ブリッジレポート:(3537)昭栄薬品 vol.3
(3537:JASDAQ) 昭栄薬品 |
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企業名 |
昭栄薬品株式会社 |
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社長 |
藤原 佐一郎 |
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所在地 |
大阪市中央区安土町1-5-1 船場昭栄ビル |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
卸売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2018年3月 | 20,198 | 334 | 451 | 314 |
2017年3月 | 18,828 | 297 | 389 | 261 |
2016年3月 | 18,406 | 283 | 326 | 759 |
2015年3月 | 17,897 | 239 | 325 | 219 |
2014年3月 | 20,805 | 279 | 341 | 130 |
株式情報(6/28現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
(※)オレオケミカル
パーム油、ヤシ油及びパーム核油等の天然油脂を原材料として生み出される油脂化学品の総称であり、主な種類としては脂肪酸、グリセリン、脂肪アルコール、脂肪アミン、脂肪酸エステルがあげられる。資源に限りがある石油化学品とは異なり、再生産が可能であることや環境負荷が低いこと等の特徴がある。 【1-1 沿革】
1937年12月に創業者である鐵野義数(てつの よしかず)氏が大阪市南区(現 大阪市中央区)で、無機薬品を中心とした化学品の卸売事業を手掛ける鐵野商店を開業したのが始まり。1946年4月に昭栄理化学工業所と改称し、主として化学品及び石鹸の原材料の販売を行い、商社としての地盤を築き、また1951年4月から、花王石鹸株式会社(現花王株式会社)の脂肪酸及び脂肪酸誘導体の販売を開始したことを契機に事業を拡大してきた。2000年代に入り中国、タイに拠店を設け調達力を強化。2016年3月、東証JASDAQに上場した。
【1-2 経営理念など】
【1-3 事業内容】
創業以来の事業である化学品事業を中心に、同事業で培った事業基盤を活用し事業間シナジー効果を重視して多角化を進め、日用品事業、土木建設資材事業を展開している。
1.事業概要・ビジネスモデル ①化学品事業
以下の2つの商流で主として化学品の原材料および製品の仕入・販売を行っている。
脂肪酸、脂肪アミン、脂肪アルコール、グリセリンといったオレオケミカルを界面活性剤等の原材料として油脂メーカーから仕入れ、界面活性剤メーカー等の中間製品メーカーに販売。
中間製品メーカーが生産した界面活性剤等の化学品を仕入れ、家庭用として石鹸、洗剤、シャンプー、リンス及び化粧品等の最終製品メーカーに、工業用として繊維、紙・パルプ、医薬、食品、洗浄剤、プラスティック、塗料、鉄鋼・金属、合成樹脂、土木建設等の最終製品メーカーに販売。
昭栄薬品は花王のケミカル事業の国内主要代理店であり、総仕入れに占める花王の比率は約4割。 花王のオレオケミカルを界面活性剤等の化学品メーカーに、界面活性剤等を洗浄剤及び香粧品メーカー他の幅広い業界に販売している。 同社取扱いの中心製品である界面活性剤は、代表的なものは石鹸、洗浄剤だが、その機能の多様性から、トイレタリー以外にも、化粧品、食品、医薬品、繊維、合成樹脂、土木建設、紙・パルプ、ゴムなど幅広い業種・分野で利用されている。同社が取り扱う界面活性剤は900種類を超えている。 界面(表面)とは、2つの性質の異なる物質の境界面のことで、水と油のように2つの混じり合わない物質の間には、必ず界面が存在する。例えば、洗濯中の洗濯機の中では、水と空気の界面、水と汚れの界面、水と衣類の界面、汚れと衣類の界面、洗濯槽と水の界面など、多くの界面が存在している。界面活性剤とは、このような界面に働いて、界面の性質を変える物質のことを指す。
例えば水と油の場合では、界面活性剤は、この界面に働いて界面の性質を変えて水と油を混じり合わせることができる。 ②日用品事業
界面活性剤に関する専門知識を活用し、「安心・安全」をテーマとして「簡単・便利」を商品コンセプトに、家庭用洗剤、業務用洗浄剤、カビとり剤、化粧品等の商品を企画し、OEM供給を行っている。生産は外部に委託。主な販売ルートは、生協ルート約60%、100円均一ショップルート約30%、ドラッグストアルート約5%など。 大手ナショナルブランドが主に高い洗浄機能に重点を置いた商品開発を行っているのに対し、同社は「安心・安全」をテーマにしたニッチな商品企画を得意としており、販売チャネルにおける差別化も図っている。 また化学品事業において日用品の原材料となる多種多様な化学品メーカーとの取引があることから、最適な原材料の調達及び生産委託先の選定を効率的かつ機動的に行うことが可能である。 自社ブランド力の向上に加え、新たな販路の開拓を目的としている。 ③土木建設資材事業
界面活性剤に関する専門性を活用し、①グラウト(薬液注入)工法等の地盤改良に使用する材料・添加剤、②コンクリート補修補強工法に使用する材料・添加剤、③汚染土壌改良の環境改善薬剤等を仕入・販売している。個別の工事の目的に応じた工法に関する情報提供を含め、環境と安全に配慮した薬剤選定を強みに、工事の現場環境に応じた適切な商品を提案している。 建設会社等が進める新工法開発の原材料に関する技術サポート等を通して、新工法の開発にも貢献している。 商品構成は、土木建設資材が約8割、環境関連が約2割。 多くの同業他社が成形品資材を中心に取り扱うのに対し、同社は土木建設資材を総合的には取り扱わず、「土木建設関連の化学品」に絞り込むことで独自のポジション、独自のプレゼンスを確立している。 【1-4 特長と強み】
事業ドメインを「オレオケミカルを中心とした化学品分野」に設定して経営資源を集中している。そうして蓄積された国内外の製品情報、メーカー情報、営業ノウハウ、トレンド情報などの情報資源を日用品事業、土木建設資材事業において有効活用し、それぞれの市場を深耕し企業価値の拡大に結び付けている。
◎独自のビジネスモデル:集中型市場深耕モデル ◎高度な専門性と圧倒的な情報力
得意先及び仕入先企業は、常に新商品開発、商品リニューアルにおいて、価格、品質、機能、作用及び環境負荷等で課題を抱えており、自社と外部のアイデア等を組み合わせて革新的な価値を創出するオープン・イノベーションを志向する企業が増加している。そうした事業環境を同社ではビジネスチャンスと捉え、各社の開発テーマや製造上の課題をヒアリングしたうえで、長年にわたって蓄積してきたオレオケミカルおよび界面活性剤に関する豊富な知見・知識を活用して新商品開発の支援を行っている。 具体的な支援としては、商品企画アイデアの提案、商品の特長となる効果に適切な原材料の選定、得意先の要望を踏まえた上でのより効率的な仕入先や生産委託先の選定、仕入先の共有による原材料コストの低減など。 例えば仕入先の工場が事故などで操業停止した際の代替品の調達も可能であり、得意先からは無くてはならない存在となっている。 商品の仕入販売という単なる商社機能の枠を超えた製品開発支援により顧客企業との強固な信頼関係が構築されており、同社の大きな競争優位性となっている。 ◎グルーバルに顧客企業の生産活動を支援
海外拠点として中国・上海に「昭栄祥(上海)貿易有限公司」、タイに「SHOEI TRADING(THAILAND)CO., LTD.」の現地法人を有し、グローバル調達体制を構築。700社を超える国内外の得意先に対する生産活動を、原材料選定から支援している。 ◎安定した収益トレンド
幅広い取引先と仕入先、広範な取扱品目、得意先企業との強固な信頼関係により、創業以来安定した売上、利益の拡大を見せている。
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2018年3月期決算概要 |
増収増益で期初計画を上回る。
売上高は前期比7.3%増の201億98百万円。国内の化学品事業が堅調に推移したほか、土木建設資材事業も好調だった。売上総利益は同4.9%増加。販管費も同3.1%増加したが増収効果で吸収し、営業利益は同12.5%増の3億34百万円。 前期同期の為替差損22百万円が為替差益4百万円に転じた結果、経常利益は同16.0%増の4億51百万円。 売上高、利益ともに期初計画を上回った。好調な業績を受け、配当予想も当初の45円/株から53円/株に引き上げた。 ◎化学品事業
増収増益。国内主要得意先の生産・販売活動が概ね好調に推移し、品種別ではとくに高級アルコール及び脂肪酸の販売が好調だった。また既存得意先への輸入化学品の拡販や香粧品分野を中心とした新規取引先の開拓等に努めた。 ◎日用品事業
減収減益。冷蔵庫脱臭剤や食洗器の洗浄剤など一部商品の販売は堅調に推移したが、全体では低調。 利益面でも原材料や運送費等の高騰化の影響を受けた。 ◎土木建設資材事業
増収増益(営業損失幅縮小)。上期低調であった事業環境が下期に入り改善。同事業の取扱商品とかかわりの深い地盤改良工事、コンクリート補修補強工事の工事案件は少ないものの、施工会社、メーカー、二次販売店から付随する工事案件を受注することができた。また環境関連薬剤においても工事案件を受注することができ、回復基調となった。 (3)財務状態とキャッシュ・フロー
長短借入金残高合計は減少したが仕入債務の増加で負債合計は同17億66百万円増加の94億67百万円。 利益剰余金およびその他有価証券評価差額金の増加で純資産は同13億57百万円増加し、76億64百万円。 この結果自己資本比率は前期末より0.3ポイント低下し、44.7%となった。 投資CFはほぼ変わらず、フリーCFのプラス幅は拡大した。長期借入金の返済による支出や配当金支払額の増加で財務CFのマイナス幅は拡大。キャッシュポジションは上昇した。 |
2019年3月期業績予想 |
増収減益を予想
売上高は前期比2.5%増の207億円の予想。引き続き堅調な化学品事業を中心に増収を見込んでいる。人件費の増加等による販管費の伸びを吸収できず営業利益は同5.3%減の3億16百万円の予想。 配当は前期と同じく53円/株を予定。予想配当性向は21.1%。20%以上の配当性向を目標としている。 ◎化学品事業
前期比2.7%増収と、引き続き堅調な推移を想定している。海外商材の強化や拡販、ゲルベアルコールを含めた高級アルコールやIPMPの拡販を見込んでいる。 また最終商品メーカーへの営業に注力するほか香粧品分野の拡販に努める。 上海、タイの海外子会社との連携強化による拡販を図る。 ◎日用品事業
個人消費は依然低調な推移を予想しているが、前期比7.0%の増収を計画。新規アイテム、新商品の開発を進める。 既存顧客への拡販を図るほか、販売ルートやツールの拡充にも努める。 ◎土木建設資材事業
東京オリンピック、リニア中央新幹線関連工事やインフラ施設等の老朽化対策のほか、大阪万博など事業環境は良好だが、前期の伸長を考慮し、前期比4.2%の減収を計画。既存顧客であるメーカー、二次販売店への深掘り営業を進める。 新規商品の開発や拡販にも注力する。 |
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<参考1:今後の成長戦略> |
◎化学品事業
戦略1:新興国化学品の販売拡大
近年新興国メーカーが生産する化学品の品質が急速に向上しているため、採用する企業が増加している。そこで同社では、新興国における仕入先開拓を推進し、国内外で販売を強化する。 具体的には、新たな殺菌剤「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」を戦略商品と位置付けて、積極的に取引拡大を図る。IPMP以外の戦略商品の発掘、導入も進めていく。 新興国化学品メーカーには、日系メーカーの品質基準を満たすことを提案し、品質改善のための助言を提供するなど協働を進めるほか、具体的に日系企業への納入チャンスを提供し関係を強化する。 同社における輸入化学品の国内売上高は界面活性剤やIPMPを中心に順調に拡大しているが、今後は更にボリューム、スピードをアップさせる計画だ。 戦略2:海外における日系企業を中心とした新規得意先開拓
同社の強みである豊富な情報資源を顧客または潜在顧客と共有することにより関係を強化し、国内外で生まれつつある好循環の拡大を図る。つまり、国内取引で実績のある顧客企業に対しては、同社の中国、タイの海外拠点でも取引を開始する。 一方、国内での実績が無い顧客企業は、まず海外拠点で取引を開始し、その後国内でも取引を開始する。 戦略1にある新興国化学品の提案により、国内化学品を含めたグローバルでの原材料調達支援体制を構築する。 ◎日用品事業
戦略:安心安全をテーマとした商品企画の強化
国内のサプライチェーンを活用し、トレンドにマッチした安心安全な商品企画を更に強化する。
◎土木建設資材事業
戦略:二次販売店への販売活動強化
全国の土木建設の情報収集体制を構築するとともに、幅広い需要を取り込んでいく。
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<参考2:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年6月27日<基本的な考え方> 当社グループは、経営の健全性、適法性及び透明性を向上させ、また経営の説明責任を適切に果たすことで、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの立場に立って、企業価値を最大化することをコーポレート・ガバナンスの基本的な方針の基礎としております。 当社グループのコーポレート・ガバナンス体制としましては、監査等委員会制度を採用しており、取締役会が意思決定の透明性を確保し、取締役会及び監査等委員会が経営の健全性並びに適法性のチェックに加え、業務執行の妥当性に重点を置いた経営モニタリングを継続して実施できる体制を整備、維持することが、最も重要であると考えております。 また、内部統制システムは、経営の効率性、財務報告の信頼性及びコンプライアンスに重点をおいてその構築を推進し、コーポレート・ガバナンスに関する取組みと相互に連携することで、それぞれの実効性を確保してまいります。 <実施しない主な原則とその理由> 「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施いたします。」と記載している。 また、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的に定めたコーポレート・ガバナンスに関する基本方針において、「株主との対話の促進」について、 「当社グループは、株主総会における株主との積極的な対話はもちろんのこと、株主総会以外の場においても、株主との間で建設的な対話の機会を持ち、自らの経営方針等を分かりやすく説明し、その理解を得るよう努める。 (1)取締役会は、株主との建設的な対話を促進するためのIR担当取締役を定め、決算説明をはじめとする投資家向け説明会の実施はもちろんのこと、株主からの対話の申込に対しては、合理的な範囲で対応するものとし、その履行状況について適切に監督する。 (2)取締役会は、経営戦略や経営計画の公表に当たっては、合理的な範囲で収益力、資本効率等に関する目標を示し、これらの実現のための具体的な方策について、可能な範囲で適切に説明を行う。」 と記している。 |
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