ブリッジレポート:(4319)TAC vol.25
(4319:東証1部) TAC | ![]() |
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企業名 |
TAC株式会社 |
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社長 |
斎藤 博明 |
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所在地 |
東京都千代田区三崎町3-2-18 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
サービス業 |
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項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2017年3月 | 20,440 | 713 | 692 | 490 |
2016年3月 | 20,007 | 605 | 635 | 213 |
2015年3月 | 19,537 | 140 | 404 | 208 |
2014年3月 | 20,526 | 1,034 | 1,299 | 816 |
2013年3月 | 20,999 | 136 | 377 | 977 |
2012年3月 | 22,578 | -606 | -530 | -799 |
2011年3月 | 24,575 | 465 | 283 | -244 |
2010年3月 | 23,991 | 623 | 442 | 40 |
2009年3月 | 21,092 | 1,330 | 1,352 | 669 |
2008年3月 | 20,741 | 1,069 | 1,230 | 443 |
2007年3月 | 20,553 | 1,173 | 1,333 | 742 |
2006年3月 | 19,828 | 421 | 631 | 249 |
2005年3月 | 19,669 | 459 | 558 | 81 |
2004年3月 | 19,542 | 988 | 943 | 470 |
株式情報(6/5現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
![]() 【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙いM&Aを実施。
【強み】
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応 (2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
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2017年3月期決算概要 |
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
季節的特徴について
同社が扱う主な資格講座の本試験は、第2四半期(7月~9月)及び第3四半期(10月~12月)に集中しており、特に公認会計士・税理士講座等の主力講座においては、第2・第3四半期は試験が終了した直後で、翌年受験のための新規申し込みの時期となり、一方、第4四半期(1月~3月)及び第1四半期(4月~6月)は全コースが出揃う時期にあたる。第2・第3四半期は、現金売上及び売掛金売上は多いものの受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方、経費は毎月一定額計上されるため売上総利益率は減少する傾向がある。これに対して第4・第1四半期はこれらの前受金が各月に売上高に振り替えられる期になるため売上総利益率は増加する傾向がある。 ![]() 増収増益
現金ベース売上高は前期比2.6%増の206億27百万円。発生ベース売上高は同2.2%増の204億40百万円。財務・会計分野、金融・不動産分野、医療・福祉分野が好調だった。前期は2016年3月末で販売を終了した税務申告ソフト「魔法陣」の売上約3億円があったことを考慮すると、実質的には8億円を上回る増収となった。営業利益は同17.7%増の7億13百万円。人件費、広告宣伝費等が増加したが、のれんの償却が当期は無くなったため、2桁増益となった。 特別利益に税務申告ソフト「魔法陣」の総販売代理店取引契約の解約に伴う受取和解金1億20百万円を計上したこと等により当期純利益は同129.6%増の4億90百万円となった。 ![]() ![]() 【個人教育事業】
増収・増益。3期ぶりに黒字転換した。
![]() インターネット申込みシステムの改修による販売チャネル強化、営業時間の短縮、業務の内製化による費用の削減などに取り組んだ。 【法人研修事業】
減収・減益。
![]() 【出版事業】
増収・増益。(TAC出版) ![]() ![]() ![]() 【人材事業】
増収・増益。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 【マーケット概要】
同社が取り扱う各種資格試験の2016年の本試験申込者は2,609千人と、前年の2,513千人を約9万6千人上回り、2年連続の増加となった。主な内訳は、簿記検定が2年連続増加で3.8万人増、FP3.3万人増、情報処理関連4.5万人増。会計士は6年ぶりに受験者数が増加した一方、税理士は長期低落が続いている。 財務・会計分野
発生ベース売上高は9.7%増収だった。(公認会計士試験講座) 現金ベース売上高は前期比6.8%増。 ![]() ![]() 現金ベース売上高は同14.7%増 ![]() ![]() 経営・税務分野
発生ベース売上高は前期比4.9%減。(税理士試験講座) 現金ベース売上高は同6.4%減 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 金融・不動産分野
発生ベース売上高は前年同期比10.9%増。![]() 金融・不動産分野
発生ベース売上高は前期比2.9%減。(司法試験講座) 現金ベース売上高は同5.7%増 ![]() ![]() 司法書士講座は初学者向け・受験経験者向けともに低調で、現金ベース売上高は同10.3%減。 弁理士講座も同5.7%減。 公務員・労務分野
発生ベース売上高は前期比1.7%増。(社会保険労務士講座) ![]() ![]() ![]() 情報・国際分野
発生ベース売上高は前期比1.6%増。(情報処理講座) ![]() ![]() ![]() ![]() 医療・福祉分野
発生ベース売上高は前期比39.2%増。
![]() ![]() ![]() ![]() その他
売上高は前年同期比17.0%減。(人材ビジネス) ![]() ![]() ![]() ![]() <増加> 簿記検定講座(同8.6%増)、公認会計士講座(同5.4%増)、宅地建物取引士(同12.5%増)、公務員講座(国家一般職・地方上級コース:同6.0%増) <減少> 税理士講座(同6.8%減)、証券アナリスト講座(同5.3%減)、司法書士講座(同12.2%減)、USCPA講座(同9.5%減) 法人受講者は、大学内セミナーが同7.8%増、通信型研修が同7.8%増、提携校が同4.9%減、委託訓練は同7.8%減となった。 ![]() 前受金が同2億6百万円増加し、負債合計は同18百万円増加の171億10百万円となった。純資産は利益剰余金の増加等で同4億18百万円増加の49億59百万円。 この結果、自己資本比率は前期末より1.5%上昇し22.5%となった。 ![]() キャッシュポジションは若干低下した。 (6)トピックス
金融系人材の育成を目的とした新しい検定試験「金融人材・企業経営アドバイザー検定(仮称)」の創設とその検定試験対策講座を新規に開講することとした。◎新しい検定試験の創設と新規講座開講 (検定試験創設の経緯と概要) 我が国が抱えている課題の一つである地域経済の活性化を促進していくためには地域企業の持続的な成長が必要不可欠な要素となっているが、これに対して金融機関は企業を資金面でサポートしていくという大きな役割を担っている。 具体的には、金融機関は企業に十分な担保や保証がなくてもその企業の事業の将来性やその地域における企業の存在意義等を評価し、融資に対し柔軟な姿勢で対応することが期待されている。 TACは、このように大きな役割が期待されている融資先の事業性評価を適切に行うことが出来る専門的能力に長けた人材の育成を通じて地域経済の活性化の一翼を担い、ひいては社会に貢献していくことを目的として、新しい検定試験の創設と検定試験対策講座を開講することとした。 ![]() 一般社団法人の設立に際して拠出する額や教材制作費等として、合計で約2~3千万円程度を予定している。 |
2018年3月期業績予想 |
![]() 今期も増収増益を予想。
現金ベース売上高は前期比3億62百万円増、1.8%増の209億90百万円を予想。粗利率は0.2ポイント上昇し、販管費率は0.2ポイント低下。営業利益は同13.6%増の8億10百万円を予想。 配当は前期より1円増配の5.00円/株を予定。予想配当性向は21.0%。 中長期の取り組みとしては、「新規事業の開発・コストコントロール」、「新規開講講座の収益化」、「M&A・業務提携の推進」、「コーポレートブランド価値の向上」の4点を掲げている。 新規開講講座に関しては、2012年秋に新規開講した建築士講座は順調に売り上げを伸ばしているほか、2013年秋に開講した教員採用試験対策講座も県別対策を順次拡大中であり、更なる受講生の獲得を狙っている。 |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
![]() ◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年6月29日に提出している。
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