ブリッジレポート:(9423)フォーバル・リアルストレート vol.3
(9423:JASDAQ) フォーバル・リアルストレート |
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企業名 |
株式会社フォーバル・リアルストレート |
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社長 |
吉田 浩司 |
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所在地 |
東京都千代田区神田神保町3-23-2 錦明ビル |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
情報・通信 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2017年3月 | 1,146 | 45 | 46 | 73 |
2016年3月 | 925 | 32 | 32 | 32 |
2015年3月 | 686 | - | 21 | 16 |
2014年3月 | 565 | -55 | -55 | -69 |
2013年3月 | 777 | -45 | -46 | -38 |
株式情報(7/20現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【ビジネスモデルと強み】
・不動産情報をドアノックツールとしてオフィス移転需要を掘り起こし、その際に発生するコンサルティングを含めた、内装工事、OA・ネットワーク機器の更新、各種サービスの取次、更には旧オフィスの原状回復等の需要を取り込んでいく。
・需要の掘り起こしはWebサイトを中心に、電話によるアウトバンドの営業も展開。引き合いがあれば、営業担当者にITコンサルタントが同行して、不動産仲介物件だけでなく、オフィス移転後のITコンサル、内装、各種サービスの取次、引っ越し、退去後の原状回復等の提案を行う。
・オフィスの移転には、通常、不動産会社、運送会社、内装工事会社、更には旧オフィスを管理する不動産会社(退去に伴う敷金の返金等で問題が生じる事が少なくない)等、多くの関係先と関わる必要があるが、同社と契約すれば、窓口を一本化でき、仮にトラブルが発生したとしても、同社が責任をもって対応する。
・不動産仲介の際に、引っ越し業者の紹介や取り次ぎをする不動産会社はあるが、内装工事やオフィス移転に際して更新する情報機器等に関するコンサルから手配・セッティングまで対応できる不動産会社はほとんどない。
【沿革】
当社の前身の(株)フリードは、(株)フォーバルの営業部長経験者である創業者が通信機器及び事務機器販売を目的に95 年に設立した。マイライン、ADSL、光ファイバーの回線獲得で業容を拡大させ、2005 年11月にジャスダック証券取引所(現JASDAQ)に株式を上場したが、その後、ブロードバンド回線の需要一巡と消費者のモバイルへのシフトで事業環境が急速に悪化。上場に前後して人員を増強した事もあり、07/3期以降、(株)フリードの業績も悪化した。2007年3月に、支援の依頼を受けた(株)フォーバルが創業者の保有株を引き取り、持分法適用会社化。当初は、通信・OA機器販売や(株)フォーバルテレコムのサービスであるビリング販売等を手掛けていたが、2009年2月の連結子会社化(追加出資等で(株)フォーバルが発行済株式数の57%弱を取得)を契機に、不動産仲介から、内装工事や引っ越し等への対応も含めた新オフィスの整備及び旧オフィスの退去に至る一貫サービスを開始。2009年7月に(株)フォーバル・リアルストレートに社名を変更した。 当初は苦戦を強いられ、11/3期から14/3期まで4期連続の営業・経常・最終赤字を計上したが、吉田社長が就任した14年8月以降、潮目が変わった。苦戦の原因は、物件情報を携えて客先を訪問する不動産営業の社員が十分にITコンサルに対応できていなかった事。このため、吉田社長が主導する形で、営業社員とITコンサルタントが一体となった営業(営業社員にITコンサルタントが同行)に切り替え、これが奏功した。フォーバルグループ各社からの支援でITコンサルタントの増員も進み、15/3期第2四半期以降、売上総利益が安定して増加するようになり、四半期ベースの営業損益の黒字化が定着した(15/3期第4四半期は、営業損失となったが、経常損益では利益を計上)。 吉田社長は(株)フォーバルの出身で、(株)フォーバルテレコムの取締役や(株)ヴァンクールの代表取締役社長を歴任した。(株)フォーバルテレコムは、法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスの提供と関連機器の販売等を手掛けており、(株)ヴァンクールは、ビジネスフォン等の通信・通話サービスの提供からOA機器、ネットワークセキュリティー、ホームページ制作等のインターネット関連商品までをトータルプロデュースしている。このため、オフィス環境の整備や関連するソリューションの提供に精通している事が吉田社長の強みである。 |
2017年3月期決算 |
前期比23.9%の増収、同39.8%の営業増益
大手不動産会社によると、3月末の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビル平均空室率は前年同月の水準を下回ったものの3.60%と低水準。オフィスビルは高い稼働状態が続いており、これを反映して、3月末の平均賃料は18,730円/坪と前年同月の実績を757円(4.21%)上回った。こうした中、同社の売上高は11億46百万円と前期比23.9%増加した。不動産仲介等の売上が1億32百万円と同9.6%増加し、これを起点とする、内装工事及び付随サービス(以下、内装工事等)の売上が同25.9%増の10億13百万円と伸びた。不動産仲介で新規顧客開拓に取り組む一方、内装工事等で既存顧客の深耕にも力を入れた。この結果、既存顧客の相談に応える形で、セキュリティ、ログ監視、バックアップサーバー構築等のネットワーク関連のサービスが増加。また、オフィス環境の改善をテーマに、照明のLED化やオフィス家具の抗菌処理(抗菌剤のコーティング)の提案営業にも力を入れた。 利益面では、内装工事及び付随サービスの売上構成比が上昇したものの、売上総利益率が53.6%と0.4ポイント改善。同社が重視する売上総利益は6億14百万円と同24.7%増加した。人員の増加(期末社員数:48人→51人)と社員の処遇改善による販管費の増加を吸収して営業利益は45百万円と同39.8%増加。最終利益の伸びが大きくなったのは、税効果会計の影響による。 06/3期以来の復配!1株当たり1円の期末配当実施
同社は経営基盤と財務体質の強化及び今後の事業展開を勘案した上で業績に応じた配当を実施していく考え。17/3期については、前16/3期において累積損失を解消し、3期連続で利益を確保した事から、06/3期以来の配当を実施した。
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。 |
2018年3月期業績予想 |
前期比20.7%の営業増益予想
不動産物件の仲介から、内装工事、各種インフラの整備やオフィス機器・什器の手配までを行うオフィス移転のワンストップサービス引き続き力を入れる他、ネットワーク関連やオフィス環境改善等の提案営業による既存顧客の深耕でオフィス関連ニーズの掘り起こしにも努める。配当は1株当たり1円の期末配当を予定している。
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決算の総括と今後の取り組み |
【17/3期総括】
3期連続の増収増益となり、期初予想を上回る着地となりました。
業績については、もっと高い伸びを実現できればいいのでしょうが、人材の育成に力を入れつつ持続可能な成長を念頭に置いています。取り組みとしては、オフィス環境の改善をテーマにした提案営業を開始しました。照明を蛍光灯タイプのLEDに変える提案やオフィス空間の抗菌処理(抗菌剤のコーティング)の提案等を始めました。LEDは省エネ効果が期待できますし、長寿命のため交換の手間も省けます。オフィス空間の抗菌処理は、社員の方がいない時に部屋全体を締め切って行います。使用する抗菌剤は医療施設等でも使われており、1年程度、菌の発生を防ぐ効果が期待できます。メーカーの話によると、インフルエンザ等も少なくなるそうです。始めたばかりで事例が少ないのですが、施工したお客様からはご評価頂いています。 ニーズがあるのは、必ずしもオフィス移転の時だけではありません。オフィスのレイアウト変更に伴い、フリーアドレスにするお客様が増えていますが、その際、オフィス空間の衛生面を気にされる社員の方が少なくありません。このためフリーアドレスのご提案と共に、抗菌処理も提案しています。オフィス移転の時だけでなく、普段からお客様に接する機会を持つ事は当社の課題の一つです。色々と取引をさせて頂いていれば、次の移転のニーズの取り込みにもつながりますから。提案活動を続ける事で、縁があって取引が始まったお客様の満足度を高める事ができれば、と考えています。 【18/3期の取り組み】
18/3期は4期連続の増益を目指します。
これまでの取り組みを継続して、少しずつ良くしていこうと考えています。社員のレベルも上がってきていますから、オフィス環境の改善等をテーマに提案営業に力を入れ、お客様との接点を増やす努力を続けていこうと思います。18年4月入社に向けた新卒社員の採用活動も進めます。
【人材育成と継続取引による顧客の成長の取り込み】
御社で最も重要な経営資源は「人」であると思います。17/3期末の人員は、16/3期末の48名から51名に増加しました。採用の状況はいかがでしょうか。
前期(17/3期)は5名採用しました。採用は営業が中心で、51名の社員のうち営業社員が25名程度です。教育等の面を考えると、急激に人を増やす事はできませんが、いい方がいれば、積極的に採用していきたいと考えています。中途採用の場合、営業経験のある方を採用しますが、不動産やOA機器等に関する教育が必要ですから、戦力化には半年~1年は必要です。案件数を考えると、少し人員が足りない状態かもしれませんが、採用コストや採用した社員の戦力化の状況を考えながら採用活動を行っていきます。 今は継続的に成長するための土台をつくる事が必要と考えています。縁があって取引が始まったお客様ですから、応えられる要望には全て応えていきたい。不動産仲介を入り口に、「オフィス環境で何かあればFRS」と言う関係を構築していきたいと考えていますから、長く務めてもらう必要があります。そのため、社員の処遇改善にも取り組んでいます。おかげさまで業績は順調ですから、昇給であったり、賞与であったり、待遇改善を図っていきたいと考えています。社員の定着率が高まってきたため(離職率:13/3期25.9%→17/3期4.2%)、社員のレベルが上がっている事も感じています。赤字の頃はやめる人も多く、勤続年数が短かったですね。今でもやめる人はいるのですが、以前のように多くはなく、経験値を積んだ社員を増やす事ができています。 仕事をきちんとやった結果、お客様に満足してもらい、社員にも満足して働いてもらい、社員が増え、利益が増える、という順番ではないでしょうか。そして、その結果を株主の皆様へ還元していきたいと考えています。 「案件数を考えると、少し人員が足りない」との事ですが、現在、新規案件の獲得はどのように行っていますか
サイト(オフィス移転navi:https://www.officeiten.jp/)での集客とアウトバウンドによる電話営業(テレ・アポ)を行っています。売上ベースでは、サイトとテレ・アポが半々くらいです。サイトは成約率が高いものの(決まりやすい)、小さい案件が多いです。テレ・アポは成約率が低いですが、大きな案件を受注できる事もあり、平均単価がサイトよりも高くなっています。ただ、大きな案件を発注できるお客様は、既に取引している業者がいる事が多く、受注競争の結果、利益率が低くなりがちです。最初の取引規模が小さかったお客様でも、事業が拡大してオフィス移転が必要になると案件規模が大きくなります。以前、受注を頂いたお客様からのリピートによる注文が増えている事が昨今の特徴です。不動産仲介だけであれば、それだけで終わってしまうのですが、こまめに顔を出して提案を続けていれば、リピートの受注につなげる事ができます。このため、内装工事やネットワーク関係、オフィス環境の改善等で提案営業を行い、接点を持ち続ける努力をしていきます。特にネットワーク工事を行うと、セキュリティ、ログ監視、バックアップサーバー等の提案につながる相談を受ける事が多くなります。パソコンの不調等も含めて丁寧に対応しています。つながりを持っていれば、次に移るタイミングをつかめます。リピートの取り込みを続ける事で、お客様の成長と共に案件の質も良くなっていきます。新規を集め、内装工事やネットワーク関係で押さえていく、そしてリピートにつなげていく。その繰り返しが安定と事業の拡大につながっていくと考えています。 なるほど。リピートの受注で顧客企業の成長を取り込めている事と提案できるサービスが増えている事が好業績の背景にあるようですね。また、顧客満足度の向上と社員満足度の向上を追求し、その結果を業績に反映させ、株主の皆さんへ還元していくというお考えですね。ご多忙中にもかかわらず、丁寧なご対応有難うございました。
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書 更新日:2017年06月29日
当社は、経営の透明性及び健全性の確保、向上に努めることは、企業の当然の責務であると認識しております。企業価値の向上と競争力強化のためには、常に組織の見直し及び職務権限の明確化を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう取り組んでおります。また、意思決定の迅速化のために、取締役会の機能充実を図るとともに、監査役及び監査役会による監視、内部統制の体制についても強化しております。
基本的な考え方 <実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。
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