ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

プライム

ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.33

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.33】2016年2月期業績レポート
取材概要「2015年は白菜が10年来の高値を付け、キュウリも数度にわたり高騰したため、同社の16/2期決算は利益の下振れを余儀なくされた。天候要因による業績・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年5月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年2月 30,152 931 975 692
2015年2月 26,805 1,056 1,098 503
2014年2月 25,648 852 971 608
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
株式情報(4/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,272円 5,036,486株 6,406百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17.00円 1.3% 178.28円 7.1倍 1,508.72円 0.8倍
※株価は4/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2016年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっており、グループは子会社14社(うち連結子会社10社・平成28年4月末現在・(株)フードレーベルホールディングスの子会社含む)、持分法適用関連会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはHACCPの導入やISO9001の認証取得、更には5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。
16/2期の品目別売上構成は、製品売上が66.8%(浅漬・キムチ46.4%、惣菜18.4%、ふる漬2.1%)、商品(漬物)売上が33.2%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、16/2期は同グループ向けの売上が全体の29.1%を占めた(取引自体は堅調だが、12/2期37.9%、13/2期35.6、14/2期33.6、15/2期31.3と依存度は低下傾向にある)。
 
【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたい」としている。
 
HACCP:米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理の方法。同社は日本デリカフーズ協同組合(セブン‐イレブン・ジャパンに販売する弁当・惣菜メーカー等が加入)独自のHACCP認定に取り組む。
ISO9001:業務全般にわたった品質マネジメントシステムについての国際規格。取得のためには安定した品質、サービスを供給するために会社としての方針の設定とその方針に沿った仕組みや手順の構築、PDCAサイクルに則った継続的改善を行う事等が要求される。
ISO14001:組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築することが要求される。
(同社資料より)
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様だ。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界・惣菜業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
 
製品開発力
製品開発力を強みに16/2期のキムチの売上は50億円を超えた。また、惣菜製品も、既存商品の継続的な改善とラインナップ拡充の成果でスーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる他、外食向けも好調で、16/2期の売上は前期の26億円から36億円へと37.8%強増加した。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
同社は安定して8%を超えるROEを維持している。15/2期は(株)ピックルスコーポレーション札幌の減損損失の計上等で7%台にとどまったが、16/2期は逆に県西中央青果(株)の子会社化に伴う負ののれん発生益の計上等で10%近くに上昇した。17/2期は、原料野菜価格の安定とチルド(キムチ等)やドライ(たれ・ドレッシング)のファブレスメーカーである(株)フードレーベルホールディングスを子会社した効果で10%を超える可能性がある。
 
 
2016年2月期決算
 
 
前期比12.5%の増収、同11.2%の経常減益
売上高は前期比12.5%増の301億52百万円。浅漬・キムチや惣菜を中心に製品売上が201億56百万円と同10.4%増加した他、弁当や握り飯に使われる梅干し・沢庵等のコンビニ向けの増加や県西中央青果(株)の子会社化効果で商品売上も99億96百万円と同17.0%増加した。一方、営業利益は同11.8%減の9億31百万円。4月、7月、及び9月のキュウリと5月の白菜の高騰で製品の利益率が悪化する中、物流費や人件費を中心にした販管費の増加が負担になった。最終利益が増加したのは、県西中央青果(株)の子会社化に伴い負ののれん発生益(1億17百万円)を計上する一方、減損損失がなくなった事で特別損益が改善したため(前期は(株)ピックルスコーポレーション札幌の旧工場関連等で1億32百万円を計上)。
配当は1株当たり2円増配の期末17円を予定している。
 
 
 
 
 
自己株式の処分(2015年5月、342千株)及びフリーCFの改善による現預金の増加と好調な業績による純資産の増加で期末総資産は168億49百万円と前期末に比べて10億87百万円増加した。流動比率97.1%(前期末79.9%)、固定比率139.1%(同163.1%)、自己資本比率45.1%(同41.5%)。投下資本利益率4.3%(同5.5%)。
 
 
税前利益の増加と資金効率の改善で営業CFの黒字が増加する一方、設備投資の減少で投資CFが改善したため、前期は19百万円にとどまったフリーCFが13億79百万円に増加した。
尚、設備投資は設備更新を中心に2億56百万円(前期はピックルス札幌の新工場への投資等で10億15百万円)。減価償却費は5億34百万円を計上した(同5億17百万円)。
 
 
2017年2月期業績予想
 
 
前期比22.1%の増収、同48.2%の経常増益
3月に、キムチやたれ・ドレッシング等のファブレスメーカーである(株)フードレーベルホールディングスを100%子会社化した(4月から連結)。17/2期決算において、売上・利益の押し上げ効果が期待できる。

売上高は前期比22.1%増の368億17百万円。浅漬・キムチや惣菜を中心に製品売上が同11.0%増加する中、(株)フードレーベルホールディングスの子会社化効果で商品売上が同44.6%増と伸びる。営業利益は同50.6%増の14億02百万円。原料野菜価格の正常化を想定して原価率の改善を見込んでおり、業容拡大に伴う物流費・人件費の増加やのれん償却費の増加を吸収。(株)フードレーベルホールディングスの子会社化も利益の押し上げ要因になる。

設備投資は、前期の2億56百万円を大幅に上回る14億61百万円を計画。生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、更には新工場(京都第2工場及び九州新工場)のための土地取得等を計画している。減価償却費は5億88百万円を織り込んだ(前期は5億34百万円)。

配当は1株当たり17円の期末配当を予定している。
 
 
 
(2)(株)フードレーベルホールディングスの子会社化
2016年3月7日に、(株)フードレーベルホールディングスを100%子会社化した(取得額11億02百万円)。(株)フードレーベルホールディングスは、牛角ブランドのチルド製品(キムチ等)やドライ製品(醤油だれ等)等を展開しており、高い企画力を生かして、有名店、有名シェフ等とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。また、様々な商品コンセプトを実現するために、国内外に多数の協力工場のネットワークを構築している。

(株)ピックルスコーポレーションは、(株)フードレーベルホールディングスを子会社化する事で、グループの事業領域の拡大と効率化を図り、グループ全体の成長につなげていく考え。期待できるグループシナジーとして、①(株)ピックルスコーポレーションの営業拠点活用及び開発力によるフードレーベル製品の売上拡大、②フードレーベル製品の内製化による効率化・収益力の向上、及び③フードレーベルの協力工場活用による製品ラインナップ拡充等を挙げる事ができる。
 
会社概要
所在地  東京都台東区東上野一丁目7番15号
代表者  代表取締役社長 岡田 修吾
資本金  90百万円
 
 
 
コラボ商品の開発では、日本橋たいめいけん、焼肉チャンピオン、焼肉トラジ、田崎真也、CoCo壱番屋等との商品で実績がある。
 
 
市場動向と17/2期の施策
 
【市場動向】
漬物市場の動向
同社は漬物市場を約3,200億円と推定している。コメ消費の減少、食の多様化、少子高齢化等の影響を受けて市場は縮小傾向にあったが、ここにきて底打ち感が出てきた。沢庵等のふる漬の縮小が続く一方で、キムチが堅調に推移しており、浅漬も安定している。

また、漬物メーカーは全国で900社程度と言われているが、家族経営的な企業が大半を占め、直近の決算で年商が100億円を超えるのはトップの同社を含めた3社に過ぎない(上記の市場規模を900社で割った1社平均の年商は3~4億円)。業界トップである同社にしても、シェアは9.3%(推定、以下同じ)にとどまり、同社を含めた上位10社でも、シェアは34.6%に過ぎない。しかし、同社のシェアは前年の8.1%(前々年7.3%)から上昇しており、10社合計のシェアも32.9%(同30.8%)から上昇している。

つまり、中小企業がひしめく業界ではあるが、上位企業による寡占化が進んでおり、特に、健康志向、惣菜化、機能性訴求等をキーワードにした製品開発力を有するメーカーのビジネスチャンスは拡大している。今後、業界の淘汰・再編、そして大手メーカーによる寡占化が一段と進むものと思われる。

同社は国産原料にこだわる(100%国産原料)事で消費者の安心・安全志向に応えると共に、強みである製品開発力・販売力を活かしてシェアアップを図っていく考え。当面の目標はシェア15%だが、これを早期に達成して、20%、30%と、更なる高みを目指していく。
 
 
惣菜市場の動向
惣菜市場は、単身世帯の増加や高齢化の進展、更には女性の社会進出もあり、拡大傾向にある。同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2014年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等)は9,361億円。また、10年前は、食料品スーパー等で7%だった惣菜の売場比率が、直近では12%に拡大していると言う。総菜分野では、フジッコ、ケンコーマヨネーズ、エバラ食品、デリア食品、大堀、イニシオフーズ等が大手で、いずれも400~600億円規模の年商を誇るが、最大のライバルは小売りの内製。食料品スーパー等では、惣菜の80~90%を店舗のバックヤードや自社工場で内製していると言われているが、近年、人材難のためメーカーからの仕入を増やすケースが増えている。また、食品を扱うドラッグストアが増えている事も追い風で、惣菜各社のビジネスチャンスは拡大している。
こうした中、同社は惣菜事業では後発企業であるが(2004年前後に参入)、製品開発力、全国をカバーする製造拠点、更には直販ならではのきめ細かい営業を強みに、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしている。
 
 
【17/2期の施策】
製品力の強化、広告宣伝・販促活動、及び全国ネットワークを活用した営業戦略を三位一体とする事業展開により、既存取引先の深耕と新規取引先の開拓に取り組んでいく。
 
 
2015年4月に実施したリニューアル効果もあり、「ご飯がススム キムチシリーズ」の販売が堅調に推移している。17/2期は営業強化と継続的な新製品の投入で、16/2期に50億円(53億30百万円)を超えたキムチの売上を1割程度増やしたい考え。
この一環として、2016年2月に「ご飯がススム本格キムチ」の販売を開始しており、5月にはご飯がススムトムヤム風キムチの発売を予定している。「ご飯がススム本格キムチ」は今後の重点製品として位置付けており、比較的甘みが強かった「ご飯がススム キムチシリーズ」において、酸味・甘味・辛味のバランスを獲りつつ辛味を強調。うま味とコク味の強い、飽きのこない味わいを特徴とする本格的なキムチである。一方、「ご飯がススムトムヤム風キムチ」は、甘、辛、酸っぱい味わいのトムヤムクンとキムチのコラボレーション製品。タケノコの食感とコリアンダーの香りでトムヤムクンを食べているような味わいが特徴。
 
 
また、2016年3月に減塩浅漬シリーズの3製品をリニューアルすると共に、2製品を発売した。いずれの製品も、美味しさを損なう事無く、更なる減塩を実現した。また、パッケージに食塩相当量を記載する事で塩分の摂取量もわかりやすくなった。
 
 
惣菜市場は、単身世帯の増加、高齢化、女性の社会進出に加え、健康や栄養バランス等の食への関心の高まりや家事の簡便化・時間短縮ニーズ等を背景に、拡大が続いている。同社は既存商品の継続的な改善とラインナップの拡充で惣菜の販売拡大にも取り組み、17/2期の惣菜売上を59億86百万円と前期比8.1%増加させたい考え。
 
 
(2)広告宣伝活動・営業戦略
鉄道広告(JR山手線)、テレビ・ラジオCM、屋外看板(西武ドーム)等を利用した従来の広告宣伝・販促活動に加え、今期は、「渋谷109フォーマルビジョン」でのCM放映を実施する(2016年4月現在、放映中)他、埼玉、都内、神奈川でラッピングバス(西武バス、都営バス)による広告手法も取り入れる。17/2期の広告宣伝費は前期の2億86百万円を上回る3憶07百万円を予定している。
 
 
(3)営業戦略
全国ネットワークを活かした営業戦略を推進し、特に北陸、中四国、九州を強化する。この一環として、(株)ピックルスコーポレーション関西は、京都第2工場及び九州工場の建設準備に入る。現在、同社は京都工場と広島工場の2工場を有するが、共に増産余力が乏しい。九州については、合弁会社の1工場があるのみである。
地域別GDPとの比較から中部(北陸3県が含まれる)、関西、中国・四国・九州で同社が売上を伸ばす余地は大きいと言える。
 
 
(4)主要子会社の取り組み
 
(株)ピックルスコーポレーション関西は、関西地区及び中・四国地区を事業エリアとして、生産拠点は京都府と広島県。スーパー、生協、外食産業等を顧客として、浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売、及び漬物の仕入・販売を行っている。
16/2期は原材料野菜の価格高騰を受けて営業利益が53百万円と前期の1億05百万円から大きく減少した。17/2期は原材料野菜の価格安定を前提に営業利益が84百万円に回復するとみている。ただ、関西及び九州地区での新工場建設(投資額約20億円)を計画しており、18/2期は新工場の立ち上げ費用の発生と減価償却費の増加で営業損益が75百万円の損失になる見込み。
 
 
北海道地区を事業エリアとする(株)ピックルスコーポレーション札幌は、浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売、漬物の仕入・販売を行っており、主な販売先は、コンビニ、スーパー、外食産業等。冬場の配送コスト負担が大きい等、他のエリアに比べて利益確保の難易度が高い。
新工場のオペレーションが軌道化してきた事で16/2期は営業損失が前期の1億25百万円から47百万円に減少した。17/2期は12/2期以来の営業損益の黒字化が見込まれる。
 
 
15/12期はのれん償却費が負担となり営業利益が76百万円にとどまったが、17/2期以降は、(株)ピックルスコーポレーションの連結決算でのれんが償却されるため個別決算では営業利益が大幅に増加する。物流費等を含めたトータルコストの面から商品の絞り込みを行うため、17/2期は売上の減少が見込まれる中で採算が改善する。18/2期以降は、生産や物流の整備を進めつつ、売上を伸ばしていく考え。
 
 
中期経営目標
 
 
数値目標として、19/2期に売上高404億円、営業利益14.5億円を掲げている。目標の達成に向け、同社の強みであり特徴である、開発力、全国を網羅した生産・物流体制、ベンダー機能を生かすと共に、食の安全・安心や環境保全活動への取り組みを進める事で、販売先の拡大、販売エリアの拡大、及び取扱製品の拡大を図り、業容を拡大させていく。
 
 
浅漬、キムチ、惣菜に次ぐ商材の開発に取り組み、スーパー・生協等において、漬物売場・総菜売場から、佃煮売場、肉売場、魚売場等へと売り場を広げていく他、食品の取り扱いを強化しているドラッグストアを取り込んでいく。販売エリアでは、市場開拓余地が大きい、中国・四国地区、九州地区、北陸地区において、営業の強化と供給体制の強化・整備に取り組んでいく。
 
 
設備投資計画
設備投資については、17/2期は生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、及び新工場のための土地取得等で14億61百万円を予定している。続く18/2期は関西地区及び九州地区でのピックルス関西・新工場建設や設備更新等で19億78百万円を計画。19/2期は、大型投資の一巡で5億42百万円に減少する見込み。
 
 
 
今後の注目点
2015年は白菜が10年来の高値を付け、キュウリも数度にわたり高騰したため、同社の16/2期決算は利益の下振れを余儀なくされた。天候要因による業績の下振れはいかんともし難いが、手をこまねいている訳ではなく、昨年6月に、国産野菜の調達方法の多様化と生育状況や取引価格動向等の情報収集力強化を目的に、青果市場の運営を行う県西中央青果(株)を子会社化した。このM&Aが、今後、徐々に仕入原価の安定に寄与してくるのではないだろうか。
また、この3月には牛角ブランドの商品を扱う(株)フードレーベルホールディングスを子会社化した。子会社の17/2期(決算期変更に伴い14カ月決算)の予想営業利益は2.3億円。特別損益がなければ、営業利益≒EBITDA(税前・利払い前・償却前利益)と考える事ができるため、11億円の投資で2.3億円のEBITDAが期待できる事になる。ただ、牛角ブランドへの依存度の高さがリスクであり、また、人気商品とは言え、関東から全国に配送していたため、「配送コストを考えると不採算」と言うケースも少なくないようだ。今後は、コラボ商品の開発で豊富な実績を持つ親会社(株)ピックルスコーポレーションとの連携で商品ラインナップを強化・拡充し、牛角ブランド商品の拡大を図りながら依存度を引き下げていく。また、親会社の製造・物流拠点を活用してコスト削減を図る他、必要に応じて取引先の見直しも行っていく考え。
以上、この1年間に実施したM&Aは非常に興味深い。早期のグループシナジーの発揮に期待したい。