ブリッジレポート:(3960)バリューデザイン vol.6
(3960:東証マザーズ) バリューデザイン |
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企業名 |
株式会社バリューデザイン |
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社長 |
尾上 徹 |
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所在地 |
東京都中央区日本橋茅場町2-7-1 |
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決算期 |
6月末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2017年6月 | 1,738 | -12 | -44 | -87 |
2016年6月 | 1,631 | 188 | 163 | 150 |
2015年6月 | 1,243 | -176 | -187 | -550 |
2014年6月 | 1,031 | 20 | 10 | 20 |
株式情報(5/22現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【1-1 沿革】
クレジットカード会社で新たな決済手段の開発に取り組んでいた尾上社長は、アメリカでサーバー管理型電子マネーである「ハウスプリペイド」、「ブランドプリペイド」が普及・拡大していることを知り、数年後にはその波が日本にも必ず到来することを予想。いち早く導入に動くが、当該クレジットカード会社では既に非接触IC型電子マネーへの取り組みが中心となっていたため、新たにサーバー管理型電子マネーを手掛けるための人員も予算も不足しており、導入を進めることは難しいのが現実であった。そうした中、尾上社長は、成長が見込まれる「ハウスプリペイドカード」、「ブランドプリペイドカード」を日本で是非とも事業化したいと考えクレジットカード会社を退社し、2006年7月に同社を設立した。 「ハウスプリペイドカード」という文化が無い日本で当初営業活動は苦戦したが、低価格の専用端末を武器に店舗数10店舗程度の小規模事業者を中心に顧客数は着実に増加し、一定のシェアを獲得する。ハウスプリペイドカードマーケットの拡大に伴いシェアは一段と上昇し、顧客規模も中堅、大手へと拡大していった。 2012年からは海外でも事業を展開。2016年9月、東証マザーズに上場した。 【1-2 経営理念など】
「アジアNo.1のプロセッシングカンパニーを創る」を経営ビジョンに掲げ、『「バリューカード」を通じ、サービス提供企業と消費者のコミュニケーションの架け橋となることで、双方のメリットを極大化し、社会に貢献します。』と謳っている。
(同社におけるプロセッシングとは、自社開発の「バリューカードASPサービス」を使用しての残高管理業務やカード発行ノウハウは無い事業会社に対するカード発行支援業務を指す。)
【1-3 市場環境】
◎市場動向・概要
高い安全性、効率性の向上といった発行者、利用者双方のニーズから、「現金決済比率の低下、電子決済のウェート拡大」が続いている。中でもプリペイドカードは今後も更なる伸長が見込まれている。 中でもハウスプリペイドカードは2015年度から2021年度までの年平均成長率は10.5%で市場規模は1.9兆円に拡大。ブランドプリペイドカードは同じく年率35.2%成長で1.7兆円へと、市場平均を大きく上回る高成長が見込まれている。(いずれも矢野経済研究所調べ。) ◎プリペイド決済の種類
プリペイドによる決済には以下のような種類がある。同社の「バリューカードASPサービス」はサーバー管理型プリペイドカードシステムにあたる。 一般社団法人日本資金決済業協会の調査によれば、前払式支払手段(プリペイド)の媒体別年間発行額合計は、平成27年度21.5兆円で、過去5年間の成長率は年率4.2%。媒体別には発行額が最多だったのはIC型だが、磁気型や紙型が減少傾向にあるのに対し、最も伸長したのはサーバー型だった。 上記のようなサーバー管理型電子マネーのメリットを発行者が評価した結果と言えるだろう。 企業が費用対効果を追求する姿勢をますます強める中、顧客囲い込みのための有力な手段としてサーバー管理型電子マネーを用いたプリペイドカード需要は今後も引き続き増大していくものと思われる。 ◎同業他社
ハウスプリペイドカード事業では国内シェア40%超を有しており業界首位である。豊富な導入事例とノウハウで他社に対して大きなアドバンテージを持っている。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照) 【1-4 事業内容】
自社の独自ブランドで発行が可能な「ハウスプリペイドカード」と、VISA、MasterCardを始めとする国際ブランドと提携し、従来のハウスプリペイドカードの機能にVISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店での決済機能を搭載した「ブランドプリペイドカード」を展開しており、この2つを事業セグメントとしている。
(概要)
自社ブランドによるプリペイドカード発行を希望する企業に対して同社が自社開発したサーバー管理型プリペイドカードシステム「バリューカードASPサービス」を提供している。「バリューカードASPサービス」導入企業は、専用端末を設置するのみで、ハウスプリペイドカードシステムの導入が可能である。 ハウスプリペイドカードの概要、導入企業および消費者のメリットは以下の通り。 即ち、バリューカードASPサービスにより提供するプリペイドサービスを効果的に活用し、導入企業の客数・来店頻度・客単価などの指標の上昇、売上向上への貢献を目指す点が同社の大きな特徴である。 もちろん多様化する決済手段を最適化するとともに、店舗、消費者双方の決済に係る利便性向上にも貢献している。 ~販促支援活動~
バリューカードASPサービス導入店舗から収集される、プリペイドカードの利用状況等のデータを一元的にサーバー管理しており、導入効果を可視化するデータ分析ツールをベースに以下のような支援を行っている。
カード発行枚数、アクティブカード枚数、入金・利用単価と頻度、店舗別利用状況等の分析レポートを提示し、サービス導入店舗のプリペイドサービス導入の効果検証・効果分析を定期的に実施。
入金キャンペーン等、プリペイドカードを活用した販促施策を企画段階から支援。企画→実行→分析→改善のPDCAサイクルを回し、ブラッシュアップを提案。
バリューカードASPサービスを導入している他社の販促事例やその効果等の情報を提供し、より効果的なプロモーション施策を提案。
導入の目的・理由
いきなり!ステーキは、お肉をお客様の前でお好みの量にカットして召し上がっていただくというスタイルです。いきなり!ステーキ第1号店が2013年12月5日に銀座でOPENして以来、リピーターのお客様からご自身が食べてきた記録を残したいという声が多くあがり、かねてから一瀬社長が構想していた飛行機のマイレージのようなものができないか?という案が具体化されました。導入にあたっては、食べた量を目でみることができるリライト式や通常のポイント仕組み等、複数社が候補にあがりましたが、せっかく持って頂くなら高級感のあるカードが良いということと、将来的にチャージができるということに魅力を感じ、バリューデザインに決めました。 導入された結果、どのような変化がありましたか?
肉マネーチャージを定着させるため、肉マネーボーナスの3倍キャンペーンを行いました。この効果は絶大で、社内でもチャージ額の多さに驚きの声があがっていました。キャンペーン後はチャージすることが、お客様の意識で定着してきたようで、キャンペーンを行ってない日でも平均のチャージ額が当初と比べて約2倍にベースアップしました。また、原価の高騰を受け、ステーキの値上げをせざるを得なくなった時も、肉マネーチャージボーナスキャンペーンに助けられました。2016年3月1日に値上げを実施しましたが、値上げの発表を早めに行い、値上げ前日の2月29日は、「4年に一度の29の日5倍デー」を実施し、駆け込み需要を狙いました。また、3月1日から4月15日まで、3倍キャンペーンを実施しました。この結果、値上げに対する逆風はなく、むしろ値上げ後は、売り上げが10%アップしました。メディアの外的要因も功を奏していますが、マイレージチャージの存在が値上げに対する販売促進施策として、非常に有効でした。 成功のポイント
いきなり!ステーキの業態と肉マイレージという制度、ネーミングが本当にぴったりだったことだと思います。100円払って手に入れた最初の白いカードには何の特典もないのに、これだけ成功したのは、量り売りでステーキを食べたい量だけお召し上がり頂く「いきなり!ステーキ」のコンセプトとランクアップによる特典とカード自体の価値観、ランキング制度により、公開で競い合う心理をうまく刺激できたことだと思います。(中略) 言うまでもなく、ポイントをあからさまな利用金額ではなく、食べた肉のグラムを付与するという点もここまで浸透した成功要因の一つだと思っています。 バリューデザインへの評価・期待
今や、「いきなり!ステーキ」と「肉マイレージカード」は一心同体の状態です。新しい取り組みのため、色々と一緒に苦労をしてきましたが、これからも今まで以上に一緒に頑張ってもらえればと思います。安定的な稼働と肉マイレージを今以上に発展できる体制を構築いただき、一緒に肉マイレージを盛り上げていっていただきたいです。
取扱高は18年6月期通期では2,000億円も視野に入れている。 海外は韓国、中国、フィリピン、タイ、シンガポール等で展開している。 (収益構造)
同事業の売上高区分は以下の2つ。
カード枚数、専用端末数、入金額、利用額が同社売上の主要な変数となる。近年は大規模企業の顧客化に注力している。 (2)ブランドプリペイドカード事業
2016年6月期から開始した事業。ブランドプリペイドカードとは、VISA、MasterCardを始めとする国際ブランドと提携し、従来のハウスプリペイドカードの機能にVISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店での決済機能を搭載したカードのこと。 通常のクレジットカードとは異なり、前払でカードに入金した金額に制限されるために使い過ぎる心配がなく、入会審査は不要なため、誰でもクレジットカード加盟店であればどこでも利用できる簡便性を兼ね備えている。 また、ハウスプリペイドカードは導入店舗及び系列店舗に利用が限定されるが、ブランドプリペイドカードは、VISAブランド、MasterCardブランド等に加盟している世界中の店舗で利用することができる点も大きな違いである。 18年6月期は600億円程度まで伸長すると会社側は予想している。 (収益構造)
同事業の売上高区分は以下の2つ。
(※)PCIDSS:Payment Card Industry Data Security Standard:JCB、American Express、Discover、MasterCard、VISAの国際ペイメントブランド5社が共同で策定したクレジット業界における国際セキュリティ安全基準。
【1-5 特長と強み】
①No.1の導入実績に基づく成功のノウハウ
プリペイドカードサービス成功の鍵はシステムではなく利用を促進するノウハウであると同社では考えている。この点で、10年間で蓄積した豊富な導入事例は大きなアドバンテージとなっている。 様々な業種からなる600社を超す導入実績から具体的な事例を用いて個社ごとの最適な手法を提案することができる点は他社にはない強力な差別化要因であり、現在までのさらに将来に向けての同社成長の源泉でもある。 ②専門のコンサル部門による導入・運用支援
同社では蓄積したノウハウの活用を通じて顧客満足度を最大化させるために専門のコンサル部門を擁している。同部隊はプリペイドカードによる販促施策成功に向け、同業種・他業種を含めた様々な成功・失敗事例から最適な施策を提案・実行支援し、導入企業を手厚くサポートしている。 営業系スタッフに占める営業部門とコンサルティング部門の人員比率は、おおよそ4:6とコンサルティング部門が上回っていることからも、同部門の重要性がわかる。 ③有力企業との提携による拡販体制
同社ではプリペイドカード事業は先行者利益の大きいビジネスと捉えており、早急なシェア(=導入企業数)獲得が重要と考えている。そのため、同社ではターゲット先の業態や企業に対して業務上深い関連性を持つ企業(POSベンダーやトップセールスが可能な有力企業等)と販売代理店契約を締結し、全国各地を網羅した営業ネットワークを構築している。
④将来動向にも柔軟に対応可能な技術基盤
拡大が続く電子決済市場においては今後も様々なシステムやデバイスが登場することが予想されるが、同社のシステムは現在の磁気カード・専用端末以外のデバイス・媒体でもシステム改修なく対応が可能である。さらに、Fintech系サービスとの連携も視野に入れたシステムアーキテクチャを採用しており、将来動向も見据えた柔軟な技術基盤を構築している。 これら①から④に加えて、同社の強さを支える「600社を超す導入企業」という顧客資産も大きな特長・強みである。 豊富な導入事例を生み出すのみでなく、高成長が見込まれるブランドプリペイドカード事業においても重要な役割を果たすことに加え、安定したストック型収益の源泉である点も理解しておくべきだろう。 |
2018年6月期第3四半期決算概要 |
初期売上、システム利用料売上ともに増加し増収増益
売上高は前年同期比19.2%増の15億32百万円。利用好調でカードの増刷増で初期売上が2桁増収、システム利用料売上も引続きスーパーや飲食チェーンの利用が好調。システム利用増で粗利率も1.1%改善し、売上総利益は同22.4%増加。営業利益は黒字に転換。人件費、スマホ対応を始めとした新規サービス準備費用など販管費増を増収効果で吸収した。 ①ハウスプリペイドカード事業
増収増益。プリペイド利用率の高いスーパーマーケット・ドラッグストア業態での利用が堅調だったのに加え、スマートフォンアプリとプリペイドの連携や、上場企業における、株主優待券のプリペイドカード化等の要因により飲食チェーンでも利用が大きく伸長し、取扱高(プリペイド入金額)は前年同期比48.7%増の1,575億円と大幅に伸張。18年3月単月のシステム利用料売上高は過去最高を記録した。 スーパーマーケット業態での成功を受けホームセンターや大手飲食チェーン業態等での新規受注が進んでいる。 ②ブランドプリペイドカード事業
増収減益。既存イシュア(カード発行会社)の提携先における取引高及びそれに伴うシステム利用料売上が堅調に増加。取扱高(プリペイド入金額)は前年同期比12.2%増の478億円。 増収ではあったが開発・運用体制の強化の為の外注費は継続的に発生したほか、新規サービスの開発原価は前年同期よりも増加したため減益となった。 ◎海外事業の進捗
2018年3月にマレーシアの400店舗規模のコンビニエンスストアにおいてテスト導入を開始。5月には全店展開を予定している。
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2018年6月期業績見通し |
業績予想に変更無し。増収・黒字転換
通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比9.1%増の18億97百万円と予想。システム利用料売上高は前期比19.2%の10億92百万円と堅調だが、初期売上高は今期も同1.9%減少の8億5百万円にとどまる。ただ、前期に大幅に増加した外注費などが無くなるため、粗利率は上昇し粗利額も2桁の増加。販管費も前期並みとなるため営業利益以下黒字に転換する見通し。 利益の進捗率は100%を超えているが、第4四半期予定の開発案件が早期に完了し第3四半期に計上されたためである。 |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2017年10月13日<基本的な考え方> 当社は、株主・従業員・取引先、すべてのステークホルダーとの良好な関係を維持し、透明性の高い健全なコーポレート・ガバナンス体制及び企業倫理の構築に向け、鋭意努力を行っております。また、遵法の精神に基づきコンプライアンスの徹底、経営の透明性と公正性の向上及び環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、最適な経営管理体制の構築に努めてゆく方針であります。 <実施しない主な原則とその理由> 「当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施いたします。」と記述している。 |
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