ブリッジレポート
(3134) Hamee株式会社

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ブリッジレポート:(3134)Hamee vol.3

(3134:東証1部) Hamee 企業HP
樋口 敦士 社長
樋口 敦士 社長

【ブリッジレポート vol.3】2017年4月期業績レポート
取材概要「17/4期の反動が懸念されたコマース事業は、足元、堅調なようだ。けん引役の「iFaceシリーズ」は端末保護のため、端末を貸与している法人がまと・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年8月8日掲載
企業基本情報
企業名
Hamee株式会社
社長
樋口 敦士
所在地
神奈川県小田原市栄町2-9-39小田原EPO
決算期
4月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年4月 8,502 1,106 1,048 695
2016年4月 6,501 450 427 257
2015年4月 5,657 336 329 192
2014年4月 4,681 226 222 121
株式情報(7/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,603円 15,837,314株 25,387百万円 29.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
5.00円 0.3% 47.44円 33.8倍 170.28円 94倍
※株価は07/07終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
Hameeの2017年4月期決算の概要と2018年4月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
happy mobile, easy e-commerce」(社名の由来でもある)を事業Domainと定め、「happy mobile」を実現するためのモバイルアクセサリーの企画・デザイン、インターネット販売及び卸販売事業(コマース事業)と「easy e-commerce」を実現するためのEC事業者向けクラウド型業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」の開発・提供事業(プラットフォーム事業)の2事業を展開している。モバイルアクセサリーECではトップクラス。プラットフォーム事業も界トップ、約2,600社のユーザーを有する。グループは、同社の他、Hamee Korea Co., Ltd.(韓国)、Hamee US ,Corp.(米国)、Hamee Taiwan ,Corp.(台湾)の連結子会社3社(いずれも100%出資)、及び持分法適用会社シッピーノ(株)。この他、非連結子会社として、Hamee India Pvt. Ltd.(インド)、Hamee Shanghai Trade Co., Ltd.(中国)。
 
 
事業は、コマース事業とプラットフォーム事業に分かれ、プラットフォーム事業はエンジニアの増員や様々なサービスの開発等、先行投資が続いている。
 
コマース事業   商品企画力を活かし流通の川上から川下までカバー、ネクストエンジンで自社ECを効率運営
モバイルアクセサリーを中心とした雑貨等の商品企画・製造(ファブレスメーカー)及び仕入を行い、一般消費者へのインターネット通信販売(小売)や大手雑貨量販店・大手家電量販店等への卸販売を行っている。インターネット通信販売は、国内に加え、海外子会社を通して、一般消費者向けの現地ECサイト運営や海外ECショッピングモール等への出店(越境EC)も行っている。
 
国内インターネット通信販売(小売)   自社ドメインサイトの運営や有力ECサイトへの出店を通して消費者に販売
自社ドメインサイトに加え、同じタイプの店舗を、楽天やYahoo!等、複数のECサイトに出店している他、コンセプトやターゲットの異なる店舗を同一のモールに出店する等、多店舗展開を進めている。例えば、総合店舗と位置付けられている「楽天店」は、老若男女を問わず、わかりやすい店舗づくりが特徴で、男性向けの「Hamee TV」、女性向けの「Ketchup!」、店舗関係者が“可愛い”と思ったものを集めた「Kawaii館」等がある。商品開発部(商品開発)、CRマネジメント部(接客)、WEBマーケティング部(店舗づくり)が一体となった事業展開が強みとなっている。

卸販売(卸売)   量販店及びEC業者に販売
大手雑貨量販店や大手家電量販店を中心にモバイルアクセサリーの卸売を行っている他、EC事業者向けにインターネット卸販売サイトの運営を行っている。小田原本社(神奈川県)の他、東京、大阪に拠点を設け、ラウンダーと呼ばれる実店舗の売場構築を支援する人材を配置している。

海外向け販売   韓国、米国、台湾、中国の子会社が一般消費者向けインターネット販売を展開
韓国、米国、台湾の連結子会社3社と、中国、インドの非連結子会社2社を通じてインターネット通信販売及び小売り事業者向けの卸販売を行っており、韓国子会社は商品企画・デザイン・選定等の業務も手掛けている。インドは米国ECのバックオフィス業務の機能も担っている。中国では、17/4期上期に自社ドメインサイト1店舗を含む3店舗を出店した。
 
 
尚、商品仕入については、500社を超える仕入先のネットワークを有し、モバイルアクセサリー関連の情報網としても機能している。また、社内に商品デザイナーを中心とした商品企画・デザイン専門チームを有し、海外を含む外部メーカーの協力を得て、利益率の高い自社企画商品の製作も手掛けている。この他、玩具や実用品等も取り扱っており、10,000種類を超える商品の卸販売を含めた販売状況を分析する事で、売れ筋商品をリアルタイムに把握し、商品仕入・企画に活用している。
 
 
プラットフォーム事業   自社ECの運営ノウハウ注入による差別化・優位性、アプリ充実でプラットフォームとしての魅力向上
自社サイトやインターネットショッピングモール等でインターネット通販を展開するEC事業者向けに、ネットショップ運営に必要なバックオフィス業務(受注、発注、仕入、在庫~分析等、ネットショップ運営に必要な業務)を一元管理できるマネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」を開発・提供している。「ネクストエンジン」は同社グループがECを展開する中で開発されたECのバックオフィスシステムであり、現在も同社グループのコマース事業において使用されている基幹システムである。

インターネット通信販売事業者向け業務マネジメントプラットフォーム「ネクストエンジン」をクラウドで提供
「ネクストエンジン」は、メール自動対応、受注伝票一括管理、在庫自動連携、商品ページ一括アップロード等の機能を有し、ネットショップ運営の業務プロセスの自動化を進め、EC事業者の経営効率向上を支援するクラウド型のシステム。異なるインターネットショッピングモールに出店した複数のネットショップの一元管理や複数のネットショップの在庫数表示の同期が可能なため、複数のネットショップを運営するEC事業者が利用するメリットは大きい。
 
 
自動化により、ネットショップのルーティーン業務を「ネクストエンジン」が可能な限り自動化。

自社ネットショップや大手ネットモール等、複数店舗の一元管理を実現。

業務効率アップにより残業削減はもちろん、販売戦略や商品開発のための時間も創出。
 
「ネクストエンジン」には、メイン機能(標準仕様)とアプリケーション(拡張機能、以下「アプリ」)があり、ユーザーはニーズに合わせて機能を使い分ける事が可能。メイン機能はEC事業者の利便性に資する標準的な機能がワンパッケージで搭載されており、アプリはそれ以上の特殊なニーズに対応するためのオプションと位置付けられている。また、「ネクストエンジン」のOEM提供もしており、GMOソリューションパートナー(株)が「ストックマネージャー」と言うサービス名で、GMOコマース(株)が「すごい!ネットショップ管理」と言うサービス名で、それぞれの顧客にサービス提供している。
「ネクストエンジン」の基本料金は、ユーザーであるEC事業者の受注件数に応じた従量課金制(ユーザーの事業規模に応じた料金体系)。また、専用サーバープランやカスタマイズ(ネクストエンジンオーダーメイド)等のサービスもあり、この場合は顧客毎に個別料金を適用している。ネクストエンジン上の各種アプリについては、アプリによって異なる(無料、定額料金制、従量課金制)。
 
 
プラットフォーム化
2013年12月に「ネクストエンジン」のAPI(※)を公開した事で、「ネクストエンジン」上で自社及び外部ディベロッパーが開発した各種アプリの展開が可能となる等、いわゆるプラットフォーム化が実現した。プラットフォーム化により、アプリとネクストエンジンを連携させる事によるユーザー企業の環境に応じたシステムの構築・運用が可能になった。
 
※API(Application Programming Interface)
あるコンピュータプログラム(ソフトウェア)の機能や管理するデータ等を、外部の他のプログラムから簡単に呼び出して利用できるようにするインターフェイスのこと。ここで言うインターフェイスとは、機能の呼び出し手順や記述方法等を定めた仕様を指す。APIが提供されている機能は独自にゼロから開発する必要がないため、プログラムの開発を効率的に行うことが可能になる。
 
海外展開については、「海外現地法人で実際にECを運営し、各国のECショッピングモールとの連携等、ノウハウを蓄積したうえで現地(海外)版ネクストエンジンを開発、リリースする」事を基本戦略としている。
 
 
樋口社長が慶応大学在学中に起業。携帯ストラップメーカーとして事業が本格化し、大学4年時の1998年5月に同社の前身であるマクロウィル有限会社を設立した。1999年8月にモバイル周辺アクセサリーのECサイト「携帯アクセ市場」を開設すると共に、実店舗向け販売を開始。その後、市場の変化に対応して携帯電話からスマートフォンへ軸足を移し、2006年6月には携帯ストラップに特化していたECサイト「ストラップヤ本店」でモバイル周辺アクセサリーの取り扱いを開始した。

2007年11月、EC事業者向けクラウド型バックエンドソリューションシステム「ネクストエンジン」が稼働。2008年5月には「ネクストエンジン」の外部向けサービスも開始した。2011年6月にはグローバル対応ECサイト「StrapyaWorld」を米国「Amazon US」に出店し越境ECを開始。同年10月に韓国法人を設立した。2013年5月にHamee(株)へ商号変更すると共に、米国法人を設立。同年12月に「ネクストエンジン」のAPIを公開しプラットフォーム化した。

2015年4月、東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。同年7月に台湾と中国に現地法人を設立し、9月にインドに現地法人を設立。2016年2月には人工知能・機械学習を研究する「ネクストエンジンAIラボ(現 探究室)」を新設。同年6月に経済産業省・東京証券取引所の選ぶ「攻めのIT経営銘柄2016」に選定され、同年7月には東京証券取引所マザーズ市場から市場第一部へ市場変更した。
 
 
2017年4月期決算
 
 
経常利益が2.5倍に拡大し、過去最高を更新
売上高は前期比30.8%増の85億02百万円。このうちコマース事業の売上は同31.4%増の74億83百万円。大手量販店向け中心に卸売が同50.5%増と伸びる中、自社サイト及びAmazonの好調で小売も同10.7%増加した。プラットフォーム事業の売上も、メイン機能契約社数、アプリ契約社数共に増加し、同26.2%増の10億18百万円と伸長。期末のメイン機能契約社数は2,642社(前期末比18.6%増)、アプリ契約社数978社(同69.8%増)、店舗数20,268店(同20.7%増)。海外では、「iFaceシリーズ」を日本国内に供給する韓国が増収に寄与した。

利益面では、エンジニアやサポート人員の増加とインフラ投資等の先行投資負担からプラットフォーム事業の利益率が低下したものの、売上の増加と自社企画商品比率の上昇でコマース事業の利益が3.4倍に拡大した。また、海外では、16/4期に「iFaceシリーズ」の商標権を取得した韓国子会社が大きく利益貢献した他、米国子会社と台湾子会社が黒字化した。市場変更費用22百万円や為替差損(子会社向け債権等の資産に対する発生日レートと決算日レートとの差額)14百万円を営業外費用に計上したものの、税効果会計の影響で最終利益は6億95百万円と同169.7%増加した。
 
 
 
(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
業容の拡大を反映して期末総資産は42億40百万円と前期末に比べて12億23百万円増加した。借方では、現預金、売上債権、関係会社株式(41百万円→1億83百万円。非連結子会社への投資)が増加。自社企画商品は仕入れ商品に比べて発注ロットが大きくなるが、商品管理は適切になされており、たな卸資産回転日数は、27.1日から28.5日へ1日半の増加にとどまった。貸方では、利益剰余金が大きく増加した他(10億20百万円→16億92百万円)、支払手数料の未決済分である未払金、法人税等が増加した。自己資本比率63.6%(前期末66.1%)、投下資本利益率27.7%(同11.8%)。
 
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
 
2018年4月期業績予想
 
 
前期比9.6%の増収、同10.4%の経常増益予想
売上高は前期比9.6%増の93億20百万円。ネクストエンジンメイン機能の契約社数の増加でプラットフォーム事業の売上が同11.1%増と伸びる中、小売を中心にコマース事業の売上も同9.4%増加する見込み。

営業利益は同5.0%増の11億61百万円。サポート人員の増員とインフラ投資の積極化でプラットフォーム事業の利益がわずかに減少するものの、コマース事業は小売の増加による支払手数料の増加や物流費の増加等を増収効果で吸収。為替差損を見込んでいないため、経常利益は11億57百万円と同10.4%増加。本社移転に伴う特別損失を吸収して、最終利益は同8.5%増の7億55百万円が見込まれる。

配当は1株当たり50銭増配の期末配当5円を予定している。当面は配当性向10%を目処に配当を実施していく考えだが、将来的には20%~30%の安定配当を目指している。
 
 
 
コマース事業
小売については、iPhone等の新規機種向け商品の投入予定時期や自社企画商品の需要推移等を勘案し前年比13.5%増、卸売については主要取引先の引き合い情報等を勘案し同6.6%増、コマース事業全体として、前年比9.4%増の売上高81億88百万円を見込んでいる。
 
プラットフォーム事業
売上高は11億31百万円と前年比11.1%増加する見込み。過去実績等を勘案の上、月毎にネクストエンジンメイン機能の新規契約獲得件数及び解約数を見積り、当該契約数に顧客平均単価を乗じる事で予想売上高を算出した。契約数については、17/4期実績(前期末契約社数比18.6%増)を踏まえ、18/4期の伸び率を保守的に16.0%増と想定。また、専用アプリ(カスタマイズ対応)等の上振れ要因は織り込まれていない。利益面では、サポート人員の増員とインフラ投資等、先行投資を織り込んだ。
 
(3)今後のビジネス展開
コマース事業   商品起点のブランディング、IT強化、多店舗展開
コマース事業の注力ポイントは、商品起点のブランディング。スマートフォンアクセサリ市場の競争は激しく、また、ネット通販は、スマートフォンアクセサリに限らず、商品があふれ、商品を探すのが難しいほど。このため、しっかりした商品のつくり込みはもちろんだが、何よりもブランディングが重要になってくる。

引き続きコマース事業の拡大と収益性改善の原動力になっている自社企画商品に注力していく考えだが、既に自社企画商品が売上の80%程度(スマートフォンケース60%、その他アクセサリー10%、充電器・ケーブル等10%)を占めており、コストを加味した品ぞろえやトレンド等の情報収集等、仕入のメリットを考えると、これ以上、自社企画商品比率を高める事は得策とは言えない。このため、80%程度の構成比を維持しつつ、ブランディングの強化で収益性を高めていく。この一環として、ファッション雑誌「ViVi」のNo.1専属モデルであり、「iFaceシリーズ」のユーザーでもあるemma(エマ)さんと「iFaceシリーズ」のブランドアンバサダー契約を結び、北海道最大のファッションフェスティバル「札幌コレクション2017」でプロモーションを行った。

また、ブランディングと並行して、IT強化と多店舗展開にも取り組んでいく。IT強化では、自動化の徹底、生産力向上のためのシステム開発を強化・継続していく。多店舗展開では、同じタイプの店舗の複数ECサイト(Amazon、楽天、Yahoo!等)への出店と共に、コンセプトやターゲットの異なる店舗の同一のモールへの出店を進めていく。
 
プラットフォーム事業   システム連携、越境EC
APIを介して様々な企業とシステム連携を進めると共に、連携により生まれた新たなシステムを外販していく。2016年9月には、出荷作業の自動化アプリ「シッピーノ」を提供している(株)Webの匠(現シッピーノ(株))と資本・業務提携した。「ネクストエンジン」と「シッピーノ」を連携させる事で、「ネクストエンジンが対応する全てのECサイトの注文を、最短10分で、しかも24時間365日いつでも倉庫に出荷指示を出せるようになった。また、2017年2月には、クラウド型倉庫管理システム「ロジザードZERO」に自動連携するアプリ「シッピーノ」の提供を開始し、人手を介する事なくアウトソース先倉庫にも出荷指示事を出せるようにした。
この他、2016年12月には、国内最大級中古車情報サイト「カーセンサー」を運営する(株)リクルートマーケティングパートナーズと提携。中古車販売事業者が「カーセンサー」で中古車物件登録を行うと、「ネクストエンジン」を介してヤフオク!等のモールに自動的に出品できるようにした。
更に、2017年1月には、データの登録・取得が可能な入出力プログラム「ストレージAPI」の提供を開始した。これにより、別途提供する「カスタムデータ作成(データ転送オプション)」や「データオクトパス」と言ったアプリを利用して外部サーバーとのデータのやりとりが可能になった。「カスタムデータ作成(データ転送オプション)」は、「ネクストエンジン」内のデータを任意のファイル書式で外部企業のサーバーへ転送するためのアプリであり、「データオクトパス」は外部企業のサーバーからデータを取得するアプリ。

越境ECの取り組みも進める。2016年7月にイーレディー(株)の多言語変換機能を備えた「越境EC」自動出品プラットフォーム「LISUTO!」と連携を開始した他、2016年11月にInagora(株)が提供する日本商品に特化した越境ECプラットフォーム「豌豆(ワンドウ)プラットフォーム」と連携した。「豌豆プラットフォーム」は、国内ECとほぼ変わらないフローで中国への販売を可能にする。

「ネクストエンジン」の17/4期の受注処理件数は5,368件、受注処理金額は3,760億円にのぼり、17/4期末のメイン機能契約社数は2,642社(前期末比18.6%増)。当面のメイン機能契約社数の目標を5,000社としており、中期的には「ネクストエンジン」を通して収集される膨大なデータを活用して、AI・BIGデータ・ソリューションを展開していく考え。
 
グローバル展開   コマース事業現地化 ⇒ 現地版ネクストエンジン開発 ⇒ グローバルプラットフォーム
韓国、中国、台湾、アメリカ、インドに現地法人を展開している。韓国では、現地法人がiFaceの商標権と取得し、メーカーとしての事業が順調。台湾では、現地法人が「台湾Yahoo!」に出店している(「tw.mall.yahoo.com/store/hamee_taiwan」を運営)。中国では、2016年10月に、「アリババグループ」の越境ECプラットフォーム「天猫国際(TMALL GLOBAL)」と中国EC2位の「京東集団(ジンドン)」の越境ECプラットフォーム「京東全球購(JD Worldwide)」で越境ECも開始した。越境ECと並行して、「ネクストエンジン」の画面上で「天猫国際」や「京東全球購」での業務処理が可能な連携アプリの開発を進めていく。アメリカでは、現地法人が自社ドメインサイト「hamee.com」等でECを行っている。EC最大手のAmazonや2位のeBayとの自動連携アプリも開発済みで、越境ECの支援体制も整っている。インドは米国ECのバックオフィス業務の機能も担っている。

各国のECの状況を把握しコマース事業を深耕した上でプラットフォーム事業に展開し、各国のプラットフォームをネットワーク化する事で、「ネクストエンジン」をECに不可欠なグローバルプラットフォームに育てていく考え。
 
(3)成長イメージ
先ず、自社企画商品の強化によるブランド力向上と自動化の徹底による生産性の向上でコマース事業を安定成長させる。そして、これをベースに、プラットフォーム事業を成長エンジンとしていく。プラットフォーム事業では、アプリの充実と外部システムとの連携強化、新たな顧客層の獲得、及び、中期的にはAI・BIGデータ・ソリューションの展開がポイント。更に、海外におけるコマース事業の深耕、ネクストエンジンのリリース、そして各国のプラットフォームのネットワーク化に取り組む事で、コマース&プラットフォームによるグローバル展開で成長を加速させて行く。
 
 
今後の注目点
17/4期の反動が懸念されたコマース事業は、足元、堅調なようだ。けん引役の「iFaceシリーズ」は端末保護のため、端末を貸与している法人がまとまった数量を購入するケースもあると言う。18/4期の着地が予想に沿ったものであれば、商品起点のブランディング戦略が順調と考えていいのではないだろうか。
一方、プラットフォーム事業は成長エンジンとしての期待とは裏腹に収益性が低下傾向にあるが、これは、コマース事業が好調な時に先行投資のアクセルを踏み込んでおこうと言う前向きなもの。18/4期の予想は売上高・利益共に保守的なため、上振れが期待できる。ユーザー開拓の動向と共に注目していきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書      更新日:2017年7月27日
<基本的な考え方>
当社グループは、「We Create the Best“e”for the Better“e”World.(より“e”世界につながるもっと“e”を創造する。)」をPhilosophy(経営理念)に掲げ、企業の継続的な発展と株主価値向上のため、コーポレート・ガバナンスに関する体制の強化と経営理念の推進を経営の最重要課題としております。また、当社では、社外取締役(2名)及び社外監査役(3名)により取締役会の監督機能を高め、経営の健全性・透明性の確保に努めております。今後も、取締役及び全従業員が法令・定款を遵守し、健全な社会規範のもとにその職務を遂行し、リスク管理、監督機能の強化を図り、経営の健全性・透明性を高めていく所存であります。
 
<実施しない主な原則とその理由>
【原則5-2】
当社の属するEC市場は、技術革新や業界の変遷が激しい分野であり、将来収益を見通すことが著しく困難なため、定量的な中長期業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないと考えており、中期経営計画における数値目標を公表しておりません。
 
<開示している主な原則>
【原則1-4】
当社では、原則としていわゆる政策保有株式を保有しないことを基本方針といたします。現状において政策保有株式を保有しておりません。

【原則1-7】
当社は、関連当事者取引について、取引を行うこと自体に対する合理性があり、取引条件の妥当性があることが担保され、グループの利益が損なわれる状況にないもの以外は、これを行わないことを基本方針としております。関連当事者との取引を開始する際には、上記内容が担保されているかを慎重に判断し、会社法並びに当社稟議規程、職務権限規程に則り、取締役会決議等の決裁を受けることとしております。また、役員に対し定期的に関連当事者間の取引の有無を確認しており、有価証券報告書で開示しております。

【原則5-1】
当社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主等との建設的な対話を重視しており、代表取締役社長及びIR担当取締役ならびにIR&コミュニケーション室を中心に様々な機会を通じて株主や投資家との対話を持つように努めております。なお、IR&コミュニケーション室は、経理部門及び総務部門と一週間に一度の定例ミーティングを実施し、有機的な連携につとめております。現在のところ、社長が出席する決算説明会を年に2回開催しているほか、随時国内外の機関投資家とのミーティングを実施しており、電話取材、年に複数回の個人投資家説明会等も実施しています。それらの結果は、適宜、取締役会に報告しています。なお、株主との対話に際してはインサイダー情報の漏洩防止を徹底しています。