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(3538) 株式会社ウイルプラスホールディングス

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ブリッジレポート:(3538)ウイルプラスホールディングス vol.1

(3538:東証2部) ウイルプラスホールディングス 企業HP
成瀬 隆章 社長
成瀬 隆章 社長

【ブリッジレポート vol.1】2017年6月期業績レポート
取材概要「「顧客満足度の向上」を追求する成瀬社長は自らの事を「自動車も好きだが、人がもっと好き。」と評している。現在でも顧客と直に接することに喜び・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年10月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ウイルプラスホールディングス
社長
成瀬 隆章
所在地
東京都港区芝5-13-15
決算期
6月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年6月 23,567 1,209 1,197 743
2016年6月 21,093 886 866 492
2015年6月 19,072 705 673 416
2014年6月 17,146 842 870 500
株式情報(10/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,440円 4,775,840株 11,653百万円 19.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.50円 1.0% 164.82円 14.8倍 898.79円 2.7倍
※株価は10/10終値。発行済株式数は17年9月末現在。ROEは前期実績。BPSは直近四半期末。
17年10月31日を基準日として1:2の株式分割を実施予定。DPSは分割後数値。
 
ウイルプラスホールディングスの会社概要、今後の戦略、成瀬社長へのインタビューなどをご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
JEEP、BMW、MINI、VOLVOなど8ブランドを取り扱う輸入車ディーラー3社を連結子会社とする持株会社。顧客満足度の向上に注力し、マルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略による成長を追求している。M&Aにおける事業再生能力には大きなアドバンテージを有する。顧客との強固な関係性も強み。
自動車を取り巻く大きな環境変化を好機ととらえ更なる成長を目指している。
 
【1-1 沿革】
1997年1月、福岡県北九州市で代表取締役社長成瀬隆章氏の実父が輸入車販売会社「株式会社さんふらわあシージェイ」を設立。同社は西日本地区で最初のクライスラーの正規ディーラーであった。
2004年10月、成瀬社長が同社株式を全株取得し、ウイルプラスグループとしての事業活動を開始した。
成瀬社長はじめとしたスタッフ数名の小規模なディーラーながらクライスラー車の販売で全国的にも優秀な成績を上げ高い評価を受けたことで、2005年には東京都大田区にあったクライスラー直営店を譲受して東京へ進出。2006年には福岡県久留米市にも店舗を開設。東京、福岡でのドミナント戦略を開始した。

輸入車販売においてオンリーワン・ナンバーワンを目指して一定の販売エリアで複数の輸入車ブランドを取り扱うマルチブランド戦略の推進にあたり、インポーターとの契約でブランド毎に法人を分ける必要があったため、経営資源の最適配置や迅速な経営意思決定によってディーラー買収を機動的に実行することを目指し、2007年10月、株式会社ウイルプラスホールディングスを設立した。

持株会社体制発足と同時に株式会社福岡クライスラー(3店舗)、株式会社フォーピラーズ(1店舗)を完全子会社化しM&A戦略をスタート。2008年7月、FIAT・アルファロメオ正規ディーラーであるチェッカーモータース株式会社(4店舗)の株式を取得し完全子会社化したほか、2009年7月にクライスラー日本株式会社より、クライスラー・ジープ・ダッジ世田谷、クライスラー・ジープ・ダッジ横浜の事業を承継したのに続き、同年9月には子会社のウイルプラスモトーレン株式会社がBMW(2店舗)・MINI(2店舗)の事業譲渡を受け、BMW・MINIの取り扱いを開始した。
また、2014年4月にはVOLVOの正規ディーラーである帝欧オート株式会社(5店舗)を完全子会社化。こうした積極的なM&Aによってドミナント戦略、マルチブランド戦略、既存ブランドにおけるシェア向上を進めて業容を拡大。
2016年3月に東証JASDAQに上場し、2017年9月には東証2部上場となった。
 
【1-2 企業理念・経営理念】
自社の存在意義を「我々は輸入車のある生活を提案し、より多くの皆様と豊かさ・楽しさ・喜びを分かち合い、関わる全ての人々を温かい笑顔に変えていく挑戦を続ける。」と定めている。

加えて、こだわり、コアバリューとして以下の7点を掲げている。
 
また、「顧客満足度の向上」をビジネスの基本に置き、全社員への浸透・徹底を推進している。
 
【1-3 同社を取り巻く環境】
◎輸入車のシェアアップが続く国内乗用車市場
少子高齢化の進行、自動車の性能向上による保有期間の長期化、消費スタイルや嗜好の変化(=いわゆる若年層の「車離れ」)などにより国内自動車市場は縮小傾向にある。
 
 
そうした中、輸入車の新車登録台数はリーマンショック以降、増加の一途をたどり、国内輸入車市場は拡大が続いており、国内乗用車市場(軽自動車を除く)における輸入車シェアは2016年、過去最高の9.1%を記録した。
 
 
 
このシェア上昇の大きな要因の一つとして、輸入車メーカーの日本市場における積極的な拡販策の推進が挙げられる。

輸入車メーカーは、ハイブリッド車、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、ディーゼルなど多様な環境対応技術や、ユニークで優れたデザインなど、魅力ある製品を多数投入している。
また、国産メーカーが縮小する市場の中でミニバンやワゴンなど人気車種に開発・販売を集中させラインアップに偏りが出てしまっている一方で、輸入車メーカーは価格、サイズ、車種・タイプにおいて幅広いラインアップを提供していることが、多様性やより魅力的な自動車を求めるユーザーの支持を勝ち得てきたものと見られる。
また、販売ネットワークの整備や拡充など日本における積極的な投資もシェアアップに繋がっている。

同社調べによれば、メルセデス、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、ポルシェといった世界的な人気メーカーを擁するドイツの輸入車シェアは約3割。アメリカは約2割で、イタリアは約7割。
日本における輸入車シェアは上昇中とはいえ、諸外国に比べその水準は依然低く、今後も輸入車メーカーは日本市場での拡販・シェア拡大に注力するものとみられる。
 
◎インポーターと輸入車ディーラー
輸入車市場においては、インポーター(外国自動車メーカーからの輸入代理権を基に日本国内で輸入車を取り扱う業者)が、自動車ディーラーの中でも販売実績、信用力を有するディーラーと正規販売代理店契約を締結している。インポーターは一般的には輸入車メーカーの100%子会社の現地法人。

現在日本では、主要メーカー22社の輸入車が正規ディーラーの運営する約1,700店舗で販売されている。
ドイツの有名メーカーの場合、約80社のディーラーが約190店舗を運営しており、1ディーラーの平均店舗数は、2~3店舗程度と決して多くは無く、中小企業が圧倒的多数を占めている。
こうした状況下、インポーターは日本市場における更なる販売力の強化や販売体制の効率化を図り、資本の集約化を志向しているという。
優秀な販売実績を有する同社にはインポーターを介して事業譲渡など、M&A案件が持ち込まれることも多く、同社が成長戦略の中核と位置付けるM&A戦略の推進についてフォローの風が吹いている。
 
 
同社は売上規模および時価総額は下位に属するが、売上高営業利益率は2位、ROEはトップと収益性の高さが目を引く。
また株価評価も、VTホールディングスと並んでPER、PBRは頭一つ抜けている。

成瀬社長に聞く】にあるように、同社は単に輸入車ディーラーとしての事業展開だけでなく、M&Aにおける事業再生能力の高さを投資家に理解してもらいたいと考えている。
認知度の向上と理解促進によりこの点についての市場の評価が進めばvaluationの水準も更に異なったものとなるであろう。
 
【1-4 事業内容】
◎概況
持株会社である(株)ウイルプラスホールディングスの下、連結子会社3社において輸入車の新車及び中古車の販売、車輌整備、損害保険の代理店業務などを展開している。
2017年6月末現在、8ブランドを取り扱っている。
 
 
 
◎品目(業務内容)
手掛けている品目は、新車、中古車、業販、車輌整備、その他の5つ。
 
 
 
新車販売が事業の柱ではあるが、中古車販売にも注力していることに加え、車輌整備、自動車保険販売など自動車購入後に顧客が必要とするサービスを提供して顧客との関係性を強化することを重視している。
「販売台数増=フロー型収益の拡大」が、「車輌整備件数増、保険加入件数増」により安定収入であるストック型収益の拡大に結び付いている。
特に任意保険の新規付保率は、17年6月期で36.1%と全国平均17.6%を大きく上回っていることに加え、継続率も高い。
「自動車を1台販売した際の利益の最大化」は同社が最も得意とするところである。
 
◎出店状況・店舗数
2017年6月末の店舗数は、福岡13店舗、東京・神奈川11店舗の計24店舗。
 
 
【1-5 特徴と強み】
◎3つの成長戦略
同社のこれまでの、そして今後の成長を支えていくのが「マルチブランド戦略」、「ドミナント戦略」、「M&A戦略」の3戦略である。

「マルチブランド戦略:収益の拡大と販売サイクルの平準化」
特定のブランドに依存することなく複数のブランドを取り扱うことによりブランド間の新型モデル投入時期の差異による販売サイクルの影響の平準化を図っている。
また、国内の年間新規登録台数10,000台以上をメジャーブランド、1,000~10,000台のブランドをニッチブランドと位置付け、メジャーブランドにおいては販売の安定化を、ニッチブランドにおいては販売シェアの向上による高収益化を図っている。
 
 
「ドミナント戦略:同一商圏のシェア向上と利益の最大化」
人口100万人規模の都市とその周辺都市を特定地域と位置付けて集中的な出店を進め、同一商圏にて集客を図ることによる市場シェアの向上、店舗間の効率的な人員配置による生産性の向上、利益の最大化を図っている。

現在は輸入車(乗用車)の新車登録台数および保有台数で国内上位の東京、神奈川、福岡を特定地域としているが、既存エリアでは新車登録台数、保有台数ともに増加が続いており、今後も市場の深耕による更なる成長が可能と会社側は考えている。
 
「M&A戦略:スピードアップと事業再生能力」
マルチブランド戦略、ドミナント戦略をスピーディーに遂行するための重要な施策がM&Aである。
2007年10月のフォーピラーズ買収(買収後、チェッカーモータースと統合)を皮切りに、現在まで4件のM&Aを実施してきた。M&Aによりまとまった店舗、商圏、新ブランドを獲得したのち、周辺に新店を出店して商圏を補完し更なる業容の拡大を進めており、現在までで8ブランド、24店舗を有するに至っている。

ブランド戦略としては、輸入車販売台数上位22ブランドのうちターゲットとなるブランドは10以上あり、現在も複数の案件が進行中ということだ。
また今後の出店戦略としては、東京、神奈川、福岡に加え、政令指定都市(人口50万以上の市のうち政令で指定された市)、人口40万人超の中核都市を進出候補とし調査、検討を進めている。

「時間を買う」という観点から現在多くの企業が成長戦略の柱として掲げるM&A戦略であるが、M&Aを成功させるには、「優良な案件の発掘」、「適切な価格での実行」が重要であることは論を待たないが、より重要なのが想定した通りのシナジー効果を生み出すためのM&A後のプロセス「PMI(Post Merger Integration)」であると言われている。
M&Aを行っても、統合阻害要因等に対する事前検証の不足や企業文化の違いをマネジメントできず失敗に終わるケースは枚挙に暇がない。

そうした中、投資家が注目すべきは同社の「事業再生能力」であろう。
これまでにM&Aした4社とも買収時には、赤字もしくは極めて低収益であったがいずれも最長3年間で、4~5%の経常利益率まで収益性を高めることに成功している。
「顧客満足度向上の追求」を始めとした理念の共有、「チャレンジを最大限に尊重する」といった評価軸の明確化がM&A成功の要諦で、これを実行すれば会社は確実に大きく変えることができると同社では考えており、自社の事業再生能力には大きな自信を持っている。
 
◎優良な顧客資産
同社は実際に各種取引のある顧客を有している。また顧客の多くは、同社が追求している「顧客満足度向上」施策により同社との関係性が極めて強い。
従来の富裕層に加えて、輸入車の価格帯が広がる中、国産車から輸入車に乗り換えるユーザーも増加しており、顧客層の広がりに手応えを感じているという。
この顧客層及び強力な関係性は、自動車を取り巻く環境が大きく変化する中、将来の成長に向けた極めて重要な「見えない資産」と言えるだろう。
 
【1-6 株主還元】
配当性向15%程度を目途に安定配当を継続する方針だ。
加えて、同社株式への投資魅力を高めるために株主優待制度を実施している。
毎年6月末現在の株主名簿に記載または記録された1単元(100株)以上の株式を保有している株主を対象に1,000円分のQUOカードを贈呈している。
 
 
目標数値を掲げてはいないが、ROE、ROAを重要な経営指標として認識している。
前述のように、同業他社と比較して高いROEを実現している。
今期の売上高当期純利益率は前期をやや下回る3.06%の予想だが、総資産および自己資本の大幅な増大は現時点では想定されておらず、今期も高水準のROEが見込まれる。
 
 
2017年6月期決算概要
 
 
新車販売が好調で2桁の増収増益。計画も上回る。
売上高は前期比11.7%増の235億67百万円。新車販売が大幅に伸張。整備、保険などストック型ビジネスも順調だった。
営業利益は同36.5%増の12億9百万円。増収効果に加え、店舗再編、コスト削減で販管費は微増にとどまった。2014年にM&Aした帝欧オート(株)の収益改善が進んだことも寄与した。
売上、利益とも予想(期初、修正)を上回り、配当も株式分割(1:2、17年4月1日実施)を考慮ベースで期初の22円/株予想から24円/株に修正した。
 
 
新車販売はJEEP、MINIを中心に好調。
AFA、BMWの中古車は前年比増。
新車が好調だったためメーカーからのインセンティブも増加。
その他(保険販売など)も増収。
 
 
JEEPは、Renegade、Wranglerを中心に車輌販売が好調に推移した。
Alfa Romeo、FIATの新車販売は苦戦が続くが中古車販売が回復基調にある。
ABARTHは、全ディーラー取扱い開始により前年並みの販売となった。
 
 
BMWは、粗利単価が上昇し、前期に比べて業績は改善傾向にある。
MINIは、残価設定型ローンが好評で新車販売は増加したが、中古車は減少した。
新車販売台数の増加に伴いインセンティブが増加した。
 
 
VOLVOは、60シリーズ、XC90など、ミドルクラス以上の車種構成比率が高まり、粗利単価は引き続き増加傾向にある。
管理顧客の増加により、車輌整備の売上・粗利が増加した。
 
 
たな卸資産増加、店舗増による建物及び構築物の増加などで資産合計は同14億39百万円増加の93億54百万円となった。
仕入債務、長短借入金の増加で負債合計は同8億16百万円の増加。
利益剰余金の増加で純資産は同6億22百万円増加した。
この結果、自己資本比率は前期末の44.5%から0.2ポイント低下し44.3%となった。
 
 
たな卸資産の増加などで営業CFのプラス幅は縮小。
有形固定資産の取得増で投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。
長期借入による収入増で財務CFのプラス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。
 
 
◎VOLVO事業の譲受
2017年5月1日付で連結子会社・帝欧オート株式会社が、株式会社サン・ガレージ(神奈川県小田原市)のVOLVOディーラー事業を譲り受けた。上場後初めてのM&A実施となる。
帝欧オートが手掛けるVOLVOブランドの業容拡大に加え、VOLVOブランドの関東進出の拠点として神奈川県下におけるドミナント戦略推進にも資すると考えている。
ボルボ・カーズ小田原店の16年4月期の売上高は8億88百万円。
新車車輌在庫、自動車整備のパーツ在庫、工具、器具及び備品等の資産および従業員を承継した。
 
 
FCAブランドは引き続きトップ。
VOLVOは6位だが、ボルボ・カーズ 小田原の譲受により、更にランクアップするものと考えている。
 
◎ストック型ビジネスの拡大
同社ではストック型ビジネスの拡大による安定収入の積み上げを進めているが、同ビジネスの代表的プロダクトである任意保険の新規付保率は、17年6月期36.1%となり、15年6月期27.1%、16年6月期32.5%から着実に上昇し、過去最高を記録した。全国平均17.6%を大きく上回っている。
今期は40%台乗せを目指している。
 
 
2018年6月期業績予想
 
 
 
増収増益
売上高は前期比5.3%の248億24百万円の予想。下記のニューモデル4車種を中心に引き続き新車販売に注力する。
営業利益は同1.8%増の12億31百万円の予想。ボルボ・カーズ小田原店の収益も下期にかけ改善する。
配当は前期比1円/株増配の12.50円/株を予定。予想配当性向は15.2%。
 
(2)主な取り組み
◎基本戦略
引き続き、グループ戦略である「マルチブランド戦略」、「ドミナント戦略」、「M&A戦略」を推進する。

◎ストック型ビジネスの一層の拡大
車輌販売後の車輌整備や保険加入といったストック型ビジネスは関係性の強い管理顧客の増加とともに安定収入に繋がっており、今期も更なる拡大を目指す。

◎新車販売への注力
中古車はネットを通じた全国販売が可能なため、売り切りとなりその後の顧客との関係性が無くなってしまう可能性が高いが、新車販売は営業テリトリー内での販売が多いため、車輌整備、保険販売、買取の際の代替車販売など、継続的な関係を構築することが可能である。

◎出店計画
17年9月、アルファ ロメオ世田谷、フィアット/アバルト世田谷をリニューアルオープンした。同店は、1階ショールームをアルファ ロメオ専売店舗として、2階ショールームをフィアット/アバルトの専売店舗としてそれぞれ最新の CI に準拠した店舗とした。加えて、ワークショップを併設することで、すべての顧客に充実したワンストップサービスを提供することができる。
また、同じく17年9月、独立系ディーラーの店舗では3年連続中古車販売全国1位のボルボ・カーズ福岡南を最新CIに準拠し、店舗名も「ボルボ・カー福岡南」としてリニューアルオープンした。

◎ニューモデル
4ブランドでニューモデルをローンチする。
 
JEEP Compassは10年ぶりのフルモデルチェンジ。
またVOLVO XC60は8年ぶりのモデルチェンジで、安全性・走行性・デザイン性ともに大きく向上した。
新規顧客の開拓や買い換え需要の取り込みに繋がるものと見込んでいる。
 
 
成瀬社長に聞く
 
成瀬社長に、自社の強みや優位性、今後の戦略、投資家へのメッセージなどを伺った。
 
Q:「御社の同業他社との違いや優位性はどんな点でしょうか?」
A:「利益最大化や顧客満足度向上のための取り組みは他社との大きな差別化要因となっている。」
 
一つは「利益最大化」の取り組みだ。自動車販売の世界では「新車販売」が王道で、それ以外は付随業務という感覚が一般的だが、当社ではもちろん新車販売で高い実績を上げているが、同時に我々の強みの一つである中古車販売に加え、車輌整備や保険販売などにも力を入れている。任意保険の新規付保率は全国平均を大きく上回り、過去最高を記録しているのはその表れだ。
こうした付随業務をしっかりと管理し自動車1台を販売した際の利益を最大化するのは当社の得意とするところで、他社はなかなか真似ができていないのが現状だ。

また「顧客満足度の向上」を徹底的に追求している点も同業他社との大きな違いだ。
当社では、セールスのみでなく、アドバイザーと呼ぶ豊富な自動車整備の知識を持ってお客様と接することのできるスタッフはもちろんのこと、通常は整備工場で作業に従事している自動車整備士にも積極的にお客様とコミュニケーションをとるような変革を行っており、まだトライアル段階ではあるが、お客様担当自動車整備士を決め、セールスとコンビでフルサポートを提供する店舗もある。
「顧客満足度の向上」というと、お客様の求めることをして差し上げることと考えがちだが、私は必ずしもそうは思っていない。
例えば、自動車を購入いただいたお客様に対し当社ではお客様のご自宅まで車を届けることはせず、お客様にお店まで来ていただいて納車式を行う。購入いただいたお客様に感謝の気持ちを込め、最後は可能な限りのスタッフ全員でお見送りさせて頂く。
こうした特別感こそがお客様に感動をご提供し、本当の意味の顧客満足度向上となり、お客様と当社との関係をより一層深めている。

「利益最大化」と「顧客満足度向上」、この2点に対して十分な投資や仕組みづくりが出来ている点が当社の強みであり、他社に対する競争優位性の源泉であると考えている。
 
Q:「御社の成長を担う人作りについてのお考えをお聞かせください。」
A:「顧客満足度を重視した評価軸、チャレンジを恐れない環境作りが社員の意識向上、業績拡大に繋がっている。」
 
当社では、プロフェッショナルとしていかにお客様と長く深くお付き合い出来るかを重視する評価制度を取り入れている。
従来は、「自動車の販売台数」が重要な評価ポイントであったが、現在は例えば「買い替え率」など、お客様との長期のお付き合いができているかどうかが表れるKPIを評価軸とするなど、顧客満足度の向上意識が全社員に浸透するような仕組みを採用している。
また、社員には変化や失敗を恐れず果敢にチャレンジすることを促しており、そのための環境作りが私の大きな役割だと考えている。大変うれしいことに、そうした環境作りが進んで社員の意識も向上し、それが業容拡大につながっている。
 
Q:「今後の成長戦略、将来の御社の姿を社長はどうお考えですか?」
A:「短期的にはM&A戦略を徹底的に推進してスケールアップを、中長期的には重要な顧客資産を有効活用してどんな変化にも対応できる企業へ進化させていく。」
 
まずここから3年程度はこれまでのM&A戦略を更に徹底的に推進してスケールアップを追求する。
上位ブランドの中から売上拡大に寄与するブランドを獲得したのち、販売実績をしっかりと残して営業エリアを広げてブランド内シェア、エリア内シェアの双方を拡大させ、全国レベルでのマーケットプライスリーダーのポジションを確固たるものとし収益性を引き上げていく。
同時に店舗の生産性も更に向上させる。新車販売、中古車販売に加え、車輌整備、保険販売と多品目を効率的に販売することで実績を上げていく。

しかし、10年先といったもう少し長いスパンを見据えると現在とは全く違う当社の姿を想定している。
カーシェアリング、電気自動車、自動運転車は確実に普及しているであろうし、インターネットの果たす役割も更に重要になっているだろう。
そうした中で、自動車の販売方法そのものに大きな変化が訪れ、当社も販売のための店舗は必要なくなっているかもしれない。
また、自動車メーカーの世界ではテスラ、Google、Appleといった企業が極めて大きな存在感を示すことも想定される。
このように、今後の自動車販売の世界には不確実、不透明な部分が多く、明確に見通すことは容易ではないが、そうした劇的な変化にも柔軟に対応することができるカギは「いかに多くの顧客をグリップしているか?」になるだろう。

幸いなことに当社はこれまでの取り組みの結果、当社との関係性が極めて強いお客様を囲い込むことができている。
この資産を有効に活用すれば、新たに登場するメインプレーヤーとも様々な取り組みが可能だ。
適切な危機感を持って仮説を立て、市場や競争環境の大きな変化に対する準備や仕掛けを着々と進めている。

そのためには社員の意識を更に変化させることも不可欠だと考えている。
自動車の販売のみにとどまらない、自動車に関わることはすべてフルサポートできる、懐の広いコンサルタントとして進化することが当社社員に与えられた使命であると、常日頃から意識の改革に努めている。
その場合においてもカギになるのは「顧客満足度の向上」だ。
顧客満足度の向上を追求し、重要な顧客資産を有効活用してどんな変化にも対応できる企業へ進化させていく。
 
Q:「では最後に株主、投資家へのメッセージをお願いいたします。」
A:「顧客満足度の向上と同様に、「株主満足度、投資家満足度の向上」に注力する。事業再生能力、優良な顧客資産をフル活用して大きな環境変化に適応し、成長を続ける当社を是非中長期の視点で応援していただきたい。」
 
当社は企業理念にあるように、お客様に喜びを提供することを目指し、そのための情熱や熱量を重視してここまで成長してきたし、またこれからも成長を続けていく。
上場企業としてお約束した予算はしっかりと達成することが私の責務であると強く自覚しており、当社が最も意識している「顧客満足度の向上」と同様に、「株主満足度、投資家満足度の向上」に注力していく。

中心戦略と位置付けているM&Aに関しては、買収先の状況によって当社の収益性が一時的に低下することはあるが、当社の最も得意とする「事業再生能力」で最長でも3年あれば収益性を再度向上させることができると自信を持っており、その点を是非ご理解いただきたい。
また、その点で当社を単なる自動車ディーラーの1社として見ていただきたくない。同業他社にはないM&Aにおける事業再生能力の高さが大きな成長性に繋がるということも是非理解してもらいたいと考えている。

今後自動車販売を取り巻く環境は劇的に変化することが予想されるが、これを好機ととらえ、「事業再生能力」、「優良な顧客資産」をフル活用してこの変化に適応し、成長を追求する当社を是非中長期の視点で応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
「顧客満足度の向上」を追求する成瀬社長は自らの事を「自動車も好きだが、人がもっと好き。」と評している。
現在でも顧客と直に接することに喜びを感じ、新店オープニングの際には社長自ら駐車場での誘導係なども行っているといい、こうした経営者の想いが同社の企業価値創造の源泉の一つとなっているようだ。
短期的にはM&Aがどういうスピードで実現していくかが注目されるが、M&Aにより企業規模が拡大していく中でも、想いの浸透度合いやスピードをこれまで通り維持できるかが、成長力に影響を与えることにもなろう。
中長期的には事業再生能力に自信を持つ同社がそうした課題にどのように対応していくかを注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2017年9月29日