ブリッジレポート:(1433)ベステラ vol.3
(1433:東証マザーズ) ベステラ |
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企業名 |
ベステラ株式会社 |
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社長 |
吉野 佳秀 |
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所在地 |
東京都墨田区江東橋4-24-3 |
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決算期 |
1月末日 |
業種 |
建設業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2016年1月 | 3,846 | 447 | 464 | 292 |
2015年1月 | 3,060 | 384 | 388 | 219 |
2014年1月 | 2,056 | 176 | 178 | 110 |
株式情報(9/9現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
社名の「べステラ(BESTERRA)」は英語の「Best(goodの最上級)」とラテン語の「Terra(地球)」を合わせたもので「素晴らしい地球を造っていこう」と言う思いが込められている。 16/1期はプラント解体事業が売上高全体の98.3%を占め、人材サービスが残る1.7%。2015年1月に事業を開始した3D計測は先行投資段階にあり、事業単独での売上の計上はなかった。 【企業理念・行動規範】
「柔軟な発想と創造性、それを活かした技術力により地球環境に貢献します」と言う企業理念の下、下記の行動規範を掲げている。
行動規範
プロとしての責任を果たします。我々は常に新しい技術を生み出し、「安全を何よりも優先」し、「より早く、より安く、より安全に」を合言葉に さらに安心を加えて、お客様に提供します。 【沿革】
1947年3月、愛知県名古屋市において、現代表取締役社長 吉野佳秀氏の実父 春吉氏が吉野商店を創業。1964年9月に吉野佳秀氏が事業を引き継ぎ、1974年2月に株式会社に改組すると共に商号をベステラ(株)に変更した。その後、東京に拠点を移し、建設工事(解体工事は建設工事と同様の規制下に置かれている)の元請けとなるために必要な「一般建設業」や「特定建設業」の許可を取得。「安全」、「早い」、「低コスト」を念頭に工法の開発にも取り組み、「大型球形貯槽の切断解体方法(リンゴ皮むき工法)」(20004年7月)や「ボイラの解体方法」(2007年9月)等の特許も取得した。2013年1月に人材サービスを、2015年1月に3D計測サービスを、それぞれ開始。2015年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。尚、建設工事の完成を請け負う事を営業するためには、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受ける必要がある(「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には必ずしも必要ない)。建設業の許可は、下請契約の規模等により「一般建設業」と「特定建設業」に分かれ、下請け企業への発注金額の合計が40百万円未満であれば「一般建設業」の許可で対応できるが、下請け企業への発注の合計金額が40百万円以上になると「特定建設業」の許可が必要となる(同社は、土木工事業、とび・土工工事業、建築工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、管工事業で「特定建設業」の許可を取得している)。 【事業の特徴】
プラントの解体工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、多くの場合、施主系列の設備工事会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、同社が一次下請け、二次下請けとなっている。16/1期は、JFEグループのJFEプラントエンジ(株)、新日鉄住金グループの日鉄住金テックスエンジ(株)、戸田建設(株)、東京電力グループの(株)東京エネシスの上位4社向けの売上が全体の55.9%を占めた。
※ 完成工事高実績(季節的変動について)
同社の売上高(完成工事高)は顧客(施主)の設備投資計画に応じた季節性があり、第1四半期(2月~4月)及び第4四半期(11月~1月) に計上される割合が高くなる傾向がある(工事進行基準の採用は、請負金額50百万円超、工事期間3ヶ月超、かつスクラップ等売却予想金額が工事請負金額の10%以下の工事)。
【強み -優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、特許工法等の知的財産-】
強みは、優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的解体マネジメント、及び特許工法等の知的財産。製鉄、電力、ガス、石油等の大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤は与信の不安がない一方で、中長期にわたり継続して受注が見込める豊富な案件を有する。また、約40年間の実績に裏打ちされたプラント解体のトータルマネジメントは、これら優良企業から高く評価されており、参入障壁となっている。更に、環境対策工事等で蓄積してきた様々な技術やノウハウも強みであり、発生材の再資源化に関する豊富な知識と共に、顕在的・潜在的な知的財産となっている(特許取得済14件、同申請中5件)。 |
事業環境と中期経営計画(17/1期~19/1期) |
追い風となる各種政策
・産業競争力強化法及びエネルギー供給構造高度化法の施行
産業競争力強化法及びエネルギー供給構造高度化法は、高効率化を目的にプラントの再編や再構築を促すもの。両法の施行で老朽化設備や余剰設備の廃棄等の増加が期待できる。
・エネルギー使用合理化等事業者支援補助金の増額
エネルギー使用合理化等事業者支援補助金は発電設備の更新等に際して補助金を支給する制度。2016年度の補助金は、2015年度の410億円から515億円に増額されるため、更新案件の増加が予想され、廃棄等の需要増も見込まれる。
・建設業の許可業種区分に「解体工事」新設
建設業法の改正に伴い、43年ぶりに建設業許可業種区分に「解体工事業」が新設された(これまで「とび・土工工事業」の業種区分の中に含まれていた)。「解体工事業」の新設は解体工事における施工管理体制の強化(安全品質向上)を目的としており、解体工事のトレンドは安全品質重視。同社にとって追い風である。尚、これまでは「とび・土工工事業」の許可を得ていれば解体工事を行う事ができたが、上記の改正に伴い、1件500万円以上の解体工事を実施する場合は、「解体工事業」の許可が必要となる(2016年6月の施行日から3年間は経過措置として、既存の「とび・土工工事業」の技術者を配置しても解体工事の施工が可能)。 【中期経営計画(17/1期~19/1期)】
今期スタートした中期経営計画は、「成長戦略の推進」、「制度・仕組みの革新」、及び「新しい社会価値の創出」を基本戦略とし、最終の19/1期に、売上高70億円、営業利益6億50百万円、ROE17%以上の達成を目指している。また、「成長投資」の継続的な実施と共に、「事業基盤強化のための内部留保」にも努めつつ、最終利益の40%を株主へ利益還元(配当)していく考え。成長投資については、設備投資(ロボット、3D計測機器)、技術開発投資(工法開発、ロボット開発)、システム投資(3Dシステム、BIM・CIM)、及び戦略的事業投資(M&A等)を合理的な資金配分の下で実施していくとしている。 数値目標の達成に向けた施策
基本戦略として、成長戦略を推進、制度・仕組みの革新、及び新しい社会価値の創造を挙げている。
成長戦略の推進
(1)工法の充実では、特許工法の実用化に向け提案営業を強化する。同社は、14件の特許工法を有するが(この他、申請中5件)、「リンゴ皮むき工法」(特許名:大型貯槽の切断解体方法)以外の工法の実用化はこれから。先ず認知度を高める必要がある。
※ なぜプラント解体に3D計測なのか
なぜプラント解体に3D計測なのか?と疑問を持つ方も少なくないだろうが、「今後、プラント設備の効率的な管理に3Dデータによるシステムが必要になる」と言うのが同社の考えで、ポイントは、(1)紙面データの最新3Dデータ化、(2)3Dデータによる可視化、及び(3)IoT×解体による新しい価値の創造、に集約される。(1)紙面データの最新3Dデータ化 数十年以上前の高度経済成長期に設計・建造されたプラント設備は、そのほとんどが紙面データにより管理されている。しかし、長期間の使用による経年劣化や改修等で現状の設備と紙面データの内容が異なるケースが多く、この場合、施設情報の正確な把握が難しい。施設情報を正確に把握できなければ、安全に効率よく低コストでの解体工事や改修工事が難しい。しかし、3Dデータ化する事で最新の施設情報の把握でき、解体工事や改修工事にも活かす事ができる。 (2)3Dデータによる可視化 対象のプラント設備を3Dデータ化する事で施設情報を可視化できる。このため、本社、現場事務所、施工会社本社、現場事務所等、関係各所での情報共有が可能になり、解体工事や改修工事の安全性・効率性にもつながる。具体的には、閉鎖空間での重機等の干渉部分や環境対策箇所の可視化(事前確認)、解体シミュレーションの実施・共有化、解体手順の体系化・マニュアル化等が可能になる。 (3)IoT×解体による新しい価値の創造 3D点群データ、3DCADデータ、各種設計図書、写真動画、2DCADデータを一括管理し(クラウドを利用したデータベース化)、GIS(地理情報システム)と連動させる事でプラント設備のトータル管理が可能になる。また、3Dデータ上を自走する自律行動ロボットの実用化のベースにもなる。開発を進める。特に今後の増加が予想される原発の解体は高い精度が要求されるため、3D解体が不可欠とみられており、その際、自律作動ロボット(点群3D Map利用ロボット)が威力を発揮する。 |
2017年1月期上期決算 |
前年同期比2.0%の増収、同13.3%の営業減益
売上高は前年同期比2.0%増の19億06百万円。同社の売上高は顧客(施主)の設備投資計画に応じた季節性があり、通常、第1四半期(2-4月)と第4四半期(11-1月)に完了する工事の割合(工事が完了して売上が計上される)が高くなるが、今期は大型の進行基準工事があるため売上が平準化されている。具体的には、第1四半期の完成工事高(売上高)が8億95百万円と同30.2%減少する一方、第2四半期(5-7月)の完成工事高(売上高)は10億10百万円と同73.1%増加した。営業利益は同13.3%減の2億31百万円。工事の順調な進捗に加え、進行基準採用工事の売上の増加もあり、売上総利益率が改善したものの、人材採用、広告宣伝、及び3D計測関連の設備投資等、計画通りに実施した先行投資が負担になった。尚、6月に京都大学及び山口大学との提携によるロボット開発を開始した(後述)。 上期末の従業員数は前期末に比べて11名増の58名。プラント解体工事の受注・施工能力強化と3D強化に向け、工事技術者7名(30名)、3D技術者4名を採用した。上期末現在、工事技術者30名、3D技術者8名。 受注高は前年同期比57.6%減の14億03百万円。製鉄関連の比率が高いが、電力関連の伸びが顕著だった。前年同期比で大幅な減少となったが、これは前年同期の受注が3年に及ぶ長期大型案件の受注(22億20百万円)で押し上げられたため。大型案件を除くと同29%の増加。同様の理由で上期末の受注残高も28億94百万円と前年同期末比7.2%減少したが、水準自体は高い。鉄鋼関連が受注残の約69%を占めている。 (3)トピックス
3D解体の実現を目指したロボット開発に関する共同研究契約の締結
研究の目的は、同社が作成した3D点群マップを基に自律動作するロボットの開発であり、自律作動ロボットにおける自動プラント監視や自動施工に加え、原子力発電所の解体への活用も視野に入れている。共同研究先それぞれの課題や役割は次の通り。京都大学 : 3D点群マップによる自律作動技術の開発 山口大学 : 視覚センサからの情報と3D点群の比較照合研究 国際レスキューシステム研究機構 : 実験用プラットフォームの提供 今回締結した契約の期間は2016年5月1日から2017年3月31日までだが、開発全体では約3年間を予定している(ロボットの開発完了:2019年3月31日)。2017年3月31日までの1年目はプロトタイプの製作に向け、3者それぞれが研究開発を進め、2年目は新たに製造を担当するメーカー等のメンバーが加わり、量産に向けた取り組みを進める。そして3年目は商業化に向けた最終段階の年となる。 「パーフェクト3D」による東京スカイツリーから墨田区役所周辺区域における大規模3次元データの公開
今回の東京スカイツリーから墨田区役所周辺区域における大規模3次元データは、墨田区役所及び東武タワースカイツリー(株)の協力の下、同社の大規模3次元データ計測サービス「パーフェクト3D」によって実現したもの。建物・プラント等の精密な3次元レーザー計測を得意とする同社の計測技術をベースにして、朝日航洋(株)(東京都江東区、トヨタ自動車グループ。以下、朝日航洋)の航空レーザー計測、MMS(モービルマッピングシステム)を活用する事で、日本最大の建築物である東京スカイツリーと墨田区役所周辺区域の3D点群データを収集・統合し実現したもの。マクロからミクロまでを網羅した大規模3次元計測データであり、3次元点群データ提供サービスである「パーフェクト3D」の第1号案件である。 |
2017年1月期業績予想 |
業績予想に変更はなく、前期比22.2%の増収、同8.4%の営業増益
売上高は前期比22.2%増の47億円。大型の進行基準採用工事があるため、売上は平準化の傾向にあるが、今期も第4四半期に売上計上される割合は例年通り高くなる。利益面では、売上の増加と原価率の改善で人員増強や3D計測事業関連の先行投資負担等を吸収して営業利益が4億85百万円と同8.4%増加する見込み。補助金収入を見込んでいないため経常利益が同5.1%の増加にとどまるものの、当期純利益は3億13百万円と同7.0%増加する見込み。配当は1株当たり上期末10円、期末30円の年40円を予定している(2016年2月1日付けで1株を2株に分割しているため、実質的には記念配10円を落として5円の増配)。 (2)株主優待の新設
同社株式への投資魅力を高め、より多くの投資家に中長期で保有してもらうべく、株主優待制度を新設した。具体的には、毎年1月31日現在の株主名簿に記録された、1単元(100株)以上保有の株主様を対象に2,000円分のQUOカードを贈呈する。
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
◎コーポレートガバナンス報告書
同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレート・ガバナンス報告書を2016年4月25日に提出しており、コーポレートガバナンス・コードの各基本原則を全て実施している。
基本的な考え方
当社では、健全な経営の推進と社会的信頼に十分に応えるべく、コーポレート・ガバナンスを最も重要な経営課題として位置付け、経営の健全性・透明性および公平性を高めることに重点を置き、法令遵守を社内に徹底させることは当然のこととし、役員全員が常に「法令違反は即経営責任に直結する」との危機感を持ち経営に臨んでおります。具体的には、経営の意思決定、職務執行および監督ならびに内部統制等について、適切な体制を整備・構築することにより、法令・規程・社内ルールに則った業務執行を組織全体に周知徹底しております。また、株主重視の経営に徹するべく、「適正な株価形成」・「株価の持続的上昇」のための経営改革を実現し、経営のチェック機能を強化することでグローバルに通用するコーポレート・ガバナンスを確立することも重要であると考えております。その結果が、社会からの信頼の獲得に繋がることとなり、自ずと企業価値も高まり、株主の皆様にも満足して頂けるものと考えております。 |
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |