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(3667) 株式会社enish

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ブリッジレポート:(3667)enish vol.15

(3667:東証1部) enish 企業HP
安徳 孝平 社長
安徳 孝平 社長

【ブリッジレポート vol.15】2016年12月期上期業績レポート
取材概要「開発及び運用体制のスリム化が進む中、根強いファンを抱えている「ぼくのレストラン」や「ガルショ☆」等のブラウザアプリが健闘し、「12オー・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年8月9日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社enish
社長
安徳 孝平
所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年12月 5,482 -964 -1,004 -1,447
2014年12月 6,452 149 151 22
2013年12月 6,624 1,109 1,078 653
2012年12月 4,430 666 654 373
2011年12月 2,590 526 523 298
2010年12月 415 64 71 55
2010年1月 22 -40 -41 -41
株式情報(7/29現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
500円 7,800,800株 3,900百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% - #VALUE! 229.10円 2.2倍
※株価は7/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
enishの2016年12月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランII」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの企画・開発・運営会社。Link with Funというスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げており、社名の「enish(エニッシュ)」は、人と人との縁(えん、えにし)に由来している。
14年3月には実質的創業者である安徳孝平(アントク コウヘイ)氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考え。

尚、ネイティブゲーム(アプリ)とは端末にダウンロードして楽しむアプリで、主にスマートフォン向けに提供されている。一方、ブラウザゲーム(アプリ)はダウンロードせず、GREE、mixi、Mobage等のプラットフォームにアクセスしてブラウザ上で楽しむ。いずれも無料で楽しむ事ができるが、ゲームを進める上で有効なアイテム等を購入した場合、課金が発生する。ブラウザゲームでは、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
 
 
【事業内容】
事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント(ゲームはアプリのカテゴリーの一つ)。ブラウザアプリを収益基盤にネイティブアプリを育成している。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等を購入すると課金が発生する。ブラウザアプリの場合、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
 
リリース後の「運営」が事業成否のポイントとなるソーシャルゲーム
ソーシャルゲームは、①ゲームを通してプレイヤー同士がコミュニケーションを図る、②基本的には無料でゲームを進めながらアイテム等で課金、③原則無料のためスマートフォンさえあれば気軽に遊べる、④ゲームにゴールがない、⑤リリース後ゲーム進行に合わせて新機能の追加実装、⑥キャラクターやアイテムを追加して運営していくスタイル、といった特徴を有し、パッケージで提供されるゲームと異なり、「リリース」よりもリリース後の「運営」が事業成否のポイントとなる。

「運営」とはゲーム内イベントの運営であり、そのゲームの育成対象となるアイテムやキャラクター等を獲得できる収集イベント、キャラクターを成長させるための育成イベント(育成専用のアイテムの配布等を実施)、及び育成したアイテムやキャラの力を試す活用イベントの3つ。中でも、他のユーザとの戦いや協力でゲームが進行し、リアルタイムでのランキング表示もある活用イベントは、ユーザの注目度も高く、最も売上が大きくなる。
 
【主要タイトル】
IPタイトルの投入(安定した集客の見込めるIPタイトルの開発推進)、ネイティブアプリの成長、ブラウザアプリの運営強化(タイトルの選択と集中及び収益性の維持)の3点をメインテーマとした事業展開を進めている。
 
 
 
世界を滅ぼしかけた魔龍の爪あとが残るウルザールを舞台に、プレイヤーは「約束の地」を求めて旅立つ。個性豊かなキャラクターとの出会い、交錯する思いと人間模様、徐々に明らかになっていくストーリー。ジョブシステムと多彩な装備やスキルを駆使した戦略性と共に、派手なエフェクトと3Dで表現される爽快なリアルタイムバトルを堪能できる。
 
 
2016年12月期上期決算
 
 
営業損失が前年同期の6億27百万円から1億58百万円に縮小
売上高は前年同期比12.9%減の25億08百万円。不採算の5タイトルを譲渡・クローズした影響が大きかったが、年初にリリースしたネイティブアプリ「12オーディンズ」(Android版を2016年1月26日に、iOS版を同年1月28日に、それぞれリリース)が順調にダウンロード数を伸ばし、「ぼくのレストランⅡ」、「ガルショ☆」、「ドラゴンタクティクス」等のブラウザアプリも、減収ながら想定以上に健闘した。

損益面では、運用・開発両面からのタイトルの絞り込みで労務費や外注費を中心に売上原価が同24.2%減少した事で、売上総損益が前年同期の2百万円の損失から3億23百万円の利益に転じた。一方、販管費は、「12オーディンズ」のプロモーション強化に伴い広告宣伝費が増加したものの、人件費、採用費、支払手数料等の主要経費の削減が進み、21億85百万円と同22.8%減少。この結果、営業損失が前年同期の6億27百万円から1億58百万円に縮小した。
貸倒引当金繰入額15百万円の計上やオフィスの一部解約に伴う減損損失 70百万円を計上したため、最終損失は2億38百万円となった。
 
 
「12オーディンズ」に広告宣伝費を積極的に投下
第2四半期(4-6月)は前年同期比減収ながら、営業損失が大幅に減少した。順調にダウンロード数を伸ばしていた「12オーディンズ」のプロモーション強化に伴い、前年同期は11百万円にとどまった広告宣伝費を1億71百万円計上(第1四半期56百万円との比較で約3倍)した事が負担になったが、労務費・外注費を中心にした原価低減と、広告宣伝費を除く経費全般の削減が進んでいる。
 
 
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて48百万円増の23億01百万円。新株予約権の行使によって 4億05百万円を調達した事で現預金が増加し、最終損失(2億38百万円)の影響を吸収して純資産も増加した。尚、同社は開発費を資産計上せず、発生した期に費用計上している。自己資本比率77.6%(前期末71.6%)。
 
 
損益の改善で営業CFがほぼ均衡した。投資CFのマイナス幅が拡大したのは定期預金の預け入れ(1億円)が主な要因。財務CFは、短期借入金の一部を返済したものの、新株予約権の行使によって 4億05百万円を調達したため2億74百万円の黒字となった。
 
 
2016年12月期業績予想
 
【業績予想の開示を見合わせ】
「ソーシャルアプリ事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い半期及び通期の業績予想数値を算出することが困難となっている」として、業績予想の開示を見合わせている。事業を進める上でのメインテーマや投資と注力ポイントについて、次のように説明している。
 
【今後のガイダンス】
ネイティブアプリでの収益基盤を構築し着実な事業成長を目指す考え。下記3点をメインテーマとして事業を進めていく。
 
(1) IPタイトルの投入 安定した集客の見込めるIPタイトルの開発を推進する
(2) ネイティブアプリ
の成長
「12オーディンズ」に広告費を投下し、ヒットタイトルに成長させる
(3) ブラウザアプリの
運営強化
運営力を活かし、既存ブラウザタイトルの収益維持及びタイトルの選択と集中
 
(1)IPタイトルの投入
開発を協力した「仮面ライダー バトルラッシュ」が2016年7月25日に(株)バンダイナムコエンターテインメントからリリースされた(iOS版、Android版)。歴代全シリーズの仮面ライダーが登場するため評判も高かった模様。
 
(2)ネイティブゲームの成長 「12オーディンズ」に広告費を投下し、ヒットタイトルに成長させる
「12オーディンズ」のAndroid版を2016年1月26日に、iOS版を同年1月28日に、それぞれリリースした。2月に30万、3月に50万、4月に60万と順調にダウンロード数を伸ばし、7月には100万を突破した。App StoreのTOPセールスランキングでは、同社にとって、これまでの最高となる41位にランキングされた。
7月29日現在、リリース半年&100万ダウンロード突破記念キャンペーンを開催中で、認知度の向上と収益化につなげていきたい考え。
 
 
リリース半年&100万DL記念キャンペーン概要
①半年&100万DL記念ガチャ 「アーカーシャの短刀」や、「シャーマンセット」が登場!
②アイテムセール 期間限定で、お買い得パックが登場!
③ログインボーナス キャンペーン期間中にログインすると、武器・盾ガチャメダルや オーブ、エリクシールなど豪華アイテムをプレゼント
 
(3)ブラウザアプリの運営強化 タイトルの選択と集中及び収益性の維持
不採算タイトルを譲渡・クローズし 選択と集中が完了した。今後は、経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランⅡ(370万ダウンロード)」、経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」(350万ダウンロード)、カードバトルRPGゲーム「ドラゴンタクティクス」(230万ダウンロード)、モデル育成シミュレーションゲーム「プラチナガール」、伝説の鉄人との料理バトルゲーム「料理の鉄人」の運営に注力し、ゲーム内施策の強化はもちろん、コラボやプラットフォームの拡大にも積極的に取り組んでいく。
 
 
 
【投資と注力ポイント】
引き続きネイティブアプリに絞り積極的にプロモーション投資を実施していくと共に、年間1~2タイトルをリリースする体制で新規タイトルの開発投資を継続していく。この他、引き続きコストコントロールに注力していく。
 
 
 
今後の注目点
開発及び運用体制のスリム化が進む中、根強いファンを抱えている「ぼくのレストラン」や「ガルショ☆」等のブラウザアプリが健闘し、「12オーディンズ」が順調にダウンロード数を伸ばしている。目先の利益にとらわれることなく状況に応じて機動的に広告宣伝費を投下していく必要があるため(効果が出てくるのは半年から1年先)、今後も広告宣伝費いかんでは一時的に営業損益が水面下に沈む可能性はあるものの、広告宣伝費を除いたベースでは営業利益を確保できる体制が整ってきた。ブラウザアプリが収益をあげている間に、「12オーディンズ」の収益化と同アプリに次ぐネイティブアプリを育成していく事ができるか、が下期以降のポイントとなる。「仮面ライダー バトルラッシュ」で早期に実績をあげたいところだ。
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書   2016年3月28日更新
<実施しない主な原則とその理由>
■補充原則1-2-4 株主総会の権利行使における環境作りについて
招集通知の英訳版及び議決権電子行使プラットフォームについては、機関投資家や海外投資家等のニーズを踏まえ、今後検討いたします。

■原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表
ソーシャルアプリ事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、具体的な数値目標を算出することが困難となっているため、決算業績及び事業の概況のタイムリーな開示に努め、具体的な数値目標については開示を見合わせます。

<開示している主な原則>
■原則1-4 いわゆる政策保有株式
当社は、ソーシャルゲーム開発に事業を注力するため、当面は、上場株式を保有しない方針であります。なお、今後、政策保有をする場合、中長期的な企業価値向上の観点から、個別に賛否を判断いたします。

■原則1-7 関連当事者間の取引
関連当事者取引については、取引条件及びその決定方法の妥当性について取締役会で審議し、意思決定を行う方針であります。
また、取締役会での意思決定後も、経理部門が取引の内容等の事後的なチェックを実施しています。

■原則3-1 情報開示の充実
(i)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
当社は、「Link with Fun」というスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げ、ゲームデザイナー、エンジニア及びアートデザイナーが付加価値の高いサービスを生み出す会社であるとともに、グローバルマーケットに立てるクリエーター、スペシャリストを生み出す会社でもあり続けたいという経営の基本方針のもと、ソーシャルアプリを通じて、世界中のユーザーに新たな喜びを提供してまいります。
また、当社が属するソーシャルゲーム業界につきましては、競争環境が激化しております。
このような状況の下、当社といたしましては継続的に良質なゲームタイトルを市場に投入し、多様化するユーザーの嗜好に応える組織体制を整える必要があると考えております。また、今後の規模拡大に伴いコーポレート・ガバナンスの強化も重要な課題として認識しております。
そのため、重要な経営課題及びその進捗状況については、株主総会や四半期ごとの決算発表その他適時に説明を行うこととしております。また、企業価値拡大に向けた取り組み方針については、随時決算説明会資料等で開示を行っております。詳しくは当社IRページ(http://www.enish.jp/ir/)をご覧ください。

■原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針
当社は、株主との建設的な対話を促進するため、経営陣幹部等を中心に様々な機会を通じて株主と対話を持つよう努めております。
また、広くIR活動を行うため、IR担当役員として取締役執行役員管理部長を指定し、IR担当部署として管理本部経営企画を指定するとともに、経理、総務等の関連部門と有機的な連携に努めております。
アナリストや投資家および株主にタイムリーに情報提供するとともに、お問い合わせに迅速かつ適切に対応するよう努める一方で、対話に際してのインサイダー情報の管理を徹底するよう努めております。なお、株主の意見や懸念につきましては、必要に応じて経営陣幹部や取締役会に報告しております。