ブリッジレポート:(7242)KYB vol.1
(7242:東証1部) KYB |
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企業名 |
KYB株式会社 |
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社長 |
中島 康輔 |
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所在地 |
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービル |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
輸送用機器(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 税引前利益 | 当期純利益 |
2017年3月 | 355,316 | 19,247 | 18,852 | 14,544 |
2016年3月 | 355,320 | 4,327 | 2,825 | -3,161 |
2015年3月 | 370,425 | 13,591 | 15,852 | 7,052 |
2014年3月 | 352,710 | 18,170 | 21,032 | 12,761 |
株式情報(6/27現在データ) |
※2017年10月1日を効力日として10:1の株式併合を実施予定。DPS、EPSは株式併合考慮前の金額。 |
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今回のポイント |
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会社概要 |
四輪車用ショックアブソーバで国内シェア43%、グローバルシェア15%など、多くの製品で高いシェアを有する。 【1-1 沿革】
1919年11月に発明家であり創業者である萱場資郎が開設した「萱場発明研究所」がルーツ。1927年1月に個人経営の萱場製作所を創業し、航空機用油圧緩衝脚、カタパルト等を製作した。 1935年3月に株式会社萱場製作所を創立。 第二次世界大戦終結後、1956年6月に製品の販売・サービスを目的に萱場オートサービス(株)を設立。 1959年10月には東京証券取引所に株式を上場した。 1974年7月、米国にKYB Corporation of Americaを設立し、北米の市販市場へ進出。この後、積極的にアジア、ヨーロッパなど海外市場へ進出する。 1985年10月に商号をカヤバ工業株式会社に変更。 2015年10月にはブランドイメージをより強固にすることを目的に、商号をカヤバ工業株式会社からKYB株式会社に変更した。 【1-2 企業理念・経営理念】
◎ロゴ2015年に商号を「カヤバ工業株式会社」から「KYB株式会社」に変更した意図にあるように、同社ではKYBブランドをグローバルベースでより強固なものとしたいと考えている。 そのため、下記のように「KYB」のロゴにもその意味、想いを込めている。 心地よい日差しと植物の伸びやかな成長そして時代の風にしなやかに対応するイメージを表現しています。Bには液圧を象徴するデザインを付加し、斜体文字によりスピード感、先進性、成長性、革新性を表わしています。 (カラー) 愛、情熱、熱意等の意味を表わす「赤」。太陽の暖かさ、熱さと生命を育む力強さが時代を切り開くイメージを与えます。「KYBレッド」とお呼びください。 ◎KYBブランドステートメント
一般生活者や取引先へ確かな品質を提供することが、ステークホルダーの「Advantage(優位性)」につながるだけでなく、確かな品質によって社員の一人ひとりが世の中を変えていくことを実感できる、モノづくりの喜びが社員の「Advantage(長所)」ともなるという意味が込められている。 ◎経営理念
人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループとして、下記の経営理念、経営ビジョンを掲げている。
【1-3 同社を取り巻く環境】
(1)市場環境
同社の業績に大きな影響を及ぼすのは、自動車市場と建設機械市場。同社では2市場の現在及び今後についてそれぞれ以下のように認識している。 ①自動車市場
自動車の世界需要は、東南アジアをはじめとした新興国が牽引し微増の見込み。
国内自動車販売は一定量の需要が見込めるが、米国との貿易赤字解消交渉の影響は不透明。
市販市場は新興国中心に拡大見込み。
アジア、中東などでは日本車の人気が高く、市販市場は同社にとって重要なマーケットである。 ②建設機械市場
日本市場は17年8月を期限とする第4次排ガス規制、東京オリンピック・パラリンピック需要により微増。
世界の約三分の一を占めるといわれている中国市場は、リーマンショック後の景気刺激策による供給過剰も峠を越し緩やかな回復へ。
インド市場はインフラ投資旺盛で成長持続。
(2)競合状況
①AC事業
国内では、ホンダが33.4%の株式を保有するショーワ(7274、東証1部)、日立のグループ会社である日立オートモーティブ(非上場)などが競合となる。グローバルでは独・Sachs、米・Tennecoなど。Sachs社は歴史も古く、欧州系自動車メーカーとの関係が深い。 市販市場の同社シェアは約2割弱。国内ではトキコ(日立製作所がM&Aし非上場。現在は日立オートモーティブの一ブランド)、グローバルではMonroe(Tennecoの市販ブランド)など。 二輪車用ショックアブソーバではホンダとの関係が深いショーワ、ステアリングではジェイテクト(6473、東証1部)、日本精工(6471、東証1部)等と競っている。 ②HC事業
同社で最も売り上げ比率が高いパーツであるシリンダでは、中国メーカーなどが力を伸ばしている。同社が高い技術力を有するコントロールバルブでは、ナブテスコ(6268、東証1部)など、走行モータではナブテスコ、不二越(6474、東証1部)などが競合である。 また日本の最大手建設機械メーカーは多くのパーツを内製化している。 ※売上高、営業利益は今期予想、単位は百万円。ROEは前期実績、単位は%。
時価総額は6月22日終値ベース。単位は百万円。PER(予)・PBR(実)は6月22日終値ベース、単位は倍。 ナブテスコは今期よりIFRSを任意適用するため日本基準である前期との比較を省略している。 【1-4 事業内容】
(1)セグメント
事業セグメントは四輪車用・二輪車用油圧緩衝器、パワーステアリング等で構成される「AC事業」、建設機械向けを中心とした産業用油圧機器からなる「HC事業」、コンクリートミキサ車など特装車両、航空機向け機器、システム製品、電子機器などを取り扱う「その他」の3つ。
①AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器、その他製品で構成されている。
<主要製品>
◎四輪車
(ショックアブソーバ)
車体の振動を吸収する役割を持つ製品で、スプリングを伴い、車体とタイヤの間に取り付けられている。
サスペンションの機能は主に路面の凹凸を車体に伝えない緩衝装置としての機能と、車輪、車軸の位置を決め、車輪を路面に対して押さえつける機能の2つがある。 基本的には、車軸の位置決めを行うサスペンションアーム、車重を支えて衝撃を吸収するスプリング、スプリングの振動を減衰するショックアブソーバ(ダンパ)で構成される。 自動車は路面の凸凹からくる衝撃に対しスプリングを縮めることで吸収するが、スプリングの特性上、一旦収縮したスプリングは元の位置に戻ろうと反発する。 特にスプリングの上端にはボディー、下端には重量のあるタイヤやブレーキなどを含むサスペンションがつながっており、スプリングは慣性力により元の位置に戻る以上に伸び、縮みを繰り返してしまう。 この余分な揺れを出来るだけ早く抑え、車体を安定させるのがショックアブソーバの役割である。
スプリングの無駄な動きを抑え、乗り心地を確保
ブレーキ性能が向上
コーナリングがスムーズ
など、快適な運転を実現することができる。スプリングの縮みや伸びの作動を制御し、振動を抑える働きをする力のことを「減衰力」というが、この「減衰力」を作り出すのに大きな役割を果たしているのが、同社が創業以来培い、磨き上げてきた「油圧技術」である。 ショックアブソーバ本体筒にはオイルが入っていて、その筒の中をピストンが移動する。 ピストンには穴があけられており、揺れと合わせピストンが移動する時に穴を通過するオイルの抵抗が「減衰力」となる。また、車体の揺れの度合い、速さなどによりピストンが移動するスピードが変化するが、ピストン移動速度が速いほど「減衰力」は大きくなる。これを「減衰力特性」という。 また、ショックアブソーバは走行距離や経年により劣化し、その機能が低下するため、通常は初年度登録から5年以上、または走行距離10万km以上で交換が必要と言われている。 この交換需要=市販市場も同社にとっては大きな事業機会となっている。 (ステアリング)
自動車の「走る」、「曲がる」、「止まる」という基本機能の一つの「曲がる機能」を分担するのがステアリング装置。
「PS」は、油圧の力により、わずかな操作でのステアリング操作が可能で、危険回避にも素早く対応できるなど安全運転に不可欠な装備。 一方、バッテリーを動力源とした「EPS」電動タイプは、自動車のエンジンを動力源とした「PS」に比べ、自動車の燃費を向上させることができる。 ◎二輪車
(サスペンション)
路面のコンディションを問わず、車体への突き上げを最小化させ、快適性を追求している。
車体の姿勢を保ち、路面からの振動、衝撃を吸収することで乗り心地を向上させる。 ②HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
産業用油圧機器、その他製品から構成されている。
<主要製品>
ショベルカーなど建設機械の駆動系機構は、下の図にあるようにコントロールバルブ、ピストンポンプ、走行モータ、旋回モータ、シリンダなどの各パーツで構成されているが、各種アクチュエータ(油圧や電動モーターによって,エネルギーを並進または回転運動に変換する駆動装置)を制御し、走行、旋回、アームの屈伸などの動作をスムーズに行うのが、建設機械の「頭脳」であるコントロールバルブ。同社のコントロールバルブは、お家芸の油圧技術に電気制御を組み合わせることにより高度な制御を可能としている。 また、同社はこれらのパーツを全て製造している数少ないメーカーである。 全てのパーツを自社で製造しているため、建機メーカーに対してシステム提案ができる点が、同社の大きな競争優位性となっている。 ③その他
特装車両、航空機用油圧機器、システム製品、電子機器などから構成される。
航空機においては、各種アクチュエータ、軽量化アキュムレータ、ホイールブレーキなど、信頼性の高い製品を提供している。 また、同社独自の油圧技術を活かした免震および制震用ダンパのシェアは国内トップとなっている。 (2)顧客・商流
◎顧客主要顧客は以下の通り。 このうち、グローバルベースでトヨタ製自動車の約6割には同社のショックアブソーバが搭載されているほか、日産で約3割、ホンダで約1割など、高いシェアを誇っている。 ◎商流
前述のように、新車向けOEMと、中古車向け市販という2つの商流でショックアブソーバの供給を行っている。売上高はOEMの方が大きいものの、自社ブランドで販売をしている市販用製品は収益性も高く、同社としては今後もグローバルに拡大を狙う市場である。 同社の市販用ショックアブソーバは現在世界を走行している日米欧自動車の約9割に搭載が可能である。 このカバー率の高さを支えているのが、トヨタをはじめとした大手自動車メーカーとの強固な関係だ。 (3)グローバルネットワーク
日本を含む23か国にグループ会社49社、統括(6)、生産(37)、販売・その他サービス(21)の合計64拠点を有し、強固なグローバルネットワークを構築している。
(4)研究開発
(体制)日本、北米、欧州、中国、タイの5極に開発拠点を設け、グローバルな最適開発・生産体制を確立している。 日本以外の開発拠点は基本的には、モデル製品の開発、性能向上・低コスト化など商品力向上のための開発を手掛け、長期的視点に立った研究開発は日本において、基礎技術研究所(神奈川県相模原市)、生産技術研究所(岐阜県可児市)2つの技術研究所を中心に取り組んでおり、独創性に優れた先行技術等の研究開発を行っている。 また、工機センター(岐阜県可児市)に生産技術研究所や各工場で培われた生産設備設計のノウハウを集約し、先進性および信頼性の向上を図った設備、治工具の内製化を強化・推進している。 また、電子技術センター(神奈川県相模原市)では、電子機器の設計・評価技術の集約を行い、開発力を高め、製品開発から試作評価、そして量産までがスムーズかつスピーディに実施できるような体制を整えている。 製品の高機能化・システム化については、独自開発のほかに、顧客あるいは関連機器メーカとの共同研究開発を推進しており、産学交流による先端技術開発にも積極的に取り組んでいる。 (R&D費推移) 13年3月期以降、売上高に対するR&D費の水準についての意識を高め、現在は2%程度で推移している。 性能向上、高機能化・システム化への対応や軽量化・省エネ・環境負荷物質削減などエネルギーや環境問題に配慮した製品開発を進めているが、生産技術力の強化も図っている。 また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成や、標準化されたマネジメントシステムの構築を含めた戦略的なグローバル生産・販売・技術体制の完成を目指している。 近年特に力を入れているのが自動運転に関連した製品開発だ。 その一つが、EPS(電子ステアリング)とショックアブソーバの統合技術。 ドライバーの技量や判断にかかわりなく、様々な路面状況でも自動的により快適、スムーズな運転を可能にする技術は自動運転車には絶対に不可欠なものと考えている。 また、「ステアリング・バイ・ワイヤ」も今後重要性が増大する技術であるとみている。 通常はステアリング操作はステアリングシャフトを通じステアリングギアボックス、タイヤへと伝達されるのに対し、 「ステアリング・バイ・ワイヤ」は、電子信号によってステアリングの操作を伝達するもの。 タイヤから伝わる振動が少ないので疲れにくい、強い横風が吹き車体が左右に持っていかれた場合、今までのステアリングであれば運転手が意図してステアリングの操作により復元させなければならないが、「ステアリング by Wire」であれば自動的にアジャストされるなどのメリットがあるが、それ加え、「ハンドルは右前」である必要がなく、デザイン、機能を含め自動車の在り方を大きく変える可能性に注目が集まっている。 実用化にはまだ課題が残るものの、独創的なEPS技術として更なるブラッシュアップを進めている。 【1-5 特長と強み】
◎様々な製品で高いシェア
四輪用ショックアブソーバのOEM供給で国内シェア43%、グローバルシェア15%のほか、建設機械用油圧機器シリンダのグローバルシェア27%、コンクリートミキサ車国内シェア83%、免制震ダンパ国内シェア38%など、多くの製品で高いシェアを有している。◎優れたコア技術 この高シェアは、世界最大手の地位をフォルクスワーゲンやGMと競っているトヨタ自動車における社内シェアがグローバルベースで約6割であることが示すように、同社製品に対する顧客の信頼度の高さによるものであり、この信頼のベースは創業時より100年という長い時間の中で培い、磨き上げてきた「油圧」についての優れた技術力に他ならない。 ショックアブソーバや免制震用油圧ダンパに代表される「振動制御技術」と、ショベルカーのコントロールバルブや電動パワーステアリングに代表される「パワー制御技術」の2つのコア技術が多くの顧客に高く評価され、様々な場面で広く用いられている。 【1-6 株主還元】
配当方針の見直しを行った。連結ベースでのDOE(株主資本配当率) 年率2%以上としていたが、今期の中間配当より、連結配当性向30%以上を目指しつつ、従来のDOE 年率2%以上の配当を基本とすることとし、これにより、業績の下落局面はDOE2%による安定配当を、業績拡大局面では利益に応じた株主還元がなされることとなる。 2018年3月期の総資産回転率及びレバレッジが不変、予想売上高当期利益率が2.61%の場合、今期ROEは5.9%となり、まだまだ改善の余地は大きい。 海外拠点の収益改善、革新的モノづくりの加速など、収益性向上に向けた取り組みの今後の進捗が注目される。 |
2017年3月期決算概要 |
売上高は横ばいも、コスト低減が奏功し増益。
売上高は前期比ほぼ変わらずの3,553億円。AC事業は円高の影響などで減収となったが、HC事業は建設機械向けが中国市場の回復で増収となった。海外売上高比率は前期より1.4%低下し53.5%。グループ全体で原価低減を中心とした事業構造改革を推進した結果、原価率、販管費率はそれぞれ0.1%、0.2%改善し、セグメント利益は同5.9%増の186億円、営業利益は同344.8%増の192億円となった。 当期利益は黒字に転換した。 売上、利益は期初予想、修正予想ともに上回ったが、中期経営計画の目標値に対しては未達に終わった。 国内及び海外市場において総じて堅調だったが、円高の影響により減収となった。 2)二輪車用油圧緩衝器 中国、ベトナム、インドでの販売が増加し、増収となった。 3)四輪車用油圧機器 油圧ポンプが減少したが、電動パワーステアリングやCVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売が堅調に推移し、前年を上回った。 4)その他製品 ATV(All Terrain Vehicle、全地形対応車)用機器を中心とするその他製品は減収だった。 国内は排ガス規制対応により需要が増加。また、海外では中国市場が回復し、2桁の増収となった。 2)その他製品 減収となった。 営業債務等の増加で流動負債は同48億円増加。借入金の増加などで非流動負債は同10億円増加し、負債合計は同59億円増加の2,115億円。 利益剰余金の増加などで資本合計は同163億円増加した。 この結果、親会社所有者帰属持分比率は前期末の41.3%から1.8ポイント上昇し、43.1%となった。 (5)トピックス
◎株主総会関連書類をスマートフォン・タブレット・パソコンから、閲覧することができる「スマート招集」を導入
2017年6月開催の第95期定時株主総会より、株主の利便性向上をめざし、株主総会関連書類をスマートフォン・タブレット・パソコンから、閲覧することができる「スマート招集」を導入した。「スマート招集」は、インターネット議決権行使サイトと連携しているので、スマートフォン等を用いてインターネットによる議決権行使を行うことができる。 また、スマート招集の内容は、株主以外でも自由に閲覧することが可能。 同社では、東京証券取引所が公表した「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえ、株主への分かりやすく、適切な情報開示、株主が円滑に議決権行使を行うことを可能とする環境の整備等を進めており、今後も引き続き、株主との対話の充実に努めていく考えだ。 |
2018年3月期業績予想 |
減収減益を予想
売上高は前期ほぼ同水準の3,550億円。為替の前提は前年度1USD=108.38円に対し、今年度は100円、ユーロは前年度118.79円に対し、110円。HC事業が増収だが、引き続きAC事業における為替の影響が大きい。営業利益は同18.9%減の156億円。HC事業はプロダクトミックスによる減益を見込んでいる。 2017年10月1日付で10:1の株式併合を予定している。配当は中間6円/株、期末65円/株(株式併合を考慮)の予定。株式併合を考慮しない年間配当金は12.5円/株で、前期から0.5円/株の増配となる。予想配当性向は34.3%。 円高の影響による売上高の減少、鋼材価格の上昇による収益性の悪化等により、減収減益を予想。 *HC事業 中国市場が引き続き回復、国内市場も上期中心に好調が予想されるが、製品構成変化や鋼材価格の上昇等により収益性の悪化が見込まれ、増収減益を予想。 (3)設備投資計画
革新的モノづくり、最適生産体制確立を目指した投資を継続する。
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2017 中期経営計画 |
(1)数値目標
「A GLOBAL KYB-CHALLENGE&INNOVATION-」のスローガンの下、2017年度は「抜本的構造改革の完遂」、2018年度及び2019年度は「持続的成長」、「収益基盤の安定化」、「経営課題の解決」に取り組み、「2019年度 売上3,980億円」を目標とし、その先2020年度以降、できるだけ早期にグループ売上高5,000億円達成、格付けA取得を目指している。
(3)トピックス
◎モータースポーツ部を設立
モータースポーツを通じてKYBブランドの認知度向上を目指すとともに、モータースポーツという極限の世界で技術力を鍛え、人材を育てることを目的とし、2017年4月1日付でモータースポーツ部を設立した。四輪では世界耐久選手権のトップカテゴリーであるLMPクラスにおいて、前期、同社のEPSは全31台中26台に搭載された。今期は全車へのEPS供給と技術支援を目指し、今後はショックアブソーバの初搭載にもチャレンジする。 二輪では前期Moto2クラスにおいてサスペンションの供給を行ったが、今期以降さらに実績を積み上げ、2019年度には最高峰であるMotoGPへの参戦を目指している。 |
中島代表取締役社長執行役員に聞く |
Q:「社長が考えるKYBの強みは何でしょうか?」
A:「独創的なモノづくりを進めてきた中で培ってきた知見やノウハウ、グループとしての技術力の高さだ。」
創業以来独創的なモノづくりを進めてきた中で培ってきた知見やノウハウ、加えてグループとしての技術力の高さだ。今後もこの強みを磨き上げていくためには、優秀な人財の採用・育成が欠かせない。 ただ、当社は長い社歴を有してはいるが、最近の工学部系の学生における認知度は残念ながら、まだまだ低い。 KYBブランドの向上も含めて、学生に当社の事を知ってもらうための様々な取り組みが必要だ。 社員の育成という点では、各種研修や教育制度も大事だが、「現場重視意識の徹底」が最も重要であると考えている。 例えば営業であれば、生産現場で何らかのトラブルがあり、お客様にご迷惑をかけた際、工場からの報告を受けるだけでなく、自ら現場に足を運び何が起きたのかを自分の目で見てレポートを作成しお客様に提出すべきだ。 それによってお客様からの信頼がさらに増すことになる。 営業や生産に限らず、すべての職場、職種に「現場」はあり、全社員が「現場重視」の意識によって表層的にでなく、物事の本質を見極める力をつけて欲しいと思っている。 また、若いうちからどんどん海外へ出て様々な文化や考え方を吸収してもらうなどして、企業人としての幅の広さを身に付けてもらうことが、当社の強みを更に磨き上げるための人財育成に繋がることとなろう。 Q:「前中期経営計画についてのレビューをお願いします。」
A:「AC事業は海外工場のマネジメントで課題が残った。HC事業は、需要悪化により目標を大きく未達だったものの、構造改革実施により収益性は改善した。」
売上、利益ともに残念ながら未達に終わってしまった。
今後は、為替による影響を可能な限り減らすために更に地産地消などの取り組みを進めつつ、各拠点ごとの収益性を高め、「より稼ぎ切る」体制を整えたい。 一方、HC事業については、2010年時点の建設機械需要に基づき、お客様にご迷惑を掛けないようしっかりと投資をしたが、その後の中国市場の失速により需要が急減してしまい、予測と実際とのギャップが極めて大きくなってしまった。 しかしながら、2015年度に実施した構造改革の効果、及び、中国建機需要の底入れにより、最終年である2016年度は大きく収益性を回復させることが出来た。 現在は、どんなに仕事量が減少しても利益が出せる収益構造を目指し再編を進めている。 Q:「新中計において特に注力するポイントはどんな点でしょう?」
A:「中心ビジネスであるOEM用ショックアブソーバの製品力強化だ。革新ラインの開発・導入も欠かせない。」
何といっても当社の中心ビジネスであるOEM用ショックアブソーバの製品力強化だ。従来型の製品に加え、軽量化など高性能・高品質な製品を提供していきたい。当社のテストコースは、欧州、北米、日本、アジアといったエリア毎の環境に応じた路面状況を再現しており、そこで様々な車種を使って乗り比べを行い、お客様のニーズに対応できる製品開発体制を整えている。 高性能・高品質というブランドイメージをより一層向上させることは、収益性の高い市販ビジネスの拡大にもつながるので極めて重要な取り組みだ。 また、競争力向上のための革新ラインの開発・導入も欠かせない。 現在のショックアブソーバの生産ラインは、検査も含めて手作業に頼る部分がまだまだ多い。 今後の人手不足の更なる進行に対応し、海外工場のマネジメント改善につなげるためにも、自動化を含めた革新的生産ラインの開発導入は喫緊の課題と認識している。 私が現在強く感じているのは残念ながら「稼ぎ切れていない」ということだ。 前中計期間にかなり多額の投資を行ってきたが、収益性の面で課題の残る拠点がまだまだ多い。 基本的な収益構造である「6:3:1構造」(変動費6、固定費3、利益1)の実現に向け、モノづくりの方法を改善・改革を進めていかなければならない。 それぞれの拠点における課題、ギャップを認識してスピード感をもって一つ一つ潰していき、投資に応じた収益を稼ぎ出せる体制を一日でも早く作り上げたい。 Q:「最後に株主や投資家へのメッセージをお願いいたします。」
A:「世界のトップブランドを目指す当社に期待していただくとともに、中長期の視点で応援していただきたい。」
当社は1935年の創立以来培ってきた油圧による振動制御技術により、グローバルである程度のポジションを獲得してきたが、これに満足することなく、今後もさらに存在感を増し、ブランド力を引き上げることが当社の企業価値向上につながると考えている。世界中のお客様に当社製品の優秀さを認めていただけることが、全てのステークホルダーの喜びであり、我々の喜びでもあると信じている。世界のトップブランドを目指す当社の今後に期待していただくとともに、中長期の視点で応援していただきたい。 |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2016年6月28日
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