ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.33
(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション |
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企業名 |
株式会社ピックルスコーポレーション |
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社長 |
宮本 雅弘 |
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所在地 |
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3 |
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決算期 |
2月末日 |
業種 |
食料品(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2016年2月 | 30,152 | 931 | 975 | 692 |
2015年2月 | 26,805 | 1,056 | 1,098 | 503 |
2014年2月 | 25,648 | 852 | 971 | 608 |
2013年2月 | 24,063 | 915 | 974 | 570 |
2012年2月 | 21,587 | 982 | 1,066 | 591 |
2011年2月 | 20,824 | 577 | 624 | 365 |
2010年2月 | 18,234 | 536 | 583 | 322 |
2009年2月 | 18,502 | 399 | 413 | 202 |
2008年2月 | 17,870 | 286 | 373 | 205 |
2007年2月 | 16,775 | 293 | 355 | 218 |
2006年2月 | 16,563 | 158 | 205 | -37 |
2005年2月 | 18,186 | 74 | 146 | 144 |
2004年2月 | 18,038 | 268 | 285 | 99 |
2003年2月 | 18,047 | 101 | 98 | 36 |
2002年2月 | 16,542 | 548 | 514 | 230 |
株式情報(4/22現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
16/2期の品目別売上構成は、製品売上が66.8%(浅漬・キムチ46.4%、惣菜18.4%、ふる漬2.1%)、商品(漬物)売上が33.2%。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、16/2期は同グループ向けの売上が全体の29.1%を占めた(取引自体は堅調だが、12/2期37.9%、13/2期35.6、14/2期33.6、15/2期31.3と依存度は低下傾向にある)。 【経営理念】
経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、品質管理の国際規格であるISO9001認証、HACCP認定や環境管理の国際規格であるISO14001認証を取得している他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたい」としている。
HACCP:米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された食品衛生管理の方法。同社は日本デリカフーズ協同組合(セブン‐イレブン・ジャパンに販売する弁当・惣菜メーカー等が加入)独自のHACCP認定に取り組む。
ISO9001:業務全般にわたった品質マネジメントシステムについての国際規格。取得のためには安定した品質、サービスを供給するために会社としての方針の設定とその方針に沿った仕組みや手順の構築、PDCAサイクルに則った継続的改善を行う事等が要求される。 ISO14001:組織活動、製品及びサービスの環境負荷の低減といった環境パフォーマンスの改善を実施する仕組みが継続的に運用されるシステム(環境マネジメントシステム)を構築することが要求される。 (同社資料より) 【強み】
大ヒットしている「ご飯がススム キムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新製品を投入できる製品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様だ。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が、浅漬、キムチに次ぐ柱として育ってきた惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界・惣菜業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
製品開発力
製品開発力を強みに16/2期のキムチの売上は50億円を超えた。また、惣菜製品も、既存商品の継続的な改善とラインナップ拡充の成果でスーパーや生協等での売り場開拓が進んでいる他、外食向けも好調で、16/2期の売上は前期の26億円から36億円へと37.8%強増加した。
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。 |
2016年2月期決算 |
前期比12.5%の増収、同11.2%の経常減益
売上高は前期比12.5%増の301億52百万円。浅漬・キムチや惣菜を中心に製品売上が201億56百万円と同10.4%増加した他、弁当や握り飯に使われる梅干し・沢庵等のコンビニ向けの増加や県西中央青果(株)の子会社化効果で商品売上も99億96百万円と同17.0%増加した。一方、営業利益は同11.8%減の9億31百万円。4月、7月、及び9月のキュウリと5月の白菜の高騰で製品の利益率が悪化する中、物流費や人件費を中心にした販管費の増加が負担になった。最終利益が増加したのは、県西中央青果(株)の子会社化に伴い負ののれん発生益(1億17百万円)を計上する一方、減損損失がなくなった事で特別損益が改善したため(前期は(株)ピックルスコーポレーション札幌の旧工場関連等で1億32百万円を計上)。配当は1株当たり2円増配の期末17円を予定している。 尚、設備投資は設備更新を中心に2億56百万円(前期はピックルス札幌の新工場への投資等で10億15百万円)。減価償却費は5億34百万円を計上した(同5億17百万円)。 |
2017年2月期業績予想 |
前期比22.1%の増収、同48.2%の経常増益
3月に、キムチやたれ・ドレッシング等のファブレスメーカーである(株)フードレーベルホールディングスを100%子会社化した(4月から連結)。17/2期決算において、売上・利益の押し上げ効果が期待できる。売上高は前期比22.1%増の368億17百万円。浅漬・キムチや惣菜を中心に製品売上が同11.0%増加する中、(株)フードレーベルホールディングスの子会社化効果で商品売上が同44.6%増と伸びる。営業利益は同50.6%増の14億02百万円。原料野菜価格の正常化を想定して原価率の改善を見込んでおり、業容拡大に伴う物流費・人件費の増加やのれん償却費の増加を吸収。(株)フードレーベルホールディングスの子会社化も利益の押し上げ要因になる。 設備投資は、前期の2億56百万円を大幅に上回る14億61百万円を計画。生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、更には新工場(京都第2工場及び九州新工場)のための土地取得等を計画している。減価償却費は5億88百万円を織り込んだ(前期は5億34百万円)。 配当は1株当たり17円の期末配当を予定している。 (2)(株)フードレーベルホールディングスの子会社化
2016年3月7日に、(株)フードレーベルホールディングスを100%子会社化した(取得額11億02百万円)。(株)フードレーベルホールディングスは、牛角ブランドのチルド製品(キムチ等)やドライ製品(醤油だれ等)等を展開しており、高い企画力を生かして、有名店、有名シェフ等とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。また、様々な商品コンセプトを実現するために、国内外に多数の協力工場のネットワークを構築している。(株)ピックルスコーポレーションは、(株)フードレーベルホールディングスを子会社化する事で、グループの事業領域の拡大と効率化を図り、グループ全体の成長につなげていく考え。期待できるグループシナジーとして、①(株)ピックルスコーポレーションの営業拠点活用及び開発力によるフードレーベル製品の売上拡大、②フードレーベル製品の内製化による効率化・収益力の向上、及び③フードレーベルの協力工場活用による製品ラインナップ拡充等を挙げる事ができる。 会社概要
所在地 東京都台東区東上野一丁目7番15号代表者 代表取締役社長 岡田 修吾 資本金 90百万円 |
市場動向と17/2期の施策 |
【市場動向】
漬物市場の動向
同社は漬物市場を約3,200億円と推定している。コメ消費の減少、食の多様化、少子高齢化等の影響を受けて市場は縮小傾向にあったが、ここにきて底打ち感が出てきた。沢庵等のふる漬の縮小が続く一方で、キムチが堅調に推移しており、浅漬も安定している。また、漬物メーカーは全国で900社程度と言われているが、家族経営的な企業が大半を占め、直近の決算で年商が100億円を超えるのはトップの同社を含めた3社に過ぎない(上記の市場規模を900社で割った1社平均の年商は3~4億円)。業界トップである同社にしても、シェアは9.3%(推定、以下同じ)にとどまり、同社を含めた上位10社でも、シェアは34.6%に過ぎない。しかし、同社のシェアは前年の8.1%(前々年7.3%)から上昇しており、10社合計のシェアも32.9%(同30.8%)から上昇している。 つまり、中小企業がひしめく業界ではあるが、上位企業による寡占化が進んでおり、特に、健康志向、惣菜化、機能性訴求等をキーワードにした製品開発力を有するメーカーのビジネスチャンスは拡大している。今後、業界の淘汰・再編、そして大手メーカーによる寡占化が一段と進むものと思われる。 同社は国産原料にこだわる(100%国産原料)事で消費者の安心・安全志向に応えると共に、強みである製品開発力・販売力を活かしてシェアアップを図っていく考え。当面の目標はシェア15%だが、これを早期に達成して、20%、30%と、更なる高みを目指していく。 惣菜市場の動向
惣菜市場は、単身世帯の増加や高齢化の進展、更には女性の社会進出もあり、拡大傾向にある。同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2014年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等)は9,361億円。また、10年前は、食料品スーパー等で7%だった惣菜の売場比率が、直近では12%に拡大していると言う。総菜分野では、フジッコ、ケンコーマヨネーズ、エバラ食品、デリア食品、大堀、イニシオフーズ等が大手で、いずれも400~600億円規模の年商を誇るが、最大のライバルは小売りの内製。食料品スーパー等では、惣菜の80~90%を店舗のバックヤードや自社工場で内製していると言われているが、近年、人材難のためメーカーからの仕入を増やすケースが増えている。また、食品を扱うドラッグストアが増えている事も追い風で、惣菜各社のビジネスチャンスは拡大している。こうした中、同社は惣菜事業では後発企業であるが(2004年前後に参入)、製品開発力、全国をカバーする製造拠点、更には直販ならではのきめ細かい営業を強みに、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしている。 【17/2期の施策】
製品力の強化、広告宣伝・販促活動、及び全国ネットワークを活用した営業戦略を三位一体とする事業展開により、既存取引先の深耕と新規取引先の開拓に取り組んでいく。
この一環として、2016年2月に「ご飯がススム本格キムチ」の販売を開始しており、5月にはご飯がススムトムヤム風キムチの発売を予定している。「ご飯がススム本格キムチ」は今後の重点製品として位置付けており、比較的甘みが強かった「ご飯がススム キムチシリーズ」において、酸味・甘味・辛味のバランスを獲りつつ辛味を強調。うま味とコク味の強い、飽きのこない味わいを特徴とする本格的なキムチである。一方、「ご飯がススムトムヤム風キムチ」は、甘、辛、酸っぱい味わいのトムヤムクンとキムチのコラボレーション製品。タケノコの食感とコリアンダーの香りでトムヤムクンを食べているような味わいが特徴。 (2)広告宣伝活動・営業戦略
鉄道広告(JR山手線)、テレビ・ラジオCM、屋外看板(西武ドーム)等を利用した従来の広告宣伝・販促活動に加え、今期は、「渋谷109フォーマルビジョン」でのCM放映を実施する(2016年4月現在、放映中)他、埼玉、都内、神奈川でラッピングバス(西武バス、都営バス)による広告手法も取り入れる。17/2期の広告宣伝費は前期の2億86百万円を上回る3憶07百万円を予定している。
(3)営業戦略
全国ネットワークを活かした営業戦略を推進し、特に北陸、中四国、九州を強化する。この一環として、(株)ピックルスコーポレーション関西は、京都第2工場及び九州工場の建設準備に入る。現在、同社は京都工場と広島工場の2工場を有するが、共に増産余力が乏しい。九州については、合弁会社の1工場があるのみである。地域別GDPとの比較から中部(北陸3県が含まれる)、関西、中国・四国・九州で同社が売上を伸ばす余地は大きいと言える。 (4)主要子会社の取り組み
16/2期は原材料野菜の価格高騰を受けて営業利益が53百万円と前期の1億05百万円から大きく減少した。17/2期は原材料野菜の価格安定を前提に営業利益が84百万円に回復するとみている。ただ、関西及び九州地区での新工場建設(投資額約20億円)を計画しており、18/2期は新工場の立ち上げ費用の発生と減価償却費の増加で営業損益が75百万円の損失になる見込み。 新工場のオペレーションが軌道化してきた事で16/2期は営業損失が前期の1億25百万円から47百万円に減少した。17/2期は12/2期以来の営業損益の黒字化が見込まれる。 |
中期経営目標 |
設備投資計画
設備投資については、17/2期は生産能力増強のための千葉工場の増築、宮城ファクトリーの排水処理設備やその他設備の更新、及び新工場のための土地取得等で14億61百万円を予定している。続く18/2期は関西地区及び九州地区でのピックルス関西・新工場建設や設備更新等で19億78百万円を計画。19/2期は、大型投資の一巡で5億42百万円に減少する見込み。
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