ブリッジレポート
(6552) 株式会社GameWith

スタンダード

ブリッジレポート:(6552)GameWith vol.4

(6552:東証マザーズ) GameWith 企業HP
今泉 卓也 社長
今泉 卓也 社長

【ブリッジレポート vol.4】2018年5月期第3四半期業績レポート
取材概要「ネットワーク広告では、2017年1月に広告運用チームを立ち上げて外部委託から内製化に切り替えた効果が現れている。タイアップ広告も営業部隊に・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年5月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社GameWith
社長
今泉 卓也
所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
決算期
5月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年5月 1,581 657 654 465
2016年5月 994 330 329 220
2015年5月 389 127 124 94
株式情報(4/17現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,445円 16,719,932株 24,160百万円 39.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00 - 44.83円 32.2倍 173.83円 8.3倍
※株価は04/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
GameWithの2018年5月期第3四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ゲーム情報メディア「GameWith」の運営・管理を行うメディア事業を展開。「GameWith」はゲーム攻略情報、ゲームのレビュー、コミュニティ機能並びに動画配信等のコンテンツを提供。ゲームに必要な記事や機能を提供する事でユーザーを集客し、広告枠を広告主に提供する事で収益をあげている。
 
【沿革】
2013年、マンションの一室でスタート。ブラウザからアプリへと、ゲームを楽しむ環境が変わり、スマホゲーム自体の内容が高度化する中、ゲームの攻略情報のニーズが高まりつつあった事が起業の背景にある。「本当に知りたいゲームの情報を得られる場所が存在すればもっとゲームを楽しむ事ができる」という想いから、同年6月にゲーム情報サイトの運営を目的とする(株)GameWithを設立。同年9月にゲーム情報メディア「GameWith」をリリースした。当初はゲームの攻略情報を中心にユーザー同士が分からない事を質問しあうQ&Aサイトだったが、2014年5月に攻略記事の本格的な作成体制を構築。これを契機にページビューが急増した。その後、2015年9月にゲームレビューを開始し、2016年9月にゲーム攻略等の動画配信を開始。2017年3月にはコミュニティ機能の提供も開始している。
会社設立から4年後の2017年6月に東証マザーズに株式を上場した。
 
 
【事業内容 -ゲームユーザーとゲーム会社の間に立って、両者にとって必要なものを事業化-】
ゲーム情報メディア「GameWith」を通してゲームに必要な記事や機能を提供する事でユーザーを集客すると共に、広告枠を広告主に提供する事で収益化している。インターネット広告市場は高い成長を続けており、またスマートフォンにおける広告市場も高い成長が続いている。
 
ゲーム情報メディア「GameWith」の主なコンテンツ
「GameWith」の主なコンテンツは、ゲームを有利に進めるための情報を提供する「ゲーム攻略」、ゲームを見つけるための情報を提供する「ゲームレビュー」、ゲームユーザー同士で交流できる機能を提供する「コミュニティ」、専属のゲームタレントがYouTube等で動画を配信する「動画配信」の4つ。ゲーム攻略情報で集客したユーザーをゲームレビュー等の各サービスへ循環させる事で、相乗効果を生み出している。
 
ゲーム攻略
主にスマートフォンゲーム等の攻略情報に関する記事を提供している。人気ゲームの上位ランカーをライターとして採用・教育し、組織的に記事作成を行う事で、イベントに素早く対応し、正確な記事を高頻度で更新する仕組みを構築。ゲーム内でのイベントやアップデー卜に合わせて夕イムリーに記事を提供している。
 
ゲームレビュー
利用者が新たにゲームを始めるきっかけとなるゲームのレビュー情報を提供。新作ゲームの情報が発表されると同社所属のライターがレビュー記事を作成する(一部のゲームについては自社スタジオで動画制作も行い、よりゲームの良さが伝わりやすいレビュー記事が作成される)。また、ゲームの紹介記事の他、速報性に優れた同社独自のランキング情報や網羅的なゲームのデータベースも提供されている。
 
コミュニティ
会員登録(無料)する事でゲーマー同士がコミュニケーションを取る事が出来る機能を提供。同じゲームでプレイするゲーマーを繋げる事でゲームへの熱量を向上させる事を目的としており、メディア全体の活性化や媒体価値の向上に繋がるだけでなく、ゲーム自体をより長くプレイしてもらうことでゲーム会社にも寄与する。
 
動画配信
リアルタイムでのゲームプレイ動画の配信や動画ならではの魅力的なコンテンツの企画・運営を行っている。動画出演者は同社所属の攻略情報のライターからの選出や専属マネジメント契約を締結したクリエーター。2016年9月から動画中に広告を挿入する事で広告収入を得ている他、動画出演者が、ゲームのプロモーションだけでなく、商品の販売促進を行うサービスも広告商材として販売している。
 
ゲーム情報メディア「GameWith」を介した広告収入が収益源
同社はコンテンツを提供するなかで、広告主または広告代理店に対して、アドネットワーク等を利用した「ネットワーク広告」または「タイアップ広告」として広告枠を販売する事等で収益を得ている(アドネットワークとは、広告媒体のWebサイ卜を多数集めて形成される広告配信ネットワークの事)。

ネットワーク広告は、「GameWith」のインターネット広告枠の他に、動画配信を行う際の広告枠や攻略情報アプリ内の広告枠を、アドネットワークを通して販売する事で広告収入を得るもの。一方、タイアップ広告は広告主となるゲーム会社との相対の交渉の下で行う広告であり、アプリゲームの認知度向上やユーザーの定着率向上等を目的としたプロモーションの一環としてゲーム会社は同社に広告を発注する。

ゲームレビューでは無料でアプリゲームの紹介を行っているが、無料サービスは効果が限定的。このため、バナー広告やゲーム紹介動画を含む記事広告、ゲームの攻略情報の作成・管理・運用等の付加価値(有料)サービスが用意されている。ゲーム会社は付加価値サービスを利用(同社に広告を発注)する事でゲームの認知度向上やユーザーの定着率改善を図る事ができる。
尚、タイアップ広告は17/5期に体制が整備されたばかりで、販売力の強化はこれからである。
 
 
2018年5月期第3四半期決算
 
 
売上高・利益供に通期予想を超過
売上高は前年同期比84.8%増の19億52百万円。2017年1月に広告運用体制を構築しPV単価アップに取り組んでいる成果と特定タイトルの大型プロモーションによる押し上げでネットワーク広告の売上が同70%強増加する中、提案営業によるゲーム会社各社の旺盛な需要の取り込みでタイアップ広告が同3.3倍に拡大した。

営業利益は同2.2倍の9億22百万円。売上総利益率が69.4%と前期通期の実績(64.3%)に対して5.1ポイント改善。増収効果と相まって、ライター・エンジニアの増員による労務費・地代家賃の増加やトラフィックの増加に対応したサーバ利用料の増加、更には管理部門の強化等による販管費の増加を吸収(営業費用全体では6億61百万円と同60%程度増加)。営業利益率が47.3%と8.0ポイント改善した。
 
 
 
営業強化でタイアップ広告の売上が四半期ベースで過去最高を更新
旺盛な広告需要と施策の効果でタイアップ広告が同3倍弱に拡大し、ネットワーク広告も同40%弱増加した。タイアップ広告は四半期ベースで過去最高の売上となり、ネットワーク広告の売上も、実質過去最高を更新した(実際には第1四半期が過去最高だが、プロモーション特需を除くと第3四半期が過去最高)。ネットワーク広告はページビュー数が7.3億ページビューと高水準を維持する中、運用成果でページ単価が前年同期の1.7倍程度に上昇した。
 
ゲームレビューの新商品リリース
2月7日に同社が運用する国内最大級のゲームメディア「GameWith」において、ゲームの事前登録に特化した広告商品(以下、「事前登録ガチャ」)の提供を開始した。「事前登録ガチャ」の目的は、「GameWith」ユーザーの中でも、特にリリースされる前の新しいゲームタイトルに関心を持つユーザーに対して集中的にプロモーションを行う事。ゲームがリリースされる前に特集記事を組んで事前登録を促す。事前登録時に景品が当たるガチャをまわす事ができ、ゲームのリリース時には通知を受ける事ができる。
 
 
 
 
第3四半期末の総資産は前期末と比べて9億98百万円増の28億14百万円。自己資本比率84.0%(前期末78.5%)。
尚、3月30日に第三者割当増資の引受けによりGame Server Services株式会社(本社:愛知県北名古屋市、代表取締役:丹羽 一智)の株式1,250株(議決権の8.33%)を取得した。Game Server Services(株)は、スマートデバイス向けゲームに最適化したゲームサーバ「mBaaS (Mobile Backend as a Service)」を提供している。スマートデバイス向けゲームの開発者は「mBaaS」を利用する事で、サーバ開発に関する深い知識を持たなくても、大量のトラフィックを安全に確実に処理できる基盤を手軽に手に入れる事ができ、ゲームサーバの開発・運用をする事なくゲーム事業を展開できる。
(株)GameWithは、ゲーム周辺領域において魅力的なサービスや高い技術力を有するパートナーとの関係強化を通じて、ゲーム業界の発展に貢献していく事を目指しており、今回の出資は、この一環である。
 
 
2018年5月期業績予想
 
 
通期業績予想を上方修正。前期比60.8%の増収、同60.6%の営業増益を見込む
ネットワーク広告における想定を上回る広告単価の改善及びタイアップ広告におけるゲーム会社各社の旺盛な需要の順調な取込みで売上高が期初予想を23%弱上回る見込み。利益面では、来期以降の成長戦略の実現に向けて、第4四半期に人材獲得・育成等の人材投資、増床、及びその他の成長投資を計画しているが、売上の上振れに加え、第3四半期及び第4四半期に積極投下を計画していたアプリ展開に係る広告宣伝費の投下を来期とのバランスを踏まえて見直した。
 
(2)今後の事業戦略
中長期的な成長力を担保するべく、eスポーツプロチーム「GameWith」を結成した。また、海外展開の第一弾として取り組んでいる台湾版「GameWith」のオペレーション構築も順調に進んでいる。
 
eスポーツプロチーム「GameWith」を結成
リアルタイム対戦型モバイルカードゲーム「クラッシュ・ロワイヤル」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ」発足(2018年3月)にあたり、2018年3月にプロチーム「GameWith」(監督:大庭 仙充)を結成した。同社は、この取り組みを通じてノウハウを蓄積し、様々なeスポーツ事業を展開していく考え。

尚、eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦を競技として捉える際の名称。プレイヤー同士が競い合い、その内容を様々なメディアを通じて観客は楽しむ事ができる観戦型エンターテインメントである。「クラッシュ・ロワイヤル」は、Supercell Oy(フィンランド)が提供するモバイルゲーム。2017年には、賞金総額約1億円のeスポーツイベント「クラロワ 世界一決定戦(CROWN CHAMPIONSHIP)」が開催され、全世界187カ国から2,700万人以上のプレイヤーが参加したと言う。
 
海外展開
2017年12月に初の海外展開として開始した台湾版「GameWith」のオペレーション構築が順調に進んでいる。英語圏展開も視野に入れて、海外展開のノウハウを蓄積していく。
 
 
今後の注目点
ネットワーク広告では、2017年1月に広告運用チームを立ち上げて外部委託から内製化に切り替えた効果が現れている。タイアップ広告も営業部隊による提案営業の成果が現れてきたが、共に取り組みが緒に就いたばかり。ネットワーク広告では、24時間運用を視野にシステムによる自動化も進めていく考え。通期の業績予想が上方修正されたが、一段の上振れ余地があると思われる。このトレンドが維持されれば、来期の見通しも明るい。
また、新たな成長ドライバーの育成に向けた取り組みにも注目したい。同社はeスポーツのプロチーム「GameWith」を立ち上げたが、新聞報道によると、米会計事務所大手では、2022年の中国・杭州アジア競技大会での正式種目採用が決まった事等で、2016年に3億2700万ドル(約340億円)だったeスポーツの世界市場規模が、2021年に約8億7400万ドルに拡大するとみている。日本では、2018年2月に業界団体「日本eスポーツ連合」が発足し、プロライセンスの発行を決めた。プロ認定制度により高額賞金を出せるようになれば、市場拡大に弾みがつくとみられているようだ。台湾版「GameWith」の立ち上げと共に注目していきたい。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2017年08月23日
基本的な考え方
当社は、「ゲームをより楽しめる世界を創る」というミッションのもと、ゲームに携わる全ての人や企業にとって最適な環境を作る事業運営体制の構築に向け、健全性と透明性が確保された迅速な意思決定を可能とする体制の整備を進めるとともに、コンプライアンスの徹底やリスク管理を含めた内部統制の強化を図っております。これらの取組みを通じて、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指し、企業価値の最大化に努めてまいります。
 
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則の全てを実施しています。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、取引・協業関係の維持・拡充のための手段として、他社の株式を取得・保有する場合があります。当該保有に関しては、企業価値向上につながることを政策保有方針の基本とし、発行会社と当社事業における中長期の協力関係の維持・強化、取引関係等の円滑化及び事業機会の創出・発展に資する可能性から判断します。
政策保有株式の議決権の行使については、(1)発行会社が当社の政策保有方針に適う目的・事業を有していること、(2)企業活動の適時かつ適切な情報開示を行っていること、(3)持続的な成長につながる事業基盤を有していることなどを総合的に勘案し、議案の内容と中長期的な企業価値の向上について検討し、「職務権限規程」に定める然るべき決裁者が賛否を判断します。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、当社の取締役が利益相反の疑義がある取引を行う際は、法令及び取締役会規則に則り取締役会の承認を得ることにより、適切に監視しております。なお、利益相反の疑義がある取引を実行した場合には、法令の定めに基づき、重要な事実を適切に開示します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、企業価値の持続的成長を目的とし、株主とのより強固な信頼関係を構築するため、コーポレート・ガバナンス、経営戦略、資本政策、業績・財務状況、サービス内容とそのリスク等について、中長期的な視点から、株主との建設的な対話を継続する体制を整備しています。

- 株主との対話は、代表取締役社長による統括のもと、個別面談については実施責任者である経営企画室長が、面談の目的と効果、株主の属性などを考慮の上、代表取締役社長及び取締役管理部長等の参加も含め、対応者と対応方法を検討、実施しております。
- IR担当者は、事業部門や管理部門をはじめとする社内各部門から必要情報を収集するとともに、緊密な社内連携を通じて、わかりやすい説明を工夫し、株主との対話を充実させています。
- 当社は株主の皆様に、当社の経営方針、コーポレート・ガバナンス、戦略、事業の現状などについて、理解を深めていただく活動を継続しています。
- 機関投資家との対話としては、個別面談の他、半期毎の決算説明会を適宜開催しております。また、ホームページの株主・投資家向け専用ページを通して、これらのイベント情報を個人投資家へも開示するとともに、個人投資家向けの会社説明会も開催しています。
- 株主との対話を通して把握した株主の関心や懸念などは、部門長以上の経営幹部に随時報告し、経営分析や情報開示のあり方の検討などに生かしております。
- 株主との対話においては、社内規則の定めるところに従い、インサイダー情報を適切に管理しております。
- 当社では決算情報に関する対話を控える「沈黙期間」を設定しております。