ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー vol.39
(5162:JASDAQ) 朝日ラバー |
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企業名 |
株式会社朝日ラバー |
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社長 |
渡邉 陽一郎 |
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所在地 |
埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
ゴム製品(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2017年3月 | 6,511 | 475 | 490 | 341 |
2016年3月 | 5,976 | 237 | 235 | 131 |
2015年3月 | 6,059 | 114 | 122 | 328 |
2014年3月 | 5,677 | 286 | 296 | 160 |
2013年3月 | 4,789 | 135 | 139 | 76 |
2012年3月 | 5,010 | 243 | 211 | 72 |
2011年3月 | 4,806 | 161 | 117 | 21 |
2010年3月 | 4,667 | 125 | 91 | 41 |
2009年3月 | 4,904 | 46 | 14 | -80 |
2008年3月 | 6,284 | 414 | 325 | 211 |
2007年3月 | 5,314 | 399 | 375 | 176 |
2006年3月 | 4,578 | 366 | 353 | 209 |
2005年3月 | 4,057 | 251 | 251 | 147 |
2004年3月 | 3,449 | 233 | 211 | 112 |
2003年3月 | 3,154 | 172 | 159 | 75 |
株式情報(8/8現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社ARI INTERNATIONAL CORP.、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、10年7月に設立した工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び12年1月に設立した工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。 【事業内容と主要製品】
事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、17/3期の売上構成比は、それぞれ81.5%、18.5%。 今後は、RFIDタグ向け新製品、マイクロTAS製品などの新製品の販売拡大が期待される。
・ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、LEDの光と色のばらつきを解消する商品。青色LEDに蛍光体を配合したシリコーン製キャップを被せることで、自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。
・医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用さる。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。プレフィルドシリンンジ向けガスケットのイメージ ・マイクロ流体デバイス
DNAやウイルスなどを分析するために使われる生化学分析デバイス。独自の分子接着・接合技術を生かし、DNAの抽出、増幅、解析という複数の工程をワンストップで行うことが可能な製品。現在、販売先の動きを待ちつつ、次期開発の方向性のを待っている状況にある。
・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、ICチップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のICタグを提供。
・色と光のコントロール技術
シリコーンゴムに着色剤や蛍光体を配合し、様々な色と光を出すことのできる色調管理技術を有し、ばらつきを調整し、顧客が望む細かい色調を実現。また、透明なシリコーン樹脂を材料とし、耐熱性、対紫外線性に優れ、集光・拡散といったレンズ機能を実現。ASA COLOR LEDなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、自動車内装、照明分野とコア技術を応用したスイッチ分野の拡大を図る方針。
・表面改質及びマイクロ加工技術
接着剤を使わずに、ゴムとゴムや金属、樹脂を接着させる分子接着・接合技術を有する。接着させる表面を改質処理し、化学反応で結合。これにより、有害な溶剤の廃棄処理が不要となり、耐熱性、耐水性もクリア。耐水性、耐候性に優れており、RFIDタグ用ゴム製品やマイクロ流体デバイスでこの技術が生かされている。また、数十ミクロンから数ミクロン単位の表面加工を行うマイクロ加工技術を確立。医療用ゴム製品である薬液混注ゴム栓の薬液注入口の形成と薬液漏れの防止や、充電して使用できる二次電池の内圧管理にもこのマイクロ加工技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、高性能製品や新たな分野を開拓する方針。
・素材変性技術
ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができる。更に、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることも可能。卓球ラケット用ラバーなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、医療分野を支える製品を提供する方針。
オープンイノベーションで事業領域深耕につながる研究を加速する
・岩手大
ゴム基礎技術研究、分子接着技術、基礎・応用研究など
・埼玉大(先端産業国際ラボラトリー)
感性認知支援研究(サポイン事業終了後も継続)、先端産業創造PJ(ウエアラブル市場への製品開発)
・産業総合研究所
コア技術基礎研究、実証実験
・朝日FR研究所
コア技術基礎研究、次期事業企画 など
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中期経営計画 |
AR-2020VISION
・技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。
・現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。
・人財こそが、事業運営の要とし、人材の育成を行う。
このビジョンの実現に向けて、最初のステージである15/3期~17/3期の中期経営計画(V-1計画)を作成。
中期経営方針として、①既存事業の質・量の持続的成長、②新市場・新分野への事業展開、③2020年に向けた事業基盤の強化と整備と定め、最終年度である17/3期に数値目標である、売上高80億円、営業利益8億円の達成を目指す内容といていた。しかし、同社は、ライフサイエンス分野のマイクロ流体デバイス製品について、最終年度の連結売上高目標を12.5億円としていたものの売上比率を高く設定していた主力案件の受注が大幅に少なくなる見込みとなったことや、他の開発案件の量産開始も遅れる見込みとなったことにより、2016年2月23日に第11次中期経営計画(V-1計画)の見直しを発表した。
自動車分野
当初のV-1計画の連結売上高目標37億円に対し、17/3期の実績は、39.5億円と上回った。国内自動車メーカーが海外市場で販売好調であったことから、主力のASA COLOR LEDを中心に受注が計画を上回った。
医療分野
当初のV-1計画の連結売上高目標13億円に対し、17/3期の実績は、11.7億円と下回った。採血用・薬液混注用ゴム栓の機種変更の受注を獲得したものの、開発製品の立上げが遅れた。
ライフサイエンス分野
当初のV-1計画の連結売上高目標16.5億円に対し、17/3期の実績は、3.8億円と下回った。卓球ラケット用ラバーは新機種の量産開始で計画を上回ったものの、マイクロ流体デバイスは、顧客の販売戦略変更により受注が低迷した他、他の開発案件の遅れなどもあり計画を大幅に下回った。
その他分野
当初のV-1計画の連結売上高目標13.5億円に対し、17/3期の実績は、10億円と下回った。RFIDタグ用ゴム製品は、新製品への切替えが奏功し海外市場での採用と注文増により計画を上回った。一方、開発案件は、計画の遅れなどにより計画未達となった。
V-1計画(第12次三ヵ年中期経営計画)の策定
同社は、2018年3月期を初年度とする三ヵ年の「V-2計画(第12次三カ年中期経営計画)」(2017年4月~2020年3月)を策定した。中期経営方針として「AR-2020VISIONに通ずる質的成長を求めて広く社会に貢献する」を掲げ、中期経営戦略として、①ゴム技術・コア技術・製品力を成長させる、②経営基盤を磨き成長を加速すると定め、最終年度である20/3期に数値目標である、連結売上高70~80億円、連結営業利益率8%以上を目指す。先行きの不確定要因を考慮し、売上高目標は範囲を持って設定、質的成長を目指すため利益指標は率の成長を着実に目指す方針。また、最終年度目標は環境の変化などを考慮し、随時見直しをかける方針。
(1)事業分野の再編
従来、自動車、医療、ライフサイエンス、その他の4事業分野であったものを、車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他の3事業分野へ変更する。これは、①照明全般に視点を広げて市場を見出し、新たな付加価値で市場創造を図る、②医療事業とライフサイエンス事業を融合することで、医療機器分野・診断医療分野などに対する経験を生かして、事業に対する総合力を強化する、③ゴム技術を生かした機構部品を創造することを目指すものである。
(2)事業分野別の戦略
車載・照明(主要製品:ASA COLOR LED、透明部材、反射材料)
17/3期の連結売上高実績27.4億円に対し、20/3期の売上高は30~35億円を計画。当社のコア技術のひとつである色と光のコントロール技術を駆使したASA COLOR LEDなど、他社に真似のできない独自製品で市場と顧客の要望に応えることに加え、培った技術を照明全般に視点を広げて市場を見出していく。
医療、ライフサイエンス(主要製品:採血用・薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット、マイクロ流体デバイス)
17/3期の連結売上高実績12億円に対し、20/3期の売上高は13~15億円を計画。医療現場での衛生管理や医療事故の防止などに役立つディスポーザブルのゴム製品と診断医療や解析分野に貢献するマイクロ流体デバイスの開発を進める。
その他(主要製品:RFIDタグ用ゴム製品、自動車向けスイッチ用ラバー、卓球ラケット用ラバー)
17/3期の連結売上高実績25.7億円に対し、20/3期の売上高は27~30億円を計画。ゴムの可能性を追求し、独自のコア技術と複合化させたこれまでにない付加価値を持つ機構製品を提供する。その他、経営基盤を磨き成長を加速するために、拠点地域をつなぐ製品企画と連結販売を行う体制を構築する他、健康経営を軸に経営基盤を整備する |
2018年3月期第1四半期決算 |
前年同期比23.6%の増収、同109.9%の経常増益
売上高は、前年同期比23.6%増の17億86百万円。売上面では、工業用ゴム事業の売上高が同26.7%増加。自動車内装照明向けのシリコーンゴムキャップ付きLED「ASA COLOR LED」をはじめとした自動車関連製品の受注が海外向けを中心に好調に推移した他、卓球ラケット用ラバーにおいては新製品の投入により販売が増加したことに加え、RFIDタグ用ゴム製品も引き続き受注が順調に増加した。また、医療・衛生用ゴム事業の売上高も同10.6%増加。採血用・薬液混注用ゴム栓の新機種の受注が好調で販売が増加した。営業利益は、前年同期比76.3%増の1億45百万円。工業用ゴム事業のセグメント利益は、同51.4%の増益となった。加えて、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益も同21.4%増加した。販売の増加、経費削減と工場の生産性向上などの原価低減活動の継続が寄与し、売上高営業利益率は、8.1%と前年同期比2.4ポイント上昇。売上総利益率は、26.1%と前年同期比1.4ポイント低下したものの、売上高対販管費率は同3.7ポイント低下した。その他、前年同期に為替差損11百万円が発生したことなどもあり、経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。その他、固定資産圧縮損7百万円が特別損失で発生したものの、特別損益の大きな計上はなかった。 ※15/3Qと4Qは、取締役2名逝去による役員退職慰労引当金繰入額等の特殊要因が影響。 |
2018年3月期業績予想 |
前期比4.6%の増収、同10.7%の経常減益予想
17/3期の会社計画は、売上高が前期比4.6%増収の68億9百万円、経常利益が同10.7%減益の4億38百万円の期初予想から修正なし。売上面では、自動車関連製品の販売及びRFIDタグ用ゴム製品等の工業用ゴム事業の受注増加を見込んでいる。利益面では、売上増加による利益増加があるものの、ゴムの基礎研究力の強化、大学と連携した研究等の研究開発活動強化、基幹システムの入れ替えに係るコストの発生等の事業基盤強化に係る費用増を見込んでいる。売上総利益率は、0.8ポイント低下の25.9%、売上高対販管費率は、0.2ポイント低下の19.1%の会社前提。この結果、営業利益は、前期比2.7%減益の4億68百万円となる見込み。 1株当たり配当も、17/3期と同額(上期末6円、期末10円)の予定を据え置き。 今期の設備投資計画5億20百万円の事業分野別内訳は、車載・照明分野2億20百万円、医療・ライフサイエンス分野60百万円、その他分野160百万円、システム80百万円。 また、法人別では、同社4億円45百万円、東莞朝日精密橡膠制品75百万円の予定。 (3)分野別成長戦略
車載・照明分野
デザイン性・機能性と省エネルギー提案で付加価値を向上する。
医療・ライフサイエンス分野
理化学機器、医療機器市場で更に貢献する。
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2017年6月29日「当社は、JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。 |
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