ブリッジレポート
(6465) ホシザキ株式会社

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ブリッジレポート:(6465)ホシザキ vol.19

(6465:東証1部,名証1部) ホシザキ 企業HP
坂本 精志 会長兼社長
坂本 精志 会長兼社長

【ブリッジレポート vol.19】2016年12月期第2四半期業績レポート
取材概要「前回レポートで、「国内売上は通期予想3.9%増収に対し、第1四半期はそれを大きく上回る8.2%であったことが注目される。もちろん今期はまだ・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年10月25日掲載
企業基本情報
企業名
ホシザキ株式会社
会長兼社長
坂本 精志
所在地
愛知県豊明市栄町南館3-16
決算期
12月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年12月 260,174 31,719 30,864 16,971
2014年12月 233,252 26,984 31,235 15,011
2013年12月 205,513 20,052 26,349 15,769
2012年12月 178,863 16,483 19,768 11,276
2011年12月 169,297 13,808 13,750 7,220
2010年12月 169,379 13,842 13,058 8,884
2009年12月 160,291 8,738 9,455 4,896
2008年12月 170,281 9,364 7,144 4,209
2007年12月 178,379 9,770 9,768 3,546
2006年12月 86,793 3,861 4,586 1,939
2006年6月 34,106 2,971 3,521 1,629
2005年11月 51,231 4,463 4,854 3,204
株式情報(10/18現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
9,180円 72,414,451株 664,764百万円 10.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
60.00円 0.7% 245.81円 37.3倍 2,366.29円 3.9倍
※株価10/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。BPSは直近四半期末実績。
 
ホシザキの2016年12月期第2四半期(累計)決算概要等についてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
飲食店、病院・介護老人保健施設、学校・保育園、スーパー、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)、オフィスなどを顧客とし、製氷機、冷凍冷蔵庫を始めとしたフードサービス機器の研究開発・製造・販売及び保守サービスを行っている。

製氷機、冷凍冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェア。製氷機、冷凍冷蔵庫に関してはグローバル市場でもトップシェアである。独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制等が強みであり、同業他社に対する大きな優位性となっている。

海外売上高比率は34.7%(2015年12月期)。ホシザキを含む連結グループ会社は、2016年6月末時点で、国内18社、米州14社、欧州・アジア等24社の合計56社。工場は国内5、米州7、欧州・アジア6とグローバルでの生産体制を構築している。国内営業体制は、北海道から沖縄までの15販売会社及びその447営業所(2016年6月末時点)によって日本全国をカバーしている。また海外では米州、ヨーロッパ、アジア・オセアニアに、販売会社を配置し、全世界を幅広くカバーできる体制を整備している。
 
 
【事業内容】
製品別売上は、製氷機17.8%、冷凍冷蔵庫25.5%、食器洗浄機6.8%、ディスペンサ12.4%、他社仕入商品11.8%、保守・修理16.5%、その他9.3%となっている。(2015年12月期)
 
 
【特徴・強み】
1.独自の技術に基づく製品開発&高い品質基準
独自技術に基づいた製品企画から製品化までの一貫した研究体制を持つことにより、最終顧客の多様なニーズへ迅速に対応している。また、新製品開発、既存製品の改良や改善、シリーズ展開及び原価低減活動に加え、販売及び保守サービス活動から得られる情報や市場品質情報を製品開発に活用する体制を確立している。また、独自の品質基準を設定し、業務用という厳しい使用環境に耐えられる構造設計を行っており、過酷な条件で繰り返し行われるテストに合格した部品や技術のみが採用されている。
 
2.主要製品でトップシェア
高品質、サービス&サポート体制、省エネ・低環境負荷、耐久性、使いやすさ、デザイン性等といった様々なポイントが顧客に評価され、製氷機、冷凍冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサ等の主力製品では国内トップシェアとなっている。また、製氷機に関しては、グローバル市場においても、ブランド別でトップシェアである。また、冷凍冷蔵庫においても、2015年12月末時点で、グローバル市場でトップシェアとなった(同社推計)。
 
 
3.きめ細かいサービス&サポート体制
同社では国内を15販売会社及びその447営業所でカバーし、約2,550名のサービススタッフによる地域密着型のきめ細かいサービス&サポート体制をとっており、ユーザーから故障やトラブルの問い合わせがあった際は、短時間で駆けつける「即日対応」を掲げて、スピーディーな対応を行っている(いずれも2016年6月末現在)。
 
4.営業力の強さと強固な顧客基盤
約3,100名の営業スタッフが日本全国をカバーする直販体制による営業力の強さも同社の大きな特徴である。高い直販比率のため顧客との密着度は高く、現在の強固な顧客基盤の構築に繋がっている。また、サービススタッフとの緊密な連携により、顧客の状況に即応した提案を行う事が出来る機動性の高さも顧客から高く評価されている。
 
 
2016年12月期第2四半期(累計)決算概要
 
 
国内外市場ともに順調で増収・営業増益
売上高は前年同期比5.0%増の1,374億円。国内売上高は、同5.9%増の921億円。主力製品、戦略商品共に堅調。保守・修理も好調だった。
海外売上高は、同3.1%増の452億円。米国での主力製品である製氷機、冷凍冷蔵庫、食器洗浄機が好調だった。
営業利益は同16.8%増の209億円。国内の増収効果に加え、原価・販管費の厳格な管理に努めた。営業利益率は前年同期に比べ1.5ポイント上昇した。
外貨預金等による為替差損の発生により経常利益は同19.3%減少の153億円となった。
 
 
(国内)
売上高は前年同期比5.9%増収の921億円。営業利益は同13.9%増の141億円。
大手チェーン店の全店店舗数は今年に入り前年同期比マイナスで推移している。
逆に全店売上高はプラスが続いているが、業態別ではパブレストランや居酒屋が低調な一方、メニューに工夫を凝らしたディナーレストランなどは好調。
業種別に見ると、飲食以外では農業・水産業の六次産業化の流れを受けた「加工販売等」が大きく伸びた。
製品別では冷凍冷蔵庫、製氷機、食器洗浄機など主力製品が順調だったことに加え、スチームコンベションオーブン(以下、スチコン)がサイズ、電気仕様、ガス仕様などラインアップ充実が奏功し好調だった。
 
<海外>
(米州)
売上高は前年同期比0.9%減収の307億円。営業利益は同4.4%減の52億円。しかしながら、現地通貨ベースでの業績は堅調に推移。
冷凍冷蔵庫、製氷機が引き続き拡大した。
 
(欧州・アジア)
売上高は前年同期比12.7%増収の145億円。営業利益は同42.3%増の17億円。
現地通貨ベースでの業績は、欧州、アジアの両市場とも好調だった。
製品別では冷凍冷蔵庫、製氷機等主力製品が伸びた。
 
 
前期末と比べ、現預金、売上債権が増加し流動資産は80億円増加。円高により海外グループ会社が保有する有形及び無形固定資産額が円ベースで減少し固定資産は同14億円の減少。資産合計は同65億円増加の2,802億円だった。
一方、仕入債務の増加等で負債合計は同91億円増加し、1,062億円となった。利益剰余金の増加で株主資本は増加したが、円高により為替換算調整勘定がマイナスに転じたため純資産は同25億円減少の1,739億円となった。この結果、自己資本比率は前期末より2.4ポイント低下の61.1%となった。
 
 
為替差損益の影響もあり、前年同期比で営業CFのプラス幅は拡大。定期預金の預入および投資有価証券の取得による支出拡大等で投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。
配当金の支払額拡大で財務CFのマイナス幅は拡大。キャッシュポジションは低下した。
 
 
2016年12月期通期業績見通し
 
 
円高の影響を見込み業績予想を修正するも増収増益を予想。
円高の影響を見込み、業績を下方修正している。売上高は前期比1.9%増の2,650億円の予想。
国内売上は同4.5%増の1,777億円。フードサービス産業における設備投資の継続性は不確実ながらも、主力・戦略商品の既存・新規顧客への拡販が継続する事を見込み、修正前の同3.9%増の1,766億円から引き上げた。
海外売上は同3.1%減の873億円の予想。修正前の同5.3%増949億円から引き下げた。為替換算分のマイナスに加え、新興国における価格競争激化の継続を見込んだ。
ただ、現地通貨ベースでは堅調な伸びを予想。
 
 
営業利益は同7.8%増の342億円。
国内外共に戦略的な費用支出は確保しつつも、不要不急のコストを最大限に抑制する。
経常利益は、同7.3%減の286億円の予想。修正前同12.8%増348億円から引き下げた。為替差損は上期実績の59.6億円のみを見込んでいる。
配当は前期同水準の60円/株を予想。
 
 
円ベースでは海外各市場はマイナスないしは微増収予想だが現地通貨ベースでは堅調な伸びを予想している。
 
 
今期実施中の施策
 
<国内>
 2016年度の重点施策と懸念事項として以下の様な点を認識している。
 
第3四半期以降の業績変動要因は、プラス要因として「予想通りの猛暑」、「コンビニエンスストアの増設投資継続」、「飲食店の出店継続」、「スチコンなど戦略商品の好調」等を挙げている。
一方マイナス要因としては「高水準需要の息切れ」、「大型物件の不足」、「インバウンドの息切れ」等を挙げている。
 
◎主なポイント
*ソフトビジネスの強化
同社HPに「きっちんぷらす+」というサイトを開設している。
これは、スチコンなど機械の使用方法、スチコンを使った料理の基本レシピおよび顧客と開発したレシピ(約800種類)、取材に基づいた活用事例などを順次紹介する専用サポートサイト。
テストキッチンでのセミナーも含めソフトビジネスの強化が機器販売増に確実に結びついているという。
 
*サービスタブレット導入による活動の効率化
同社では2015年に国内全サービススタッフへタブレットPCを支給した。
従来、事務作業(日報の作成など)は外出前や帰社後に偏っていたが現場の空き時間で実施する事が可能になり、事務作業時間の短縮、有効訪問件数の増大などに繋がっている。
 
<海外>
 2016年度の重点施策と懸念事項として以下の様な点を認識している。
 
第3四半期以降の業績変動要因は、プラス要因として「米国景気の好調継続」、「販売チャネルとSCM(サプライチェーンマネジメント)の強化」等を挙げている。
一方マイナス要因としては「円高の継続」、「低コスト冷蔵庫拡販の遅れ」、「欧州・アジア景気の失速」等を挙げている。
 
◎主なポイント
*製氷機市場のシェアアップ(米州)
同社製氷機の北米におけるシェアは着実にアップしている。
 
*冷凍冷蔵庫の拡大
冷凍冷蔵庫の販売台数はホシザキアメリカ、ホシザキ上海とも前年同期比で2割以上の成長となっている。
品質や省エネなど商品性能について高い評価を受けているが、今後も積極的な販促支援、販売及び生産体制の強化など基盤整備に向けた先行投資を継続する。
 
*インド、東南アジアでの冷凍冷蔵庫の拡販強化
ウエスタン社は2014年より主にインド国内向けにホシザキブランドの冷凍冷蔵庫を開発・製造・販売しているが、インド国内の大手外食チェーンへ納入するなど堅調に推移している。
今下期以降はASEAN市場へ投入し更なる拡販を目指している。

インド国内では、ホシザキブランドの品質(冷却能力など)を保ちつつ、価格を抑えた冷凍冷蔵庫を投入し、高価格の輸入品と低価格・低品質のローカル・中国製が主流の同国市場で先行者利益を享受することを目指している。
一方、ASEANでは高い冷却性能、価格競争力(インドからの輸出は中国からの輸出よりも低関税のケースもある。)で市場を開拓する。
 
*事業多角化の進展(ランサー)
ランサーが業務用ブレンダ―製造・販売大手のBlendtec社(米国)とBlentec社製品の販売面で提携した。
ランサーはそのグローバル販売網を活用してブレンダ―を販売する。脱・炭酸飲料が進む中、主力であるディスペンサの大きな成長が期待しにくい中、新たな収益の柱を確立する。
今後は製造・開発面でも提携を深めていく考えだ。
 
 
今後の注目点
前回レポートで、「国内売上は通期予想3.9%増収に対し、第1四半期はそれを大きく上回る8.2%であったことが注目される。もちろん今期はまだ始まったばかりであるが第2四半期以降、国内売上のモメンタムを注視したい。」と述べたが、通期業績予想修正の一方で、第2四半期まで国内売上高は堅調に推移しており、同社の国内市場での圧倒的な強さが裏付けられた形だ。また海外も為替の影響を除けば堅調であり、冷蔵庫、製氷機共に拡大が続き、事業の実態に大きな変化はないようだ。高値から約3割下げた株価も戻り歩調にあるようで、業績の拡大ペースと株価の推移双方を注目したい。
 
 
 
<参考1:次期経営ビジョン(2016-2020)の概要>
 
同社は2016年から2020年までの5年間の経営ビジョンを発表した。
 
<2015経営ビジョンの総括>
2015年経営ビジョン(2011-2015年)の目標及び実績は以下の通りであった。
 
 
上記の内、①と③は1年前倒しで達成。②についても、2015年12月期でほぼ達成している。
 
<次期経営ビジョンの位置付け>
今後の5年間について同社は、国内景気については2018年以降大きく潮目が変わるリスクがあると見ている。
一方海外についても冷蔵庫の拡大やM&Aの実施で海外売上高比率50%を目指していくが、先行投資負担増、エリア拡大によるガバナンスに関するリスク増も想定している。
こうした環境変化を想定する中、確実な成長及び収益性の改善を図りつつも環境変化に巧みに対応できる経営基盤の強化に積極的に取組み、一段上の成長と収益改善を目指す。
 
<経営方針・財務目標>
 
 
 
 
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年8月1日に提出している。