ブリッジレポート:(6498)キッツ vol.25
(6498:東証1部) キッツ |
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企業名 |
株式会社キッツ |
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社長 |
堀田 康之 |
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所在地 |
千葉市美浜区中瀬1-10-1 |
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決算期 |
3月末日 |
業種 |
機械(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2016年3月 | 117,278 | 7,245 | 7,300 | 4,915 |
2015年3月 | 117,036 | 6,886 | 7,581 | 6,881 |
2014年3月 | 117,355 | 6,470 | 6,501 | 3,564 |
2013年3月 | 111,275 | 6,558 | 6,521 | 4,039 |
2012年3月 | 108,446 | 4,638 | 4,388 | 2,480 |
2011年3月 | 106,059 | 6,341 | 5,929 | 3,063 |
2010年3月 | 96,592 | 6,976 | 6,248 | 3,079 |
2009年3月 | 127,095 | 7,188 | 6,475 | 3,396 |
2008年3月 | 149,274 | 11,615 | 10,525 | 6,290 |
2007年3月 | 149,512 | 11,342 | 10,652 | 9,973 |
2006年3月 | 107,631 | 9,673 | 9,132 | 8,070 |
2005年3月 | 95,705 | 9,627 | 8,513 | 5,804 |
2004年3月 | 73,802 | 4,181 | 2,962 | 1,598 |
株式情報(5/20現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
【企業理念 -キッツは、創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指します-】
「企業価値」とは「中長期的な株主価値」であり、「中長期的な株主価値」の向上には、顧客の信頼を得る事によって利益ある成長を持続していく必要がある、と言うのが同社の考え。そして、企業価値を向上させる事により、株主をはじめとして、顧客、社員、ビジネスパートナー、社会に対して様々な形で寄与し、豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えている。同社は、これらの思いを「キッツ宣言」に込め、更なる飛躍を目指している。
キッツ宣言
キッツは、 創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指し、ゆたかな社会づくりに貢献します。
KITZ’ Statement of Corporate Mission
To contribute to the global prosperity, KITZ is dedicated to continually enriching its corporate value by offering originality and quality in all products and services.
行動指針(Action Guide)
Do it KITZ Way ・ Do it True(誠実・真実) ・ Do it Now(スピード・タイムリー) ・ Do it New(創造力・チャレンジ)
Do it True
人と人との関係で忘れてならないのが誠実に対応する心。また、表面的なものでなく物事の本質を追い求める心も必要。この基本を忘れる事なく企業活動を進めるための合言葉。
Do it Now
情報をいち早くキャッチし、迅速な意思決定と確実に実践していく躍動的な社員像を表現した言葉。
Do it New
変化に対応するために従来の発想から抜け出して秘められた創造力を発揮し、新しい事にチャレンジする社員像を表現した言葉。 【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業及びホテル・レストランの経営(ホテル事業)等のその他に分かれ、16/3期の売上構成比は、それぞれ79.8%、17.5%、2.7%。
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「流す」、「止める」、「流量を調整する」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。特に、住宅・ビル設備等の建築設備分野に使用される、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等の工業用ステンレス鋼製バルブは、国内で高いシェアを持つ主力商品である。販売先は、建築設備、各種工業設備・プラント、環境、エネルギー、半導体等多岐にわたる。鋳物からの一貫生産を特徴とし(日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得した)、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。 伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークス及び北東技研工業(株)の事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)及びその加工品を製造・販売している。
その他
子会社(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営(長野県諏訪市)が事業の中心。同ホテルは、諏訪湖畔の好立地を特徴とし、夕日に輝く展望風呂や大小の宴会場に加え、国際会議も開かれる大コンベンションホールを有する。
【キッツグループ(バルブ事業)】
総合バルブメーカーとして、国内では、主要都市に展開する販売拠点ときめ細かい代理店網によって全国をカバーしており、海外では、インド、U.A.E.、韓国に駐在員事務所を置く他、中国、シンガポール、タイ、アメリカ、ブラジル、ドイツ、スペインに販売拠点を設置し、グローバルな販売ネットワークを構築している。生産では、国内7拠点の他、海外に12拠点(中国、台湾、タイ、インド、ドイツ、スペイン、ブラジル)を展開し、最適地生産を目指した生産ネットワークを構築している。
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。 |
2016年3月期決算 |
前期比0.2%の増収、同5.2%の営業増益
売上高は前期比0.2%増の1,172億78百万円。銅相場下落の影響を受けて伸銅品事業の売上が減少した他、前期にフィットネス子会社を売却した影響もあったが、バルブ事業の売上増で吸収した。バルブ事業は、アセアン・中国を中心にしたアジアの好調や北米の回復に加え、対ドルでの円安効果もあり、海外売上が同5.9%増加。建築設備向けで流通在庫調整の影響はあったものの、半導体製造装置向けや水市場向けの好調で国内売上も同2.5%増加した。利益面では、バルブ事業での原価低減や原材料価格の下落で売上総利益率が1.3ポイント改善。円安の影響による海外グループ会社の販管費の円貨換算額の増加に加え、M&A関連費用や研究開発費の増加等による販管費の増加を吸収して営業利益が72億45百万円と同5.2%増加した。為替差益の減少(4億01百万円→82百万円)による営業外収益の減少に加え、前期にフィットネス事業を手掛ける子会社株式の売却益(関係会社株式売却益として21億56百万円)を特別利益に計上した反動もあり、最終利益は49億15百万円と同28.6%減少した。 バルブ事業
売上高は前期比3.8%増の935億79百万円。このうち国内での売上高は同2.5%増の574億24百万円。主力の建築設備向けは同2%の増収。流通在庫調整で当初想定したほどの力強さはなかったが、期中に在庫の適正化が進み年度末にかけて明るさを増してきた。水市場向けは同6%の増収。季節要因で第4四半期に落ち込んだものの、耐震型製品の好調等で期を通してほぼ前期実績を上回った。一方、機械装置、一般化学、食品・製紙等、ステンレス鋼製バルブが多く使用される工業用バルブ市場は、市場環境に大きな変化は見られず、各市場でまちまち。上期好調だった半導体製造装置向けは下期に入りブレーキがかかったものの、通年では前期を上回った。海外での売上高は前期比5.9%増の361億54百万円。アセアン・中国を中心にアジアが同12%の増収となった。北米も同6%の増収。対ドルでの円安も追い風になった。一方、欧州・その他は同17%の減収。原油価格の急落を受けてエネルギー関連企業の設備投資が減少した。 営業利益は同9.2%増の103億84百万円。対ドルでの円安の影響で海外グループ会社の販管費の円貨換算額が増加した他、M&A関連費用や研究開発費等も増加したが、原価低減効果が大きく出た事に加え、数量効果の他原材料価格の下落もあり増益となった。 伸銅品事業
2015年度の国内黄銅棒市場は14,866トン/月と前年度比3.2%減少し、銅相場(電気銅価格)も2016年に入り若干持ち直したものの、2015年5月から年末にかけて下落が続いた。同社の伸銅品事業は2015年7月に北東技研工業を連結対象に加えたものの、銅相場に連動した黄銅棒販売価格の下落が響き、売上が205億57百万円と同2.2%減少した。利益面では、販売価格の下落に加え、加工工場の増設等による減価償却費の増加もあり、16百万円の営業損失となった(前期は2億48百万円の営業利益)。
その他
フィットネス事業を手掛けるキッツウェルネスの株式を2014年10月に売却した影響(約27億円の減収要因)で、セグメント売上高が31億41百万円と前期比46.4%減少し、営業利益が75百万円と同67.6%減少した(ホテル事業は売上高が同1.9%増の30億50百万円、営業利益が同30.2%減の30百万円)。
(4)株主還元
期末配当は1株当たり7円を予定しており、上期末配当と合わせて年13円となる(連結配当性向28.6%)。また、期中に5億09百万円の自社株買いを実施しており、これを含めた株主還元の総額は19億09百万円。総還元性向は38.8%となる。
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2017年3月期業績予想 |
前期比4.9%の減収ながら、同10.4%の営業増益
売上高は前期比4.9%減の1,115億円。バルブ事業における円高の影響や足元の海外需要の弱さ、及び銅相場の低迷の継続による伸銅品事業の減収等を織り込んだ。一方、営業利益は同10.4%増の80億円。円高による為替影響の改善、原材料価格の低下及び原価低減等でバルブ事業の収益性が改善する。伸銅品事業も、生産性向上や事業再構築で銅相場下落の影響を吸収する。 為替の前提は、1USドル=110円(前期は121.04円)、1ユーロ=125円(同133.66円)、電気銅建値620千円(同675千円)。 (2)株主還元
配当は1株当たり上期6円、下期7円の年13円を予定している。尚、これまで同社は親会社株主に帰属する当期純利益の25%前後を配当性向の望ましい水準と考え、自己株式の取得を含めた総還元性向3分の1前後を目指してきた。しかし、今後は自己株式の取得を更に積極化させる事で連結総還元性向を引き上げていく考え。
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中期経営計画 |
ただ、中国経済の成長率の鈍化と、その影響を受けた新興国経済の変調や、原油価格の下落によるエネルギー関連企業の設備投資の抑制等、海外市場を取り巻く環境が激変している。また、国内市場においても、建築設備向けで東京オリンピック・パラリンピック関連の需要が見込めるものの、世界経済の低迷による先行きの不透明感から積極的な設備投資が手控えられている。このため、「今後の業績について楽観的に見込む事が難しい」との前提で第3期中期経営計画を策定すると共に、長期経営計画の数値目標を見直した。 この他、収益構造の改善、海外営業の強化、成長拡大分野への投資、及びM&A・アライアンスによる事業拡大に取り組んだ。 【第3期中期経営計画】
(1)地域別見通し
為替の前提は、17/3期が1USドル=110円、18/3期及び19/3期が1USドル=115円。 (2)基本方針
・19/3期に営業利益100億円越え、21/3期に最高益更新
21/3期は営業利益125億円を目指す(08/3期の最高益116億円更新)
・利益とキャッシュ・フロー重視を徹底し、ROE8%以上を目指す
グローバル調達・内製化・生産性向上等による更なるコスト改善
・強みが生かせる重点市場分野に経営資源を集中する
利益を生む設備投資を積極的に実施する 重点市場分野:「建築設備」「石油化学・一般化学」「クリーンエネルギー」
・株主還元の充実
新製品投入・設備及び研究開発投資を重点市場分野に集中する 本部を貫く戦略推進体制を強化し、重点施策のPDCAを回す 現金配当による目標配当性向25%
自己株式取得にも積極的に取り組み、株主還元の一層の充実を図る (3)数値目標と主要事業における取り組み
バルブ事業 戦略の3本柱
・重点市場分野と重点地域を絞り込み、特化した新製品投入と複合機能化の推進により、シェアの拡大を目指す。
重点市場分野を「建築設備」、「石油化学・一般化学」、「クリーンエネルギー(水素、LNG)」とし、重点地域を日本+3極2拠点とする(3極:欧州・米州・アセアン、2拠点:中国・インド。特にアセアン、米州を重視)。
・縦(機能別組織)と横(全社横断組織)のマトリックス体制により、「組織」のマネジメントと「製品」のマネジメントの両輪を強化し、事業戦略を推進する。
組織のマネジメントでは、事業企画部が機能及び権限強化による既存組織の重点施策の進捗管理とPDCAを徹底し、製品のマネジメントでは、新設したプロダクトマネジメントセンターがマーケティングから実績管理まで一気通貫によるプロダクトマネジメントを実践する。
・既存のリソースを無駄なく徹底的に活用し、グローバルで戦えるコストを実現することでさらなる売上利益拡大につなげる。
伸銅品事業
生産性向上による利益の最大化と事業再構築による付加価値の拡大を図る。前者では、ライン再編による加工費低減及び原材料の最適配合による材料費削減を進め、後者では、切削品及び鍛造品のグループ内生産統合・統合効果の実現による事業拡大を図る。
水事業
キッツスマート養殖と水処理技術を活かした事業の育成に取り組む。キッツスマート養殖は世界的な水産市場の需要高まりと天然資源の不足を踏まえた新規事業。一方、水処理技術を活かした事業は、キッツ、東洋バルヴ、清水合金製作所、キッツマイクロフィルター等が連携して、世界的な水需要と環境意識の高まりに応えていく。
(4)経営基盤強化
・人事
女性活躍推進への取り組み、多様な人財が活躍できる人事制度構築及び育成計画策定、適所適材を可能とする連結人事データベース構築
・環境
環境マネジメント体制の強化、環境負荷の低減、及び環境関連法規制対応
・品質保証
お客様の満足する適正品質の提供
・コーポレートガバナンス・内部統制
コーポレートガバナンス・コードに基づく健全で透明性の高い経営の推進、適切なリスクテイクを支える投資検討の仕組み確立と果断な実施、M&Aによりキッツグループに加わる新会社の内部統制構築
・経理、財務
M&Aに備えた資本の充実と自己株取得を含めた配当政策によるROE向上
・情報システム
業務最適化及び経営判断強化を目指した、グローバル情報システム構築
・社会貢献
CSR経営の一環として、継続的な社会貢献活動の企画・推進
【長期経営計画「KITZ Global Vision 2020」】
下記理由により、今後の業績について楽観的に見込む事は難しいと判断し、長期経営計画「KITZ Global Vision2020」の数値目標を見直した。(1)2012年からの中国の経済成長率鈍化の影響は、中国国内需要の縮小に留まらず、余剰生産能力の活用・安値輸出により、グローバルレベルでの景気低迷・価格低下・競争激化を招いている。 (2)2014年下期から原油価格が急落する中で、エネルギー関連企業は設備投資を抑制する一方、利益確保のために、部材仕入先への値下げ要求を強めている。 (3)国内においては、建築設備市場向けに東京オリンピック・パラリンピック需要を見込むものの、世界経済の低迷で企業業績の見通しを楽観視できず、積極的な設備投資を控えている。また、工場を海外移転した企業は、円安の恩恵を受けにくい体質となっている。 |
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参考 コーポレートガバナンスについて |
◎ 組織形態および取締役・監査役の構成
◎コーポレートガバナンス報告書
同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレートガバナンス報告書を2015年10月14日に提出している。
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