ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.56
(6914:東証1部) オプテックス |
|
||||||||
|
企業名 |
オプテックス株式会社 |
||
会長兼社長 |
小林 徹 |
||
所在地 |
滋賀県大津市雄琴 5-8-12 |
||
決算期 |
12月 |
業種 |
電気機器(製造業) |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2015年12月 | 27,793 | 3,161 | 3,222 | 2,051 |
2014年12月 | 25,678 | 2,558 | 3,043 | 1,897 |
2013年12月 | 23,582 | 2,108 | 2,628 | 1,620 |
2012年12月 | 20,699 | 1,398 | 1,680 | 825 |
2011年12月 | 18,502 | 1,677 | 1,830 | 1,033 |
2010年12月 | 17,395 | 1,705 | 1,761 | 981 |
2009年12月 | 15,124 | 620 | 735 | 332 |
2008年12月 | 20,916 | 2,661 | 2,489 | 1,004 |
2007年12月 | 22,167 | 3,854 | 4,075 | 2,377 |
2006年12月 | 20,294 | 3,728 | 3,921 | 2,282 |
2005年12月 | 19,012 | 2,655 | 2,776 | 1,584 |
2004年12月 | 17,138 | 2,159 | 2,321 | 1,297 |
2003年12月 | 15,173 | 2,203 | 2,215 | 1,354 |
2002年12月 | 13,047 | 1,595 | 1,546 | 951 |
2001年12月 | 11,507 | 1,173 | 1,305 | 544 |
株式情報(5/9現在データ) |
|
|
今回のポイント |
|
会社概要 |
ファイバーセンシス社及びレイテック社とは、それぞれの強みを融合した大型重要施設向けソリューション(施設への侵入警戒システム)を展開している。また、国内及びEUに強みを持つオプテックス(株)、北米を中心とした米州や中近東等に強みを持つファイバーセンシス社、更には英国及びEUでの売上が大半を占めるレイテック社と、事業エリアの面でも補完関係にあり、更にオプテックス(株)による両社製品の国内、アジア、アフリカ、南米への展開等、グループ企業の製品を活かした事業展開でも実績を上げつつある。 【事業内容】
事業は、防犯関連や自動ドア関連等のセンシング事業、産業機器用センサを手掛けるFA事業、中国工場で展開する電子機器受託生産サービス(EMS)の生産受託事業、及び客数情報システム・画像処理関連の開発・販売、スポーツクラブ運営その他に分かれる。
【センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムが強み】
確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。
【沿革】
1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約60%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 【グループの主要企業】
国内
海外
|
2016年12月期第1四半期決算概要 |
センシング事業が伸び悩み減収・減益
売上高は前年同期比6.1%減の65億84百万円。為替の影響を除くと3.1%の減。国内は防犯、自動ドア共に前年を下回った。海外は欧州が順調だったもののアジア、オセアニアが伸び悩んだ。FAは国内外とも堅調だった。営業利益は同14.7%減の8億89百万円。原価率は1%改善したが欧州通貨安、人件費増、研究開発費増などで減益となった。 <地域セグメント別動向>
センシング事業
(防犯関連)国内は、防災用途LED照明販売が堅調だったが、警備会社向け屋外用警戒センサ販売が伸び悩んだ。 AMERICAは、大型重要施設向け外周警戒センサが堅調に推移した。 EMEAは、南欧向け屋外用警戒センサは堅調だったが、為替の影響で微減となった。 アジア は、オセアニア向けの警戒センサ販売が伸び悩んだ。 (自動ドア関連) 国内は、建設設備投資の低迷により、商業施設向け販売が低調だった。 AMERICAsは、大手自動ドアメーカー向けOEM販売が規格改正前の買い控えにより足踏みとなった。 EMEAは、大手自動ドアメーカー向けOEM販売が欧州景気減速の影響で伸び悩んだ。 ◎FA事業
国内は、電子部品業界向け、品質検査用LED照明が好調に推移した。EMEAは、汎用センサが低調だったものの、変位センサが堅調に推移した。 アジアは、中国販社(子会社)による変位センサ、汎用センサ販売が順調だった。 ◎生産受託事業
受託案件の減少、在庫調整により減収・減益となった。
貸方では仕入債務の増加などで負債合計は同58百万円増加の53億15百万円となった。利益剰余金の増加で株主資本は増加したが、円高により為替換算調整勘定が減少し純資産は同3億87百万円減少の252億16百万円となった。 この結果、自己資本比率は前期末より0.3%低下し77.7%となった。 (4)トピックス
2016年4月7日、FA(ファクトリーオートメーション)における画像処理用LED照明装置及び制御装置の開発・製造・販売のほか、工業用UV照射装置、美術館向け自然光LED照明装置などを手掛けるシーシーエス株式会社(JASDAQ上場、6669)に対する公開買付けを実施すると発表した。◎シーシーエス株式会社へのTOB実施と業務提携契約締結 また同日にオプテックスの子会社オプテックス・エフエー株式会社(JASDAQ上場、6661)とシーシーエスが包括的業務提携契約を締結した。 <シーシーエス株式会社概要とTOBの背景>
シーシーエス株式会社は、MV(マシンビジョン)と呼ばれる、検査用の光源として検査精度や安定性を向上させるFA向け画像処理用LED照明装置及び制御装置で世界シェア25%を占めるトップメーカー。一方、オプテックス株式会社の子会社オプテックス・エフエー株式会社は工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサ、変位センサ、画像センサ、画像処理用LED照明に加え、画像処理用カメラの開発を強化し、ラインアップ強化と販売対象地域の拡大を図っている。 そうした中、オプテックスは、同社グループと画像処理用LED照明装置で強いブランド力を持つシーシーエスが開発、販売において本格的な相互協力を進めることにより、例えば、画像処理用カメラとLED照明の最適な組み合わせのセットを提供したり、シーシーエスが画像処理関連製品を販売している顧客に制御用センサを提案するなど、顧客に対するソリューション提案能力強化を通じて事業の拡大と効率化が実現できると考え、協議を続けてきた。 また、FA以外の分野においても両社の連携によって事業規模及び事業領域を拡大にすることができ、シーシーエスがオプテックスグループ入りする事は企業価値の更なる向上に繋がるものと両社で判断するに至り、TOBを実施する事とした。 <TOB概要>
買付期間は2016年4月8日より同年5月25日の30営業日。オプテックス株式会社が、普通株式1株について1,400円で応募株主から買付けを行う。 買付予定株数は3,611,000株で、買付け上限株数でもある。買付け後のオプテックスの保有割合は66.65%。 買付総額は約50億円。 買付け後もシーシーエスは上場を維持する。 <包括的業務提携契約>
上記のように両社が相互に協力することにより、一段の事業拡大と効率化が可能となり、両社の更なる企業価値向上に繋がると判断し包括的業務提携契約を締結した。画像処理用LED照明および関連製品の開発に関する技術協力を行い、販売に関しても協力を検討する。 グループ化及び包括的業務提携により、FA業界における世界No.1の画像処理ソリューション事業確立を目指していく。 |
2016年12月期通期業績予想 |
業績予想に変更無し。2ケタの増収増益を見込む。
業績予想に変更はない。売上高は前期比11.5%増の310億円の予想。4期連続して過去最高更新へ。各セグメントとも堅調な伸張を見込んでいる。営業利益、経常利益はそれぞれ同26.5%増、同27.2%増を見込み、経常利益は2007年12月期の40.7億円の更新を目指す。 配当は5円/株増配の45円/株を予定。予想配当性向は27.6%。 新興国の社会インフラ整備加速に加え、テロによる破壊行為の増加を受け、大型重要施設向け警備需要が増大している。 一方で、移民の増加による不安心理の拡大により屋外事前防犯による事前抑止需要も増加している。 世界トップクラスの高い信頼性を有する「アウトドアセンサ」をフルラインアップしている同社の強みを活かしてこの2市場を攻略する。 自動ドア周辺の画像を録画することで、「自動ドアの事故記録」、「防犯対応」、「人の方向判別、状態認識」、「人などの特定形状カウント」を行い、自動ドアの新たな機能を訴求する。 また、食品・機械・物流の工場や倉庫、店舗の空調管理や防虫・防煙、住宅用など様々な用途に向けたシャッターセンサのラインアップを強化する。 そのために、新製品の開発・投入、商品企画における国内メーカーとの連携、商品調達における外部との連携を進める。 ◎カメラを使った印字検査 異物混入や品質不良など、食品メーカーで発生する事故のうち全体の約1/5を占めているのが「賞味期限や消費期限の印字不良」。 製品ラインアップを強化し、企業のリコールの削減に貢献する印字検査に注力する。 ◎LED照明 画像検査用の光源として、検査工程の精度・安定性を向上させる。具体的には、LEDの新製品開発に注力し、製品ソリューション力を高めるほか、協業などによりラインアップの強化や拠点や人など営業力の強化を図る。 ◎中国市場の強化 中国に工場を構える日系企業の工場ラインへの攻略など、中国子会社による新規開拓を進めるほか、ローコスト汎用製品の投入で顧客獲得を目指す。 3か年で最大5拠点と、新たな販売拠点の展開を進める。 |
|
<参考:今後の事業戦略(前回レポートより)> |
◎ビジネスモデルの変革 ~継続収益獲得へ~
従来の、センサ単品を販売し、売り切るビジネスに加え、システムソリューション、消耗品販売など、継続的に収益が得られるビジネスのウェイトを高めていく。
◎新規事業の創出 :「IoS」サービス
この継続収益を獲得するビジネスモデルの中心と位置付けているのが、「IoS(Internet of Sensing Solution)」サービス。同社のセンシング技術の強みである、「検出エリア構成」、「センシングアルゴリズム」、「低消費電力」、「耐環境性能」などを活かし、センサをネットワークに接続する事で、「防犯・警備・防災」、「環境モニタリング」、「運転マネジメント」、「ファシリティ/アセットマネジメント」といった顧客企業に、新たな付加価値・ソリューションを提供する。 この強みを活かし、顧客となるシステム運用主体とともに、それぞれの課題に応じたアプリケーション・センサを開発できる点が大きな特徴となっている。 ◎IoSの3つのカテゴリー
同社では、サービス提供形態として以下の3つのカテゴリーを設定している。「センサ、運用のためのサーバー、運用・サービスの提供」の全てを同社が手掛ける「①完結型ソリューション」 運用・サービスの提供を行っている企業と連携する「②アライアンス型ソリューション」 センサ等を販売する「③端末機器販売型」 代表例として、「リモートモニタリングサービス(クラウド・ビジュアル・ベリフィケーション)」が挙げられる。 これは同社のセンサと、大手ネットワークカメラメーカーのIPカメラによりカーディーラー、建設現場などの各種施設を常時監視し、ネット回線でモニタリングセンターとつないで監視を行うもので、センサ、カメラ、サービス、運用まで全てを同社グループが行う。遠隔監視で実績のある英国子会社Farsight社を用いたこの世界初のパッケージサービスは、2015年9月に英国でリリースされ、今期若しくは来期から実績が出てくるものと期待している。 ②アライアンス型ソリューション 代表例として、前回のレポートで紹介した、ソニー損害保険株式会社が2015年2月より販売を開始した日本初の新しいタイプの自動車保険「やさしい運転キャッシュバックサービス」がある。 ユーザー(保険契約者)は、オプテックスの運転挙動センシング技術が採用された運転特性を計測する専用器「ドライブカウンタ」を自分の自動車内に設置し、一定期間運転する。ドライブカウンタは、オプテックス独自の運転挙動測定技術を用いて危ない運転のみを記録する加速度センサが組み込まれている。 ユーザーは期間終了後、ドライブカウンタをソニー損保に郵送。成績が60点以上であれば点数に応じて保険料がユーザーにキャッシュバックされる。 ソニー損保では、こうした保険を普及させるには、「計測器の設置および取扱いが簡単であること」、「機器費用を含めた運用コストが低いこと」、「機器の信頼性が高いこと」が不可欠と考えていたが、オプテックスのドライブカウンタは、高精度のセンシング技術に加え、通信機能を利用するテレマティクス方式ではないためランニングコストもかからないなど、これらの条件をすべて満たしていると、ソニー損保から高く評価され、約4年にわたる実証実験の後、事業化に結び付いた。 また、アライアンス型による水質簡易計測ソリューションの展開も進めている。 現場で採取した水質測定データや利用者や利用状況データなどを、IoSプラットフォーム上で運用・サービス会社がIT管理するもの。またシステムに加えて簡単、迅速に水質計測を行うための試薬の開発も行い2015年4月より販売を開始した。システムの販売に加え、試薬販売による継続的収益の獲得も目指している。環境関連事業として以前から水質計測センサを手掛けていた同社としては、同事業拡大の大きな一歩となると考えている。 ③IoS端末機器販売型 様々なセンサーニーズを持つオープンシステムに対応し、近赤外線センサ、遠赤外線センサ、超音波センサ、距離画像センサ、ファイバーセンサ、加速度センサ、レーザーセンサなどを提供する。 端末機器以外はパートナーサイドがシステムを構築する。ただし、センサはサービス・運用までを把握した上でその仕様を最適化して提供する。 従来とは違う相手先が顧客となるため、その後のビジネスの広がりにも期待している。 |
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。 Copyright(C) 2024 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved. |