ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

プライム

ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.37

(2925:東証2部) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.37】2017年2月期業績レポート
取材概要「夏から秋口にかけての台風や豪雨で、ここ数年、第3四半期の原料比率が悪化しており、特に影響が大きかった17/2期には営業損失となった。白菜は多く・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年6月6日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年2月 35,801 780 867 548
2016年2月 30,152 931 975 692
2015年2月 26,805 1,056 1,098 503
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
株式情報(4/21現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,457円 5,841,456株 8,511百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
22.00円 1.5% 164.95円 8.8倍 1,587.08円 0.9倍
※株価は04/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2017年2月期決算と2018年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行っており、グループは連結子会社13社、持分法適用関連会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得、更には5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。

尚、東海漬物(株)は、発行済株式総数の19.95%を保有する筆頭株主だが、その他の関係会社との位置づけで、役員の兼務や出向者の受入れ等の人的関係はなく、事業活動における制約もない。同社は独自の経営判断を行っており、東海漬物(株)とは年間2億円程度の古漬の仕入れを行っているが、取引価格は一般取引先と同様に個別の協議により決定している。

17/2期の品目別売上構成は、製品売上が60.6%(浅漬・キムチ41.9%、惣菜16.1%、ふる漬2.6%)、商品(漬物)売上が39.4%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、17/2期は同グループ向けの売上が全体の29.1%を占めた(取引自体は堅調だが、12/2期37.9%、13/2期35.6%、14/2期33.6%、15/2期31.3%、16/2期26.0%と依存度は低下傾向にある)。
 
【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたい」としている。
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチ」シリーズや各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。
 
製品開発力
キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチ製品のラインナップを強化する事で増収を続けており、16/2期にはキムチ製品の売上が50億円を超えた。この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされており、ラインナップ拡充と既存商品の継続的な改善と相まって、スーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる。
 
全国ネットワーク
 
同社グループは、漬物業界で唯一、全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬製品や惣菜製品を提供する事が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントになっている。ただ、北海道、北陸、中・四国、九州地区での本格的な市場開拓はこれから(地域別売上構成:北海道 4%、東北 11%、関東 64%、中部 5%、関西 11%、中国・四国・九州 5%)。現在、九州地区において新工場建設を進めており、これを契機に地域密着型の営業を推進するため、(株)ピックルスコーポレーション関西の中・四国地区及び九州地区の事業を分割し、17年7月から(株)ピックルスコーポレーション西日本に、新工場と共に承継する。
 
 
 
2017年2月期決算
 
 
前期比18.7%の増収、同16.2%の営業減益
売上高は前期比18.7%増の358億01百万円。期初に連結子会社化した(株)フードレーベルの寄与が44億円弱(商品売上が同41.2%増)の増収要因となる中、主力の浅漬・キムチが同9.2%増と伸びた他、惣菜も同4.1%増と堅調に推移した。営業利益は同16.2%減の7億80百万円。売上同様に(株)フードレーベルの寄与があったものの、主要原料野菜である白菜を中心に野菜価格が秋口から高騰し、期末にかけて高値が続いたため原価率が78.2%と0.7ポイント上昇。売上総利益が78億18百万円と同15.1%の増加にとどまり、物流費や人件費を中心にした販管費の増加を吸収できなかった。持分法投資損益の改善(△23百万円→4百万円)等で営業外損益が改善したものの、前期に負ののれん発生益1億17百万円を特別利益に計上した反動で当期純利益は同20.7%減少した。配当は1株当たり5円増配の期末22円を予定している(配当性向20.8%)。
 
 
 
売上の増加に加え、(株)フードレーベルの子会社化で販管費の伸び(前期比20.1%増)が大きくなったが、広告宣伝費については下期の原料高騰を考慮し削減した。その他の項目の増加は(株)フードレーベルの子会社化によるのれん償却費の発生による。尚、(株)フードレーベルの営業利益率は3.7%と連結営業利益率(2.2%)を上回った。
 
 
主な子会社の業績は、(株)ピックルスコーポレーション関西:売上高54億79百万円、営業利益1億08百万円、(株)フードレーベル:43億91百万円、1億62百万円、(株)ピックルスコーポレーション札幌:14億22百万円、△32百万円。
 
 
 
 
期末総資産は前期末に比べて16億74百万円増の185億24百万円。(株)フードレーベルの子会社化で売上債権・仕入債務や無形固定資産(のれん:23百万円 → 9億17百万円)が、自己株式の処分で純資産が、長短借入金の積み増しで有利子負債が、それぞれ増加した。自己資本比率は50.0%(前期末45.1%)。
 
自己株式の処分による資金調達
2016年12月20日に東証第二部へ市場変更した際に公募及び第三者割当により自己株式805千株(内、第三者割当105千株)を処分し、約10億50百万円を調達した。調達した資金は、九州における新工場の建設や既存工場の増産・生産性向上投資に充てていく。今回の自己株式の処分により自己株式は約550千株(発行済み株式数の8.7%)に減少した(処分前は約1,361千株、同21.28%)。
 
(株)フードレーベルの子会社化
2016年3月7日に、(株)フードレーベルホールディングスを連結子会社化し(取得額11億02百万円、出資比率100%)、同年12 月1日に、連結子会社(孫会社)である(株)フードレーベルが、連結子会社(株)フードレーベルホールディングスを吸収合併した。
 
 
 
2018年2月期業績予想
 
 
前期比4.0%の増収、同77.0%の営業増益予想
売上高は前期比4.0%増の372憶32百万円。不採算だった商品からの撤退等、(株)フードレーベルの品目集約で商品売上が同1.9%減少するものの、製品売上は同7.9%増と伸びる。

営業利益は同77.0%増の13億81百万円。原料野菜価格の安定を前提に原価率が過去の平均的な水準に低下するとみている。一方、販管費は(株)フードレーベルを子会社化した影響が一巡し、小幅な増加にとどまる見込み。白菜は3月も前年同月を上回る価格で推移し、4月も同様の傾向が続いているが、4月下旬頃から春白菜が本格的に出荷される予定であり、これを受けて平年並みの価格になると考えている(キュウリは安定)。

設備投資は、九州地区の新工場建設と既存工場の増築等で18億53百万円(前期は5億59百万円)を計画しており、減価償却費は5億07百万円(前期は5億23百万円)を織り込んだ。

配当は1株当たり期末22円を予定している(予想配当性向13.3%)。
 
 
 
(2)九州工場建設
(株)ピックルスコーポレーション関西が生産能力の拡大と九州地区での事業拡大を目的に九州に新工場を建設する。場所は、佐賀県三養基郡みやき町で、九州自動車道、大分自動車道、長崎自動車道等に近く、交通の便が良い。浅漬、キムチ、惣菜の製造を行う予定で、2018年3月頃の竣工・引き渡しが予定されている。
尚、2017年7月に(株)ピックルスコーポレーション関西の会社分割により新設されている(株)ピックルスコーポレーション西日本が九州工場と共に中・四国及び九州地区の事業を承継する。
 
 
市場動向と18/2期の施策
 
 
同社は漬物市場を約3,200億円と推定している。コメの消費減少、食の多様化、少子高齢化等の影響で漬物業界の市場規模は減少している。市場縮小を受けて漬物協同組合の加盟企業も減少しており、ピーク時には約2,000社が加盟していたが、現在、900社程度で、家族経営的な中小零細企業が大半を占めていると言う。
 
 
同社の資料によると、直近の決算で年商が100億円を超えるのはトップの同社を含めた3社に過ぎず(漬物市場の規模を900社で割った1社平均の年商は3~4億円)、業界トップの同社にしても、シェアは11.2%、同社を含めた上位10社でも38.2%に過ぎない。しかし、寡占化は進んでおり、同社のシェアも着実に拡大している(目標としていた10%を超えたため、15%に引き上げた)。同社は国産原料を使用しているが、海外産原料価格は高騰しており、輸入原料を使用している会社の収益を圧迫している。同社は、健康志向、惣菜化、機能性訴求等をキーワードとした商品開発で消費者ニーズに応えていく考え。
 
製品開発
キムチ製品
キムチ製品は、主力の「ご飯がススム キムチ」シリーズが順調に売上を伸ばしており、18/2期は積極的に広告宣伝活動を展開し60億円超(17/2期は約59億円)の売上を目指している。また、ラインナップの拡充にも取り組む考えで、この一環として、3月に「ご飯がススム炒飯用キムチ」を発売した。ご飯とキムチをフライパンで炒めるだけで、甘っ!辛っ!うまっ!な味わいのキムチ炒飯が簡単にできる。細かく刻んだ白菜を使用し、濃厚な味付けのキムチに仕上げる事で、キムチ炒飯を作る際の「キムチを包丁で刻む手間」と「調味料を加える手間」を解消した。また、炒飯以外にも手軽に様々なキムチのアレンジ料理を楽しむ事ができる(商品の側面に作り方が記載されている)。
この他、本格的なキムチ製品である「大人のキムチ」の拡販にも力を入れる。「ご飯がススム キムチ」シリーズは後引くコクを付与する調味料によるコクとうま味を特徴とし、食べやすいがキムチとしては甘め。一方、「大人のキムチ」は、ブレンドした2種類の唐辛子と特製のヤンニョムを使用し、コクと本格的な辛さが特徴。もちろんただ辛いだけでなく、オキアミ塩辛、いかごろ、魚醤を効かせたうま味とリンゴや野菜等による自然な甘みも感じる事ができる(熟成発酵させる事で、より本格的で発酵感のある仕上がりになっている)。
 
 
浅漬製品
浅漬製品は、シリーズ毎の統一感はあったが、浅漬商品の包材にグループ全体で統一したイメージがなかったため、”ピックルス”という全社的なイメージを伝える力が弱かった。この反省を踏まえ、2016年10月からブランドマーク・デザインの統一を図っている。
 
 
新製品としては、3月に乳酸菌入り浅漬「大葉キャベツ」を発売した。同社独自の乳酸菌「P-ne12(ピーネ12)乳酸菌」(※加熱菌体)を20 億個超配合した浅漬で、今話題の乳酸菌を漬物で手軽に摂る事ができる。浅漬としては、キャベツと相性の良い大葉を使用し、さっぱりとした爽やかなしそ風味の味付けに仕上げた(原料野菜は100%国産)。
また、これまで協力工場に製造委託していた(株)フードレーベルの「牛角やみつきになるキャベツ」の製造を、グループシナジー追及の一環としてグループの工場で開始する。「牛角やみつきになるキャベツ」は、付属のたれを和えて食べる浅漬けキャベツで、単なる浅漬けキャベツではない、ひと手間加えたおつまみ・おかずの1品として提案している。付属のたれは、にんにくをしっかり効かせてパンチを出しながら、ごま油を加える事で風味豊かな味に仕上げた。
 
 
 
同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2016年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆82億円。節約志向の高まりを反映した中食(惣菜を買って家庭内で食事をする)の増加や高齢者・単身者世帯の増加による食事スタイルの変化を背景に拡大が続いている。

この分野では、フジッコ、ケンコーマヨネーズ、エバラ食品といった上場企業や、デリア食品(キユーピー系)、イニシオフーズ(日清食品系)といった上場企業の子会社等が大手で、いずれも400~600億円規模の年商を誇る。同社は後発ではあるが、直販ならではのきめ細かい営業と、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で着実に売上を伸ばしており、惣菜が、浅漬、キムチに続く事業の柱に育ってきた。
 
製品開発
既存製品の継続的な改善とラインナップの拡充、更には季節にあわせた製品の投入と提案に取り組んでいる。既存製品ではサラダやナムルの好調が続いており、18/2期は「エビとブロッコリーのアヒージョ」や「キムチ鍋」等の新製品効果が期待できる。
 
新製品の一つである「エビとブロッコリーのアヒージョ」は、「惣菜・べんとうグランプリ2017」(日本食糧新聞社主催)の冷凍・チルド部門で優秀賞を受賞した。
 
【広告宣伝活動と営業戦略】
広告宣伝活動は、費用対効果を重視しつつ、テレビCM、ラジオCM(TBSラジオ等)、屋外看板(メットライフドーム)、ラッピングバス(西武バス、都営バス)等で積極的に展開していく。テレビCMは費用対効果の観点から地方での放映に重点を置いているが、都心では「渋谷109フォーマルビジョン」(東京都渋谷区)でのCM放映を実施する等の工夫をしている。18/2期の広告宣伝費は前期に比べ54百万円増の3億26百万円を予定している。
 
 
営業戦略では、強みである全国ネットワークを活かした営業戦略を進めていく考えで、引き続き、「ご飯がススム キムチ」で拡大した販売先に対して、浅漬や惣菜製品等を積極的に提案し、売上の拡大を図っていく。強化地区として、北陸、中四国、九州を挙げている。九州での新工場建設と(株)ピックルスコーポレーション西日本の設立については既に説明した通り。

尚、同社は、漬物業界・惣菜業界では唯一、全国を網羅した生産・物流体制を構築しており、全国の量販店に同一の浅漬、キムチ、惣菜等の製品を提供する事が可能だ。
 
 
(株)ピックルスコーポレーション関西は、引き続き地元の量販店を中心に営業を強化し、売上高の拡大と収益性の改善に取り組んでいく。関西地区でも新工場(京都第2工場)の建設を予定しており、現在、土地の選定作業を進めている。19/2期計画は京都第2工場の稼働を織り込んだ。既に説明した通り、中国・四国地区及び九州地区の事業については、建設中の九州工場を含めて、17年7月から(株)ピックルスコーポレーション西日本に承継するが、上記計画には反映していない。
 
 
2016年3月に子会社した(株)フードレーベルは、牛角ブランドのチルド製品(キムチ等)やドライ製品(醤油だれ等)等を展開しており、製造は国内外の協力工場を活用している。期待できるグループシナジーとして、①(株)ピックルスコーポレーションの営業拠点活用及び開発力によるフードレーベル製品の売上拡大、②フードレーベル製品のグループ内製化による効率化・収益力の向上、及び③フードレーベルの協力工場の活用による製品ラインナップ拡充等を挙げる事ができる。

18/2期は、不採算の商品からの撤退で品目の集約を進めるため、売上・利益の減少が見込まれる。また、事務所もグループ施設に移転する(グループ施設の共有)他、既に説明した通り、これまで協力工場を活用していた「牛角やみつきになるキャベツ」の生産をグループ工場で開始する(これまで物理的な制約から販売地域が限定されていたが、全国販売も可能になる)。
 
 
(株)ピックルスコーポレーション札幌は、北海道地区のスーパー等へ浅漬、キムチ、惣菜を出荷している。17/2期は夏から秋にかけての4つの台風(8月は3つの台風が上陸)の影響で原料価格が高騰し営業損失を余儀なくされた。もともと北海道は、冬場の配送コスト負担が大きい等で他のエリアに比べて利益確保の難易度が高い。加えて、16/2期に立ち上げた新工場のオペレーションの軌道化に取り組んでいる最中だった。ただ、足元、改善傾向にあり、18/2期は損益均衡を視野に入れている。
 
 
中期経営目標
 
 
売上・利益の目標として、20/2期に売上高406億円、営業利益15億円を掲げている。目標の達成に向け、同社の強みであり特徴である、開発力、全国を網羅した生産・物流体制、更にはベンダー機能を活かすと共に、食の安全・安心や環境保全活動への取り組みを進める事で、販売先の拡大、販売エリアの拡大、及び取扱製品の拡大を図り、業容を拡大させていく。また、M&Aにも積極的に対応していく。
 
 
販売先については、従来の、コンビニ、スーパーの漬物売り場に加え、スーパーの惣菜売り場への販売を強化しつつ、ドラッグストア等の新たな販売先の開拓を進める。販売エリアについては、関西、中国、四国地区や九州地区を強化していく。製品については、惣菜製品の開発を強化しつつ、次の新たな柱となる製品の開発に取り組んで行く。
 
 
【設備投資計画】
18/2期は九州地区の新工場建設と既存工場(宮城ファクトリー、千葉工場、中京工場)の増築等で18億53百万円を予定しており、19/2期は関西地区の新工場(京都第2工場)の建設と既存工場の設備更新等で16億95百万円を計画している。20/2期は大型投資の一巡で5億円に減少する見込み。
 
 
 
今後の注目点
夏から秋口にかけての台風や豪雨で、ここ数年、第3四半期の原料比率が悪化しており、特に影響が大きかった17/2期には営業損失となった。白菜は多くが契約栽培のため、本来、市場価格が高騰しても影響を受けないが、契約農家の生産が契約数量を下回ったため市場からの調達を余儀なくされた。加えて、ここ数年は、夏から秋にかけて野菜価格が高騰しても、晩秋以降は落ち着いていたが、今期は期末まで高値が続いた。高値がこれほど長期間にわたる事は過去経験した事がなく、今後、同様なケースがあれば、製品の出荷抑制も考えると言う。生産品目を機動的に変更できるよう、仕入も含めて体制の整備にも取り組む考え(18/2期はキャベツを使った浅漬製品を投入)。

また、惣菜の伸びが物足りなかった事も17/2期の特徴であり、ここ数年は伸びが鈍化している。野菜を使った惣菜で健康志向を取り込む事で売上を伸ばしてきた同社だが、類似商品が多くなってきた。今後は、煮る、焼く等、調理した惣菜にも力を入れていく。「惣菜・べんとうグランプリ2017」の冷凍・チルド部門で優秀賞を受賞した「エビとブロッコリーのアヒージョ」はその一つ。ちなみに、アヒージョとは、オリーブオイルとニンニクで煮込んだ料理の事。「キムチ鍋」も投入しており、18/2期は新製品効果が期待できる。

この他、18/2期はグループ全体での資材費の効率化効果に加え、フードレーベルにおける一部商品の撤退・品目集約や事務所のグループ共有等の効果が期待できる。17/2期は減益決算となったが、今後の成果が期待できる取り組みが多く、決算説明会に暗さはなかった。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2016年12月20日
基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。
 
<実施している主な原則>
【原則 1-4.いわゆる政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としておりますが、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断しますが、対象会社の企業価値を毀損するおそれがある議案については特に留意して判断してまいります。

【原則 1-7.関連当事者間の取引】
当社は、関連当事者間の取引については、該当する役員を特別利害関係人として当該決議の定足数から除外した上で、取締役会において決議しております。また、関連当事者間の取引の有無を確認するアンケートを毎期実施しております。

【原則 5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令および金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会を年1回以上実施しており、個別取材にも可能な限り代表取締役社長及び広報・IR室が対応しております。
また、IRの担当部署として、広報・IR室を設置するとともに、ディスクロージャーポリシーを当社ホームページに掲載しております。
 
参考:CSRについて
同社は経営方針として、「食の安全、働きやすい職場作り、環境への配慮」を掲げている。この経営方針の実現こそがピックルスの社会的責任であると考え、①お客様に対する責任、②株主・投資家に対する責任、③環境保全活動、④地域社会活動、⑤コンプライアンス、⑥従業員に対する責任、の6項目について取り組みを行っている。
 
①お客様に対する責任
安全・安心を担保するべく、契約栽培を推進してトレーサビリティを高めると共に、パートタイマーも含めた全従業員への教育を徹底している。また、品質・衛生管理については、HACCP、ISO9001の考え方に基づいたシステムを導入し、原料調達から生産・物流体制において万全の体制を構築している。この他、商品に対するお客様からの意見・要望等を関連部門で共有すると共に、経営者に届くシステムを構築している。
 
②株主・投資家に対する責任
株主や投資家へのIR活動を積極的に推進するために専門部署として広報・IR室を設置し、経営方針・戦略や事業内容等の理解を深めてもらうべく、決算説明会の開催、ホームページ上でのIR情報の開示等を行っている。利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施していく事を基本方針としている。内部留保資金は、製品開発・研究体制の強化及び設備投資等に充当していく。
 
③環境保全活動
経営者によって策定された環境方針の下、省資源・省エネルギーの取り組みや廃棄物の削減等の取り組み等を通じて、より環境に優しい企業グループとなれるよう努めている。 尚、1998年にISO14001環境管理システム委員会を設置し、認証取得に向けた取り組みを開始し、1999年8月に食品業界で初めて全事業所一括でISO14001を認証取得した。現在は、子会社・関連会社も含めたISO14001取得を推進している。
 
 
④地域社会活動
地域の清掃活動、工場近隣の清掃活動を積極的に実施している他、採用選考時の工場見学はもちろん、地域の小中高等学校等からご要望があれば、職場見学・食育活動の一環として積極的に受入れを実施している。また、様々な非営利活動等の支援を行っている(主な協賛先:埼玉県特定非営利活動促進基金、さいたまみどりのトラスト協会、OWS、埼玉犯罪被害者援助センター、ところざわ障害者事業後援会、障害者スポーツフェスティバル、あしなが育英会)。
 
⑤コンプライアンス
従業員一人ひとりが、企業は社会の一員である事を自覚し、日々誠実かつ適切な行動をするために遵守する事をまとめた「ピックルスコーポレーショングループ行動規範」を制定している。 「コンプライアンス規定」や「内部通報制度」と合わせて、グループ全体でコンプライアンスに取り組んでいる。
 
ピックルスコーポレーショングループ行動規範     改定 2016年2月23日
「商品」 私たちは、おいしくて安全、安心な商品をお届けします。
「法令遵守」 私たちは、各種法令、社会規範、社内規定を遵守し、企業倫理に基づいた事業活動を行います。
「職場環境」 私たちは、安全で働きやすい職場環境づくりを行います。
「人権尊重」 私たちは、従業員の人権を尊重し、宗教・思想信条・性別・その他業務に関係しない理由に基づいた処遇は行いません。
「環境問題」 私たちは、自然の恵みである野菜を扱う企業として、環境問題に積極的、自主的に取り組みます。
「社会貢献」 私たちは、積極的に社会貢献活動を行い、地域社会に貢献いたします。
「公正・自由な競争・
 透明な関係」
私たちは、公正かつ自由な競争を行い、健全な市場の発展に貢献します。また、お取引先、政治、行政などに対しても透明で健全な関係を保ちます。
「反社会的勢力への姿勢」 私たちは、市民社会に脅威を与える反社会的勢力と一切の関係を持たず、また不当な要求にも一切応じません。
「インサイダー取引の
 禁止」
私たちは、インサイダー取引に関わる法令、社内規定などを遵守します。
「利益相反の回避」 私たちは、個人的な利益のために、お客様、会社などに、不利益を与えません。
「情報開示」 私たちは、適時・適切に情報開示やIR活動を行うとともに、消費者、取引先、株主など社会からの声を大切にし、事業活動に反映させます。
「情報保護」 私たちは、個人情報、取引先から受けた営業上の情報などの外部流出、不正な利用を防止するための厳格な管理を行います。
 
⑥従業員に対する責任
社員の誰もが、eメールや書面によって社長に直接意見を伝える事ができる体制を敷いている他、毎年1度、全社員を対象とした方針説明会を開催し、社長自ら経営方針や年度方針を伝える等コミュニケーションを図ると共に、社員のモチベーションの向上や働きがいのある会社を目指して社内表彰を行っている。
人事制度では、各部門の方針を受け、各人が自ら設定した目標に対して自ら評価を行なう、「自己評価制度」を導入している。また、社員一人ひとりの仕事と家庭のよりよいバランスを応援するため、06年埼玉県子育て応援宣言企業に登録する等の取り組みを進めている他、定年後も継続雇用を望む社員については65歳まで再雇用する高齢者再雇用制度を定め、社員が安心して働ける環境作りに努めている。
キャリアアップでは、社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢を応援する自己啓発支援制度、会社にとって有益な資格を取得した場合に報奨金を出す資格取得報奨金制度を導入している。また、社員教育を充実させるための、内定者研修、新入社員研修、フォローアップ研修、及び社外の研修にも参加させている。今後、更に社内研修を充実させていく予定。