ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.40

(2925:東証1部) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.40】2018年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「同社は20/2期に売上高406億円、営業利益15億円を目指す中期経営目標を掲げているが、課題は全国的な生産体制の整備。健康志向の高まりもあり・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年2月13日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年2月 35,801 780 867 548
2016年2月 30,152 931 975 692
2015年2月 26,805 1,056 1,098 503
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
株式情報(12/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,041円 6,397,824株 13,058百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
22.00円 1.1% 165.93円 12.3倍 1,587.08円 1.3倍
※株価は12/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ピックルスコーポレーションの2018年2月期第3四半期決算と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行っており、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等の連結子会社14社、持分法適用関連会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している(2017年11月末現在)。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

尚、東海漬物(株)は、発行済株式総数の19.95%を保有する筆頭株主であるが、役員の兼務や出向者の受入れ等の人的関係はなく、事業活動における制約もない。同社は独自の経営判断を行っており、東海漬物(株)とは年間2億円程度の漬物の仕入れを行っているが、取引価格は一般取引先と同様に個別の協議により決定している。

17/2期の品目別売上構成は、製品売上が60.6%(浅漬・キムチ41.9%、惣菜16.1%、ふる漬2.6%)、商品(漬物)売上が39.4%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、17/2期は同グループ向けの売上が全体の26.0%を占めた(取引自体は堅調だが、12/2期37.9%、13/2期35.6%、14/2期33.6%、15/2期31.3%、16/2期29.1%、17/2期26.0%と依存度は低下傾向にある)。
 
【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたいとしている。
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチ」シリーズや各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。
 
製品開発力
キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチ製品のラインナップを強化する事で増収を続けており、16/2期にはキムチ製品の売上が50億円を超えた。この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされており、ラインナップ拡充と既存商品の継続的な改善と相まって、スーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる。
 
全国ネットワーク
同社グループは、漬物業界で唯一、全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬製品や惣菜製品の提供が可能であり、営業上の訴求ポイントにもなっている。
 
 
ただ、北陸、中・四国、九州地区では未だ供給体制が十分とは言えず、地元企業の開拓余地も大きい(地域別売上構成:北海道 5%、東北 12%、関東 56%、中部 7%、関西 13%、中国・四国・九州 7%)。このため、17年4月には、中・四国及び九州地区の強化を目的に(株)ピックルスコーポレーション西日本を新設し、7月に(株)ピックルスコーポレーション関西の中・四国地区及び九州地区の事業を承継した。地域密着営業を推進していく考えで、佐賀県での新工場建設も進んでいる。
 
 
 
2018年2月期第3四半期決算
 
 
前年同期比2.7%の増収、同65.0%の営業増益
売上高は前年同期比2.7%増の281億36百万円。量販店(スーパーや生協等)・問屋を中心にした浅漬・キムチの増加やコンビニ向け惣菜の増加で、子会社(株)フードレーベルが不採算だった冷凍食品から撤退した影響を吸収した。

営業利益は同65.0%増の10億96百万円。第2四半期(6-8月)以降の原料価格の安定で売上総利益が66億78百万円と同12.6%増加。値上げ等による物流費の増加やCM制作等による販管費の増加を吸収した。補助金収入が減少する一方、関係会社株式売却損を計上したため特別損益が悪化したものの、四半期純利益は7億76百万円と同59.9%増加した。
 
 
(2)財政状態
第3四半期末の総資産は前期末に比べて19億62百万円増の204億86百万円。借方では、11月に実施した公募による自己株式の処分(一般募集:554.8千株、処分価格1,994円)で現預金が、売上の増加で売上債権が、佐賀工場建設等で建設仮勘定が、それぞれ増加した。貸方では、仕入債務及び純資産が増加する一方、有利子負債が減少。上記公募増資等による資金調達額は約10億円。資本剰余金が6億52百万円増加し、自己株式が4億11百万円減少した(資本剰余金:14億55百万円→21億07百万円、自己株式:4億11百万円→131千円)。調達した資金は、5億50百万円を2018年8月末までに佐賀工場の設備投資資金に充当し、残額を2019年2月末までに金融機関からの借入金返済の一部に充当する考え。
 
 
 
2018年2月期業績予想
 
 
通期予想を上方修正、前期比5.8%の増収、同78.6%の営業増益予想
上期決算と食品会社買収の影響(秘密保持契約の制約から詳細は後日)を織り込み、10月13日に通期予想を上方修正している。食品会社の買収は、更なる生産体制の強化を目的としたものだ。

売上高は前期比5.8%増の378億60百万円を見込んでおり、冷凍食品からの撤退による商品売上の減少を製品売上の伸びでカバーする。利益面では、原料価格を過去の平均と比較して高めに設定しているものの、前期ほどの高騰は見込んでおらず、販管費も小幅な増加にとどまる見込みで営業利益が同78.6%増の13億93百万円と最高益更新が見込まれる。

配当は1株当たり22円の期末配当を予定している。
 
(2)下期投入の浅漬・キムチ製品
漬物製品
9月に「香りほのか ゆず大根」、「おかず松前白菜」及び「おかずピリ辛大根」を発売した。
「香りほのか ゆず大根」は、国産のゆず皮を使用した甘口の浅漬。箸休めにぴったりな食べやすい味付けに仕上げた。独自の乳酸菌「ピーネ12乳酸菌」(加熱菌体)を20 億個超配合しており、今話題の乳酸菌を漬物で手軽に摂る事ができる。原料の大根は国産を使用している。

「おかず松前白菜」、「おかずピリ辛大根」は、「開けてすぐに食べられる」(液がない簡便性)をコンセプトとする浅漬。通常の調味液充填タイプの浅漬とは違い、液切りの手間がなく、蓋を開ければすぐに食べる事ができる。「おかず松前白菜」は、白菜と人参、昆布、するめを、たまり醤油を使用した調味液で味付けし、甘口の醤油味に魚介のうま味がきかせた。一方、「おかずピリ辛大根」は、冬に旬を迎える大根を歯切れよく漬け、人参、昆布と共にピリ辛醤油味に仕上げた。
 
キムチ製品
9月に「ご飯がススム 本格キムチ」と「ご飯がススム 松前キムチ」をリニューアル発売した。
「ご飯がススム 本格キムチ」は、甘口が多かった同社キムチ製品の中で、キレのある辛さと魚介の旨味がきいた本格的な味わい。国産の鮭エキスを加える事でご飯に合うキムチに仕上げた。鮭の他にも複数の魚介エキスをふんだんに使い後引くコクを加える事で「やめられない、とまらない味」を実現。パッケージにはご飯とキムチの写真をあしらい、思わずご飯とともにキムチを食べたくなるように一新した。消費者や小売店各店から高い評価を得ており、下期の販売の柱となる期待の製品。

「ご飯がススム 松前キムチ」は、秋冬の野菜を楽しむ事ができる9月から2月までの季節限定製品。4種の根菜を使用し、昆布といかのうま味をきかせた松前味のキムチである。たまり醤油を使用する事でより深みのある味わいにし、ご飯によく合う甘辛い和風のキムチに仕上げた。内容量を昨年の規格から15%増量した。
 
 
 
 
今後の注目点
同社は20/2期に売上高406億円、営業利益15億円を目指す中期経営目標を掲げているが、課題は全国的な生産体制の整備。健康志向の高まりもあり、サラダ感覚で食べる事ができる浅漬・キムチや総菜の需要は強く供給が追い付かない状態だ。このため、佐賀工場建設や既存工場の増築等で高水準の設備投資が続く。下期に実施されるM&Aもこの一環である。佐賀工場は来春(3月)の竣工が予定されており、19/2期は利益圧迫要因となるが、今回のM&A効果と相まって生産体制は着実に強化される。19/2期は売上の伸びに注目したい。
尚、経済産業省「商業動態統計年報」(平成28年版)によると、ドラッグストアの年間販売額は前年比6.8%増の5兆7,258億円と2年連続で増加しており、販売額が最も多かったのは、医薬品や日用品ではなく食品。同社は佐賀工場を建設中だが、九州を地盤とするコスモス薬局では食品売上が全体の50%を超えていると言う。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2017年05月31日
基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。
 
<実施しない主な原則とその理由>
【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
(1)当社の社外取締役2名は、企業経営者としての豊富な経験と幅広い見識を有しており、それらの経験や見識を活かして、会社の経営戦略等について助言を行っております。
(2)現時点では、社外取締役の意見が経営陣幹部の選解任・報酬に反映される体制とはなっておりませんが、【補充原則4-3-1】に記載の通り、今後は、社外取締役の意見を踏まえること等により、公正かつ透明性の高い手続きに従い、適切に経営陣幹部の選解任・報酬を決定する体制を構築してまいります。
(3)当社の独立社外取締役2名は、取締役会において、利益相反の監督を独立した立場で行っております。
(4)当社の独立社外取締役2名は、経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映しております。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4.いわゆる政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としておりますが、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断しますが、対象会社の企業価値を毀損するおそれがある議案については特に留意して判断してまいります。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令及び金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会を年1回以上実施しており、個別取材にも可能な限り代表取締役社長及び広報・IR室が対応しております。
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