ブリッジレポート
(4317) 株式会社レイ

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ブリッジレポート:(4317)レイ vol.38

(4317:JASDAQ) レイ 企業HP
分部 至郎 社長
分部 至郎 社長

【ブリッジレポート vol.38】2018年2月期業績レポート
取材概要「同社の強みは、制作領域と技術領域を持ち、映像、イベント、クリエイティブ、そしてプロモーションという4つの異なる領域をカバーしている・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年6月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社レイ
社長
分部 至郎
所在地
東京都港区六本木 6-15-21
決算期
2月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年2月 11,314 363 353 217
2016年2月 11,456 468 463 356
2015年2月 11,471 501 449 304
2014年2月 10,366 696 645 338
2013年2月 10,205 666 612 447
2012年2月 9,525 899 841 368
2011年2月 8,430 570 509 295
2010年2月 7,439 207 147 124
2009年2月 8,720 334 297 106
2008年2月 9,576 -628 -497 -635
2007年2月 9,861 31 -35 -28
2006年2月 9,533 782 773 416
2005年2月 8,237 386 380 226
2004年2月 7,649 434 429 207
2003年2月 6,761 142 126 34
株式情報(6/1現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
503円 14,328,914株 7,207百万円 9.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
6.00円 1.2% 27.22円 18.5倍 313.04円 1.6倍
※株価は6/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
レイの2018年2月期決算の概要と2019年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
セールスプロモーション(SP)やテレビコマーシャル(TVCM)等の、企画、制作、プロモーション、更にはイベントまでをカバー。ポストプロダクション(編集スタジオ)機能や映像機器を保有し、実制作部隊を備える事で、顧客ニーズに合った総合的な提案やサービスができる事が強み。グループは、同社と(株)クレイ、(株)マックレイの連結子会社2社、及び持分法関連会社の上海光泉会展有限公司。 【経営理念】 ・会社はステージ、社員をアクター、経営者を演出家、そしてお客様と株主の皆様を観客と、置き換えることができると考えております。 ・最先端のステージ(会社)で、アクター(社員)、演出家(経営者)全員が、それぞれプロ意識に徹し、十分にその実力を発揮し、多くの観客(お客様と株主の皆様)から拍手をいただくことは大変素晴らしく、当社グループの理想とするところです。 ・当社グループは、その理想の下、常に会社組織、投資機材の一層の拡充、最先端化と全社員の絶え間ない質的向上を経営の基本方針としております。 同社は、小さなベンチャー企業から発展し、広告、プロモーションや番組等の映像制作ビジネスを立ち上げてきた。その発展を支えてきたのは上記の経営理念である。この経営理念の下、強みであるデジタル映像制作加工技術及びデジタル映像演出技術を活かせる市場機会への俊敏な取り組み、そして市場より得られたリターンをデジタル技術に再投資する事で能力を高め、その高められた能力を基に新たな市場機会に挑戦する、と言う不断のイノベーションを経営戦略として推進している。 【経営方針】 同社は現在の立ち位置を、次の30年に向けた第二の創業と位置付けており、キーワードとして「100億をベースにさらなる躍進」を掲げている。現在、大手広告代理店からの直接・間接(制作会社経由)の受注が全体の50%を占めており、残りの50%は直取引等によるものだが、次の30年に向けた企業創造では、深耕と領域拡大で大手広告代理店向けビジネスの拡大を図りつつ、エンターテイメントやMICE関連の売上構成比を引き上げていく(広告主からの直接受注や学会関連のビジネスの拡大)。また、業界再編を顧客フィールドの拡大につなげるべくM&Aの可能性も探っていく。 【事業セグメント】 事業は、SP(セールスプロモーション)やTVCM(テレビコマーシャル)等の企画制作を行う広告ソリューション事業と保有する各種映像インフラを活用した実制作やデジタル映像機材のレンタルを行うテクニカルソリューション事業に分かれる。同社グループは、企画制作領域と実制作領域をカバーする事で一貫したサービスを提供できる事が強みだ。テクニカルソリューション事業の全売上高の6%が広告ソリューション事業向けの内部売上であり、94%が顧客向けの売上である。 18/2期の売上構成比は、それぞれ52.8%、47.2%。連結調整前利益の構成比は、それぞれ42.7%、57.3%。 広告ソリューション事業 広告代理店や一般企業の広告部門を主な取引先とする。企業のSP、キャンペーン、イベント、展示会、ショールーム等の企画制作・運営を手掛けるSP・イベント部門とTVCMの企画制作を行うTVCM部門に分かれ、(株)レイと(株)クレイが事業を手掛けている。 尚、広告の制作は、クライアント及び広告代理店が方向性や戦略を決定し、戦略に基づいて企画・制作会社が詳細な実施計画を立案し、実制作作業を各種業者に発注する。上場同業者としては、SP・イベント部門でテー・オー・ダブリュー、TVCM部門でAOI Pro、TYOを挙げる事ができる。 テクニカルソリューション事業 各種制作プロダクションやエンターテインメントの主催者等を主な取引先とする。広告ソリューション事業が提案する企画制作を実現する事業だが、現在、グループ外への売上が全体の94%を占め、広告ソリューション事業向けの社内売上は6%にとどまる。イベント、展示会、コンサート、学会、会議等で使われる映像システム、特殊演出システム、ビジネスプレゼンテーション機器等のレンタル・オペレーションサービスを行う映像機器レンタル部門と、デジタル映像を中心に各種映像(テレビコマーシャル・番組等)の編集及びDVD・ブルーレイディスク・CG制作等を行うポストプロダクション部門に分かれている。広告ソリューション事業と同じく請負事業で、主に制作会社から受注しているが、設備の償却負担がコストに占める割合が大きく、各種機材の稼働率が利益面での課題となる。上場同業者としては、映像機器レンタル部門でヒビノ、ポストプロダクション部門でイマジカを挙げる事ができる。 ※MICE 企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨(Incentive)、国際機関・団体、学会が行う国際会議(Convention)、及び展示会・見本市、イベント( Exhibition/Event)の頭文字をとったもの。多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称。 (同社資料より) 広告フィールドに軸足を置いて事業を展開しているため、大手広告代理店向けの売上(直接及び制作会社経由の間接)が多いものの(広告代理店との取引は大手広告代理店のみ)、売上高の過半には届いておらず、直取引等によるものの売上が過半を超えている。深耕と領域拡大で大手広告代理店向けビジネスを拡大させつつ、一般企業等の広告主からの直接受注やMICE関連ビジネスの売上構成比を引き上げていく考え。 【強み ワンパッケージサービス】 同社の強みは、制作領域と技術領域を持つ事で、映像、イベント、クリエイティブ、そしてプロモーションという4つの異なる領域をカバーし、顧客ニーズに合った総合的な提案ができる事。広告ソリューションで培ってきた企画制作力と、 IT・デジタル・映像を強みとしたテクニカルソリューションを駆使して、顧客の様々なニーズに、どの立ち位置からでも、どの段階からでも柔軟にサポートしていく。
 
 
2018年2月期決算
前期比5.7%の増収、同58.7%の営業増益 2017年の国内総広告費が前年比1.6%増の6兆3,907億円(株式会社電通発表による)と6年連続で増加する等、事業環境にも恵まれ、同社の売上高も119億59百万円と前期比5.7%増加し、過去最高を更新した。部門別では映像機器レンタル部門の売上が減少したものの、TVCM(テレビコマーシャル)部門が好調に推移した他、SP(セールスプロモーション)・イベント部門やポストプロダクション部門も堅調に推移した。 営業利益は同58.7%増の5億76百万円。増収効果と前期決算が大型プロジェクトの頓挫による赤字計上の影響を受けた反動で、売上総利益率が28.3%と1.4ポイント改善。売上の増加と相まって、人件費を中心にした販管費の増加を吸収した。 配当は、1株当たり6円の期末配当を予定している(配当性向21.1%)。 広告ソリューション事業 TVCMや通販番組を含むダイレクト広告等の企画制作、或いはミュージック PV 等の企画制作等を手掛けるTVCM部門の受注が期を通して好調に推移した(売上高・利益が過去最高)他、プロモーション・イベントや展示会・博覧会・ショールーム等の企画制作を手掛けるSP・イベント部門も堅調に推移し、売上高が63億19百万円と前年同期比15.5%増加。売上の増加と前期に大型プロジェクトの頓挫で赤字を計上した反動で営業利益が5億02百万円と同480.7%増加した。 テクニカルソリューション事業 CM・TV番組等の映像デジタル編集・MA制作、CM等の撮影、デジタルアーカイブ等のポストプロダクション部門が堅調に推移したものの、MICEやコンサート等での大型映像機器のレンタル・オペレーションの映像機器レンタル部門の受注が低調に推移した事で売上高が56億39百万円と前期比3.5%減少した。利益面では、積極的に進めていた機材投資に伴う機材関連経費が増加する中での受注低調で映像機器レンタル部門の利益が減少。ポストプロダクション部門も、受注単価の改善が進まず、映像機器レンタル部門の利益の減少をカバーできず、当セグメントの営業利益は6億75百万円と同21.1%減少した。 (3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF) 売上の増加に伴う売上債権・仕入債務の増加及び純資産の増加等で期末総資産は88億02百万円と前期末と比べて3億23百万円増加した。自己資本比率51.0%(前期末43.9%)。 CFの面では、受注・売上の増加による運転資金の増加と減価償却費の減少(6億57百万円→5億80百万円)等で営業CFが減少。レンタル機材等ハードへの投資が前期の92百万円から1億69百万円に増加する等で投資CFのマイナス幅も拡大したが、3億18百万円のフリーCFを確保した。自己株式の処分で4億92百万円を調達する一方、借入金やリース債務の返済を進めた事で財務CFは3億56百万円のマイナスになった。 (株)テレビ朝日との資本業務提携 2017年12月1日に(株)テレビ朝日との間で資本業務提携契約を締結すると共に、(株)テレビ朝日に対して第三者割当による自己株式の処分を行った。また、(株)レイの主要株主である(株)エイチ・ダブリュ・プロジェクト及び同社代表取締役社長の分部至郎氏(個人)による同社株式のテレビ朝日に対する売出しも行われ、テレビ朝日は発行済株式総数の20%を保有する筆頭株主となった((株)レイは(株)テレビ朝日の持分法適用会社となった)。 (株)テレビ朝日は経営計画「テレビ朝日360°」(2017年度~)を推進しており、この一環として、本社のある六本木を中心としたメディアシティ構想の下、リアルエンターテインメント事業の拡充を図っている。こうした中、テレビ朝日の子会社である(株)テレビ朝日サービスと(株)レイの映像機器レンタル部門が映像機器レンタルの相互取引を行う等良好なビジネス関係を築いていた事もあり、(株)レイと(株)テレビ朝日は、両社が有する経営資源やノウハウを活用した協業の可能性について協議を重ねていた。また、テレビ朝日のメディアシティ構想は六本木を中心に推進している構想であり、(株)レイの主要事業所や編集スタジオ等が至近距離にあるため緊密な連携も期待できる。 「大きく変化している広告、イベント、プロモーション分野において、(株)テレビ朝日が推進している「テレビ朝日360°」は大きなインパクトをもたらし、(株)レイはテレビ朝日の広範囲なものづくりネットワークと連携を図る事で全ての事業において更なる顧客フィールドの開拓を進められる事ができる」と言うのが(株)レイの考え。(株)テレビ朝日のビジネスの核であるコンテンツの多面的展開に協力していくためには、単なる業務提携に留まらず、より踏み込んだ形でのビジネス連携が必要であるとの判断の下、資本業務提携を行う事に合意した。
 
 
2019年2月期業績予想
前期比4.5%の増収、同7.5%の営業増益予想 受注単価は厳しいものの、TVCM部門、SP・イベント部門、ポストプロダクション部門が引き続き堅調に推移する中、映像機器レンタル部門の受注回復が見込まれる。設備投資と共に、人材の採用と育成への投資も継続して行っていく考え。 尚、イベント・展示会等が多く開催される秋季期間に業務が多くなる同社特有の季節要因やコンサートツアー等の長期案件の売上が第3四半期以降に見込まれること等で上期は減益が予想される。 配当は、1株当たり6円の期末配当を予定している(予想配当性向22.0%)。
 
 
今後の注目点
同社の強みは、制作領域と技術領域を持ち、映像、イベント、クリエイティブ、そしてプロモーションという4つの異なる領域をカバーしている事。このため、顧客ニーズに合った総合的な提案やワンパッケージのサービス提供が可能だ。制作業務が中心の広告代理店向けでは強みを十分に活かせないが、企業(広告主)との直接取引やMICE関連では総合的な提案やワンパッケージサービスが強みを発揮する。加えて、MICE関連は映像機器レンタルとのシナジーも期待できる。同社は、大手広告代理店向けビジネスを拡大させつつ、広告主との直接受注やMICEビジネスの比率を高めていく考え。(株)テレビ朝日との資本業務提携効果の顕在化にはある程度時間を要する見込みだが、(株)テレビ朝日の広範囲なネットワークとの連携による新たな顧客開拓を目的としているため今後の展開が注目される。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2018年06月01日 基本的な考え方 当社は、株主をはじめとした全てのステークホルダーの皆様の信頼に応え、継続的な企業価値の向上と健全で透明性が高く、環境の変化に柔軟に対応できる経営を重要な課題と位置付け、経営効率の更なる向上を図りつつ、業務遂行の意思決定機関である取締役会の充実、コンプライアンス遵守等、コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取組みを推進しております。また、企業活動の展開にあたり、法令を遵守し、社会倫理に従って行動するという観点から、当社グループの役員及び従業員の基本的な行動の規範を定めた「レイグループ行動規範」を策定し、役員、従業員に遵守、徹底を図っております。 <実施しない原則とその理由> 当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。