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(6498) 株式会社キッツ

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ブリッジレポート:(6498)キッツ vol.30

(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.30】2018年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「上期の予想は、売上高554億円(前年同期比0.8%増)、営業利益40億円(同6.8%減)。進捗率は、売上高52.9%、営業利益48.4%。ただ、新・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年8月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 114,101 8,929 8,799 5,400
2016年3月 117,278 7,245 7,300 4,915
2015年3月 117,036 6,886 7,581 6,881
2014年3月 117,355 6,470 6,501 3,564
2013年3月 111,275 6,558 6,521 4,039
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(8/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
890円 100,022,523株 89,020百万円 7.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
16.00円 1.8% 62.94円 14.1倍 730.27円 1.2倍
※株価は08/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
キッツの2018年3月期第1四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器の総合メーカー。バルブ事業では、国内トップ、世界でもトップ10に入る。バルブは、青銅、黄銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等、用途に応じて様々な素材が使われ、同社は素材からの一貫生産(鋳造から加工、組立、検査、梱包、出荷)を基本とする。国内外の子会社32社とグループを形成し、子会社を通して、バルブや水栓金具、ガス機器などの材料となる伸銅品の生産・販売(伸銅品でも国内上位のポジションにある)の他、ホテル事業等も手掛けている。
 
【企業理念  -キッツは、創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指します-】
「企業価値」とは「中長期的な株主価値」であり、「中長期的な株主価値」の向上には、顧客の信頼を得る事によって利益ある成長を持続していく必要がある、と言うのが同社の考え。そして、企業価値を向上させる事により、株主をはじめとして、顧客、社員、ビジネスパートナー、社会に対して様々な形で寄与し、豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えている。
同社は、これらの思いを「キッツ宣言」に込め、更なる飛躍を目指している。
 
キッツ宣言
キッツは、
創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指し、ゆたかな社会づくりに貢献します。
KITZ’ Statement of Corporate Mission
To contribute to the global prosperity,
KITZ is dedicated to continually enriching its corporate value
by offering originality and quality
in all products and services.
 
行動指針(Action Guide)
Do it KITZ Way
・ Do it True(誠実・真実)
・ Do it Now(スピード・タイムリー)
・ Do it New(創造力・チャレンジ)
 
Do it True
人と人との関係で忘れてならないのが誠実に対応する心。また、表面的なものでなく物事の本質を追い求める心も必要。この基本を忘れる事なく企業活動を進めるための合言葉。
Do it Now
情報をいち早くキャッチし、迅速な意思決定と確実に実践していく躍動的な社員像を表現した言葉。
Do it New
変化に対応するために従来の発想から抜出して秘められた創造力を発揮し、新しい事にチャレンジする社員像を表現した言葉。
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業及びホテル・レストランの経営(ホテル事業)等のその他に分かれ、17/3期の売上構成比は、それぞれ80%、17%、3%。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「流す」、「止める」、「流量を調整する」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は、鋳物からの一貫生産を特徴とし(日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得した)、住宅・ビル設備等の建築設備分野に使用され、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等の工業用ステンレス鋼製バルブと言った主力商品で高い国内シェアを有する。
販売では、国内において、主要都市に展開する販売拠点ときめ細かい代理店網によって全国をカバーしており、海外においては、インド、U.A.E.に駐在員事務所を置く他、中国、韓国、シンガポール、タイ、アメリカ、ブラジル、ドイツ、スペインに販売拠点を設置し、グローバルな販売ネットワークを構築している。生産では、国内9拠点の他、海外に12拠点(中国、台湾、タイ、インド、ドイツ、スペイン、ブラジル)を展開し、グローバルコスト及び最適地生産の実現に向けた生産ネットワークを構築している。
 
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。
キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークス及び北東技研工業(株)の事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)及びその加工品を製造・販売している。
 
その他
子会社(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営(長野県諏訪市)が事業の中心。同ホテルは、諏訪湖畔の好立地を特徴とし、夕日に輝く展望風呂や大小の宴会場に加え、国際会議も開かれる大コンベンションホールを有する。
 
 
 
2018年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比6.9%の増収、同1.9%の営業増益
売上高は前年同期比6.9%増の293億02百万円。欧米での苦戦を、建築設備向け、半導体製造装置向けなど国内の好調で吸収したバルブ事業の売上が同3.6%増加。製品価格の上昇と数量増で伸銅品事業の売上も同25.8%増と伸びた。

利益面では、バルブ事業、伸銅品事業共に利益率が悪化し、その他事業の損失が増加したため、営業利益が同1.9%に増加にとどまったが、為替差損の減少等による営業外損益の改善で経常利益は同4.0%増加した。四半期純利益が減少したのは税負担率の上昇による。ブラジル子会社MGAは売上高基準で納税しているため、前年同期比で税負担が増加した。また、欧州子会社は通期見通しが不透明なため税効果を適用しなかった。
 
 
 
バルブ事業
国内売上高は前年同期比10.5%増の152億68百万円。工業用バルブ市場はプラントの定修案件が減ったものの、機械装置関連向けで微増。水市場向けは自治体の予算消化が低調だった。一方、半導体製造装置向けは装置メーカーの需要が強く大幅増収。5月に実施した値上げも着実に浸透している。

一方、海外売上高は同7.8%減の77億35百万円。アセアン他と中国で半導体製造装置向けが増加し、中国では建築設備向けも好調だった。アジア全体では約10%の増収。北米は原油安による設備投資の低迷が続いており、欧州・その他もOil&Gas向けの需要が弱く減収となった。尚、為替の影響による減収額は21百万円にとどまった。

営業利益は同2.0%増の26億46百万円。原材料市況の上昇や人件費・研究開発費等の費用増が負担となったが、半導体製造装置向けの好調等による数量・構成差、原価低減、及び売価政策等で吸収した。
 
伸銅品事業
売上高は前年同期比25.8%増の56億44百万円。原材料相場(前年同期比で上昇)に連動して製品価格が上昇する中、需要増で販売数量も同7.4%増加した。営業利益は同13.5%増の1億62百万円。4-6月は原材料相場が落ち着いた推移となり、一定の利幅を確保できた。
 
その他
売上高6億53百万円(前年同期比8.4%減)、営業損失42百万円(前年同期は営業損失1百万円)。当セグメントの大半を占めるホテル事業において、前年同期は7年に1度の「御柱祭」による集客効果があり、今期はその反動が出た。加えて、インバウンドの集客も想定ほど伸びなかった。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末に比べて22億81百万円減の1,168億67百万円。借方では、バルブ事業を中心にした設備投資や基幹システムの更新に加え、法人税等の納付や配当の支払などで現預金が減少した。貸方では、有利子負債や未払法人税等が減少した。自己資本比率62.5%(前期末61.9%)。
 
 
(4)トピックス
長坂工場 鋳造溶解炉を更新
長坂工場では1971年から45年間稼動している2トン鋳造溶解炉が3基あるが、このうち1基を高効率コイルタイプの高周波溶融炉(2トン炉用)1200kw-500Hzに更新した。残り2基についても、今後、更新を進めていく予定。 高周波溶融炉(2トン炉用)1200kw-500Hzは高効率コイルであり、短時間で効率良く原材料を溶解する事ができる。これにより、溶解原単位(kwh/t)の改善、作業効率向上、ランニングコストの削減等の効果が期待できる。
 
コーポレート・ガバナンス強化
社外取締役については、2011年より2名体制としてきたが、コーポレート・ガバナンス強化の一環として、2017年6月の株主総会以降、3名体制とした。取締役6名中半数が社外取締役となった事で、より実効性の高い経営の監督体制が確保できる。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、通期で前期比2.5%の増収、同12.0%の営業増益予想
売上高は前期比2.5%増の1,170億円。国内建築設備向けの他、好調な半導体向けで増収を見込むバルブ事業の売上が同2.4%増加する他、銅価格の上昇で伸銅品事業の売上も同3.5%増加する見込み。
営業利益は同12.0%増の100億円。減価償却費や労務費の増加で伸銅品事業の利益が同51.9%減少するものの、原価低減と価格改定(後述)効果等でバルブ事業の利益が同13.6%増加する見込み。
 
 
 
バルブ事業
新価格(4月に価格改定を発表し、5月出荷分から新価格)が順調に浸透している事に加え、建築設備市場向けで首都圏再開発案件の需要が想定よりも早く動き始めた。東京オリンピック関連需要は19/3期から20/3期にかけてピークを迎えるとみられており、同社は着実な刈り取りを図る。また、下期の減速リスクが懸念された半導体市場は好調が続いている。一方、海外は、北米・欧州の回復が遅れているが、アセアンは、営業拠点の拡大や技術拠点の開設等、体制強化を進めている。中国は、工業弁で厳しい状況が続くものの、データセンター等、汎用品を使う建築設備分野は好調が続いている。韓国は半導体市場向けの好調が続いている。
 
伸銅品事業
電気銅建値の前提は68万円/トン(前期平均:60.4万円/トン、第1四半期67.1万円/トン)。減価償却費や労務費の増加が負担となり減益が予想されるが、減益幅の縮小に向け、生産性向上と高付加価値品の拡販に取り組む。
 
その他
ホテル事業は客室(10階、11階)リニューアル効果が期待できる中、Web予約の強化、訪日外国人旅行客誘致、及びキャンペーンによる観光客の取り込み等で売上・利益計画の達成を図る。
 
 
今後の注目点
上期の予想は、売上高554億円(前年同期比0.8%増)、営業利益40億円(同6.8%減)。進捗率は、売上高52.9%、営業利益48.4%。ただ、新価格が順調に浸透している事や建築設備市場向けが想定よりも早く動き始めた事等から、上期のバルブ事業の売上は期初予想を上回りそうだ。また、出荷数量、価格共に堅調な伸銅品事業の売上も想定を上回る見込み。利益面では、バルブ事業でどれだけ上積みできるか。上期決算に期待したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2017年06月28日
当社は、創造的かつ質の高い商品・サービスの提供により持続的に企業価値の向上を図ることを企業理念に掲げ、社会的に責任ある企業として、株主をはじめ、すべてのステークホルダーに配慮した経営の実現に取り組んでいます。
また、経営の効率性とコンプライアンスの強化を図るため、ステークホルダーからの要請や社会動向などを踏まえ、迅速かつ効率が良く、健全で透明性の高い経営が実現できるよう、様々な施策を講じて、コーポレート・.ガバナンスの充実を図っています。
 
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレート・ガバナンス・コードの各原則をすべて実施しております。
 
<開示している主な原則>
9.株主との建設的な対話に関する方針(原則5-1)
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには、経営の受託者としての説明責任を自覚し、株主・投資家等のステークホルダーに対し、適時・適切な情報開示を行い、経営の公正と透明性を維持することが重要であると認識しています。また、必要とされる情報を継続的に提供するとともに、外部者の視点による意見や要望を経営改善に活用するためのIR活動が重要であると考えています。そのため、当社は、経営戦略や経営計画に対する株主の理解を得られるよう、株主との建設的な対話を推進するため、代表取締役やIR担当執行役員を中心とするIR体制を整備し、以下の施策を実施しています。