ブリッジレポート:(3457)ハウスドゥ vol.4
(3457:東証1部) ハウスドゥ |
|
||||||||
|
企業名 |
株式会社ハウスドゥ |
||
社長CEO |
安藤 正弘 |
||
所在地 |
京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町670 |
||
決算期 |
6月末日 |
業種 |
不動産業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2016年6月 | 17,275 | 1,277 | 1,182 | 741 |
2015年6月 | 14,573 | 617 | 513 | 353 |
2014年6月 | 13,309 | 276 | 204 | 155 |
2013年6月 | 8,251 | 180 | 112 | 80 |
株式情報(5/31現在データ) |
|
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
【1-1 沿革】
バブル崩壊後の1991年4月に1人で不動産仲介業を起ち上げた安藤社長は、それまで隆盛を誇っていた多くの不動産会社が倒産していく一方、価格低下と金利安を好機と見て住宅を購入する顧客が多数いることに驚きつつも、「お客様の方を見ておけば会社を危うくさせることは無い。」との確証を得た。情報をオープンにしないなど、本来顧客本位であるサービスが業界本位となっている現状に強い問題意識を持ちつつ、自らは顧客のニーズに的確に対応し、多くの物件情報をスピーディーに提供する事で顧客の信頼を得て順調に業績を拡大させていった。 後に米国の不動産業界を視察した際、顧客を大事にしながら大手に対抗して地域密着で展開する不動産仲介フランチャイズのあり方に強い感銘を受ける。これを日本でも展開する事は日本の不動産業界の変革につながると大きな意義、価値を感じて日本での不動産売買仲介フランチャイズチェーン作りに取り組んだ。 2006年2月にフランチャイズ事業を開始。当初は同業者に声を掛けたところスムーズには立ち上がらなかったが、不動産に関心の深い建築、リフォームといった異業種に不動産実務を丁寧に指導していったところ、当時不動産実務を教えてくれる会社は無かったこともあり高く評価され、フランチャイズチェーンは順調に伸長した。2009年1月に現・株式会社ハウスドゥ設立。業容の拡大とともにブランド力も着実に強化され、2015年3月、東証マザーズに株式を上場。2016年12月には東証1部へ市場変更した。 【1-2 経営理念など】
経営理念・企業理念・ブランド理念として以下を挙げている。いずれも沿革で触れたように、安藤社長の現在の日本の不動産業界に対する問題意識、想いを基礎としたものである。 【1-3 事業内容】
上記の理念の下、「フランチャイズ事業」、「ハウス・リースバック事業」、「不動産売買事業」、「不動産流通事業」、「住宅・リフォーム事業」、「不動産金融事業」、「その他」の各事業を展開している。(2017年6月期第3四半期より。報告セグメントは、「フランチャイズ事業」、「ハウス・リースバック事業」、「不動産売買事業」、「不動産流通事業」、「住宅・リフォーム事業」、「不動産金融事業」の6つ。)
①フランチャイズ事業
(概要)
ブランド、ネットワークを必要とする中小不動産事業者や新規に不動産流通事業への参入を検討している企業に対し、売買仲介事業、不動産売買におけるノウハウ(集客戦略、IT戦略、教育研修、モチベーションアップやシステム等)を提供している。市場全体へのブランドイメージの浸透を目的として、2013年7月より元プロ野球選手・監督、現野球解説者の古田敦也氏を起用したブランド戦略を展開。テレビ・ラジオCMをはじめ、看板、ちらし、マスメディアやWEBなどによる積極的なコミュニケーションを通じてハウスドゥ!を訴求し、一貫したブランド戦略を発信。 古田氏の人柄や仕事に対する姿勢・誠実さをハウスドゥ!のイメージに重ねることにより、お客様からの安心・信頼感を獲得している。 全国チェーンを構築することで、同社が理念とする、情報のオープン化、顧客にとって安心・便利な窓口を全国に創ることを目指している。同社のフランチャイズシステムは、本部・直営店の実績に基づいた売上に繋がる多様な集客ノウハウや、同社が実際に行う人材教育をそのまま提供しているため、不動産仲介未経験の企業でも安心して参入することができ、高く評価されている。異業種からの新規参入加盟企業が7割と多いことからも明らかだ。 こうした取組みにより、本部、直営店、加盟店との密接なネットワークを構築している。 加盟店舗数は直近5年で約2倍と急増している。当面1,000店舗までの拡大を目指している。 同社が加盟店から受け取るロイヤルティは月額固定制で売上に対する変動部分は無い。 (主なサービス)
Webシステムの提供Webサイトでの検索をはじめとする情報提供、営業、業務支援、マッチングシステム等、同社が事業開始より現場で培ってきた実際に使えるシステムを提供しており、IT導入補助金の導入支援業者認定も受けている。 集客を増やし、効率的な追客・業務の最大効率化を追求した「DO NETWORK!」では、独自のチラシ作成、物件管理、顧客管理、営業マン管理等日常業務を軽減するさまざまな機能が備わっている。また、人工知能(AI)を活用した不動産の自動査定を行うサービス「10秒で不動産査定 10秒でDo!」の提供により、査定反響も増加している。 教育面では、不動産未経験者でも基礎から学べ、売れる営業マンに育成するためのセールス研修、ITを活用した営業活動、資金計画や物件査定から実務に至るまで、実践に即した研修を実施し、加盟店の業務能力アップをサポートしている。 研修においては、集合型研修だけでなく、「DO CHANNEL!」というWEB学習機能・e-ラーニングシステムを活用。1,000を超えるコンテンツを保有し、いつでも好きな時に、必要な研修をインターネット上で学習が可能のシステムとなっている。 開業後は、スーパーバイザーによる的確な指導、定期的なエリア勉強会等を実施。マーケティングから集客、営業行動数値・売上管理、店舗のマネージメントフォロー等、戦略的な指導を実施している。 この他、全国の加盟店が一同に会する「ハウスドゥ!全国FC大会」では、グループの次年度の目標や目的、不動産の最新情報を共有する他、成績優秀店舗の表彰が行なわれ、経営者はじめ社員のモチベーションアップに繋げている。また、ハウスドゥ!全国成功事例共有会では、加盟店の成功事例を共有し、互いに切磋琢磨しあう環境を提供している。 ②ハウス・リースバック事業
同社が今後の主力事業の一つとして注力しているのがハウス・リースバック事業である。安藤社長が「今住んでいる家を売却してもそのまま住み続けられる。」というコンセプトを発案し、ラジオで放送したところ想定以上の大きな反響があったため事業化を進めたもので、発案から数カ月というスピードで事業化させた。 (ハウス・リースバックとは?)
「ハウス・リースバック」とは、不動産オーナーが所有物件を同社に売却後も、買取った同社とリース契約を結ぶことによって今迄と同様に居住できるセールアンドリースバックシステムのこと。「不動産を売却する」という選択肢しかなかった従来の買取システムにとどまらず、「不動産を活用する」という発想でサービスを提供している。 (ハウス・リースバック成長の背景、市場環境)
ハウス・リースバックには以下のようなニーズがある。
*高齢者・相続ニーズ
人生を謳歌する一方、長く住まい続けた家を終の棲家としたい。
子や孫に不動産で相続させるのではなく、現金で生前贈与したい。
*資金需要ニーズ
子供の学校の学区域を変える引越はしたくない。
長期ローンの返済が苦しい。
家を買い換えたいが手付金がない。
リース契約を結んでリース料を支払いながら事業資産を利用して事業を継続することができるのは大きなメリットである。この事業用カテゴリーは「アセット・リースバック」と名付け、2015年8月よりサービスを開始した。 「2013年 住宅・土地統計調査」(総務省)によれば、全国における世帯数と、うち持ち家が占める構成比は以下のようになっている。 少子化、核家族化が進む中、相続人がいない又は少数世帯の場合、自宅を保有し続ける必要性は小さくなり、それよりもゆとりある暮らしを送るために、キャッシュを保有したいと考える高齢者が増加するものと推察され、高齢者の住まい方には今後ますます大きな変化が生じることが予想される。 自宅を担保に金融機関から借り入れを行い、死亡時には金融機関が抵当権を行使して担保物件を競売にかけて返済に充当する「リバースモーゲージ」に、近年3メガバンクが揃って参入したこともそうした変化が大きな流れとなっていることを裏付けるものであり、ハウス・リースバックも同様に大きな成長が見込まれる。 (同社のハウス・リースバック事業)
2013年からハウス・リースバック事業をスタートさせた同社は、長年培ってきた査定能力に基づく正当な市場評価、販売力、店舗ネットワークによる全国対応などを強みとしている。
物件を割安で入手できる。
不景気時には需要が更に高まる。
売り物件の囲い込みにつながる。(実際に在庫100件のうち毎月約1件が売却されている。)
仕入から販売まで、「買取時手数料」、「毎月の家賃収入」、「売却時のキャピタルゲイン」と、3段階で収益を見込める。
といった点が大きな魅力である。
保有総額(取得時価格の累計、未償却)は2017年3月末63億86百万円で1年前の1.6倍。保有件数は445件で同約2倍。
地域別では、首都圏が42.9%、首都圏・中部・近畿の3大都市圏で91.5%。
物件は一戸建てが73.3%。
活用理由は、資金調達が58.1%、融資負担軽減が16.0%。
年齢別では、60歳以上が66.6%、50歳以上が87.7%。
③不動産売買事業
(概要)
中古住宅買取再生販売、新築戸建住宅建売、住宅用地の開発、一棟収益不動産の再生販売等、同社自ら不動産を取得し、付加価値を付け、一般顧客・投資家へ販売している。グループ直営店及びFC加盟店からの情報、不動産業者との共同事業である「プロジェクトパートナーシステム」からの情報などが物件仕入の主たる情報ルート。 同社では、不動産仲介業と不動産売買業を一体で運営しているため、売り手と買い手双方のニーズを把握しており、また、全国に窓口を有しているため、地域性、需要を見極めた仕入れや販売が可能となっている。 (主なサービス)
法人向けサービス「良質な不動産情報を活かしきる。」という考え方のもと、全国の加盟店や不動産会社とパートナーシステムや事業モデルを展開している。 「JVパートナーシステム」(不動産共同購入)は、直営店・FC加盟店・全国の不動産会社から寄せられた情報と同社の資金力、販売力を組合わせて不動産の購入・販売を行う新たなビジネスモデルである。 直営店、加盟店との全国ネットワークを活かした直接買取を行っている。 同社は顧客より依頼を受けた際、その日中に即日訪問することも可能であり、訪問時にその場で価格を提示する「即価格提示」は同社が評価される理由の一つとなっている。 査定価格については、仲介で「3ヶ月程度で売却できる金額」、「1ヶ月程度で売却できる金額」、「すぐに買取できる金額」の3段階で提案を行う。 また、情報をオープンにするというブランド理念に基づき、不動産取引物件情報開示システム「DO TOUCH! MAP」の活用により近隣事例を公開するなど、一般の顧客にも安心・信頼して取引ができるようにサービスを提供している。 「家・不動産買取専門店」として店舗を展開している。 また、不動産流通事業のサテライト店の併設店舗としても展開しており、仲介での売却と共に買取価格の提案も行っている。 ④「不動産流通事業」
(概要)
同社が展開する不動産流通事業は、「建売住宅仲介」、「中古住宅仲介」、「土地仲介」の単一的な提案にとどまらず、顧客のニーズを確実にくみ取ることにより、「土地仲介と新築建築」、「中古住宅仲介とリフォーム」、「売却計画と住み替え」等、複合的な提案を行っている。さらに、資金計画や保険についても、初期段階から提案し、安心してマイホームを購入できるように総合的な支援を行っている。 同社ではこれまでの日本の不動産業界のあり方を根本から変え、顧客のライフステージに即した理想の住宅に積極的に住み替えることができるような、住まいの新しい流通システムを築くことを目指しており、その主導権を不動産業界ではなく、住まう顧客側に引き寄せたいと考えている。 そのために、物件情報をオープンにし、問い合わせに対し24時間以内に情報を届けることによって、安心・納得して売買できる透明性と流動性の高い流通システムの構築を目指している。 具体的には、インターネット、ホームページ等のWEB媒体、新聞折り込み広告、住宅関連情報誌、店舗エリアを網羅し各戸配布を実現するポスティングシステム等、多様な方法で顧客にいち早く、鮮度の高い物件情報を提供している。 不動産物件検索サイト 全国の加盟店とハウスドゥ!直営店の不動産物件を、一括検索することができる「Housedo.com」と、各店舗専用の不動産物件検索サイト「DO-search!」を備えている。 「Housedo.com」は、エリア・沿線・駅・おすすめの住まい特集・全国の店舗等の検索軸から物件検索が行なえ、ハウスドゥ!FC本部が運営を行うポータルサイト。全国の顧客へ広く物件を紹介することを目的としている。 「DO-search!」は、各店舗物件を検索でき、店舗が主体となって運営を行っている。チラシやポスティング広告等と組み合わせた地域密着型の展開により地元の顧客へ、いち早く情報を提供することを目的としている。 ロードサイド型大型店舗「住宅情報モール」、売買仲介業を中心とした「サテライト店」の直営店で不動産仲介を行っている。物件紹介のみにとどまらず、リフォームの提案や、資金計画や保険についても、初期段階から提案し、ワンストップサービスの提供を行っている。 ⑤住宅・リフォーム事業
新築戸建て住宅の建築請負を行う「住宅事業」と、リフォームを手掛ける「リフォーム事業」から構成される。
(住宅事業概要)
「住宅事業」では、「家には、それぞれの物語がある。今までにないものを創るのではなく、今ある家族のために家を創る。家族のために、新しい家のカタチを選択しよう。」をコンセプトに 、(1)建築家とつくるこだわりの家創り「アーキテクトプロデュースジャパン」、(2)午後をリビングで過ごしたくなる家「アフターヌーンホーム」、(3)20代からの家創り「Do!Select」の3つをベースとしている。
(サービス概要)
新築ブランドサイト(1)建築家と創るフルオーダーの注文住宅、(2)リビングにスポットをあてた注文住宅、(3)100通りのプランから好きなプランを組み合わせてアレンジできる注文住宅まで、顧客の嗜好と予算に併せて自由なプランを選ぶことができる。 京都中央ショールーム、京都北ショールーム、直営店である住宅情報モールで新築住宅の建築請負を行っている。 (リフォーム事業概要)
21世紀は「リサイクル」と「エコロジー」の融合である「リコロジー」という概念を提唱し、「住まいの再生」100年リフォームを目指している。中古住宅の原状回復のためのリフレッシュリフォーム、機能性やデザイン性等付加価値を付けた大規模リフォームやリノベーション、引き渡し後のメンテナンスや課題に対応する小工事リフォームまで、幅広い客層や価格帯に対応したサービスメニューを揃えている。 標準仕様でホームインスペクション(住宅検査)と耐震診断を実施、充実した保証制度(全ての工事に保証書発行、最高10年保証、最高1億円の請負賠償責任契約加入、住宅設備の十年延長保証サービス等)等、顧客目線で安心感を与えている点が大きな特徴となっている。 (サービス概要)
サイト運営リフォーム全般に関してのポータルサイトのほか、水回り専門、屋根と外壁の専門のリフォームサイトを運営している。 京都中央ショールーム、京都北ショールーム、直営店である住宅情報モールのショールームでサービスを行っている。 ⑥不動産金融事業
不動産を活用した資金調達として個人・法人向けに不動産担保ローンを提供している。ハウス・リースバックサービスに関する問い合わせの顧客の中には、不動産担保余力があるケース、必要な資金が不動産を処分するほどではない案件も多い。 また、売買価格が不透明になりやすく、銀行融資が受けにくい親族・親子間売買、セカンドハウスや収益不動産の購入、事業主の運転資金や設備投資資金など多様な資金ニーズに対し、ハウスドゥ!チェーンを活かした全国の不動産情報により、正当でスピーディな評価を基に不動産担保融資で対応している。 ハウス・リースバック事業の補完的事業として今後の成長を見込んでいる。 【1-4 特長と強み】
①フランチャイズ加盟店に対する指導力
主力事業であるフランチャイズ事業におけるフランチャイズ加盟店にとって最も重要なのは「いかにして多くの顧客を集客するか?」ということであるが、この集客力向上に向けた指導力は同社最大の強みであると安藤社長も強調している。集客力向上は、「お客様に多くの情報をいち早く提供することこそがお客様の要望に応えるということである。」という同社創業時からの理念の実践であり、WEBシステム「DO NETWORK!」や加盟店研修を通じたノウハウの提供は加盟店から高く評価されており、フランチャイズチェーン成長の大きな原動力となっている。 ただそれでも高ROEであることに変わりは無く、これが不動産業界の中では相対的に高い株価評価(PER、PBR)に繋がっているといえよう。 |
2017年6月期第3四半期決算概要 |
フランチャイズ事業等が好調も不動産売買事業等が前年を下回り減収・減益。計画は超過。
売上高は前年同期比0.4%減の128億61百万円。主力のフランチャイズ事業、注力中のハウス・リースバック事業はどちらも好調だったが、不動産売買事業、住宅・リフォーム事業が前年同期を下回った。売上総利益は同6.4%増の48億46百万円。ストック型事業の伸長で売上総利益率も2.4ポイント向上し、37.7%となった。ストック事業注力のため人件費、広告宣伝費などが増加し営業利益は同2.6%減の9億32百万円。経常利益も同10.0%減の8億10百万円。計画に対しては売上、経常利益共にそれぞれ+7.2%、+11.9%と超過した。 *営業利益の構成比は売上高営業利益率。
*経営管理区分の見直しを行った結果、2017年6月期第1四半期よりセグメントの区分を変更し、従来の「不動産」を「ハウス・リースバック」「不動産売買」に区分した。また、資産の金額がすべての事業セグメントの資産の合計額の10%以上となったため、2017年6月期第3四半期より、「その他」に含んでいた「不動産金融」を報告セグメントに区分した。これによりグループの報告セグメントを「フランチャイズ」、「ハウス・リースバック」、「不動産売買」、「不動産流通」、「住宅・リフォーム」、「不動産金融」の6セグメントに変更した。2016年6月期第3四半期のセグメント情報は、変更後の報告セグメントの区分に基づいて作成・開示している。 ①フランチャイズ事業
増収増益。ストック型収益事業の主力であるフランチャイズ事業は、都市部の不動産業者への加盟促進とテレビ・ラジオCM等による広告宣伝効果に加え、東証1部への市場変更による信用力の向上やコーポレートブランド価値の向上効果、「家・不動産買取専門店」併設店舗ニーズなどから、新規加盟契約数は97件と順調に増加し、累計加盟契約数は441件となった。 また、スーパーバイザーの加盟店フォロー体制の構築や各種サービスコンテンツの充実の効果もあり、新規開店店舗数は79店舗、累計開店店舗数は365店舗となった。 ②ハウス・リースバック事業
増収増益。テレビ・ラジオCM等の広告宣伝効果によるサービスの認知度向上と東証1部への市場変更による信用力の向上効果で問い合わせ及び取扱件数が増加した。 契約件数は前年同期比51件増の224件、物件取得数は同41件増の209件。31件を売却し、売却売上は13億81百万円。保有する不動産は累計445件、保有総額(取得時価格の累計、未償却)は63億86百万円となった。 ③不動産売買事業
減収減益。前年同期は前々期からの期ズレ案件や2億円超の大型案件があったこと等から売上、利益とも前年同期を下回った。直営店エリアにおいては、継続して仲介顧客ニーズに合った物件を仕入れる方針を徹底することで、仲介部門とのシナジーを効かせることに注力した。一方、都市部を中心とする投資用不動産や高価格帯の商品においては、リスクを勘案し仕入を選別したため単価は減少した。取引件数は前年同期比76件減の203件だった。 ④不動産流通事業
増収増益。仲介件数は前年同期比108件増の2,132件。住宅ローンの超低金利継続の効果もあり、実需の動きは引き続き堅調に推移した。ホームページ等のWeb広告宣伝戦略、新聞折り込み広告、テレビ・ラジオCM等のメディアを利用した広告宣伝戦略に加え、地域密着型のポスティング戦略を通じて直営店への集客に注力した。東証1部上場効果もあり収益力は向上し、売上高営業利益率は5.1%上昇の20.7%となった。 ⑤住宅・リフォーム事業
減収減益。リフォーム事業では、不動産売買仲介事業との連携による中古住宅販売に加えたリフォーム受注の獲得を目指すほか、「リフォーム祭」と称したリフォームイベントを積極的に開催することで集客に繋げている。消費税増税先送りによる前期末の一時的な反響減および新築受注の減少により減収となった。中古取引機会を取り込み、中古住宅とリフォームのシナジーにより第3四半期足元の受注は堅調に推移している。 ⑥不動産金融事業
グループの強みである不動産査定力を活かした不動産担保融資の提供により、顧客のさまざまな資金ニーズに柔軟に対応することで販路開拓を行った。また、ハウス・リースバック事業の補完事業としてシナジーを効かせるとともに、フランチャイズ加盟店との連携に注力、金融機関との提携も積極的に推進した。不動産担保融資の累積実行件数は91件と通期目標42件を大きく上回っている。融資残高も24億89百万円と今期の計画4億20百万円を大幅に超過している。 不動産金融事業の融資案件およびハウス・リースバック案件拡大のため長短有利子負債残高を同42億82百万円増加させたことなどから、負債合計は同44億31百万円増加の151億56百万円となった。 利益剰余金の増加等で純資産は同3億82百万円増加の25億52百万円。 この結果自己資本比率は前期末の16.8%から2.4%低下し14.4%となった。 |
2017年6月期業績予想 |
業績予想に変更無し。投資に注力、減収・減益を見込む
通期業績予想に変更は無い。売上高は前期比5.5%減収の163億22百万円の予想。フランチャイズ事業は引き続き拡大、ハウス・リースバック事業も増収となるが、売上構成の大きい不動産売買事業、住宅・リフォーム事業が減収となる。 減収とはなるが利益率の高いフランチャイズ事業の伸びで粗利益は同8.6%の増加し、粗利率も5ポイント以上改善する。 人件費、広告宣伝費など一段の業容拡大に向けた投資を行うため、販管費も増加することから営業利益は同2.3%減の12億47百万円の予想。 キャピタルゲイン獲得のための不動産売買事業のポジションを抑え、フランチャイズ事業とハウス・リースバック事業等のストック収益事業へ比重をおく転換投資の1年とする。 配当は前期比1円/株増配の17.00円/株を予定。予想配当性向は20.1%。 *営業利益の構成比は売上高営業利益率。不動産金融事業等の進捗率は、「不動産金事業」、「その他」の売上高および営業利益合計をそれぞれ使用。
①フランチャイズ事業
増収増益。引き続き契約件数及び店舗数の拡大に注力する。 不動産仲介事業、不動産買取事業とのシナジーで、「サテライト店」と「家・不動産買取専門店」の併設を推進する。 加盟契約数は前期比95件増の472件、新規開店店舗数は同71店舗増の388店舗を計画している。 ②ハウス・リースバック事業
増収増益。人材および広告宣伝を更に強化し、成長角度を加速させる。 契約件数は前期比26.9%増の288件、物件取得件数は同29.7%増の288件を計画している。累計の保有件数は約倍増の522件で総額は同77.6%増の78億61百万円となる。 ③不動産売買事業
減収減益。不動産価格の上昇や金融市場の混乱等により影響を受ける都市部を中心とする投資用不動産や高価格帯の商品においては、リスクを重視してポジションを抑え、直営店のエリアでの仲介部門とのコラボレーションに注力する。 取引件数は前期と変わらずの322件を計画している。たな卸資産もほぼ同水準の50億円の計画。 ④不動産流通事業
増収減益。仲介件数は前期比8.4%増の2,925件を計画。 引き続きハウス・リースバック事業への人材シフトを進めると同時に、買取、リフォーム、火災保険、住宅ローンなど関連ビジネスに繋げシナジー効果を追求する。 ⑤住宅・リフォーム事業
減収減益。リフォーム、新築共に契約件数、引渡件数は前期を下回る。 中古取引の機会を取り込み、リフォーム受注に繋げる。 ⑥不動産金融事業等
増収・黒字転換。ハウス・リースバック事業との連携による不動産担保ローンが本格的に立ち上がる。 前述のように、融資実行件数、融資残高共に第3四半期終了時点で通期計画を大きく上回っている。 |
|
<参考1:中期経営計画> |
以下、その概要を紹介する。 ◎成長戦略
不動産流通事業、不動産売買事業、住宅・リフォーム事業による「労働集約型収益」から、フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業による「ストック型収益」への転換を図る。中期経営計画初年度の今期2017年6月期はまさに転換の年であり、注力3事業への投資を進める。
ハウス・リースバック事業の拡大に伴い有形固定資産を16年6月期の52億7百万円から19年6月期には179億67百万円へと大幅に積み上げるが、長期借入と自己資本の充実により対応。流動負債の削減も進め、自己資本比率は直近と同水準の16%台で推移する。
配当性向は17年6月期 20%以上、18年6月期25%以上、19年6月期30%以上を計画している。
◎セグメント別動向
ストック型収益事業構成比は下表の様に売上高、セグメント利益共に大幅に上昇する。
『ストック型収益事業①:フランチャイズ事業』
FC1,000店舗を目指し引き続き積極的な広告宣伝活動などを展開する。
『ストック型収益事業②:ハウス・リースバック事業』
前述のような市場環境の下、高成長を見込んでいる。
『ストック型収益事業③:不動産金融事業』
ハウス・リースバック事業の補完的事業で、ハウス・リースバック事業の拡大とともに大きな成長を見込んでいる。
『不動産売買事業』
売上50億~80億円の範囲で物件を厳選する。仲介部門と連携し、直営エリアで堅実に仕入れを継続する。
『住宅・リフォーム事業』
中古住宅販売とリフォームでリノベーション提案を進める。自然素材を使用したリフォームに注力する。ホームインスペクション(住宅検査)や耐震補強工事の取り扱いを強化する。売買仲介およびハウス・リースバックとの連携にも取組む。 『不動産流通事業』
「中古住宅の取引活性化」政策を追い風に、不動産流通とリフォームの連携を進める。また、契約機会をリフォーム・住宅ローン・火災保険等の関連ビジネスへ繋げる。 |
<参考2:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2016年11月17日
|
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |