ブリッジレポート
(6089) 株式会社ウィルグループ

プライム

ブリッジレポート:(6089)ウィルグループ vol.4

(6089:東証1部) ウィルグループ 企業HP
池田 良介 会長兼CEO
池田 良介 会長兼CEO

【ブリッジレポート vol.4】2016年3月期業績レポート
取材概要「一般派遣の市場を開拓し、その後、強みであるハイブリッド派遣へシフトさせると言う戦略が成果を上げており、業績は好調だ。円高・株安の・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年6月28日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ウィルグループ
会長兼CEO
池田 良介
所在地
東京都中野区本町1-32-2
決算期
3月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年3月 45,028 1,429 1,468 692
2015年3月 32,586 939 950 547
2014年3月 26,798 808 774 384
2013年3月 22,174 618 631 289
2012年3月 19,049 478 472 161
株式情報(6/8現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,191円 9,532,556株 11,353百万円 20.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 1.7% 89.17円 13.4倍 378.05円 3.2倍
※株価は6/8終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ウィルグループの2016年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
販売支援スタッフ、コールセンターオペレーター、食品業界を中心とした製造ラインスタッフの人材派遣、人材紹介等を手掛ける持ち株会社。フィールドサポーターと呼ばれる社員が現場に常駐する「ハイブリッド派遣」が特徴。現場第一主義を掲げ他社との差別化を図っており、売上高1,000億円を目指し新規事業の創出にも注力している。グループ会社は、セールス及びコールセンターのアウトソーシングを手掛ける(株)セントメディア、製造業に特化したサービスを手掛ける(株)エフエージェイ、小・中学校等へのALT(Assistant Language Teacher:外国語指導助手)派遣や幼児・児童向け語学教室運営等の(株)ボーダーリンク、セールスプロモーションの(株)クリエイティブバンク等、連結子会社15社。(2016年3月末現在)
 
【WILLビジョン】
4つの事業領域で、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、各領域においてNo.1の存在になる。
 
 
【沿革】
同社グループの前身は、1997年1月に大阪市北区において設立されテレマーケティング業を営んでいた、現在は連結子会社である(株)セントメディアである。一方、同じく1997年8月、大阪市浪速区に短期型の業務請負業を手掛ける(株)ビッグエイドが設立され、現在の代表取締役会長池田良介氏は創業メンバーの一人として同年10月に(株)ビッグエイドに入社した。

2000年2月、テレマーケティング業と業務請負業の相乗効果を図る事を目的として、両社が(株)セントメディアを存続会社として合併し、池田良介氏が合併後の会社の社長に就任。以降、(株)セントメディアを中核会社として人材サービス分野の事業を展開し、市場の変化に対応する形で新規事業の創出や既存事業の再編を重ねてきた。
2006年4月、事業会社の専門性向上と経営資源の最適化を図るべく純粋持株会社体制に移行し、(株)ウィルホールディングスとして再スタート(2012年6月に(株)ウィルグループに商号変更)。2013年12月に東証二部上場を果たし、2014年12月に東証一部に指定された。
 
【事業内容】
「セールスアウトソーシング事業」、「コールセンターアウトソーシング事業」、及び「ファクトリーアウトソーシング事業」の3事業を収益の柱とし、並行して、次の成長の柱を育成するべく様々な人材関係ビジネスの種蒔きを行っている(関連する収益が「その他」に計上されている。
16/3期の売上構成比は、セールスアウトソーシング事業39%、コールセンターアウトソーシング事業22%、ファクトリーアウトソーシング事業23%、その他16%。業態別では、人材派遣64%(ハイブリッド派遣30%、一般派遣34%)、業務請負25%、人材紹介3%、その他8%。
 
セールスアウトソーシング事業
家電量販店、携帯ショップ等における販売業務を通して、顧客の商品・サービスの拡大を支援している。取扱商品は、スマートフォン等のモバイルデバイスやブロードバンドが中心であり、接客、商品説明、申込み等の販売業務、販売スタッフのマネジメント、販売情報の収集・報告等の業務に従事するスタッフをチーム型で派遣(ハイブリッド派遣)する他、一般派遣や業務請負を行っている。また近年では対象分野拡大のため、アパレル業界やRPO(採用代行)事業への進出、2015年9月には広告代理店業を営む株式会社クリエイティブバンクを子会社化し、セールスプロモーションの企画・運営にも取り組んでいる。
 
コールセンターアウトソーシング事業
コールセンターを運営する企業やテレマーケティングサービスを展開する企業に対してオペレーターを派遣している。コールセンターの中でも、通信会社向けを中心としており、情報提供、配送、アフターサービス、相談、苦情の受付、処理、解決等の業務に従事するスタッフをチーム型で派遣(ハイブリッド派遣)または一般派遣している。また、自社でコールセンターを保有し、顧客のテレマーケティングの業務請負も行っている。
 
ファクトリーアウトソーシング事業
製造業の生産過程において、技術や人材管理ノウハウを提供し、顧客の生産性の向上を実現するサービスを提供している。同事業を行っている(株)エフエージェイでは、製造業の中でも、比較的景気変動の影響が少ない食品製造業を中心に、製造、検査、品質管理、仕分け、梱包等の業務に従事するスタッフをチーム型で派遣(ハイブリッド派遣)するほか、一般派遣や業務請負を行っている。
 
その他
成長の柱を育成するべく、オフィス等への人材派遣、スポーツ業界人材紹介、介護職派遣、ALT(外国語指導助手)派遣、IT技術者派遣、ネット人材紹介、海外人材サービス、シェアハウス、3Dクラウド等で新規事業の育成に向けた種蒔きを行っており、これらに関連する収益が計上されている。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
【ハイブリッド派遣】
同社は派遣事業の売上が全体の64%を占めているが、このうち34%が一般の派遣で、残る30%が、同社派遣事業の特徴であり、強みでもあるフィールドサポーターを核とした「ハイブリッド派遣」である。
一般派遣では、複数の派遣会社から派遣されたスタッフが現場に入り交じっているケースが多く、顧客企業の現場担当者による派遣スタッフへの指揮命令や情報共有が複雑になってしまう。派遣会社にはコーディネーターという職種の正社員が、派遣スタッフのフォローを行うのが一般的だが、コーディネーターは現場にいるわけではないので、家電量販店の現場やコールセンターの電話ブース等で日々起こる様々な問題に正社員が即応する事はできない。
これに対し、同社の「ハイブリッド派遣」では、フィールドサポーター(FS、現場常駐社員)と呼ばれる同社の正社員が現場に入り派遣スタッフと一緒に同じ仕事をすると共に、同社の派遣スタッフを現場で日々管理・指導・教育している。このため、顧客担当者は、FSに指揮命令すれば、各スタッフ個々に指導する必要は無いため、指揮命令がスムーズになると共にスピーディーな情報共有も可能になるため、業務を効率的に進める事が出来る。
 
 
インストアシェアの拡大を可能にする「ハイブリッド派遣」
ハイブリッド派遣はインストアシェア(特定の顧客における派遣・請負スタッフ数のうち、自社の派遣・請負スタッフが占める割合)拡大の原動力でもある。具体的には、一般派遣の市場を開拓し、その後、強みであるハイブリッド派遣へシフトさせる事でインストアシェアの向上につなげている。ハイブリッド派遣によってチームとしての顧客の信頼を得た後、業務請負に移行させる事で、収益性を高めると共に顧客との関係を一段と強化する事ができる。
 
 
ハイブリッド派遣を可能にするもの
「現場で正社員であるFSがスタッフとしても一番になったうえで、現場を指導する」という形にしなければチームを機能させる事はできない。同社の場合、池田社長も含め、現在の部長やマネージャーのほとんどは新卒で入社し、スタッフとして現場で働き、派遣の現場で起こる事を全て経験している。この「現場第一主義」がハイブリッド派遣を可能にするカギと言える。逆に、こうした現場感覚の無い人間がチームという形を整えるために上司として現場に入っても課問題解決にはつながらず、逆に、スタッフがすぐ辞める、現場に入った正社員がスタッフ化してしまう(本社に対するロイヤリティを低下させる)といった問題が起きる。このため、同業他社がチームという形だけ整えても同社と同じクオリティを顧客に提供するには数年はかかる。
 
 
2016年3月期決算
 
 
前期比38.2%増収、同54.6%の経常増益
売上高は前期比38.2%増の450億28百万円。スマートフォン関連や食品製造業向けを中心に主力3事業の売上が同21~37%増と高い伸びを示す中、介護職派遣等の新規事業の売上も順調に増加した。業態別では、一般派遣での需要取り込み、ハイブリッド派遣への移行が共に順調だった人材派遣の売上が同27.8%増加した他、セールスアウトソーシング事業を中心に業務請負の売上も同27.4%増加した。
利益面では、育成中の新規事業の売上構成比が上昇した事等で売上総利益率が低下した他、業容拡大で人件費や採用費等を中心に販管費の伸びも大きくなったが(同35.4%増)、売上の高い伸びで吸収。営業利益は14億29百万円と同52.2%増加した。最終利益が6億92百万円と同26.4%の増加にとどまったのは、投資有価証券評価損1億10百万円など1億23百万円を特別利益に計上したため。尚、EBITDAは前期(10億91百万円)比54.8%増の16億88百万円。期末従業員数は929人(前期末比258人増)。このうちフィールドサポーター287人(同102人増)。

配当は、1株当たり、記念配当(持株会社設立10周年記念)10円を含む20円。(2015年9月に1株を2株に分割しているため、実質的には16円増配の40円)。
 
 
セールスアウトソーシング事業
売上高173億59百万円(前期比33.0%増)、セグメント利益12億19百万円(同17.2%増)。モバイルと光回線やタブレット等の副商材のセット販売での業務請負の拡大や2015年9月に子会社化したIT分野特化の広告代理店業を手掛ける(株)クリエイティブバンクの連結効果に加え、2015年4月にサービスを開始した官公庁向けサービスも順調に立ち上がった。利益面では、業容拡大に伴い人件費や採用費等が増加したものの、売上の増加と利益率の高い業務請負が伸びた事による売上総利益の改善で吸収した。
 
コールセンターアウトソーシング事業
売上高99億38百万円(前期比21.8%増)、セグメント利益6億41百万円(同22.5%増)。スマートフォン市場の拡大でアフターサービスとして端末の操作説明を行うオペレーターの需要が増加しており、既存案件でのインストアシェアの上昇と新たな需要の取り込みで売上が増加。利益面では、業容拡大に伴う人件費や採用費等の増加を吸収した。
 
ファクトリーアウトソーシング事業
売上高103億46百万円(前期比37.3%増)、セグメント利益5億68百万円(同32.9%増)。拠点増設に伴い、惣菜、コンビニエンスストア向けスイーツ、弁当等の中食といった食品製造業向けの売上(約39億円→約57億円)が48%弱増加し増収をけん引。取引先も広がり、非食品製造業との取引も増加した。利益面では、業容拡大に伴う人件費や採用費等の増加を吸収した。
 
その他の事業
売上高78億38百万円(前期比92.5%増)、セグメント利益1億06百万円(前期は1億17百万円の損失)。拠点展開を進めた介護職派遣の売上(14/3期0.5億円→15/3期5億円→16/3期26億円)が伸びた他、オフィス派遣の売上も、新規獲得案件の寄与で増加。海外事業では、2014年8月に連結子会社化したScientec Consulting(シンガポールで多国籍企業を中心に人材サービスを提供)が通期で寄与した。この他、利益率の高いネット人材紹介等、育成中の多くの事業で増益もしくは損益が改善した。
 
 
事業の拡大やM&Aで期末総資産は123億43百万円と前期末に比べて43億20百万円増加した。借方では、売上債権や無形固定資産が増加。貸方では、純資産や派遣社員等の給与である未払金に加え、M&A資金の調達で有利子負債が増加した。自己資本比率29.2%(前期末38.0%)。
 
 
税引き前利益が増加しものの、売上債権の増加等、業容拡大に伴う運転資金の増加で営業CFが減少した。M&A関連費用の増加で投資CFのマイナス幅も拡大したため、フリーCFは7億48百万円のマイナスとなり、長期借入金の借り入れで資金需要に対応した。
 
 
2017年3月期業績予想
 
【代表取締役の追加】
2016年6月21 日開催の第10回定時株主総会と、その後に開催される取締役会を経て、池田良介氏が代表取締役会長兼CEOに、大原 茂氏が代表取締役社長兼COOに、それぞれ就任した。

代表取締役2名体制の下、中期経営計画の遂行に当たり、池田良介氏が海外事業と、国内の新規分野を統括し、大原茂氏が国内人材分野を統括していく。

尚、新たに代表取締役社長兼COO に就任した大原茂氏は、同社グループの草創期より池田良介氏と行動を共にし、同社グループの成長に大きく貢献してきた。人材ビジネスに関する豊富な知見が大原茂氏の強みである。
 
 
前期比26.6%の増収、同9.6%の経常増益予想
売上高は前期比26.6%増の570億円。全国に生産拠点を有する顧客の他拠点への展開や物流業界への展開でファクトリーアウトソーシング事業の売上が同20.4%増加する他、スマートフォンと副商材のセット販売や2015年9月に子会社化したクリエイティブバンクの通期寄与等でセールスアウトソーシング事業の売上が同13.5%、スマートフォンのアフターサービスを行うオペレータの需要を中心にコールセンターアウトソーシング事業の売上が同15.4%、それぞれ増加する見込み。また、その他の事業も、拠点展開を積極的に進める介護人材派遣を中心に同81.0%増と高い伸びを見込んでいる。

営業利益は同11.9%増の16億円。IT投資や採用体制の拡充等の先行投資的な費用を織り込んだ事に加え、のれん償却費の増加等もあり、営業費用が554億円と同27.1%増加するものの、売上の増加で吸収する。助成金収入(前期65百万円を計上)を見込んでいないため営業外収益が減少するものの、特別損益の改善(前期は投資有価証券評価損1億10百万円等を特別損失に計上)で最終利益は8億50百万円と同22.8%増加する見込み。
EBITDAも同20.8%増の20億40百万円と高い伸びが見込まれる。

配当は1株当たり20円の期末配当を予定している(10円の記念配を落とし、普通配を10増配)。同社は20/3期における総還元性向30%を目標に、株主への利益還元を行っていく考え。
尚、総還元性向とは、純利益に対する配当と自己株式取得の合計額の比率の事。
 
 
 
中期経営計画「Will Vision 2020」
 
20/3期に売上高1,000億円、営業利益40億円の達成を目指す中期経営計画「Will Vision 2020」がスタートした。
「Will Vision 2020」は、Working(「働く」を支援する事業領域)、Interesting(「遊ぶ」を支援する事業領域)、Learning(「学ぶ」を支援する事業領域)、Life(「暮らす」を支援する事業領域)、の4つの事業領域で、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、各領域においてNo.1の存在を目指す「WILLビジョン」の下で進められていく。
経営目標として、上記の売上高・営業利益目標が掲げられ、目標達成のための重点戦略として下記3項目が示されている。
 
重点戦略
(1)現時点における主要3事業を業界内No.1に成長させる。
(2)新たに3つの事業を柱として確立する。
(3)人材サービス以外の事業分野において、一定規模の事業を創出する。
 
(1)現時点における主要3事業を業界内No.1に成長させる
ポイントとして、①顧客における当社グループのインストアシェア拡大、②営業展開エリア拡大、③関連事業領域の多角化の3点を挙げている。

一般労働者派遣市場は、リーマン・ショックで急激に収縮し、2008年から2010年の間に37%シュリンクしたが、その後、底打ちし、ほぼ横ばいで推移している。同社グループも、リーマン・ショックの直後は減収減益を余儀なくされたが、11/3期以降は、シェア拡大を背景に増収増益を実現している(16/3期で6期連続の増収・増益)。
 
 
同社グループは、20/3期の経営目標の達成に向け、ハイブリッド派遣で派遣先でインストアシェアを拡大し、その実績により顧客の信頼を得てハイブリッド派遣から業務請負に移行させる事で、収益性を高めると共に顧客との関係を一段と強固なものにしていく考え(⇒ スイッチングコストが高くなる)。また、営業展開エリアを広げ、拡大前期末に63か所あった営業拠点を、20/3期までに105拠点に増設する考え(17/3期末は73拠点を予定)。特にファクトリーアウトソーシング事業とその他の事業に含まれる介護人材派遣はエリア拡大余地が大きいと言う。この他、関連事業領域の多角化の一環として、16/3期に連結子会社化した(株)クリエイティブバンクへの人材供給でシナジーを追求していく。
 
(2)新たに3つの事業を柱として確立する
「販売スタッフの派遣・請負」(セールスアウトソーシング事業)、「コールセンターのオペレーター派遣・請負」(コールセンターアウトソーシング事業)、及び「工場等の軽作業スタッフの派遣・請負」(ファクトリーアウトソーシング事業)の3事業を収益基盤に、第4、第5、第6の事業の柱を構築する。この一環として、現在、8つの事業の育成に取り組んでいる。
 
 
8事業のうち、特に介護職派遣は人材難から引き合いが増えており、大きなポテンシャルを感じている(厚生労働省の「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」によると、2025年度には介護人材が38万人弱不足すると言う)。15/3期末に9拠点(前々期末2拠点)だった拠点数を16/3期は26拠点に増設した効果で、既に説明した通り、15/3期は5億円だった売上が16/3期は26億円に急拡大した。

また、インターネット・IoT分野に特化した人材紹介も好調だ。この事業はトップラインへのインパクトは小さいが、収益性が高い事が特徴。「NET jinzai bank」のブランドで、CxO等の幹部人材紹介事業を展開しており、当事業の事業部長は、(株)ビズリーチ主催のヘッドハンター・オブ・ザ・イヤーを2年連続で受賞している。
 
 
この他、未だ規模は小さいものの、ASEAN地域における海外人材サービスも、M&Aの増加に伴い業績を順調に伸ばしている。
 
2011年2月、初のシンガポール進出。Good Job Creations買収
2014年2月、海外事業統括会社WILL GROUP Asia Pacific設立
海外M&A部隊を常駐させ、これ以降、海外M&Aを加速

2014年8月、Scientec Consulting買収
2014年11月、中国から撤退
2015年5月、初のミャンマー進出。GJC Myanmar設立
2016年2月、Oriental Aviation international 他2社を買収

2016年5月、初のマレーシア進出。Asia Recruit Holdings買収
 
(3)人材サービス以外の事業分野において、一定規模の事業を創出する
中期経営計画の期間にとどまらない2030年に向けた戦略であり、ポイントは下記3点。
 
① コーポレートベンチャーキャピタルを通じたベンチャー投資(16/3期実績:6社)
② M&A・マイナー出資(16/3期期実績:2社)
③ アライアンス(17/3期実績:1社)
④ 社内発新事業(例:シェアハウス分野等)
 
③アライアンスの一環として、2016年4月に(株)リグア(大阪市中央区、代表取締役社長 川瀬紀彦)と資本・業務提携した。(株)リグアは、整骨院・鍼灸院に対するCRMシステムの販売、記帳代行サービスの提供及び業界情報ポータルサイト運営といった経営・健康支援事業を展開しており、2,500院以上のサポート実績を有する。4月に、同社は(株)リグアの議決権総数の5.3%に相当する180 株を72百万円で取得しており、今後、(株)リグアの顧客である整骨院・鍼灸院に対して人材サービスや経営支援サービス等を提供していく考え。
 
 
今後の注目点
一般派遣の市場を開拓し、その後、強みであるハイブリッド派遣へシフトさせると言う戦略が成果を上げており、業績は好調だ。円高・株安の影響が今後の企業活動や消費へどのような影響を及ぼすかが懸念される中、17/3期予想は、利益面で若干インパクトに欠ける予想となったが、どの時点で、どれだけ上方修正されるか注目していきたい。株式を上場する人材サービス会社は多いが、過去数年間の同社の成長率は群を抜いている。ハイブリッド派遣のメリットが顧客企業に浸透しつつある事がその要因と思われるが、これまでは強みが事業環境の良さに隠れてしまいがちだった。事業環境に陰りが出てくれば、よりはっきりと強さを示す事ができるかもしれない。実績を示すと共に、好業績の要因を、より丁寧に説明する事で更に評価を高める事ができるのではないだろうか。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレートガバナンス報告書を2016年6月21日に提出している。

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則1-2-4】
現在のところ当社の株主における海外投資家の比率は、相対的に低いことから、株主総会招集通知、決算説明会資料等の開示書類は日本語のみの開示としております。今後は順次英文IR資料の拡充に努めるとともに、海外投資家の比率が相対的に10%超となった時点で議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳等を検討してまいります。

【補充原則3-1-2】
当社ホームページの英語版を開設しておりますが、現在のところ当社の株主における海外投資家の比率は、相対的に低いことから、株主総会招集通知、決算説明資料等の開示書類は日本語のみの開示としております。今後は順次英文IR資料の拡充に努めるとともに、海外投資家の比率が相対的に10%超となった時点で議決権電子行使プラットフォームの利用や招集通知の英訳等を検討してまいります。


<開示している主な原則>
【原則1-4】
(A)政策保有株式に関する方針
当社は、事業機会の創出、取引・協業関係の構築・維持・強化等を総合的に勘案し、政策的に必要とする株式については、保有する方針としています。
(B)政策保有株式に係る議決権の行使基準
議決権の行使は、画一的に賛否を判断するのではなく、投資先企業の経営方針・戦略等を十分尊重したうえで、中長期的な企業価値向上、株主還元向上ににつながるかどうか等の視点に立って判断を行います。

【原則1-7】
当社が、関連当事者間の取引を行う場合には、社内規程に基づき、管理本部管掌取締役の確認を経て、取引の重要性の高いものについて、取締役会に上程し、決議しています。また、グループ会社役員に関しては、定期的に、関連当事者取引に関する調査を実施し、監視を行っております。なお、取引条件および取引の決定方針については、株主総会招集通知や有価証券報告書等で開示しています。

【原則3-1】
(1)経営理念、経営戦略、中期経営計画を当社ホームページで開示しています。現在進行中の中期経営計画については、2020年3月期に連結売上高1,000億円、営業利益40億円を目指しています。
(2)本報告書1-1基本的な考え方に記載の通りです。これに基づく具体的な方針や取り組みについては、本報告書の各項目をご参照ください。
(3)当社取締役の報酬の決定に関する方針は、本報告書2-1【取締役報酬関係】に記載しています。
(4)経営陣幹部の選任と取締役候補の指名については、社内規程に基づき、的確かつ迅速な意思決定、適切なリスク管理、業務執行の監視及び会社格機能とグループ会社各事業部門をカバーできるバランスを考慮し、適材適所の観点より総合的に検討しています。また、監査役候補の指名については、財務・会計に関する知見、当社事業分野に関する知識及び企業経営に関する多様な視点のバランスを確保しながら、適材適所の観点より総合的に検討しています。これらの方針に基づき、代表取締役及び担当役員が内容を検討し、取締役会で決議しています。
(5)取締役・監査役の各候補者及び経歴等は、その都度株主総会参考書類に記載しています。株主総会参考書類につきましては、当社ホームページに掲載している株主総会招集通知をご参照ください。

【補充原則4-1-1】
当社は、法令に準拠して取締役会で審議する事項を取締役会規程として定めています。また、職務権限規程等により経営陣が執行できる範囲を明確にしています。

【原則4-8】
当社の役員は取締役6名であり、うち2名は独立社外取締役で構成されています。今後も当社グループの業種・規模・事業特性・機関設計・会社を取り巻く環境等を総合的に勘案し、2名以上を独立社外取締役で構成する方針です。

【原則4-9】
当社では独立社外取締役候補者の選定にあたっては、会社法や東京証券取引所が定める基準を満たす候補者を選定しています。

【補充原則4-11-1】
取締役候補の指名については、社内規程に基づき、的確かつ迅速な意思決定、適切なリスク管理、業務執行の監視及び会社各機能とグループ会社各事業部門をカバーできるバランスを考慮し、適材適所の観点より総合的に検討しています。この方針に基づき、代表取締役及び担当役員が内容を検討し、取締役会で決議しています。

【補充原則4-11-2】
事業報告書及び株主総会参考書類において、各取締役・監査役の他の上場会社を含む兼任状況を開示しています。

【補充原則4-11-3】
当社の取締役会は次の通り運営され、実効性が確保されていることを確認しています。
a.原則毎月1回開催し、重要案件をタイムリーに審議の上、決議しています。
b.資料をあらかじめ配布または説明の上、十分な審議時間を確保して活発な議論を行い、経営課題について十分な検討をしています。
c.多様な経験を持つ社外役員により、経営課題について多角的な視点から検討しています。
d.重要事項を的確に審議し、より戦略的な議論を行うべく、適宜取締役会で審議すべき事項を見直しています。
e.決議した案件の経過又は結果についての報告を行い、取締役の職務執行状況を監督しています。

【補充原則4-14-2】
取締役・監査役については、事業・財務・法令・組織等に関する幅広い知見を有する者から選任しており、就任に際し、必要に応じて研修を行っております。就任後においても、会社法及び時々の情勢に適した内容で社外の専門家による講習会や交流会等に参加する機会を設ける等、取締役・監査役に対するトレーニングを継続的に実施しております。

【原則5-1】
当社では、「情報開示の基本方針」「情報開示の基準」「情報開示の方法」「将来の見通しに関して」「沈黙期間について」からなるディスクロージャー・ポリシーを策定し、当社ホームページで公表しています。また、株主との建設的な対話を促進するための方針を次の通りとしています。
(1)当社のIR活動は、代表取締役、管理本部管掌取締役が積極的に対話に臨み、経営戦略・事業戦略・財務情報等について、公平性・正確性・継続性を重視し、双方向の良好なコミュニケーションを図るIR活動を展開します。
(2)管理本部を中心として、経営企画、総務、財務、経理、法務部門、各事業責任者等が有機的に連携し、適時かつ公正、適正に情報開示を行います。
(3)対話の手段として、株主向け会社説明会の充実等に取り組みます。
(4)対話において把握された株主の意見・懸念等は、代表取締役または管理本部管掌取締役を通じて、当社各会議体へ適切かつ効果的なフィードバックを行います。
(5)ディスクロージャー・ポリシーに基づく沈黙機関の設定の他、インサイダー情報の管理に関する規程を運用し、徹底します。

※上記にかかる開示書類につきましては、当社ホームページ(http://willgroup.co.jp/ir)から閲覧いただけます。