ブリッジレポート:(2722)アイケイ vol.1
(2722:東証2部) アイケイ |
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企業名 |
株式会社アイケイ |
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会長CEO |
飯田 裕 |
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所在地 |
名古屋市中村区名駅3-26-8 KDX名古屋駅前ビル |
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決算期 |
5月末日 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2017年5月 | 15,273 | 557 | 554 | 425 |
2016年5月 | 13,908 | 205 | 182 | 73 |
2015年5月 | 12,476 | 64 | 68 | -49 |
株式情報(5/8現在データ) |
2017年12月1日付、2018年4月1日付でそれぞれ1:2の株式分割を実施。PBRは当該株式分割を考慮。 |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【1-1 沿革】
高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。 上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。 しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「B to B to C」に加え直接消費者に商品を提供する「B to C」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。 2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。 【1-3 事業内容】
事業セグメントは、雑貨類・食品類・化粧品などを販売するメーカーベンダー事業、化粧品を販売するSKINFOOD事業、コンタクトセンターの構築等を提供するITソリューション事業の3つ。
メーカーとして企画・開発した化粧品、アパレル、靴・バッグ、美容・健康関連商品等を、生協、通販会社、店舗など多様な販売先に提供する「メーカーベンダー業態」と、自社WEBSITEや子会社のTVショッピング枠を通じて直接消費者に提供する「メーカー小売業態」の2業態を展開している。 アジアを中心とした海外のバラエティショップ、ドラッグストア、TVショッピング、WEBサイトにも商品を提供している。 「LB」はLady Bird(テントウ虫)の略で、ヨーロッパでは古くから「テントウ虫が身体にとまると幸せがやってくる」という言い伝えがあり、LBのメイクアップを纏う全ての女性に沢山の幸せが届くようにとの思いが込められている。 数少ない100% made in Japan製品で、国内での拡販に加え、中国市場の本格的な開拓に乗り出している。 100%連結子会社株式会社フードコスメが、韓国化粧品ブランドのフードコスメティック「SKINFOOD」の店舗展開を国内主要都市の駅ビルを中心に行っている。 店舗数は、2018年2月末現在、直営店20店舗、FC店3店舗の合計23店舗。 (3)ITソリューション事業 100%連結子会社アルファコム株式会社が、音声通話録音システム「Voistore」などコンタクトセンター構築に関わるシステムや、ビジネス版LINE「Line Work」、チャットシステム「M-Talk」などを販売している。 【1-4 特長と強み:マーケティングメーカーとしてのビジネスモデル】
同社を特徴づけている最大のポイントは、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」としてのビジネスモデルであろう。同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。 (1)強力な商品開発・発掘・調達力 幅広い販路から得た情報や30年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。 月に1回「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の3チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。 チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。 同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。 (2)高いマーケティング力 ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。 候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。 (3)多彩な販売チャネル 上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。 販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。 商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。 今期の売上高当期純利益率は前期を上回る3.66%の予想であり、18年5月期も高水準のROEを実現する見込みである。 |
飯田会長兼CEOに聞く |
Q:「御社の経営理念である『ファンつくり』は御社を理解するうえで重要なポイントであるように思います。その意味するところを改めて教えていただけますか?」
当社が成長する過程で社員が増えていくと同時に彼らに対する責任も増し、社員が誇りに思えるこれからのリーディングカンパニーの条件とは何だろうということを常に考えてきた。A「リーディングカンパニーとは、会社の規模ではなく、『ファンが最も多い会社』だと考えている。社員、顧客、取引先、株主全てのステークホルダーがファンになってもらえるような会社作りを目指している。」 その結果、売上高や資産額といった財務数値の多寡ではないだろうし、単なる社員数でもないだろう。リーディングカンパニーとは最もリスペクトされる会社であると捉えた場合、とりもなおさず『ファンが最も多い会社』がリーディングカンパニーにふさわしいということに想いが至った。 社員、顧客、取引先、株主全てのステークホルダーがファンになってもらえるような会社作りを目指している。 Q:「この『ファンつくり』がアイケイの強みにも繋がっているとのことですが、この点についてもお話しください。」
この「ファンつくり」を実践する為には、お客様から見て良い会社であり続けることが最大のポイントだ。A:「『ファンつくり』を実践する為には、お客様から見て良い会社であり続けることが最大のポイントだ。『お客様立場主義』こそが当社の強みであり、成功の本質であると信じている。」 よく「お客様第一主義」という言葉を耳にするが、自分が順番を付けていること自体に私は大きな違和感を抱いてしまう。 そうではなく、お客様の立場であらゆることを考え、行動する会社でなければならい。 例えばマーケティング一つをとっても「お客様立場主義」からは、お客様に気持ちよく喜んでもらうことを第一義とすれば、商品についてわかりやすく説明するだろうし、電話対応もおのずから明るく丁寧になるだろう、欠品も無くし、商品発送も可能な限り迅速にお客様の元に届くようになるだろう。 私は、企業の成功の本質は「お客様から見て良い会社であり続けられるか」に尽きると信じており、成長を続けるアイケイの強みはまさにこの経営理念にある。この軸だけは今後も決してぶれることはない。 Q:「そうした『ファンつくり』、『お客様立場主義』といったアイケイならではの理念や哲学をどのようにして全社に浸透させているのでしょうか?」
当社では約20年前から「I・K WAY」という経営計画書を毎期作成し、そのファイルを全社員に配布している。A:「アイケイの社員として理解しておくべき理念、哲学、行動指針のポイントが凝縮された「I・K WAY」を全社員が必携し、ことあるごとに立ち戻ることで、理念、哲学、行動指針が自然に浸透するような仕組みを構築している。」 「I・K WAY」には、経営理念「ファンつくり」をはじめ、私たちの使命「地球との調和」、ビジネスモデル「マーケティングメーカー」、「経営基本方針」などアイケイのベースとなる考え方や毎期の重点経営方針や経営目標に加え、「アイケイらしさ」、「お客様立場主義とはなにか」、「ファンつくりを実現化するための商品やサービス」、「ファンつくりを実現化するための働く仲間に関しての方針」などアイケイの社員として理解しておくべき理念、哲学、行動指針のポイントが凝縮されている。 新卒社員・中途入社社員共に入社時は「I・K WAY」の読みくだきを徹底的に行う。全ての会議において社員は「I・K WAY」必携であり、何度も何度も読み合わせを行っている。 加えて、会長としては月1回の全体会議では必ず「お客様立場主義」について話をし、また、年2回の全社員との個別面談の場では社員の声を聞くとともに、「I・K WAY」に基づいたアドバイスを行ったり、議論を交わしたりしている。 社員がアイケイファンになってこそファンつくりを実践できる、社員満足があってこそ顧客も満足できると考える当社にとって、社員のベクトル一体化も極めて重要なポイントであり、そのためにも「I・K WAY」は大変重要な役割を果たしている。 全社員が折に触れ「I・K WAY」に立ち戻ることで、理念、哲学、行動指針が自然に浸透するような仕組みを構築している。 Q:「続いて成長のための取り組みや課題についてお聞かせください。」
まず商材として大きく期待しているのは「化粧品LB」だ。A:「化粧品LBで本格的な中国市場の開拓を目指す。またTVを起点としたマルチチャネル販売に磨きをかける。」 LBは5年ほど前に開発した商品だ。大手数社がシェアを独占し、飽和状態である国内の化粧品メイクアップ業界では、テレビ広告などに莫大な広告費をかけ、20年以上の時間をかけなければ成功しないと一般的には言われてきたが、当社は独自の高いマーケティング力で、全国の店舗、ドラッグストアに展開し、僅か5年で売上約18億円を達成することができた。 今後も国内での拡販を目指すが、それ以上に「LB」による本格的な中国市場開拓を進めることをアイケイの重要な成長戦略と位置付け、この1年間はあえて国内販売よりも、中国での販売基盤作りや市場調査、シェア獲得のための施策づくりに経営資源を投下してきた。 中国においてはメイクアップのノウハウは未成熟で、まだまだ生活に浸透していないが、生活スタイルの変化が進んでおり、今後は大きな成長が期待できる。LBは商品パッケージのQRコードからメイクアップの動画が閲覧できる仕組みとなっている。 また中国においては日本製化粧品は大変人気があるが、メーカーが日本企業であるのに過ぎないものも多くある中、LBは数少ない100% made in Japan製品であり、その本質的なブランド力も合わせ、巨大な中国市場の開拓に取り組んでいく。加えて、韓国やASEANも有望な市場と考えている。もちろん国内での拡販も進めていく。 次に、TVを起点としたマルチチャネル販売に磨きをかける。 当社は2014年9月にTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社化した。 同業他社が年間1~2のヒット商品でプライムダイレクトをはるかに上回る売上を上げていることから、当社のTVを起点としたマルチチャネル販売には課題もあるが逆に言えば、成長する余地が極めて大きいと考えている。 当社のTVショッピングはいわゆるインフォマーシャル型(インフォメーションとコマーシャルの合成語。生活情報を紹介しながら,それに欠かせない製品を広告するもの)であり、ヒット商品を出せば、放送枠を買うことで急速に売上げを伸ばすことが出来る。TVでの露出が増えれば多彩な販売チャネルを持つ当社の強みを活かし、紙媒体や店舗での販売増に繋げることも容易だ。 加えて、卸を使っている同業他社に対し、当社は直接取引であるため自社で売場を作ることができる。つまり、「売れる紙面づくり」のノウハウを持っているため、チラシやディスプレイを自らきめ細かく手掛けることができる。 強力な商品開発力を始めとしたマーケティングメーカーとしての実力で先行する他社に追い着くことは十分可能であり、売上で一桁上の規模も実現することができるだろう。 また、上記2点に加え、真のマーケティングメーカーを目指す上では、自社開発製品の比率を更に引き上げていくことも不可欠であると考えている。 Q:「では最後に株主や投資家へのメッセージをお願いいたします。」
私は、株主や投資家の皆さんの期待にお応えする一番の道は「企業価値をどれだけ高めていけるか」であると考えている。A:「お客様立場主義を貫き、マーケティングメーカーというポジションで世界No.1企業を目指す当社を是非中長期の視点で応援していただきたい。」 そのためには、配当を重視すると同時に、収益を着実に増大させながら利益は成長のための投資に振り向けていく。 また、経営理念「ファンつくり」にあるように、全てのステークホルダーとの信頼関係構築の重要性を強く認識しており、「フェア」、「タイムリー」、「誠実性」、「透明性」をキーワードに、株主や投資家の皆さんに伝えるべきことはきっちりと伝える姿勢を堅持していく。 お客様立場主義を貫き、マーケティングメーカーというポジションで世界No.1企業を目指す当社を是非中長期の視点で応援していただきたい。 |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年2月15日<基本的な考え方> 当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが求められる中、上場企業として社会的使命と責任を果たすため、経営基盤を充実し、尚且つ高い倫理観を保持し、経営の透明性を一層高めることで、信頼される企業を目指してまいります。 また、当社は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つと考えており、定時取締役会(月1回開催)、臨時取締役会(必要に応じて随時開催)のほか、常勤取締役(監査等委員である取締役を含む)及び執行役員による社内役員会(週1回開催)、チームマネージャー職以上で構成されるTOP会議(週1回開催)の開催により、多方面からの情報共有に努めております。 <実施しない主な原則とその理由> |
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