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(6184) 株式会社鎌倉新書

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ブリッジレポート:(6184)鎌倉新書 vol.5

(6184:東証マザーズ) 鎌倉新書 企業HP
清水 祐孝 社長
清水 祐孝 社長

【ブリッジレポート vol.5】2017年1月期業績レポート
取材概要「同社はリアルなセミナーを月3~4回の頻度で開催しているが、その際、高齢者が抱える様々な問題や課題について相談を受けている。「子供に・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年3月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社鎌倉新書
社長
清水 祐孝
所在地
東京都中央区八重洲1-6-6 八重洲センタービル7F
決算期
1月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年1月 1,332 327 324 206
2016年1月 1,147 225 211 125
2015年1月 917 12 27 10
2014年1月 778 57 58 30
株式情報(3/10現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
983円 8,426,400株 8,283百万円 26.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 30.26円 32.5倍 107.85円 9.1倍
※株価は03/10終値。
 
鎌倉新書の2017年1月期決算と2018年1月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「人と人とのつながりのお手伝い」をコンセプトに、ライフエンディング市場にフォーカスした事業展開を進めている。ライフエンディング市場とは、死別後に備えた事前準備から、葬儀、仏壇、墓、更には遺族の生活の再構築に関わる市場の事。葬儀社・斎場・火葬場検索サイト「いい葬儀」、霊園・墓地・墓石店検索サイト「いいお墓」、及び仏壇・仏具店検索サイト「いい仏壇」等のポータルサイト運営を中心に、日本初で唯一の供養業界を網羅したビジネス誌である月刊「仏事」やライフエンディングに関連する書籍の制作・販売を手掛けている。
 
【企業理念】
企業理念は、“私たちは、人と人とのつながりに「ありがとう」を感じる場面のお手伝いをすることで、豊かな社会づくりに貢献します”。
「親切」と「ありがとう」の交換は、豊かな社会を形成する土台である、との考えの下、人生の様々な局面で「ありがとう」を感じる瞬間を社会の中に増やしていく事、そのために鎌倉新書は存在していきたい、としている。
 
【沿革】
1984年4月、仏壇仏具業界向け書籍の出版を目的に設立されたが、清水祐孝氏の代表取締役就任を機に、「本を買う人は、紙の印刷物が欲しいのではなく、そこに書かれている情報を求めている」との考えの下、「自分たちの提供する価値は“情報”である」と改めて定義。情報加工業という視点から、事業領域を「インターネットビジネスを含めた情報ビジネス」として、2000年10月に全国の葬儀社や葬儀マナー等に関する情報サイト「いい葬儀」を開始した。
 
 
【事業内容】
事業は、お墓、葬祭、仏壇等のマッチングプラットフォームとなるポータルサイト運営を中心としたWEBサービス事業と、ライフエンディングに関わる書籍の企画・制作・賑売やセミナー等の書籍他事業に分かれる。17/1期の売上構成比は、WEBサービス事業86%、書籍他事業14%。
 
WEBサービス事業
終活から葬儀、仏壇、墓、遺産相続といったライフエンディング全域をカバーするポータルサイト群を通してサービスや商品の情報を発信すると共に、お客様センターで問合せや相談に応じる事で、サイト利用者の意思決定をサポートしている。一方、ポータルサイトに掲載される葬儀社、仏壇仏具店、石材店、寺院霊園等の事業者に対しては、販売支援サービスの提供や掘り起こした見込み客の紹介を行う。サイト利用者には無料でサービスを提供し、紹介した見込み客と事業者との間で契約がまとまった時に成約報酬を受け取る(成約金額の10~20%程度)。事業者にしてみれば、“後払いの広告宣伝費”と考える事ができ受け入れやすい。

同業者としては、葬儀サービスでは、流通大手イオングループのイオンライフ(株)、「小さなお葬式」や「葬儀本.com」等を展開する(株)ユニクエスト・オンライン等があり、墓では、「もしもドットネット」を運営する首都圏石材協同組合、メモリアルアートの大野屋、(株)日本仏事ネット等を挙げる事ができる。
 
KPI(重視する経営指標) 成約報酬 = 紹介数 × 成約率 × 販売単価 × 手数料率
成約報酬の拡大に向け、同社は紹介数の増加と成約率の向上に取り組んでおり、その結果としてのシェア拡大を手数料率の引き上げにつなげていきたい考え。紹介数の増加には、コンテンツの充実、導線の改良、デザインの改良、広告等の活用がポイントであり、成約率の向上には、サイトユーザーとのコミュニケーション強化や事業者との連携強化が必要となる。
 
 
 
書籍他事業
供養業界の事業者に向けたビジネス情報誌である月間「仏事」(年間購読料:税込み16,200円)等、葬儀や墓・仏壇等、供養に関連する様々な出版物を発行している。出版社としての知名度や信頼感、業界ネットワーク、コンテンツ生成力がインターネットサービスにも活かされている。売上や利益では測れない、シナジーを有する事業である。
 
 
【社会的背景と鎌倉新書の役割】
核家族化が進み、前の世代からの慣習や知識等の引き継ぎが減っているため、消費者は、ライフエンディング全般に、「誰に頼めばいいかわからない」、「どうすべきかわからない」、「選ぶ基準がわからない」、「費用が適正かどうかわらない」といった悩みを抱えており、インターネットで情報検索するケースが増えている。

一方、事業者は、「集客やセールスのコストがかかり過ぎる」、「信頼感をもたれていない」といった悩みを抱えている。このため、10~20%程度の成功報酬で顧客開拓できる鎌倉新書のポータルサイト活用は魅力的であり、信頼感と言う点では、業界誌の発行体として30年以上の実績を有する同社が仲介する意義は大きい
 
 
東京圏人口を中心に三大都市圏人口の割合が上昇しており、三大都市圏以外の人口の割合が低下している。こうした人口動態も、慣習や知識等の前の世代からの引き継ぎがなされない要因の一つとなっている。
 
 
2017年1月期決算
 
 
前期比16.1%の増収、同45.1%の営業増益
売上高は前期比16.1%増の13億32百万円。収益性重視の観点から効率化に取り組んでいる書籍他の売上が減少したものの、主力のWebサービスの売上が同27%増と大きく伸びた。Webサービスでは、お墓事業が同26%増、葬祭事業が同30%増、仏壇事業が同26%増、と全ての事業で売上が高い伸びを示した。

営業利益は同45.1%増の3億27百万円。売上の増加と継続的な原価の見直しによる書籍他の原価低減で売上総利益が同28.3%増加(売上総利益率が5.7ポイント改善)。人件費、広告宣伝費、及び業務委託費の増加や、本社移転(2016年10月)費用等による販管費の増加を吸収した。IPO関連費用(2015年12月に東証マザーズに上場)がなくなり、営業外損益も改善した。
 
 
広告宣伝費は売上高の10%を目処に投下しており、17/1期は予算に沿った投下。書籍他原価の減少は、他社WEBサイト制作にかかる原価が前期の大型案件の反動で減少したため。
 
 
第4四半期(11-1月)は、永代供養の屋内陵墓等、ユーザーの低価格志向を反映して単価が低下したものの、認知度の向上やWEBサイトでの施策の奏功で紹介数が前年同期比22%増加。ユーザー及び取引先とのコミュニケーション強化により成約率も向上し、売上高が同35%増加した。
 
 
取引先との契約条件の見直しで単価が上昇する中、前年同期比で紹介数の増加が続いた。前四半期比では期初から紹介数の減少傾向が続いていたが、第3四半期に底打ちし第4四半期から上昇トレンドに転換。足元も好調に推移している模様。
 
 
成約率が前年同期を上回って推移する中、WEBサイトでの施策の奏功で紹介数が伸びた。第4四半期に単価が低下したが、「トレンドではなく一時的な現象」との説明があった。
 
 
期末総資産は前期末に比べて2億53百万円増の11億22百万円。好調な業績と資金効率の改善で現預金が増加した他、オフィスの移転に伴い有形固定資産が増加した。自己資本比率81.0%(71.7%)。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
自己資本の充実が一段と進んだ事でROEが低下した。現在、東証マザーズに上場しているが、今後、本則市場への市場変更もにらみ、配当の実施について検討していく考えだ。配当の実施はROEの改善にもつながる(18/1期の配当は未定)。
 
 
2018年1月期業績予想
 
 
お墓事業、葬祭事業、仏壇事業の各事業において、新たに取引先業者のマーケティング支援サービスを展開し既存サービスと共のシナジーを追及していく事でプラットフォーム型ビジネスの最大化を図っていく。また、並行して、ライフエンディング全域をカバーする同社の強みを活かして、相続、遺品整理、信託、高齢者の自己実現に向けた終活支援等、ライフエンディング周辺領域で一般ユーザーが抱えている複合的な課題の解決にも取り組んでいく。
上記取り組みの一環として、18/1期期初に、営業企画部、事業開発部及びメディア開発室を新設した。既存事業の最大化とライフエンディング周辺事業の開拓により、圧倒的な知名度とブランド価値の獲得につなげていきたい考え。
 
組織変更
ユーザーへの営業強化(取引先業者のマーケティング支援)を目的に営業企画部を新設した他、ライフエンディング周辺市場での事業展開に向け、事業開発部とメディア開発室を新設した。
 
 
事業開発部は、お別れ会(人々の意識の多様化に対応した、葬儀ではない、新しいお別れの形をプロデュース)、信託、更には、ライフヒストリーやメッセージの作成といった高齢者の自己実現等のニーズを取り込む事で新市場や新商品・新サービスの開発につなげていく。
一方、メディア開発室は、遺産相続、遺品整理、看取り等の、新市場や新商品・新サービスに開発に取り組む。また、事業開発部とメディア開発室が連携して社会貢献のサポートにも取り組んで行く。
 
 
 
 
 
前期比27.6%の増収、同28.3%の営業増益予想
売上高は前期比27.6%増の17億円。墓・葬祭・仏壇の3事業の好調でWEBサービスが同23%増の14億19百万円と増収をけん引する中、新規事業の寄与等で書籍他も2億92百万円と同56.1%増加する。

営業利益は同28.3%増の4億20百万円。既存WEBサービスは変動費が売上見合いで増加するものの、増収効果と更なる効率化で売上総利益率が前期の55%から62%に改善する見込み。書籍他も更なるコストダウンが見込まれるが、売上見合いで共通管理費用が増加する他、新規事業関連の人件費や先行投資等2億円を織り込んだ。
 
 
 
 
 
売上高9億23百万円(前期比27%増)を見込む。サイトのUI(User Interface)/UX(User Experience)改善や広告の活用で見込み客の増加を図ると共に、営業企画部による見込み客フォローのマーケティングパッケージの提供で手数料単価の引き上げを図る。
 
 
売上高3億31百万円(前期比9%増)を見込む。保守的な予想となったが、紹介数は増加基調が続いており、足元、単価も上昇傾向にある。
 
 
売上高1億64百万円(34%増)を見込む。UI/UXの改善と広告の活用で更なる見込み客の増加を図る。
 
 
今後の注目点
同社はリアルなセミナーを月3~4回の頻度で開催しているが、その際、高齢者が抱える様々な問題や課題について相談を受けている。「子供に迷惑をかけたくない」という思いを皆一様にもっており、「お別れ会」や「エンディングノート」等に関する相談も多いと言う。消費者の意識の変化に既存のプレイヤーが十分に対応できていない領域と言えるが、18/4期から本格的に取り組む新規事業では、こうした問題・課題と真正面から向き合っていく他、高齢者のやりたい事の手伝いといったポジティブな領域にも踏み込んでいく。このため先行投資が発生するが、18/1期に前期比28%強の営業増益を見込んでいるように、既存WEBサービスの更なる拡大と収益性改善を図る事で高い利益成長を維持しつつ新規事業を育てていく考え。
 
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書       更新日:2016年04月25日
基本的な考え方
当社は、企業価値を向上させ、株主利益を最大化するとともに、ステークホルダーと良好な関係を築いていくために、コーポレート・ガバナンスの確立が不可欠なものと認識しております。
具体的には、代表取締役社長以下、当社の経営を負託された取締役等が自らを律し、その職責に基づいて適切な経営判断を行い、当社の営む事業を通じて利益を追求すること、財務の健全性を確保してその信頼性を向上させること、説明責任を果たすべく積極的に情報開示を行うこと、実効性ある内部統制システムを構築すること等が重要であると考えております。
 
<実施しない主な原則とその理由>
当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施いたします。