戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営」に優れた企業として選定されるもので、長期的な視点で企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による「健康経営」の取り組みを促進することを目指すもの。選定方法は33業種毎1社選定され最大33社となるが、該当企業がない場合、その業種からは非選定となる。2018年は約3,500社中、26業種 26企業が選定された。
 
 
今後の注目点
同社の18/3期決算を振り返ると引き続き旺盛な個人投資家向け一棟売賃貸アパートの需要を反映して土地有効活用事業が好調であることに加え、土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び分譲マンション引渡しに伴う管理物件の取扱い件数の増加などにより賃貸及び管理事業が拡大していることが確認された。これらは、同社の事業ポートフォリオの安定化につながり同社の中期的な業績拡大に寄与するものと思われる。不況抵抗力が強い会社として市場での評価も高まるものと期待される。こうした一方で、19/3期は前期に計上した大型分譲マンションの引渡し減少の影響が重くのしかかる。同社では、土地有効活用事業や賃貸及び管理事業の拡大に加え、自由設計住宅の成長加速を通じて過去最高の売上高と利益の更新を計画している。その鍵を握るであろう自由設計住宅は、2018年~2020年にかけて、収益性の高い戸建自由設計のプロジェクトが多数計画されている。大型分譲マンションの販売減少をカバーし、どこまで業績を拡大できるのか、自由設計住宅の今後の販売動向が注目される。また、前期は中古住宅再販事業への新規参入の増加により、買取仕入が苦戦した中古住宅であるが、今期は販売戸数、売上高ともに若干の増加を計画している。いかに中古住宅販売を拡大させるのか今後の取組策が注目される。 加えて、18/3期より成長加速を決定したサービス付き高齢者向け住宅の拡大は、同社へより一層のストック型ビジネスによる収益基盤の強化と長期的安定経営をもたらすことが期待される。今後のサービス付き高齢者向け住宅の事業展開にも引き続き注目していきたい。更に、19/3期が最終年度の現中期経営計画は、1年前倒しでの目標達成となった。今後新たな中期経営計画の策定が予想されるが、どの様な内容となるのか期待を込めて注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年6月22日。 <その他> コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方において、「株主の投資価値を高めるため、社長自らが、経営理念、事業目的、行動規範を明示し、「能力」と「熱意」と「考え方」の優れた企業貢献意欲の高い役職員が一致団結して同じ方向を向いて活動することが、業績向上のために必要不可欠な要素と考えております。」と述べている。