ブリッジレポート:(2435)シダー vol.35
(2435:JASDAQ) シダー |
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企業名 |
株式会社シダー |
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会長 |
山崎 嘉忠 |
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社長 |
座小田 孝安 |
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所在地 |
北九州市小倉北区大畠 1-7-19 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2016年3月 | 11,731 | 335 | 70 | 9 |
2015年3月 | 10,791 | -26 | -245 | -368 |
2014年3月 | 10,415 | 325 | 132 | 77 |
2013年3月 | 10,097 | 198 | 1 | -13 |
2012年3月 | 9,614 | 421 | 430 | 224 |
2011年3月 | 8,746 | 225 | 295 | 158 |
2010年3月 | 8,332 | 408 | 419 | 237 |
2009年3月 | 7,075 | 149 | 100 | 46 |
2008年3月 | 5,921 | 56 | 42 | 16 |
2007年3月 | 4,519 | -403 | -406 | -247 |
2006年3月 | 4,251 | 309 | 297 | 166 |
2005年3月 | 3,649 | 352 | 288 | 164 |
2004年3月 | 3,125 | 122 | 97 | 41 |
2003年3月 | 2,352 | 111 | 104 | 30 |
2002年3月 | 1,594 | 17 | 21 | 11 |
株式情報(3/3現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【沿革】
前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。 【事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】
同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。 尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。 また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。 同社の介護事業の考え方
リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。 社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。 【事業セグメント】
事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。16/3期の売上構成比は、それぞれ28.2%、64.7%、6.7%。また、16/3期よりその他事業として、要介護要支援認定者などに対し、福祉用具のレンタル及び販売を行っている(16/3期売上比率は0.4%)。2016年9月30日現在の拠点状況は以下の通り。 デイサービス事業
デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備の施設を可能にしている。デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっておりリハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。 専門スタッフによるリハビリテーション
同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。
選択できる多彩なサービス
豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等に設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。
介護報酬改定の影響と対策
16年9月現在の登録者数は要介護登録者が2,868人(14年3月2,422人、15年3月2,599人、16年3月2,745人)、要支援登録者が950人(同1,402人、1,378人、1,017人)。15年4月の介護報酬改定では要介護者については小規模型通所介護で8.8~9.8%、通常規模型・大規模型で4.4~5.6%の基本報酬減、要支援者Ⅰは月当たり22.1%減、Ⅱは同20.3%減となった。同社では要介護登録者を重点的に増加させる方針をとっており、登録者の向上に努め、利用回数の増加を図る。要支援登録者については、時間短縮及び、利用回数の調整を行っている。
施設サービス事業
有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して任せ預ける体制が整っている。
充実のリハビリテーション
「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。
自分好みに部屋をコーディネート
「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。
仲間との楽しいひと時
フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。
美味しく栄養豊富な食事
看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。
季節の催し
季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。施設サービスでは、1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。9月30日現在の総居室数は2,265室、入居者数は2,018人。 在宅サービス事業
「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。
自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション
医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。
日常生活を支えるホームヘルプサービス
ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。
最適なケアプラン作成
介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。
介護職員の人材確保と人材育成
介護業界では現在においても人材不足に悩まされているが、今後はさらに深刻化する見通しである。
資格取得に向けた勉強会も積極的に行う。年1回社内で介護初任者研修を実施、月4回、約6ヶ月で介護職員初任者研修の資格を取得させる方針。17年4月より実務者研修や喀痰吸引等研修(第1・2・3号)を実施する予定。 サービスの基本を研修し、サービスの向上を目的とした研修も行っている。 |
2017年3月期第3四半期決算 |
前年同期比8.1%の増収、1億21百万円の経常損失
売上高は前年同期比8.1%増の94億63百万円。有料老人ホーム3施設を新規開設しており、積極的な施設展開を図ってきた。主に新規開設した施設において、新規利用者の獲得と充実したサービスの向上に努めた。すべてのセグメントが増収となったが、特に施設サービス事業が大きく伸びた。前期から加わった福祉用具事業として福祉用具のレンタル及び販売を行うその他事業も寄与した。営業利益は前年同期比59.7%減の83百万円。景気回復傾向に伴う求人費用及び人件費の上昇、新規開設施設の初期費用などにより、原価が大きく増加した。デイサービス事業が増益となったものの、施設サービス事業は減益、在宅サービス事業の損失も若干増加した。営業外では支払利息が増加、経常損益は前年同期10百万円の利益から1億21百万円の損失となり、親会社株主に帰属する四半期純損失は前年同期70百万円から1億82百万円に増加した。 デイサービス事業
売上高は前年同期比2.3%増の25億59百万円、セグメント利益は同41.3%増の3億21百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努め、増収な大幅増益となった。
施設サービス事業
売上高は前年同期比10.7%増の62億43百万円、セグメント利益は同23.3%減の3億92百万円。今期は大阪市に「ラ・ナシカこのはな」、横浜市に「ラ・ナシカ上大岡」、神奈川県横須賀市に「ラ・ナシカよこすか弐番館」を新規開設した。新規及び既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、施設稼働率の向上に努めた。出店に係る開業費用負担増により減益となった。
在宅サービス事業
売上高は前年同期比5.2%増の6億27百万円、セグメント損失は41百万円(前年同期は26百万円の損失)。利益率改善のための人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力したが、損失は15百万円増加した。
負債合計は長短有利子負債の増加などにより前期末比19億11百万円増の171億67百万円となった。 株主資本は前期末比1億82百万円減の8億44百万円となった。 自己資本比率は前期末比1.6ポイント減少し4.7%となった。 |
2017年3月期業績予想 |
前期比8.3%の増収、224百万円の経常損失予想
修正の要因は売上高については、僅かながら予想を下回って推移したことによるもの。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、近年の介護人材の不足に伴う人材派遣費用等が期初の計画より大幅に増加し、売上総利益を押し下げた。また、販管費についても、業容拡大による人件費や事業所を管理する活動経費が増大したため下振れした。 介護業界の状況として65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており(国民の4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されている。このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれている。このため、厚生労働省においては、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を目指した積極的な取り組みが進行している。 3Q累計では新規施設の開業費用と既存店稼働率向上への施策で経常損失となったが、来期の新規施設の早期黒字化に向けて取り組む。来年7月には北九州市に「ラ・ナシカ こくら(仮称)」(80室)を出店する計画があり、これらの出店に係る初期費用が負担となる。 尚、6月23日付で代表取締役社長に代表取締役専務であった座小田孝安氏が就任し、代表取締役社長であった山崎嘉忠氏は代表取締役会長に就任した。新体制がスタートしている。 今回の修正は18/3期の見通しを大きく変動させるものではないと考える。人件費の拡大傾向は気掛かりではあるが、入居率上昇による効率化進展でカバーするであろう。また、17/3期本決算発表時に何らかの対策が示される可能性もある。 |
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