ブリッジレポート:(3175)エー・ピーカンパニー vol.4
(3175:東証1部) エー・ピーカンパニー |
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企業名 |
株式会社エー・ピーカンパニー |
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社長 |
米山 久 |
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所在地 |
東京都港区芝大門2-10-12 KDX芝大門ビル |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
小売業(商業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2016年3月 | 21,839 | 597 | 825 | 523 |
2015年3月 | 19,235 | 1,268 | 1,493 | 906 |
2014年3月 | 15,793 | 1,025 | 1,243 | 675 |
2013年3月 | 11,387 | 705 | 784 | 430 |
株式情報(6/16現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
生産流通事業では、養鶏場、加工センター等を自社運営するほか、自社漁船・定置網も保有する。 販売事業では、地鶏をメインメニューとした「塚田農場」、鮮魚を提供する「四十八漁場」などの店舗を直営中心に展開。顧客感動満足を実現しリピート(再来店)につなげる独自の販促手法も大きな特徴で、新規事業の育成に注力している。2016年3月末の店舗数は243店舗。(うち、ライセンス方式52店舗) 【沿革】
2001年10月、飲食業のプロデュースなどを手掛ける有限会社エー・ピーカンパニーを設立した米山社長は、短期間に売上を急速に拡大させた。しかし、食材の流通構造、生産者の現状、居酒屋の存在意義など様々な問題を感じる中で、単に居酒屋の経営にとどまることに満足することが出来なかった米山社長は、食材を問屋から仕入れて販売するのではなく、生産まで遡って自社で手掛け、生産者にも消費者にもメリットを提供する「生販直結モデル」によって日本の食産業に変革を生み出すこと決意。このミッションがエー・ピーカンパニーの存在意義であり、「生販直結モデル」は同社の大きな差別化要因となっている。 まず美味しい地鶏を手掛けようと、苦戦しながらも養鶏業者との信頼関係を構築する中で、2006年2月、宮崎県日南市に子会社(有)APファームを設立し、同市内に自社養鶏場を建設。みやざき地頭鶏の生産を開始した。 仕入価格を大幅に引き下げることに成功するとともに、事業環境改善による後継者問題の解決や新規雇用の創出にも繋がることを確認した米山社長は、「生産者と消費者を直接つなぐことで、日本の食を変えていく。そのためには消費者に一番近い自分たちが、生産者の想いや生産の現場をきちんと知ったうえで、両者の橋渡しをしなくてはならない。」との想いを強め、「生販直結モデル」の更なる強化に邁進する。 2007年8月には地鶏モデルの主力店舗『宮崎県日南市 塚田農場』ブランドの出店を開始。また、地鶏に加えて、鮮魚においても「生販直結モデル」を構築し、2011年7月には鮮魚モデルの主力ブランド「四十八漁場」の出店を開始した。 生産から手掛ける事で美味しい食材をリーズナブルな価格で提供することに加え、日本各地の隠れたブランド食材のメニュー化、リピート率を高めるための独自の販促手法などが消費者に評価され、出店数、売上ともに急速に拡大し、2012年9月、東証マザーズ市場に上場。翌2013年9月には東証1部に市場変更した。 【企業理念】
【事業内容】
同社は日本の食産業について以下のような問題意識を持っている。
◎食産業に対する問題意識
約100兆円の市場規模がある食産業において、農協や漁協が中心となった従来の管理形態、多層的な卸売市場、有形無形の規制が絡む複雑な流通構造により、農業・漁業などの第一次産業事業者と、小売・外食等の第三次産業事業者は分断されてきた。
そのため卸売市場、商社、問屋等、流通を手掛ける第二次産業が肥大化する一方で、生産者の販売価格は低く抑えられ、逆に消費者は高価格での入手を余儀なくされている。
また、生産者の販売価格が低く抑えられていること等から農水産業は就業者の高齢化と後継者問題が深刻化し、耕作放棄地も拡大している。
加えて、日本全国には特色ある農水産物が多数存在するが、資本力、生産量、流通構造の問題などから他県まで出荷されていないものも多く、これらを日本全国に提供できるようになれば、生産者・消費者双方にとって大きなプラスとなる。
◎ビジネスモデル
こうした問題を解決し「食のあるべき姿を追求する」というミッションのもと、「第一次産業(農業、漁業等)の活性化」、「高品質で低価格な商品とサービスの提供」を目的として展開しているのが、食品の生産(第一次産業)から流通(第二次産業)、販売(第三次産業)に至るまでの全てを一貫して手がける独自の『生販直結』という六次産業化(※)ビジネスモデルだ。
(※)六次産業化
「一般的には、一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出すことを言うが、同社の場合は二次産業として流通業を指す。一、二、三を足す又は掛けると六になることから名づけられた。」 特長1:生産地との直接提携関係と自社生産体制の構築
日本各地の潜在的な競争力をもつ農漁業生産者や地域と直接提携関係を構築すると共に、現地に設立する子会社等において地鶏や鮮魚の自社生産等(養鶏・加工業、定置網漁業)を行っている。多くの卸業者等が介在する流通構造においては、食材の生産者と販売者が直接顔を合わせる事は、極めて稀であるが、同社では、生産者と販売者が直接交流し、アルバイトも含めた全従業員が生産の現場を知る機会を設けている。 この機会を通じて同社スタッフは、生産者の生産現場における苦労や食材にかける想いを深く理解することができ、消費者との接客時に、食材の価値や産地情報をリアルに自信を持って伝えることが可能となる。 また生産者に対しては、「自分が生産した食材がどこでどのように消費されているのか?」といった、これまで触れる機会がなかった消費者の情報を提供しており、これがモチベーションや商品価値の向上に繋がっている。 特長2:流通ソリューション
生産地の課題に対して、物流コスト低減や納期短縮による鮮度向上、未利用魚(※)の加工商品化等の流通ソリューションを立案し提供している。
(※)未利用魚
サイズが小さかったり、消費者にあまり知られていなかったりといった理由から商品価値が低く市場に出回らない魚 特長3:ブランド創出&伝達
地域の食文化、生産物の特性、生産方法および生産者の想いを理解することを基本として、生産地や生産物の情報をメニューブックや店内装飾、接客等で伝達することにより付加価値を高めている。自らも生産に携わることがリアルで深みのあるブランドの創出に繋がっている。 特長4:第一次産業および地域の活性化
生産・流通・販売までを一貫して手掛け、適正価格・継続的販売を前提とした、安定かつ十分な収入が得られる事業環境の提供により、雇用促進など第一次産業および地域産業の活性化に貢献している。
◎事業セグメント
生産流通事業と販売事業の2セグメントによって構成されている。
<生産流通事業>
「生販直結モデル」の一部として、地鶏、鮮魚、青果物などの生産及び加工販売を手掛けている。自社店舗やライセンス供与先に供給するほか、グループ外の外食・小売店舗にも販売している。 ①地鶏の生産流通
2006年に宮崎県日南市に子会社を設立し、自社農場での「みやざき地頭鶏」の生産を開始し、翌2007年には加工場を建設した。2010年には雛センターと食鳥処理場を統合し、一貫生産体制を確立している。また、そのノウハウを活用し、2011年からは「新得地鶏」(北海道)を、2012年からは「黒さつま鶏」(鹿児島)を自社農場で生産・販売している。 ②鮮魚の生産流通
当日朝に水揚げされた水産物を、夕方には店舗に届ける「今朝獲れ便」を活用しながら、日本各地の漁師・漁協との卸売市場等を経由しない直接取引を順次拡大している。また、2011年には宮崎県延岡市に子会社(株)プロジェクト48を設立し、漁協組合員との共同経営による定置網漁業も開始している。加えて、東京都中央卸売市場の大田市場青果部の売買参加権を取得して青果物の直接買入と販売を行っているほか、全国各地の青果物生産者との直接取引、販売も行っている。 <販売事業>
自社農場等で生産された地鶏料理をメインとする「塚田農場」、日本各地の漁師から直送される鮮魚をメインとする「四十八漁場」の2つを主要ブランドとして、中価格帯である平均客単価4,000円前後の居酒屋を、首都圏中心に店舗展開している。2016年3月末の直営店舗数は191店。その他、52店舗に対して店舗ブランドをライセンス供与(※) しているほか、販売チャネル多角化のため中食店舗の運営も行っている。(2016年3月末時点) (※)ライセンス供与
ライセンス契約を締結し、同社が保有する商標及びノウハウ等の利用を許諾すること 【特長と強み】
塚田農場を始めとした店舗における独自の販促手法は大きな特徴となっている。1.独自の販促手法 「期待を超えるサービスの積み重ねこそが顧客に満足と感動を与え、これが再来店(リピート率の向上)につながる。」という消費者心理の分析に基づき、接客担当者が一定の予算内で自由にサービス(販促)を企画実行し、再来店の動機を創出している。 リピート率は「来店総組数に対する再来店顧客を含む組数の割合」を指す。(同社店舗のファンとなってくれた消費者が知り合いや仲間を連れてきてくれる頻度を計測するため、同社では組数の割合をより重視している。) 同社事業にかける米山社長の想いを綴った著書「ありきたりじゃない 新・外食」は、この独自の販促手法について触れており、その一部をここで紹介する。 *「付加価値提供トーク」
「生産者の想い」という重要な価値を全社の代表として来店客に伝えること。第一次産業と関わっているからこそ知ることが出来る生産者の想いや苦労を消費者にも是非知って貰いたいという一種の使命感が「付加価値提供トーク」のベースとなっている。 他店にはない圧倒的に差別化された特長を言葉にして来店客に伝えることで客に「同社店舗に行く理由」を植え付け、「選ばれる店」になるための重要な役割も担っていると考えている。 「こちら獲れたてのエビを船の上で、しかも生きたまま醤油の中に入れるんですよ。生きているまま醤油に入れられたらエビは驚きますよね。それで醤油の中でバタバタ暴れて呼吸をするので、いい感じに醤油がしみてるんですよ!」 *「鉄板ジャブ」
来店客に期待を超えた「感動」を経験してもらいリピートに繋げるためには、客が経験したことの無いサービスをいくつも提供する必要がある。この販促手法を同社では「鉄板ジャブ」と呼んでいる。(同書では「ジャブの連打こそが客をKOする」と書かれている。) 例)同社の代表的なメニューである「じとっこ炭火焼」を提供する際は、まず緑のゆずこしょうを付けて食べてもらう。 スタッフは客が少し食べたところで、今度は、塩分を一切使わず完熟ゆずと唐辛子だけで作った赤いゆずこしょうを持って行く。 じとっこ炭火焼を残している客には、冷めたままでは本来の味を楽しめないし、残すという事は食のあるべき姿を目指す同社スタッフには許されない事なので、宮崎の日向夏ポン酢とネギを出し、スタッフがその場で和えて別の味を楽しんでもらう。 また、完食した際は食べ終わった鉄板をいったん下げ、鉄板に残った鶏の油を熱して溶かしライスとスパイスで混ぜ合わせてハート形の「じとっこライス」として再び提供する。 赤いゆずこしょうを提供するというアイデアは、「緑だけではなく違ったゆずこしょうも提供してみたい。」というバイトスタッフの提案を受けて、商品開発担当者が全国の食材の中から素材を選んで開発したという事だ。 各店長はバイトスタッフが積極的にこうしたアイデアを生み出す環境作りに注力しており、これが同社店舗の独自性、他社店舗との大きな差別化に繋がっている。 2.研修制度
「付加価値提供トーク」、「鉄板ジャブ」はともに、「日本の食のあるべき姿を追求する」という同社の基本理念がバイトも含めた全社スタッフに浸透・理解されて初めてリアルでかつ意味のあるものとなる。◎理念浸透のための仕組み その浸透のための仕組みである研修制度も同社を特徴づける大きなポイントだ。 当初は内部に研修が行える人材がいなかったため外部講師を使っていたが、外部講師は教え方は上手でも中身が伴わないという問題があった。 そこで米山社長は、外部コンサルの人材を社員として採用し、研修のノウハウを社内に積み上げて行った。現在では33名の社員が研修講師を行うことが出来る体制となっている。 社長一人では理念、ミッション、存在意義を伝達・浸透させるのは限界があり、店長クラスが現場10数人ではなく100~200名に伝達できるスキルを持たせることを主眼に置いており、研修講師になれる事は社内の一つの目標にもなっているという。 同社の研修制度が充実している大きな理由としては、研修材料が豊富かつリアリティのあるものであるという事が挙げられる。 生販直結モデルにより、第一次・二次・三次産業それぞれに直接接していることから、「第1次産業や地域経済の活性化」、「第2次産業の課題」等に加え、「命の尊さ」など、接客時のお辞儀の仕方や言葉遣いなど、ありがちなマニュアルに留まらない、より実際的で共感できるテーマ・材料を豊富に揃えている。 例えば、新卒社員は3年目に宮崎の地鶏生産現場で2~3週間の実地研修を行う。 地鶏は孵化から4~5か月で出荷準備が整い、食肉処理場では地鶏は3分程度で解体され食肉となる。その光景を目の当たりにした社員の多くは泣き出し、数日間は放心状態になってしまうという。 その後社員たちは、「自分の役割は何か?」を考え、命を頂く有難さを改めて感じた上で、「最終消費者によりおいしい状態で残さず食べてもらう事だ。」と気付く。 また、この研修風景は映像に記録し、新入社員やアルバイトに見せ、見終わった後本人が店舗における自分達の役割を伝える。 このようにして若い社員が自らの体験を伝えることにより、理念やビジョン、ミッションが浸透し、生産者の想いや姿を、リアリティをもって消費者に伝えることが可能となっている。 ◎M&Aにおけるアドバンテージ
この研修制度は、同社が今後積極的に行うM&A戦略においても大きな武器となるものと考えられる。M&Aを成功させるには、「優良な案件の発掘」、「適切な価格での実行」が重要であることは論を待たないが、場合によってはより重要なのが「M&A後」であり、想定した通りのシナジー効果を生み出すためのプロセスである「PMI(Post Merger Integration)」の重要性が注目されている。 M&Aによる統合効果を確実にするためには、M&A初期段階より統合阻害要因等に対し事前検証を行い、統合後にそれを反映させた組織統合マネジメントを推進することが不可欠だが、中でも、企業文化の違いをどのようにマネジメントするかはPMIの重要なテーマであると言われている。 通常、M&Aにおいては被買収企業社員のモチベーション低下などが課題となるが、「企業理念の理解促進・浸透」のために大きな効果をもたらしている同社の研修制度は、マインドセットを通じてグループ一体化において大いに力を発揮する事が期待できよう。 3.バイトスタッフの採用
外食産業におけるアルバイトの人手不足が顕著となっているが、同社においては人材確保にはさして苦労はしていないという事だ。その背景として、同社では従業員満足度を顧客満足度と同じレベルで捉えた施策を行っているという点が挙げられる。 採用時には同社の理念やミッションへの共感を持つことが出来るかがポイントとなるが、採用後バイトスタッフは同社がバイトスタッフのために開催している「就職支援セミナー」に無料で参加できる。 このセミナーでは、就職活動とは何か、その心構えの説明から始まり、最終的には卒業後の就職先を斡旋までも行っている。 「塚田農場で働いている」点を評価する企業も多く、学生、企業双方に評価が高いという事だ。 また、店舗における販促手法に関しては、優れたアイデアに対する表彰制度もあるなど、モチベーションを与えつつ、自己成長できる様々なプログラムを提供している点も学生には好評だ。 こうした点から、バイトスタッフを確保するために時給を大きく引き上げる必要が無い一方で、平均在籍年数は1.9年と比較的長く、安定して人手を確保できる仕組みとなっている。 |
2016年3月期決算概要 |
増収も、既存店売上の減収、新規事業立上げコスト増などで減益
売上高は前期比13.5%増の218億32百万円。既存店売上は同6.6%減、11億円の減収だったが、前期に出店した26店舗が貢献。新規出店は40店に対し、退店は5店で2016年3月末の全直営店舗数は191店舗となった。また、新規事業である弁当事業(4.4億円増加)、海外事業(1.7億円増加)も貢献した。既存店の減収、国内及び海外における外食出店コスト増、新規事業立ち上げ(宅配弁当事業の工場新設)などにより営業利益は同53.0%減の5億97百万円となった。 修正予想(2016年2月発表)に対して売上高は上回ったが、利益は未達となった。 ◎生産流通事業
鮮魚においては、四十八漁場ブランド店舗の新規出店に対応して、卸売市場や問屋を通さない漁業者との直接取引ネットワークを地域を限定せずに日本全国に拡大している。青果物については、メニュー構成の多様化や高品質な商品を安定的に調達することを目指して個別農家や地域との直接取引の拡大を図った。 地鶏においては、塚田農場ブランド業態の新規出店に対応して、宮崎、鹿児島、北海道の地鶏の生産量を拡大させた。 ただ、国内既存店における地鶏販売量の減少、鹿児島における種鶏場の立上げコスト増により減益となった。 ◎販売事業
既存店売上高は前期比6.4%のマイナス。全店では同10.7%のプラスだった。塚田農場など地鶏モデル33店舗、四十八漁場など鮮魚モデル 4店舗のほか、ウェディング、鴨モデル、やきとりモデルをそれぞれ1店舗、海外4店舗の合計44店舗を新規出店した一方、6店を退店し、2016年3月末の直営店舗数は191店となった。 新規出店を加速させたこと等による競合で都心部の既存店が弱含んで推移したことが主な減益要因だった。 同社が重視している既存店リピート率は、54.9%と目標の55%近辺で推移した。 長短借入金の増加などで、負債合計は同11億43百万円増加の92億12百万円となった。 利益剰余金および自己株式の増加で純資産は同99百万円増加の35億52百万円となり、この結果、自己資本比率は前期末から2.0%低下し27.7%となった。 長短有利子負債残高は同9億73百万円増加の62億29百万円となった。 |
2017年3月期業績予想 |
既存店事業の収益性向上に取り組み増収増益を計画
売上高は前期比10.8%増の242億円を計画。前期出店した外食直営国内40店舗、海外6店舗が寄与。既存店売上高は前期比95%と置いている。営業利益は同17.1%増の7億円を計画。外食直営国内は12店程度の出店予定で、オープン経費は前期より大幅に減少する。 新規事業のうち海外事業に関しては、2016年4月に事業譲受した3店舗を加え計9店舗体制で売上高10億円、黒字化を目指す。 弁当事業は前期に新木場工場の立上げが終わった。今期は販売拠点の開拓によりさらに出荷額が増加する見込み。販売ミックスの最適化、製造効率化への取組みにより営業損失は大幅に縮小。収益化に向けた基盤を構築する。 (2)今期の取り組み
創業以来初の減益決算となった前期について、以下のような振り返りを行っている。
①前期の振り返り
出店の拡大に伴い店舗オペレーション力が低下してしまった。円滑に運営するための仕組みが出来上がっていなかった。
大量出店により、人員が不足し既存店のマンパワーが弱体化した。また店長の異動が多く、店舗方針の変更が頻繁にあり、スタッフの混乱を招いてしまった。
店長および料理長の充足率は8割程度が望ましいが、大量に出店したため副店長や副料理長レベルでも出店せざるをえず、クオリティーが伴わなかった。
新規事業に関しては、積極的な立上げに社長を含む主力人材の人的資源が投下されたため、既存事業に対する関与が手薄となってしまった。
②今期の重点施策
以上の反省を踏まえ、今期は以下のような運営方針の下、事業の立て直しに取り組む。
*出店方針
出店は現在契約済みのものに限定し、店長及び料理長の充足率を80%に引き上げる。
*既存店活性化施策
塚田農場 天王洲アイル店、塚田農場 八重洲北口店の2店を「人材輩出店舗」として店長、料理長教育を行う。<人事輩出店舗の設定> 大久保副社長が週2回出勤し、自ら店長育成に取り組む。 <キッチン組織の強化>
キッチンにおける全スタッフのスキル向上を図る。食材への理解を深め、同時に調理技術を習得することで相乗効果を生み出す。同社ではスタッフの調理技術の高さを評価しモチベーションを引き上げる仕組みとして「マイスター制度」を導入しているが、従来の「炎マイスター」に加え、今後は「玉子マイスター」、「捌きマイスター」、「包丁マイスター」、「フライパンマイスター」も設け、全体のレベルアップを図る。 <インバウンド対策>
これまで積極的に取り組んでこなかったインバウンド(訪日外国人客)に対応する施策も強化する。店舗の外国人向け環境を整備することで、個人の外国人観光客がストレスを感じることなく過ごすことができる店舗環境を提供する。 このほか、出店後5年を経過した店舗は積極的なリニューアルを行う。 また、社長を含む本部社員の時間配分は既存事業に重点的に振り向ける。 |
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