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ブリッジレポート:(3667)enish vol.14

(3667:東証1部) enish 企業HP
安徳 孝平 社長
安徳 孝平 社長

【ブリッジレポート vol.14】2016年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「第2四半期以降の新規のIPタイトルを予定している。「12オーディンズ」の開発において、開発スキルとミドルヒットを狙えるノウハウの獲得が進・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年5月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社enish
社長
安徳 孝平
所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年12月 5,482 -964 -1,004 -1,447
2014年12月 6,452 149 151 22
2013年12月 6,624 1,109 1,078 653
2012年12月 4,430 666 654 373
2011年12月 2,590 526 523 298
2010年12月 415 64 71 55
2010年1月 22 -40 -41 -41
株式情報(5/6現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
603円 7,190,800株 4,336百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - - - 218.22円 2.8倍
※株価は5/6終値。
 
enishの2016年12月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランII」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの企画・開発・運営会社。Link with Funというスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げており、社名の「enish(エニッシュ)」は、人と人との縁(えん、えにし)に由来している。
14年3月には実質的創業者である安徳孝平(アントク コウヘイ)氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考え。

尚、ネイティブゲーム(アプリ)とは端末にダウンロードして楽しむアプリで、主にスマートフォン向けに提供されている。一方、ブラウザゲーム(アプリ)はダウンロードせず、GREE、mixi、Mobage等のプラットフォームにアクセスしてブラウザ上で楽しむ。いずれも無料で楽しむ事ができるが、ゲームを進める上で有効なアイテム等を購入した場合、課金が発生する。ブラウザゲームでは、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
 
 
【事業内容】
事業はソーシャルアプリ事業の単一セグメント(ゲームはアプリのカテゴリーの一つ)。ブラウザアプリを収益基盤にネイティブアプリを育成している。ゲームは無料だが、ゲームを展開する上で有効なアイテム等を購入すると課金が発生する。ブラウザアプリの場合、ユーザへの課金及び料金回収はSNSを運営するプラットフォーム事業者に委託し、同社はその対価としてシステム利用料等を支払っている。
尚、「ぼくのレストランII」、「ガルショ☆」(共にブラウザアプリ)等の経営シミュレーションゲームは女性に人気があり、いずれもロングセラー。女性ユーザは長期継続型のユーザが多い。
 
リリース後の「運営」が事業成否のポイントとなるソーシャルゲーム
ソーシャルゲームは、①ゲームを通してプレイヤー同士がコミュニケーションを図る、②基本的には無料でゲームを進めながらアイテム等で課金、③原則無料のためスマートフォンさえあれば気軽に遊べる、④ゲームにゴールがない、⑤リリース後ゲーム進行に合わせて新機能の追加実装、⑥キャラクターやアイテムを追加して運営していくスタイル、といった特徴を有し、パッケージで提供されるゲームと異なり、「リリース」よりもリリース後の「運営」が事業成否のポイントとなる。

「運営」とはゲーム内イベントの運営であり、そのゲームの育成対象となるアイテムやキャラクター等を獲得できる収集イベント、キャラクターを成長させるための育成イベント(育成専用のアイテムの配布等を実施)、及び育成したアイテムやキャラの力を試す活用イベントの3つ。中でも、他のユーザとの戦いや協力でゲームが進行し、リアルタイムでのランキング表示もある活用イベントは、ユーザの注目度も高く、最も売上が大きくなる。
 
【基本方針】
新規ネイティブアプリの投入、グローバル展開、及び安定した収益基盤の維持、を基本方針として事業を進めている。新規ネイティブタイトルは、男性向け、女性向けを問わず、多様なゲームジャンルへの展開を図ると共に、開発計画遵守を徹底する。また、グローバル展開は日本でのリリース後の結果いかんだが、リスク軽減を図るべく現地パートナーと連携して進めていく。
一方、安定した収益基盤の維持では、運営力を活かし、既存ブラウザアプリの収益維持を図る考えで、新機能の追加やコンテンツの投入に継続的に取り組んでいく。
 
【主要タイトル】
 
 
 
2016年12月期第1四半期決算
 
 
前四半期との比較で1.4%の減収ながら、営業損益が大幅に改善
みんなで×つなげるバトルRPG「12オーディンズ」のAndroid版を2016年1月26日に、iOS版を同年1月28日に、それぞれリリースした他、同年2月2日に菜園シミュレーションゲーム「クルトン」の配信を韓国「カカオゲーム」で開始した。
売上高は前四半期との比較で18百万円減の12億71百万円。「ゆるかみ」の終了や採算を重視してブラウザゲームの絞り込み(選択と集中)を行った影響で減収傾向が続いたものの、「12オーディンズ」の寄与でわずかな減収にとどまった。一方、営業損失は前四半期の1億71百万円から41百万円に減少した。「12オーディンズ」配信開始に伴う広告宣伝費の増加等で販管費がわずかに増加したものの、開発ラインの絞り込みと開発人員の削減による外注加工費や労務費の減少で売上原価が前四半期と比べて1億50百万円(11.8%)減少した。尚、販管費も、海外関連コストである支払手数料が減少する等、コスト削減効果は出ている。
 
 
 
借入金の返済等で第1四半期の総資産は19億52百万円と前期末に比べて3億01百万円減少した。貸方では、現預金や長期貸付金(投資その他)が減少し、借方では短期借入金や純資産が減少した。自己資本比率は80.4%(前期末71.6%)。
 
 
2016年12月期業績予想
 
【業績予想の開示を見合わせ】
「ソーシャルアプリ事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い半期及び通期の業績予想数値を算出することが困難となっている」として、業績予想の開示を見合わせた。決算業績及び事業の概況のタイムリーな開示に努めていく考え。
 
【16/12期の基本方針】
(1) IPタイトルの投入 安定した集客の見込めるIPタイトルの開発を推進する
(2) ネイティブゲーム
の成長
「12オーディンズ」に広告費を投下し、ヒットタイトルに成長させる
(3) ブラウザゲームの
運営強化
運営力を活かし、既存ブラウザタイトルの収益を維持及びタイトルの選択と集中
 
(2) ネイティブゲーム
の成長
「12オーディンズ」に広告費を投下し、ヒットタイトルに成長させる
「12オーディンズ」のAndroid版を2016年1月26日に、iOS版を同年1月28日に、それぞれリリースした他、同年2月2日に「クルトン」の配信を韓国「カカオゲーム」で開始した。両タイトル共に4月に60万ダウンロードを達成しており、いずれも順調な立ち上がり。「12オーディンズ」については、今後、ゲーム内イベントの開催や機能追加で収益性を高めていく考えで、「クルトン」については、韓国以外のエリアに順次展開していく予定。
 
みんなで×つなげるバトルRPG「12オーディンズ」
世界を滅ぼしかけた魔龍の爪あとが残るウルザールを舞台に、プライヤーは「約束の地」を求めて旅立つ。個性豊かなキャラクターとの出会い、交錯する思いと人間模様、徐々に明らかになっていくストーリー。ジョブシステムと多彩な装備やスキルを駆使した戦略性と共に、派手なエフェクトと3Dで表現される爽快なリアルタイムバトルを堪能できる。
 
 
菜園シミュレーションゲーム「クルトン」
韓国最大のゲーム プラットフォーム「カカオゲーム」にて2016年2月2日より配信を開始した。不思議ないきもの「クルトン」と一緒に楽しむ菜園シミュレーションゲーム。プレイヤーは、海辺で拾った小さなボトルに吸い込まれてしまった事をきっかけに、不思議ないきもの「クルトン」と出会う。感情豊かで愛くるしい「クルトン」と野菜や果物を収穫したり、動物を育てたり、300種類以上ある豊富なデコアイテムでお気に入りの菜園を作る事も。困った時は友だちと助け合いながら、自分だけの菜園ライフを楽しもう。
 
 
(3) ブラウザゲームの  
運営強化
運営力を活かし、既存ブラウザタイトルの収益を維持及びタイトルの選択と集中
経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランII」(370万ダウンロード)、経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」(350万ダウンロード)、カードバトルRPGゲーム「ドラゴンタクティクス」(230万ダウンロード)は根強いファンが多く、運用も順調ためCash Cowになっている。「ハローキティ」、「マイメロディ」、「クロミ」、「スヌーピー」、「チョコボ」等と実施したようなコラボレーションも強化し、収益維持に努める。
 
 
【新たな取り組み「EDIST CLOSET」】
「ぼくのレストラン」や「ガルショ☆」等の女性向けタイトルの開発・運用で培ったノウハウを活かし、ファッションレンタルサービス「EDIST CLOSET」を立ち上げた。「EDIST CLOSET」は、人気スタイリストやアパレルとコラボしたハイセンスなアイテムを月額7,700円でレンタルできる(シーズン毎に新しい洋服をレンタルする事が可能)。現在、本格的な会員獲得に向け準備中である。
 
 
 
今後の注目点
第2四半期以降の新規のIPタイトルを予定している。「12オーディンズ」の開発において、開発スキルとミドルヒットを狙えるノウハウの獲得が進んだ事を踏まえて、本数を絞り、ひとつひとつを丁寧に作り上げていく考え。コスト面では、人員の効率化や海外拠点の整理・縮小といった構造改革の成果が出始めている。ただ、有力3タイトルを有するブラウザゲームも漸減傾向は避けられないだけに、新作タイトルを計画通りにリリースすると共に、引き続きコストコントロールに取り組んでいく必要がある。
16/12期については、既にリリースした2タイトルとIPタイトルの新作で、どれだけの収益を上積みできるか注目したい。