ブリッジレポート
(6552) 株式会社GameWith

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ブリッジレポート:(6552)GameWith vol.3

(6552:東証マザーズ) GameWith 企業HP
今泉 卓也 社長
今泉 卓也 社長

【ブリッジレポート vol.3】2018年5月期第2四半期業績レポート
取材概要「ネットワーク広告では、時間単位での収益性を追求し最適なサイトを選択する等、広告運用チームによるきめ細かい運用(外部委託から内製化)・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年3月13日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社GameWith
社長
今泉 卓也
所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
決算期
5月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年5月 1,581 657 654 465
2016年5月 994 330 329 220
2015年5月 389 127 124 94
株式情報(1/11現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
4,600円 8,360,000株 38,456百万円 39.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 31.64円 145.39 173.83円 26.5倍
※株価は01/11終値。ROE、BPSは前期末実績。
 
GameWithの2018年5月期上期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
ゲーム情報メディア「GameWith」の運営・管理を行うメディア事業を展開。「GameWith」はゲーム攻略情報、ゲームのレビュー、コミュニティ機能並びに動画配信等のコンテンツを提供。ゲームに必要な記事や機能を提供する事でユーザーを集客し、広告枠を広告主に提供する事で収益をあげている。
 
【沿革】
2013年、マンションの一室でスタート。ブラウザからアプリへと、ゲームを楽しむ環境が変わり、スマホゲーム自体の内容が高度化する中、ゲームの攻略情報のニーズが高まりつつあった事が起業の背景にある。「本当に知りたいゲームの情報を得られる場所が存在すればもっとゲームを楽しむ事ができる」という想いから、同年6月にゲーム情報サイトの運営を目的とする(株)GameWithを設立。同年9月にゲーム情報メディア「GameWith」をリリースした。当初はゲームの攻略情報を中心にユーザー同士が分からない事を質問しあうQ&Aサイトだったが、2014年5月に攻略記事の本格的な作成体制を構築。これを契機にページビューが急増した。その後、2015年9月にゲームレビューを開始し、2016年9月にゲーム攻略等の動画配信を開始。2017年3月にはコミュニティ機能の提供も開始している。
会社設立から4年後の2017年6月に東証マザーズに株式を上場した。
 
 
【事業内容 -ゲームユーザーとゲーム会社の間に立って、両者にとって必要なものを事業化-】
ゲーム情報メディア「GameWith」を通してゲームに必要な記事や機能を提供する事でユーザーを集客すると共に、広告枠を広告主に提供する事で収益化している。インターネット広告市場は高い成長を続けており、またスマートフォンにおける広告市場も高い成長が続いている。
 
 
ゲーム情報メディア「GameWith」の主なコンテンツ
「GameWith」の主なコンテンツは、ゲームを有利に進めるための情報を提供する「ゲーム攻略」、ゲームを見つけるための情報を提供する「ゲームレビュー」、ゲームユーザー同士で交流できる機能を提供する「コミュニティ」、専属のゲームタレントがYouTube等で動画を配信する「動画配信」の4つ。ゲーム攻略情報で集客したユーザーをゲームレビュー等の各サービスへ循環させる事で、相乗効果を生み出している。
 
ゲーム攻略
主にスマートフォンゲーム等の攻略情報に関する記事を提供している。人気ゲームの上位ランカーをライターとして採用・教育し、組織的に記事作成を行う事で、イベントに素早く対応し、正確な記事を高頻度で更新する仕組みを構築。ゲーム内でのイベントやアップデー卜に合わせて夕イムリーに記事を提供している。

同社に所属するライターがゲーム夕イ卜ル毎にプロジェクトチームを編成し、実際にゲームを攻略して記事を作成。ゲームに特化したライターが複数人で記事を作成する事で質の高いゲーム攻略情報の提供を可能にしている。それぞれのゲームの上位ランカーの中でも、トップ0.1%に入るゲーマーを厳選採用し、入社後はそのゲーマーを教育・研修、マニュアル、記事作成ツール、分業化等、整備された社内体制の下で、ライターとして育成していく。
新しいゲームがリリースされると、需要がピークアウトしてきたゲームのライターがアサインされるが、もともとゲームの素養が高い人材のため、新しいゲームでも高いパフォーマンスを示してくれるという。

また、2014年5月には、同社が作成した攻略情報に対して一般ユーザーから募った意見や間違いの指摘を反映させるべく、ゲーマーのためのクラウドソーシング「GameWorks」を開始。より正確性の高いゲーム攻略情報の提供を目的としている。この他、2016年5月には、攻略情報に関連するアプリをリリース。従来Webサイトで提供を行っていた攻略情報をアプリ化してリリースする事で、ユーザーはより快適に同社のコンテンツを利用する事ができるようになった。ゲームの共闘メンバーの募集に係る自動マッチング機能等も設けている。2017年8月末現在、9つのiOSアプリと1つのAndroidアプリをリリースしており、今後もユーザー数、ページビュー数等、同社の基準に照らして新たな展開を検討していく。
 
ゲームレビュー
利用者が新たにゲームを始めるきっかけとなるゲームのレビュー情報を提供。新作ゲームの情報が発表されると同社所属のライターがレビュー記事を作成する(一部のゲームについては自社スタジオで動画制作も行い、よりゲームの良さが伝わりやすいレビュー記事が作成される)。ゲーマーはレビュー記事をみる事でリリース前から新作ゲームの内容を把握する事ができるだけでなく、「GameWith」の事前登録機能を利用する事で新作ゲームがリリースされた際には通知を受け取る事もできる。
また、ゲームレビューでは、ゲームの紹介記事の他、速報性に優れた同社独自のランキング情報や網羅的なゲームのデータベースが提供されている。アプリストアにはない付加価値を提供する事で、「GameWith」上で優先的にゲームを探してもらうための差別化戦略を行っている。
 
コミュニティ
会員登録(無料)する事でゲーマー同士がコミュニケーションを取る事が出来る機能を提供。同じゲームでプレイするゲーマーを繋げる事でゲームへの熱量を向上させる事を目的としており、メディア全体の活性化や媒体価値の向上に繋がるだけでなく、ゲーム自体をより長くプレイしてもらうことでゲーム会社にも寄与する。
 
動画配信
当初、同社所属の攻略情報のライターが、ユーザーに分かりやすく攻略情報を伝えるために動画配信をしていたが、現在はリアルタイムでのゲームプレイ動画の配信や動画ならではの魅力的なコンテンツの企画・運営を行っている。動画配信者の発掘・育成からプロモーションまで行えることも同社の強みでもあり、動画出演者は同社所属の攻略情報のライターからの選出や専属マネジメント契約を締結したクリエーター。2016年9月から動画中に広告を挿入する事で広告収入を得ている他、動画出演者が、ゲームのプロモーションだけでなく、商品の販売促進を行うサービスも広告商材として販売している。
 
 
ゲーム情報メディア「GameWith」を介した広告収入が収益源
同社はコンテンツを提供するなかで、広告主または広告代理店に対して、アドネットワーク等を利用した「ネットワーク広告」または「タイアップ広告」として広告枠を販売する事等で収益を得ている(アドネットワークとは、広告媒体のWebサイ卜を多数集めて形成される広告配信ネットワークの事)。

ネットワーク広告は、「GameWith」のインターネット広告枠の他に、動画配信を行う際の広告枠や攻略情報アプリ内の広告枠を、アドネットワークを通して販売する事で広告収入を得るもの。一方、タイアップ広告は広告主となるゲーム会社との相対の交渉の下で行う広告であり、アプリゲームの認知度向上やユーザーの定着率向上等を目的としたプロモーションの一環としてゲーム会社は同社に広告を発注する。

ゲームレビューでは無料でアプリゲームの紹介を行っているが、無料サービスは効果が限定的。このため、バナー広告やゲーム紹介動画を含む記事広告、ゲームの攻略情報の作成・管理・運用等の付加価値(有料)サービスが用意されている。ゲーム会社は付加価値サービスを利用(同社に広告を発注)する事でゲームの認知度向上やユーザーの定着率改善を図る事ができる。
尚、タイアップ広告は17/5期に体制が整備されたばかりで、販売力の強化はこれからである。
 
 
2018年5月期上期決算
 
 
前年同期比100.3%の増収、同174.8%の営業増益
売上高は前年同期比100.3%増の12億86百万円。2017年1月に広告運用体制を構築しPV単価アップに取り組んでいる成果と特定タイトルの大型プロモーションによる押し上げでネットワーク広告の売上が同90%強増加する中、ゲーム会社各社からの需要の取り込みでタイアップ広告が同3.6倍に拡大した。
利益面では、売上総利益率が69.4%と前期通期の実績(64.3%)に対して5.1ポイント改善。ライター・エンジニアの増員による労務費・地代家賃の増加やサービスの拡充に伴うトラフィック増に対応したサーバ利用料の増加、更には管理部門の強化等による販管費の増加を吸収して(営業費用全体では6億61百万円と同60%程度増加)、営業利益率が48.6%と13.2ポイント改善した。
 
 
第2四半期(9-11月)も好調が続いており、売上高・営業利益共にプロモーション特需で過去最高となった第1四半期に次ぐ実績。ネットワーク広告については、PV単価が広告運用体制を構築した2017年1月の月間平均の1.92倍となり、特需のあった第1四半期を除くと過去最高。ゲームイベントの有無や季節性で変動するPV数も第1四半期に続き高水準を維持した。ネットワーク広告が好調に推移する中、営業部隊による提案営業の成果が出てきたタイアップ広告の売上構成比の上昇も続いている。
 
 
※PV単価指標とは、広告運用体制を構築した2017年1月次の月間平均PV単価を基準値100とした指数。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて7億76百万円増の25億92百万円。借方では、6月30日の東証マザーズ上場に伴う2億82百万円強の資金調達と上期に3億62百万円のフリーCF(営業CF4億22百万円、投資CF△60百万円)を確保した事で現預金が増加。貸方では、純資産や未払法人税等が増加した。上期末の自己資本比率は83.0%(前期末78.5%)。
 
(4)トピック
ゲーム実況等のYouTubeクリエーターと専属マネジメント契約を締結し、クリエーターの窓口となり、活動をサポートするサービスを開始した。これにより、前期末は59万人だったチャンネル登録者数が上期末には222万人に拡大した。
 
 
 
2018年5月期業績予想
 
 
通期予想に変更はなく、前期比30.9%の増収、同20.1%の営業増益予想
通期予想に対する進捗率は、売上高62.1%、営業利益79.2%、経常利益79.2%、当期純利益84.2%、と順調だが、「予想を上回る進捗だが、足元の事業環境を見極めながら、成長資金の積極投下も視野に入れている」として、業績予想は据え置いた。PV数については、足元の事業環境及びユーザー行動を慎重に見極めるとして保守的にみている。また、バランスをとりつつも、アプリ展開や海外展開に成長資金を積極的に投下していく考え。
 
(2)下期以降の事業戦略
2017年12月8日に、コミュニティ、ゲーム攻略、ゲームレビューを統合したアプリ(iOS、Android)をリリースした他、12月26日に台湾版「GameWith」攻略サイトの運営を開始した。
 
アプリ展開
アプリ展開の目的は、ユーザーが検索エンジンを介して都度検索流入し利用するフロー型サービスから、ユーザーが都度検索流入するのではなく、特定のアプリを一度ダウンロードしそれを継続利用するストック型サービスへの移行を図る事。これまで検索エンジン上で競争していたが、アプリ化により、検索エンジンを介さず直接誘導する事でシェアアップを図っていく考え(アプリ化によるゲームに関する第一想起の獲得 ⇒ シェアアップ)。
 
海外展開(台湾進出)
世界のモバイルゲームプレイヤー人口は15億人(EEDAR「DECONSTRUCTING MOBILE&TABLET GAMING 2015」より)。この膨大な需要を取り込むべく海外展開を進めていく。その第1弾となるのが台湾版「GameWith」であり、既に国内で攻略サイト運営実績のある繁体字版「モンスターストライク」(株式会社ミクシィ提供)の攻略サイト運営を開始した。オペレーションや集客方法、コスト等、英語圏への展開も視野に海外展開に必要なノウハウの蓄積を図っていく考え。
 
(3)株式分割の実施と株主優待制度の新設
流動性向上と投資家層拡大を目的に2018年2月1日付けで1株を2株に分割する他、中長期保有の動機付けの一環として株主優待制度を導入する。
株式分割については、2018年1月31日(水)を基準日として普通株式1株を2株に分割する。効力発生日は2018年2月1日(木)。
一方、株主優待制度については、毎年5月31日現在の株主名簿に記載または記録された同社株式100株(1単元)以上保有の株主を対象にクオカード1,000円分を贈呈する(毎年8月下旬の定時株主総会後の発送を予定)。
 
 
今後の注目点
ネットワーク広告では、時間単位での収益性を追求し最適なサイトを選択する等、広告運用チームによるきめ細かい運用(外部委託から内製化)の成果が現れつつある。現在は手動で運用しているが、24時間運用を視野にシステムによる自動化も進めていく考えで、引き続き収益拡大局面が続く見込み。今後の事業戦略の柱であるアプリ展開と海外展開に注目したい。タイアップ広告は営業部隊による提案営業の成果が出てきたが、未だ緒に就いたばかり。ネットワーク広告同様に成長余地は大きいと考える。Eスポーツへの展開も社内で検討しており、どのように関与していくか等、議論が詰めの段階にあると言う。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2017年08月23日
基本的な考え方
当社は、「ゲームをより楽しめる世界を創る」というミッションのもと、ゲームに携わる全ての人や企業にとって最適な環境を作る事業運営体制の構築に向け、健全性と透明性が確保された迅速な意思決定を可能とする体制の整備を進めるとともに、コンプライアンスの徹底やリスク管理を含めた内部統制の強化を図っております。これらの取組みを通じて、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指し、企業価値の最大化に努めてまいります。
 
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則の全てを実施しています。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4 いわゆる政策保有株式】
当社は、取引・協業関係の維持・拡充のための手段として、他社の株式を取得・保有する場合があります。当該保有に関しては、企業価値向上につながることを政策保有方針の基本とし、発行会社と当社事業における中長期の協力関係の維持・強化、取引関係等の円滑化及び事業機会の創出・発展に資する可能性から判断します。
政策保有株式の議決権の行使については、(1)発行会社が当社の政策保有方針に適う目的・事業を有していること、(2)企業活動の適時かつ適切な情報開示を行っていること、(3)持続的な成長につながる事業基盤を有していることなどを総合的に勘案し、議案の内容と中長期的な企業価値の向上について検討し、「職務権限規程」に定める然るべき決裁者が賛否を判断します。

【原則1-7 関連当事者間の取引】
当社は、当社の取締役が利益相反の疑義がある取引を行う際は、法令及び取締役会規則に則り取締役会の承認を得ることにより、適切に監視しております。なお、利益相反の疑義がある取引を実行した場合には、法令の定めに基づき、重要な事実を適切に開示します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、企業価値の持続的成長を目的とし、株主とのより強固な信頼関係を構築するため、コーポレート・ガバナンス、経営戦略、資本政策、業績・財務状況、サービス内容とそのリスク等について、中長期的な視点から、株主との建設的な対話を継続する体制を整備しています。

- 株主との対話は、代表取締役社長による統括のもと、個別面談については実施責任者である経営企画室長が、面談の目的と効果、株主の属性などを考慮の上、代表取締役社長及び取締役管理部長等の参加も含め、対応者と対応方法を検討、実施しております。
- IR担当者は、事業部門や管理部門をはじめとする社内各部門から必要情報を収集するとともに、緊密な社内連携を通じて、わかりやすい説明を工夫し、株主との対話を充実させています。
- 当社は株主の皆様に、当社の経営方針、コーポレート・ガバナンス、戦略、事業の現状などについて、理解を深めていただく活動を継続しています。
- 機関投資家との対話としては、個別面談の他、半期毎の決算説明会を適宜開催しております。また、ホームページの株主・投資家向け専用ページを通して、これらのイベント情報を個人投資家へも開示するとともに、個人投資家向けの会社説明会も開催しています。
- 株主との対話を通して把握した株主の関心や懸念などは、部門長以上の経営幹部に随時報告し、経営分析や情報開示のあり方の検討などに生かしております。
- 株主との対話においては、社内規則の定めるところに従い、インサイダー情報を適切に管理しております。
- 当社では決算情報に関する対話を控える「沈黙期間」を設定しております。