ブリッジレポート
(8931) 和田興産株式会社

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ブリッジレポート:(8931)和田興産 vol.23

(8931:JASDAQ) 和田興産 企業HP
和田 憲昌 会長
和田 憲昌 会長
高島 武郎 社長
高島 武郎 社長
【ブリッジレポート vol.23】2016年2月期業績レポート
取材概要「同社の販売物件としては過去最大となった総戸数471戸のワコーレシティ神戸三宮が完売した。大規模プロジェクトを手掛ける事で、同社は神戸・阪神・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年5月24日掲載
企業基本情報
企業名
和田興産株式会社
会長
和田 憲昌
社長
高島 武郎
所在地
〒650-0023 神戸市中央区栄町通4-2-13
決算期
2月 末日
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年2月 28,950 2,938 2,055 1,238
2015年2月 30,097 2,831 2,055 1,180
2014年2月 32,480 2,872 1,981 1,066
2013年2月 25,396 2,650 1,964 761
2012年2月 22,550 2,569 1,849 671
2011年2月 28,231 2,048 844 428
2010年2月 29,890 573 -370 -226
2009年2月 32,333 2,577 1,548 118
2008年2月 29,564 4,020 3,063 1,613
2007年2月 30,629 3,318 2,736 1,357
2006年2月 25,256 2,769 2,366 1,292
2005年2月 22,965 2,594 2,203 1,162
2004年2月 23,723 2,226 1,689 912
2003年2月 22,080 2,100 1,499 652
2002年2月 22,630 2,296 1,846 917
株式情報(4/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
671円 9,999,798株 6,710百万円 7.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
26.00円 3.9% 130.00円 5.2倍 1,757.90円 0.4倍
※株価は4/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
和田興産の2016年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
明治32年(1899年)創業の老舗不動産会社。兵庫県神戸市・明石市・阪神間を主要地盤に、マンションや戸建て住宅の分譲、不動産賃貸及び土地有効活用等、地域密着型の不動産事業を展開。同社は用地仕入と企画に特化し、設計・建築・販売業務を他社に委託している。ブランド名「ワコーレ」を冠するマンション分譲は30戸~50戸程度の中規模マンションを中心とし、神戸市内では、15年連続で「供給戸数」第1位、18年連続で「供給棟数」第1位。2015年の近畿圏供給ランキングでは「供給戸数」第5位、「供給棟数」第2位を達成した。2016年2月末現在の累積供給実績は426棟16,175戸(着工ベース)。
 
【企業理念-共生(ともいき) 自分の生き方が他の人の幸せにつながる-】
人と人とのつながりを大切に、共に支え合い、自分の生き方が他の人の幸せにつながることを歓びとする「共生(ともいき)」の思想。同社はこの想いのもと、プロダクトコンセプトとして「PREMIUM UNIQUE (プレミアムユニーク)」を掲げ、住まう一人一人の気持ちに応えながら、自身の生き方にフィットするオンリーワンの住まいづくりを目指している。
 
 
【沿革】
1899年1月、神戸市で不動産賃貸業を創業。1966年12月に和田興産(有)として法人化され、79年9月に和田興産(株)に改組。分譲マンションの一棟卸等で実績をつくり、91年3月、自社ブランド「ワコーレ」による分譲マンション事業を本格化。95年1月の阪神淡路大震災後は、震災復興のための優良建築物等整備事業にも従事し地域の復興に貢献した。04年12月に株式をJASDAQ市場に上場。07年6月に「ワコーレ」シリーズが着工ベースで10,000戸を突破し、08年3月には戸建事業推進室を新設して木造戸建事業を本格化した。
 
【事業セグメント】
事業セグメントは、「ワコーレ」ブランドで展開する分譲マンション販売、「ワコーレノイエ」ブランドで展開する戸建て住宅販売(販売は両事業共に外部委託)、宅地や賃貸マンションの販売等を手掛けるその他不動産販売、マンション(賃貸マンションブランド「ワコーレヴィータ」他)、店舗、駐車場等の賃貸を行う不動産賃貸収入、及び保険代理店手数料など報告セグメントに含まれない「その他」に区分される。
16/2期の売上構成比は、分譲マンション販売80.8%、戸建て住宅販売6.1%、その他不動産販売5.1%、不動産賃貸収入7.8%、その他0.3%(セグメント利益の構成比は、分譲マンション販売66.6%、戸建て住宅販売1.3%、その他不動産販売4.7%、不動産賃貸収入25.3%、その他2.1%)。
 
分譲マンション販売事業
神戸・明石地区(兵庫県神戸市、明石市周辺)、阪神地区(兵庫県芦屋市、西宮市、尼崎市)、及び兵庫県伊丹市、宝塚市周辺を主要エリアとし、大手マンション事業者と競合しない30戸~50戸程度の中規模マンションを中心に「ワコーレ」ブランドで展開。人気の高いエリアにフォーカスし、同一地域で異なるタイプのマンションを供給し、消費者の多様なニーズの取り込みと高い販売効率を実現する地域密着戦略に加えて複数の物件を同時に一つの常設マンションギャラリーで扱う事で販売コストを抑制するマンションギャラリー戦略等、独自の戦略で効率的な事業モデルを確立している事が強み。また、近年では、大型プロジェクトへの対応や神戸・阪神間の隣接地域である大阪府北摂エリアや兵庫県姫路市への事業エリアの拡大で新たな可能性を追及している。
 
戸建て住宅販売事業
2007年より「ワコーレノイエ」ブランドで、神戸市以西を中心に10戸程度の開発を行っている。数多く寄せられるマンション用地情報の中には、立地、面積、地形等の面で戸建分譲に適した物件が少なくない(賃貸マンションに適した物件であれば不動産賃貸事業となる)。また、分譲マンションの事業期間が2年弱であるのに対して当事業は1年程度と短いため、分譲マンション竣工の谷間を埋める事ができる(資金の回転も効く)。マンション分譲で培ったデザイン性や環境面を配慮した設計・企画力等を活かしパワービルダーとの差別化を図っている。
 
その他不動産販売事業
賃貸マンション等の収益物件の企画開発及び販売(1棟売り)、宅地・工業用地等の販売を手掛けている。物件情報を有効活用する機能を担う他、資産の入れ替えに伴う賃貸物件(棚卸資産)の売却収益も当セグメントに計上される。投資家向け一棟売り賃貸住宅を強化するべく、用地取得や物件売却時の仲介業務等に強みを持つ東証2部上場の(株)日住サービス(8854)と資本・業務提携している。
 
不動産賃貸事業
住居系を中心に(16年2月末現在、保有資産全体の75.5%)、店舗・事務所等(同19.9%)、駐車場(同0.6%)、トランクルーム等(同3.9%)を運営。安定的なキャッシュ・フローが得られるビジネスとして創業時より継続する事業であり、マンション分譲という市況に左右されがちな事業のウエイトが高い同社にあって、収益の安定化に寄与している。稼働率(入居率)の向上による安定収益の確保と物件入替によるポートフォリオの質の維持・向上を基本戦略とし、主力の住居系は、一定期間経過後の入れ替えも念頭に、個人の富裕層等で購入希望者が多い2~3億円の物件を中心とした資産構成。稼働率は95%水準を維持している。また、資産と負債を適切に管理する事で投資回収期間が長期にわたるリスク、及び資産が過大になる事に伴うリスクの軽減を図っている。各物件の表面利回りは9~10%と高く、将来的には間接経費の負担を賃貸事業の安定収益でカバーすることを目指している。
 
【強み】
同社の強みは、①日本有数の住宅地である神戸、明石、阪神間を事業エリアとしており、②事業エリアにおいて「ワコーレ」ブランドが浸透している事。また、不動産市況の変動による経営リスクにさらされがちな業界にあって、③徹底したリスク管理により財務の健全性を維持し高い経営の安定性を有している事。そして、④「PREMIUM UNIQUE」のプロダクトコンセプトの下、中規模マンション中心事業展開する事で大手不動産会社や鉄道系不動産会社等との差別化に成功する一方、大規模マンションへの対応力も有する事である。近年では、物件選定には慎重ながら、大規模マンションへの対応を強化すると共に既存事業エリアと隣接する兵庫県姫路市や大阪府下(北摂)へ事業エリアを広げており、将来の成長を高める取り組みとして注目されている。
 
日本有数の住宅地が事業エリア
日本有数の住宅地である神戸、明石、阪神間を主要な事業エリアとする事で旺盛な住宅需要を取り込むと共に情報力で比較優位を確立しており、地域に根差したコミュニティづくりでも定評がある。
 
 
関西における「ワコーレ」ブランドの浸透
関西において「ワコーレ」ブランドは浸透しており、そのブランド力は大手マンションデベロッパーに引けを取らない。日本経済新聞社大阪本社が実施した「第18回(2015年) マンションブランドアンケート」において、「個性がある」ブランド部門及び「親しみがある」ブランド部門の両部門で第5位にランクされた。
 
 
徹底したリスク管理により財務の健全性を維持
リスク管理を徹底する事で財務の健全性を維持しており、資金の調達先もバランスがとれ、かつ、安定している。この結果、多くの上場企業が淘汰されてきた不動産業界にあって、創業から110年以上を超える社歴の中で損失計上はリーマン・ショックの影響を受けた10/2期のみ。安定的な配当も継続している。
 
 
大手との差別化に成功。事業エリアの拡大余地も
近畿圏では、リーマン・ショック後の不動産不況で中堅・中小のマンション事業者の淘汰が進み、大手不動産会社や鉄道系不動産会社等に絞られてきたが、これらの不動産会社は大型物件や沿線開発を得意とするため、30戸~50戸程度の中規模マンションを中心に展開する同社とは用地取得等で競合するケースが少ない。ただ、同社は更なる業容拡大に向け、既存エリアにおいて大型物件の開発に取組むと共に、既存事業エリアと隣接する兵庫県姫路市や大阪府下へ事業エリアを拡大中である。
 
 
 
 
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
 
2016年2月期決算
 
 
営業利益以下の各利益が予想を上回る着地
売上高は前期比3.8%減の289億50百万円。木造収益物件の販売(その他不動産販売)や不動産賃貸収入等が増加したものの、引渡戸数の減少により分譲マンション販売や戸建て住宅販売が減少した。物件の販売が年度後半に偏り、契約戸数も減少したが、販売自体は順調だった(引き渡しの完了と共に売上が計上されるため、売上は過去の販売の結果であり、決算期の販売の好不調を反映したものではない)。
営業利益は同3.8%増の29億38百万円。「ワコーレシティ神戸三宮」等、採算の良い大型プロジェクトの寄与で売上総利益率が21.5%と1.2ポイント改善する中、物件の販売が年度後半となり販促費が下振れしたため、販管費が前期並みにとどまった。支払利息の増加(6億12百万円→7億34百万円)で営業外費用が増加したものの、法人税率の軽減で当期純利益は12億38百万円と同4.9%増加した。

配当は、1株当たり記念配3円を含む期末26円を予定している。
 
 
 
分譲マンション販売
売上高233億98百 万円(前期比7.3%減)、セグメント利益24億38百万円(同0.3%減)。引渡が翌17/2期にまたがる大型プロジェクト「ワコーレシティ神戸三宮」(総戸数471戸のうち323戸の引渡を16/2期に行い、残りの引渡を17/2期第1四半期に実施)の影響を織り込み、当初から引渡戸数の減少を見込んでいた。大型プロジェクトの販売に注力するため、発売戸数や契約戸数も減少を見込んでいた。契約自体は順調だったが、物件の販売が年度後半に偏重したため、発売戸数・契約戸数共に計画に届かなかった。引渡戸数はほぼ計画通りの前期比10.3%減の686戸(ワコーレシティ神戸三宮等9棟)。一方、発売戸数は同14.3%減の829戸(21棟)、契約戸数は同34.1%減の697戸。期末の契約済未引渡戸数は前期末比1.2%増の899戸(前期末888戸)、仕入戸数は同28.7%減の778戸(同1,091戸)、未契約完成在庫は11戸(同18.5戸)。
 
 
 
戸建て住宅販売
売上高17億52百万円(前期比18.1%減)、セグメント利益48百万円(同47.7%減)。建築確認や近隣調整等に時間を要した事で発売が遅れたため、引渡戸数が計画(70戸)及び前期実績(60戸)を下回る45戸にとどまった。
 
その他不動産販売
売上高14億63百万円(前期比146.4%)、セグメント利益1億71百万円(同50.5%増)。木造収益物件(1棟売り集合住宅)等、前期の6物件を上回る11物件を販売した。
 
不動産賃貸収入
売上高(不動産賃貸収入)22億45百万円(前期比8.3%増)、セグメント利益9億27百万円(同10.9%増)。新たに取得した物件の寄与と高稼働率の維持で売上高・利益共に増加した。
 
 
 
期末総資産は前期末に比べて52億24百万円増の708億76百万円。資産においては、ワコーレシティ神戸三宮の3月以降の引渡を控えて販売用不動産が増加した他、順調な仕入を反映して仕掛販売用不動産も増加。賃貸物件2物件の取得で有形固定資産も増加した。負債については、新規開発用地の仕入により有利子負債が増加した他、純資産も増加。一方、建築費の支払いが進み仕入債務が減少した。
自己資本比率は24.8%と前期末(25.3%)に比べて0.5ポイント低下したが、ワコーレシティ神戸三宮の引渡完了に伴い、足元の有利子負債は400億円程度に減少している。
16/2期の新規取得(51プロジェクト、113億63百万円)は、分譲マンションが27プロジェクト95億06百万円、戸建て住宅10プロジェクト6億92百万円、その他14プロジェクト11億65百万円。その他の増加は木造収益物件事業の強化に伴うもの。
 
 
 
仕入が順調だった事に加え、建築費の支払いが進んだ事やリース債権の取得等で営業CFのマイナス幅が拡大。賃貸物件の取得等で投資CFのマイナス幅も拡大した。
 
 
2017年2月期業績予想
 
(1)事業環境
2015年の近畿圏マンション市場は、年間供給戸数が前年比0.6%増の18,930戸とほぼ横ばいにとどまり、契約率は70.8%と好不調の目安となる70%をかろうじて上回ったが、前年比で5.8ポイント低下した。その理由として、販売価格の上昇が挙げられ、戸当たり平均価格は3,788万円と同3.9%の上昇、㎡単価も58.2万円と10.2%上昇した。

一方、同社の地元である兵庫県では、神戸市のマンション新規供給戸数が2,829戸と前年比13.7%減少したものの、兵庫県下において2,366戸と同36.1%増加した。㎡単価は、神戸市が57.1万円と同13.5%上昇したものの、兵庫県下では54.7万円と同3.2%低下した。供給は㎡単価の低い兵庫県下へシフトしているようだ。ちなみに神戸市では、新駅の効果による住宅需要の堅調さを反映し、神戸市灘区の地価が3.4%上昇した。

また、建築コストについては、職人が不足する中、東日本大震災の復興事業、東京オリンピックの決定、タワーマンションの増加等を背景にした上昇に一服感があるものの、高値圏を維持している。
 
 
前期比10.5%の増収、同0.2%減の経常減益
売上高は前期比10.5%増の320億円。不動産賃貸収入が減少するものの、分譲マンション販売及び戸建て住宅販売が共に10%を超える増収となる見込み。

営業利益は同3.0%減の28億50百万円。不動産価格の上昇や建築業界の人手不足等の影響で用地価格及び建築コストが高止まりしているため分譲マンションを中心に原価率が上昇傾向にあるものの、当期については、採算性の良いプロジェクトが含まれているため原価率は79.5%と1ポイントの上昇にとどまる見込みで売上総利益が増加する。ただ、事業エリアの拡大や大型物件の発売等に伴う人件費(人員増強)や販促費の増加で販管費が37億円と同12.5%増加して利益を圧迫する。
尚、当期は大型プロジェクト「ワコーレシティ神戸三宮」の引き渡しが上期にあるため、業績が上期偏重になる(引渡戸数は770戸を計画しているが、このうち約540戸の引渡を上期に計画している)。

配当は1株当たり年26円を予定している。3円の記念配当は無くなるものの、普通配当を3円増配する。
 
 
(3)セグメント別取り組み
分譲マンション販売
引渡は前期比12.2%増の770戸(18棟)を計画しているが、このうち689戸については前期末までに契約を完了している(契約率89.5%)。第1四半期にワコーレシティ神戸三宮の未引渡分があるため、今期の引渡は上期偏重。発売戸数は750戸と同9.5%減少する見込みだが、契約戸数は前期に発売の遅れで減少した反動もあり、790戸と同13.3%増加する見込み。一方、仕入は地価の上昇等を踏まえて物件を厳選していく考えで仕入戸数は同3.6%減の750戸を計画。市街地商店街「市場」の再開発プロジェクトや事業エリア拡大に伴う近隣地域(姫路、北摂)でのプロジェクトに取り組んでいく。

尚、再開発プロジェクトでは、住宅環境の変化や地域密着という同社の社会的使命から、小規模商店街「市場」の再開発を進めている。神戸・阪神間において人気の高い阪急岡本駅徒歩2分の立地にある「本山市場」の再開発プロジェクト「ワコーレ岡本レジデンス」(23戸)は1戸当たり平均90百万円を超える高額物件だったが順調に販売が進み完売した(2016年4月引渡済)。現在、神戸中心地の三宮駅・岡本駅周辺で同様のプロジェクトが進んでいる他、小規模ながら市営住宅の再開発案件も進行中である。
 
 
戸建て住宅販売・その他不動産販売
組織変更により、2016年4月1日付けで戸建事業部に木造収益課を新設した(後述)。戸建て住宅販売では、ワコーレノイエ妙法寺(神戸市須磨区:総区画数11区画)等で、前期の45戸を上回る60戸の引き渡しを計画しており、売上高は前期比14.1%増の20億円を計画。一方、その他不動産販売では、木造収益物件5棟を含む14億円(前期比4.3%減)の売上を計画している。
 
 
不動産賃貸収入
量よりも質重視の観点からポートフォリオの構築に取り組んでいく。物件の入れ替えに伴い売上高が22億円と前期比2.0%減少する見込み。
 
 
(4)周辺事業への展開(管理、リフォーム事業)
晴耕雨耕(株)との業務・資本提携
2016年3月7日に、分譲・賃貸マンションの管理を手掛ける晴耕雨耕(株)と資本業務提携契約を締結した。資本提携では、第三者割当増資により、100株(発行済み株式の33.3%)を1億25百万円で引き受けた。今後は、外部に斡旋していた管理業務の一部をグループ内に取り込み、開発事業とマンション管理業務との相乗効果につなげていく。

尚、晴耕雨耕(株)は、本社を兵庫県尼崎市に置き、尼崎市、伊丹市、西宮市を事業エリアとして分譲及び賃貸マンションの管理を行っている。直近の15/5期は、売上高12億93百万円(14/5期13億52百万円)、営業利益38百万円(同41百万円)、純資産91百万円(前期末77百万円)、総資産4億31百万円(同4億07百万円)。2016年2月末現在の社員数は217名。
 
組織改正
強みである分譲マンション事業の積極展開と新規業務への対応を目的に4月1日付けで組織改正を行った。具体的には、分譲マンション事業部において、分譲戸数や展開地域の拡大を念頭に課を増設し5課体制にすると共に、大阪営業所を分譲マンション事業部所管に変更した。また、ノンアセットビジネスへの対応も踏まえ、賃貸事業部の名称を事業開発部に改称すると共に、リフォーム事業課を新設。この他、戸建事業部に木造収益課を新設した。
 
 
 
今後の注目点
同社の販売物件としては過去最大となった総戸数471戸のワコーレシティ神戸三宮が完売した。大規模プロジェクトを手掛ける事で、同社は神戸・阪神間で存在感を示す事ができたのではないだろうか。中小型のマンションを得意とする同社だが、良質な物件であれば大規模プロジェクトにも柔軟に対応している(同社では100戸以上の物件を大型物件としており、現在、2物件を販売中で、今期中に1棟の発売を予定している)。
また、マンションの杭打ち問題が世間の耳目を集めたが、同社においては杭打ちについて問題がない事を確認済み。問題が表面化した直後は問い合わせが多かったが、既に沈静化しており、販売にネガティブな影響もないと言う。
ただ、マンションの販売価格の上昇は懸念材料だ。業界全体で発売戸数が減少し、契約率も低下している。同社においては、神戸市東部(大阪寄り)の地域では好調な販売が続いているが、西側では販売価格に需要が敏感に反応すると言う。もっとも、相対取引を中心に積極的に仕入に取り組んできた結果、同社は既に向こう3年程度の物件の手当を終えている。このため今後の仕入れについては物件を厳選して慎重に対応していく考えだ。